東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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Contents
自己破産とは、借金の返済に行き詰まった人が、その借金の返済を免除してもらうための手続きです。
法律に基づく手続きであり、すべて裁判所を通して行われます。
抱えていた借金の返済義務が消滅する代わりに、保有していた不動産や預貯金などの財産は、生活に必要なごく一部を除いてすべて借金の返済にあてられます。
そのため、自己破産はゼロからのスタートとなるのです。
また、自己破産した記録は、信用情報機関と呼ばれる機関に登録されます。
信用情報機関は加盟する企業の種類に応じて3つありますが、自己破産の記録はすべての機関で登録されます。
銀行や信用金庫・クレジットカード会社などは必ずいずれかの機関に加盟しているため、自己破産した事実は、どの会社からでも確認できる状態となります。
信用情報機関には5~10年にわたって、自己破産の記録が登録されます。
過去に自己破産している人に対しては、どの会社も新たにお金を貸してくれることはありません。
そのため、自己破産後5~10年間はローンを組めなくなるということです。
自己破産すると、信用情報に記録が残っている間はローンを組めません。
また、自己破産の記録が消滅しても必ずローンが組めるわけでもありません。
自己破産後にローンを組めたケースをご紹介しますので、これから何をすべきか参考にしてください。
自己破産した原因は、ギャンブルと浪費にあると気付いたAさんは、それまでの生活を改めることにしました。
パチンコや競馬などのギャンブルを一切やめ、ネットショッピングなどでの買い物も厳しく制限しました。
すると、それまでまったく貯金ができなかったのに、毎月少しずつ貯金ができるようになり、そのことに喜びを感じるようになりました。
そこで、10年以内にマイホームを購入するという目標を定め、頭金を貯めることにしたのです。
自己破産後、早い段階で自身のお金の使い方に問題があると気付き、改善する努力を行いました。
その結果、頭金を貯めて住宅ローンを組むことができたのです。
自己破産したBさんは、それまで日常的にクレジットカードで支払いを行っていました。
クレジットカードを使えばポイントが貯まるし、分割払いにできるので良いことしかないと思っていたのです。
しかし、徐々にカード払いの金額が増え、最後には返済ができなくなってしまいました。
自己破産によって、クレジットカードは使えなくなってしまい、買い物をする場合もすべて現金払いとなりました。
何かと不便さを感じたBさんは、再びクレジットカードを持つことを目標としました。
その結果、自己破産してから7年後に再びクレジットカードを持つことができました。
その後、クレジットカードの返済を問題なく継続していたため、自己破産から9年後には銀行でローンも組めたのです。
自己破産したCさんは、妻のDさんとマイホームの購入を検討していましたが、その過程で自己破産してしまいました。
その結果Cさんはローンを組めなくなり、途方に暮れていました。
しかし、同居家族の信用情報には何ら影響がないことを確認したため、妻のDさんがローンを組むこととしました。
Dさんにも十分な収入があり過去に金融事故を起こした記録もなかったことから、審査はスムーズに通りました。
Cさんが自己破産してから2年後には、Dさんの名義でローンを組むことができました。
自己破産した後に、ローンを組んだケースをいくつかご紹介しました。
自己破産後すぐにローンは組めませんが、そこからの期間は再びローンを組むための準備期間としましょう。
具体的に何をするとローン審査に通りやすくなるのか、確認しておきます。
自己破産せざるを得なかったのは、散財や浪費といったお金の使い方に原因がある場合も多くあるでしょう。
収入などを見れば十分に借金の返済ができるはずなのに、その返済をしなければ、銀行などの信用は得られません。
そこで、再びローンを組む時まで頭金となる資金を貯めておきましょう。
頭金が多くあれば計画的に行動できる人として銀行の信用を得やすくなり、ローンの審査にも通りやすくなります。
ローンで借りる金額を減らすことも大切です。
できるだけ多くの頭金を貯めて、審査に臨みましょう。
ローンを組む際に、収入があることは非常に重要な条件となります。
収入が多ければそれだけローンが組みやすくなると考えて、職を転々とする方もいますが、これは得策とはいえません。
むしろ、1つの会社で継続して勤務している方が、信用を得やすくなります。
年収アップを目指しての転職は、ローンを組んだ後でも遅くありません。
自己破産すると、ローンだけでなくクレジットカードも利用できなくなります。
クレジットカードを再び持つにも、自己破産から5年以上の期間が経過しなければなりません。
クレジットカードの場合、通常は住宅ローンなどよりも早く審査に通るでしょう。
クレジットカードを作ってきちんと期限内に返済している実績が作れると、次の審査にも通りやすくなります。
自己破産記録は信用情報機関に登録され、そこに加盟するすべての会社で共有されます。
自己破産後5~10年経つと記録は消えるため、再びローンを組んだりクレジットカードを作ったりできるようになります。
ただ、自己破産した時に借金の免責を受け、直接的に被害を被った会社についてはこの考えがあてはまりません。
会社独自に自己破産した顧客のリストを保管していると考えられるからです。
たとえ自己破産から10年以上経過したとしても、それが理由でローンを組めない可能性があります。
そのため、自己破産した時に免責を受けた会社は避けましょう。
自己破産は、法律に基づいて行われる法律行為であり、それ自体は何の問題もありません。
ただ、自己破産したことで、さまざまな制約を受けることはあります。
一定期間ローンが組めなくなるのも、制約の1つです。
ただ、一定期間経過すれば再び審査を受けられるため、計画的に貯金しながらお金の使い方を見直しましょう。