東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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キャリア決済は、契約している携帯電話会社の電話料金や通信料金と一緒に、商品代金を支払う決済手段です。
携帯電話やスマートフォンを使って買い物をした場合に、その決済を簡単にすることができます。
また、電話料金などと一緒に支払うことができる他、手続きも簡単なため、利用している方もいるでしょう。
しかし、自己破産の手続きを行っている間に利用してしまうと、思わぬ問題が生じる場合があります。
自己破産中にキャリア決済を利用することの問題点や、自己破産後に利用できる方法を解説していきます。
Contents
自己破産しようと考えている人がキャリア決済を利用すると、何か問題があるのでしょうか。
また、実際に自己破産を申し立てている人がキャリア決済を行った場合はどうなるのでしょうか。
自己破産を検討しているものの、まだ実際には自己破産していない場合は、キャリア決済を利用することができます。
たとえば、キャリア決済を利用し、代金の支払いまですべて終えているのであれば、自己破産しても何の問題もありません。
ただ、キャリア決済を利用した直後に自己破産した場合、その支払いが自己破産手続き開始後になってしまう場合は要注意です。
一刻も早く自己破産をしたいと考えているのであれば、キャリア決済を利用するのは控える方がいいでしょう。
自己破産の申立てを行い、裁判所で手続きが開始されてからキャリア決済を利用することは、大きな問題となる可能性があります。
自己破産の手続きを開始しているのに、それを隠してキャリア決済を利用し返済をしない場合、詐欺罪で訴えられることがあります。
また、自己破産中にキャリア決済を利用して、その支払いを行った場合は、特定の債務だけを支払ったこととなります。
そのため、債権者を平等に扱わなければならないという原則に反しており、債務の免責を受けられなくなる可能性があります。
さらに、キャリア決済の利用が新たな借り入れとみなされ、自己破産の依頼をしていた弁護士との契約が解除されることもあります。
このように、自己破産の手続き中のキャリア決済の利用は、様々な問題を引き起こす可能性があります。
自己破産中には、キャリア決済を利用しないようにしましょう。
クレジットカードを利用して「現金化」という行為が行われることがあります。
これは、クレジットカードを使って商品を購入し、その商品をすぐに売却して現金化する行為のことです。
商品券や家電製品など、買取してもらいやすい商品を購入することで、短期間で現金を手にすることができるのです。
しかし、定価で購入した商品を売却しても、定価以上の金額で売れることはありません。
損をすることがわかっていても、現金がどうしても必要な人は、現金化に手を出してしまうのです。
この現金化という行為は、詐欺罪に問われることもある違法行為であり、決して行ってはいけません。
しかし、中にはキャリア決済での現金化を行う人もいるのです。
もともと、現金化という行為は違法な行為であり、決して許されるものではありません。
ただ、自己破産をしようとしている人は、この現金化を行うことで思わぬ落とし穴にはまってしまうことも考えられます。
それは、自己破産をしても免責許可が下りないということです。
自己破産すれば、それ以後に借金の返済はしなくてもよくなるというのは間違いです。
自己破産によって債務の清算を行うのと、債務の免責を受けて借金がゼロになるのとは別の手続きとされます。
そして、免責不許可事由と呼ばれるいくつかの行為を行うと、自己破産できたとしても免責されません。
現金化という行為は、自己破産した時の免責不許可事由に該当するものです。
自己破産しても免責されなければ、その後も借金の返済を続けなければなりません。
ゼロからのスタートとなるはずの自己破産が、まったく意味のないものになってしまうのです。
自己破産した後にも、キャリア決済を利用することはできます。
しかし、何も対策を行わずにいると、キャリア決済を利用することができなくなってしまう場合もあります。
では、自己破産後にもキャリア決済を利用するためには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
キャリア決済を利用するためには、携帯電話会社との契約を維持することが大前提となります。
しかし、自己破産する際に携帯電話会社に対する支払の滞納金額があると、その金額が免責の対象になってしまいます。
携帯電話会社に対する支払いが免責されることとなれば、その契約は強制的に解約されてしまいます。
そのため、自己破産を行う前に携帯電話会社の滞納額を先に支払うのが望ましいのです。
ただ、携帯電話会社への支払いを勝手にすると、偏頗弁済として問題になる可能性があります。
そのため、自己破産をするにあたって依頼した弁護士に、携帯電話会社への支払いをできないか確認するようにしましょう。
任意整理は自己破産と違い、債権者と債務者の話し合いにより債務の一部が切り捨てられる債務整理の方法です。
自己破産との大きな違いは、債権者を全員平等に扱う必要はないことです。
どの債権者に対する支払いを整理するのか選択することができ、偏頗弁済について心配する必要もありません。
債務整理を行った後もキャリア決済を利用するためには、携帯電話会社に対する支払いを整理の対象としないことです。
そして、滞納している料金についてもできるだけ速やかに支払い、解約されることのないようにすることが大切です。
自己破産をして、滞納していた携帯電話会社に対する支払も免責を受ければ、支払が免除される代わりに携帯電話は解約されます。
携帯電話は解約となっても、別の格安の携帯電話会社を利用して、携帯電話を使い続けることはできるかもしれません。
しかし、格安携帯会社では、キャリア決済を利用することはできません。
そこで、キャリア決済以外の決済手段を利用することも考えておく必要があります。
さらに1点、格安の携帯電話会社を利用する際に注意点があります。
それは、自己破産をしてクレジットカードが利用できなくなると、格安携帯会社を利用できなくなる可能性があることです。
格安携帯会社の多くは、支払方法をクレジットカードだけとしています。
しかし、自己破産をするとクレジットカードを使うことはできません。
そのため、自己破産した人が格安携帯会社を利用するには、クレジットカード以外の支払い方法がある会社に限定されるのです。
自己破産した後には、クレジットカードが使えなくなるなどの制約を受けることとなります。
自己破産しても、キャリア決済が利用できなくなるわけではありませんが、いつ携帯電話が解約されてしまうかわかりません。
そこで、自己破産した後でも利用できるキャッシュレス決済の手段をご紹介します。
いざという時のために、いくつかの決済手段を準備しておくと安心です。
デビットカードは、カードを利用して買い物をすると、それと同時に銀行口座から引き落としが行われる決済方法です。
クレジットカードと違うのは、口座に残高がなければ買い物ができないことです。
そのため、支払ができずに滞納するということがありません。
お金を先に支払ってチャージしておくカードやアプリを利用すれば、買い物をした後にその支払ができなくなることはありません。
そのため、自己破産した人でも利用することができます。
ポイントを貯めることもできるため、利用することで大きなメリットを得ることができます。
家族カードは、家族が契約者となっているクレジットカードです。
破産した人はクレジットカードを自身で契約することはできませんが、家族カードを持つことはできます。
ただ、家族が自己破産することを知っている場合には、使い過ぎを心配して家族カードを持たせてくれないことも考えられます。
キャリア決済は、携帯電話の契約さえしていれば利用することができ、特別な手続きはほとんど必要ありません。
そのため、決済手段の1つとして利用することができますし、自己破産してからも利用可能です。
しかし、自己破産中に利用してしまうと詐欺罪に問われたり、免責を得られなかったりする可能性があります。
自己破産するかもしれないと考える場合は、キャリア決済を極力利用しないようにしましょう。