最終更新日:2025/4/4
発起人とは何をする人?会社設立における役割と責任を徹底解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
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YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
会社を設立する際に欠かせない存在が「発起人」です。
発起人とは、会社の設立手続きを主導し、資本金の準備や定款の作成などを行う人物のこと。取締役と混同されがちですが、その役割や責任は異なります。
では、発起人は具体的にどのようなことをするのか?どこまでの責任を負うのか?
この記事では、会社設立における発起人の役割や責任、取締役との違いについて詳しく解説します。
目次
会社法と発起人の位置づけ
会社法が定める会社設立の手続きと発起人
会社法とは、会社の設立・株式発行・機関設計・帳簿計算・定款変更から解散・清算まで、会社の骨格を網羅した法律です。
会社の設立に関しても厳格に手続きが定められており、1つでも間違いがあれば会社は設立できません。
そうした会社法で定められたルールのもと、設立手続きを行うのが発起人です。
ただし、会社法26条では、発起人は自身が作成した定款に署名・押印をしなければならないとされています。
つまり、会社の設立に深くコミットしていたとしても、定款に署名しなければその人は発起人ではありません。
責任の帰属を明確にするため、会社法26条では上記のような条文を定めているのです。
発起人の資格
発起人には、未成年者や破産者、刑罰を受け執行猶予中の者であってもなることができます。
一方で取締役に関しては、成年被後見人や成年被保佐人、会社法など一定の法律で定められた刑の執行を受けることがなくなって2年を経過していない者、それ以外の犯罪で刑の執行を受けている者は取締役になれないなど、明確な欠格事項が定められています(ちなみに未成年者は欠格事項に該当しません)。
発起人がそのまま取締役に選任されるケースは多いですが、その場合は取締役の欠格事項に該当しないか留意する必要があります。
発起人の役割
発起人の役割は会社の設立に関し、設立時取締役の選任・会社の憲法である定款の作成・出資や株式など資本金の払い込み・その他開業準備や営業活動とされています。
会社設立の手続きは、会社概要を決めて印鑑を作成し、定款の作成・認証を行い、資本金を払い込んで登記申請をするという流れです。
定款の作成や登記申請書類の作成など、複雑な手続きも行わないといけないため、税理士や司法書士などに代行を依頼することもよくあります。
発起人の責任
会社法では、「発起人はその職務を怠り、会社に損害を与えた場合には、その損害を賠償しなければならない」と定めています。
加えて、会社設立が不成立となったり、悪意又は重大な過失により第三者に損害を与えた場合にも賠償しなければいけません。
また、発起人には定款に記載した出資金を必ず払い込む責任もあります。いわゆる「見せ金」などの、実際に資本金として使わないお金を一時的に口座に入れて出資金を水増しする仮装出資が発覚した場合は、その不足分を支払わなくてはいけません。
その他、現物出資や財産引受の価額が、定款に記載された価額を大幅に割り込む場合には、発起人と設立時取締役は連帯して損害額の補填を行わなければいけません(裁判所の選任した検査役による検査を受けている場合や、職務を忠実に履行していると認められる場合を除きます)。
ちなみにこの賠償義務は連帯責任が原則で、他の発起人・設立時取締役による損害も連帯して賠償しなければいけません。
ただし、株主総会の同意があった場合には、賠償義務が免除されます。
取締役との違い
会社法は、会社の必須機関として株主総会と取締役を定めており、これら2つの機関が会社の意思決定および運営を担っています。
一方で発起人の役割は、取締役選任を含めた会社の設立までなので、設立後の運営は取締役にバトンタッチされます。
また、発起人は株式会社を設立する際に資本金を出資しますが、その際に必ず1株以上を引き受けなければならないことになっています。
つまり発起人は、会社設立後は株主となるのです。
一方で取締役は、会社設立後は株主総会で選任されますが、設立時には発起人が選任し、以後の経営に携わります。
発起人は出資をしつつ会社を作る作業を行いますが、会社が成立した後は所有者(株主)という立場に回り、成立した会社を経営していくのは取締役の仕事となるのです。
しかし取締役は株主総会の決議で解任されたり新たに選任されることもあるので、発起人は株主として取締役の選任・解任権を通じ、会社の経営に関わっていくことになります。
なお、発起人は会社を設立する際に自分自身を取締役に選任することもできます。
この場合は、会社成立後の発起人は「株主」と「取締役」の立場を兼ねることになりますが、このようなケースはたくさんあります。
特に会社を一人で設立する場合は、その人が「発起人」となり、会社設立後は「株主」兼「取締役」となります。
発起人が複数人複数名いる場合に気をつけるべきこと
発起人の人数に制限はありません。
一人でも構いませんし、何名かの発起人と共同して会社を設立することもできます。
発起人が一人だけの場合も、複数名いる場合も、どちらにもメリットはあります。
一人で会社を設立する場合は自分の思うとおりに会社を設立することができますし、会社設立のためのさまざまな作業もマイペースで行うことができます。
ほかの人と意見をすり合わせる必要がないぶん、スピーディーに、スムーズに会社を設立することも可能になります。
一方、何名かの発起人で共同して会社を設立する場合には、資金やスキル、人脈などさまざまな面で力を合わせることができます。
そうすることによって大きな規模の会社を設立することができますし、多方面で事業を展開することも可能になるでしょう。
ただし、何名かの発起人と共同して会社を設立する場合には、気をつけておかなければならないことがいくつかあります。
最低50%を超える出資をする
発起人は会社を設立する際に最低1株を引き受けて、設立後は株主になります。
会社の重要な事項は株主総会の決議で決められますが、その際の議決権は株式の保有割合に応じます。
「普通決議」については、出席した株主の議決権の過半数(50%超)の賛成で可決されます。
普通決議で決められる主な事項としては、以下のようなものがあります。
- 取締役などの役員の選任や解任、報酬の決定
- 配当金の決定
- 決算報告の承認
会社にとって特に重要な事項を決める「特別決議」については、出席した株主の議決権の3分の2以上(67%以上)の賛成で可決されます。
特別決議で決められる主な事項としては、以下のようなものがあります。
- 資本金の減少
- 定款の変更
- 事業の譲渡や譲受の決定
- 会社の解散
つまり、最低でも自分が50%を超える株式を保有していないと、株主総会で自分の意見が通らなくなる可能性が高くなるのです。
これでは会社経営の実権を握るのは難しくなってしまいます。
会社設立時の株式保有率は出資額の割合に対応するため、会社の経営に深く携わりたい場合は、できれば67%以上の株式を保有できる出資を行いましょう。
違う意見を持った人を共同発起人にしない
会社を設立するに際して、発起人はさまざまなことを決めなければなりません。
会社の名前に始まり、事業の目的、資本金額、発行可能株式数、設立時の発行株式数、事業年度(決算期)、取締役の選任、その他の役員を置くかどうか、などなど、決めるべきことはたくさんあります。
これらの事項を決めるために発起人会を開催することになりますが、そこでも議決権は引受けた株式の出資割合によって決まります。
したがって、ここでも最低50%超、できれば67%以上の株式の保有が重要な要素となります。
ただ、さまざまなトラブルを回避するためにも、そもそも会社を設立する時点で明らかに違う意見を持った人を共同発起人にしないということも重要です。
将来の意見の対立も見通しておく
会社を設立する際には共同発起人と意見が合致していても、設立した会社を経営していくにつれて、やがて意見が対立してくることはよくあります。
人の考え方は、状況や時の経過によって変わることもあるのです。
仮に2人の発起人で会社を設立するケースで、当初はお互いに信頼し合っていたので持株比率を50%ずつにしたとしましょう。
この場合、その後の株主総会で2人の意見が割れてしまうと「過半数」の決議を得ることができません。
つまり、会社にとって重要な事項を何も決めることができなくなり、経営がストップしてしまうのです。
このような事態を避けるためにはたとえ信頼し合っていても主従関係をつけておく必要があります。
具体的には、株式の持ち分比率について、「50:50」ではなく「51:49」のように、わずかでも差をつけておくことです。
会社設立までの時間に余裕を見ておく
一人で会社を設立する場合は、人と力を合わせることはできないものの、他人の意見やスケジュールに拘束されることがないのでスムーズに作業を進めることができます。
それに対して、発起人の人数が増えれば増えるほど、意見のすり合わせに時間を要するようになります。
打ち合わせや発起人の開催にしても、各人の日程調整が必要なので日数が余計にかかりがちです。
スピーディーに会社を設立するためには、発起人の人数はできる限り少ない方が望ましいでしょう。
発起人に関して不安があるときは税理士に相談しよう
発起人となるための要件は特に定められていませんが、その責任は重く、会社法の定める会社設立手続きに則って業務を行わなくてはいけません。
定款作成などの手続きに加え、出資金の準備や役員の選任など、その後の会社運営に大きく関わる部分を担うことになります。
それらを怠った場合は、損害賠償を負うこともあるので注意が必要です。
発起人としての業務に不安や疑問点があれば、会社設立を専門とする税理士などに相談するとよいでしょう。
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