最終更新日:2024/5/28
会社設立時にかかる登録免許税とは?税金の計算方法や減免方法を確認
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- 会社設立時の登録免許税とは何か
- 会社設立時の登録免許税の課税額
- 登録免許税の免許制度や納付方法
- 登録免許税を納付する際のチェックポイント
会社設立の費用のなかでも、とくに金額が大きいのが登録免許税です。登録免許税の課税額は資本金によって変わりますが、多くのケースでは株式会社の場合は15万円、合同会社の場合は6万円になります。
起業にあたって初めてこの税金を知った人も少なくないでしょう。この記事では、登録免許税の概要や課税額、納付方法について解説します。
登録免許税とは何か
登録免許税とは、資産や権利の登録・証明にかかる税金です。流通税という国税の一種になります。
おもな課税対象は以下のとおりです。
- 会社設立登記などの商業・法人登記
- 不動産や動産(船舶、航空機など)の登記
- ダム使用権・公共施設等運営権の登録
- 著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの登録
- 信書便事業、港湾運送事業、石油パイプライン事業などの許可
- 資格の登録、認定または技能証明
登録免許税の課税額
登録免許税の課税額は法人の種類によって異なります。それぞれの法人の税額は、下表のとおりです。
法人の種類 | 登録免許税の税額 |
---|---|
株式会社 | 資本金 ×7/1,000 ※15万円に満たないときは15万円 |
合同会社 | 資本金 ×7/1,000 ※6万円に満たないときは6万円 |
合名会社・合資会社 | 6万円 |
一般社団法人・一般財団法人 | 6万円 |
ちなみに、設立登記までに行う定款の作成・認証では、印紙税や認証手数料などもかかります(電子定款の場合だと印紙税はかかりません。また、合同会社の場合、定款認証そのものが不要です)。
会社設立時の登録免許税の納付方法
登録免許税の支払い方法は、おもに以下の3種類に分けられます。
- 収入印紙による納付
- 現金納付
- ネットバンキングによる納付
収入印紙
登録免許税を収入印紙で納付するときは、税額分の収入印紙を「登録免許税納付用台紙(収入印紙貼付台紙)」に貼り付け、管轄の法務局へ提出します。
登録免許税納付用台紙は法務局の窓口でもらえますが、とくに指定はないためA4のコピー用紙を使っても構いません。収入印紙は、法務局の印紙売場や郵便局で購入してください。
現金納付
登録免許税の現金納付とは、金融機関の窓口で法務局の指定口座へ税額分を入金する方法です。
入金後は領収証書が手渡されるので、登録免許税納付用台紙に貼り付け、管轄法務局に提出してください。
割印が必要なのは、書面で申請する場合のみとなります。
インターネットバンキング
会社の設立登記に「登記・供託オンライン申請システム」を利用した場合、インターネットバンキングで登録免許税を納付できます。
なお、オンライン申請では事前に電子証明書を取得する必要があり、証明期間(3カ月~27カ月)に応じた手数料もかかります。
会社設立時の登録免許税を半額にする方法
各自治体が推進する特定創業支援等事業に申し込むと、登録免許税を半額にできる場合があります。ただ、この特典を受けるには一定の要件があるため、具体的な内容は下記を参考にしてください。
会社設立時の登録免許税の減額措置
会社設立までに時間的余裕がある場合、各自治体の特定創業支援等事業を利用することで登録免許税を以下のように減額できます。
- 株式会社の場合:15万円 → 7万5,000円
- 合同会社の場合:6万円 → 3万円
設立費用を抑えたい人はぜひ利用してください。
特定創業支援等事業を利用するときの注意点
特定創業支援等事業を利用する場合、対象者や応募期間、証明書の交付などについて注意が必要です。自治体によって内容やスケジュールが異なるため、利用を検討している人は各自治体のWebサイトを確認しましょう。
一例として、渋谷区の「 特定創業支援等事業 創業セミナー@オンライン」では、以下のような注意点があります。
- 対象者は、次の2点を満たす人
- 応募者が定員に達したら、募集期間内でも受付が終了する
- 支援を受けたことの証明書の交付には、別途申請が必要
1, 渋谷区内で創業予定、または区内事業者のうち創業後5年未満の人
2, 創業セミナー4日間と交流会の合計5日間すべてに出席できる人
セミナーの内容としては販路開拓財務や人材育成などがあり、経営の基礎を習得できます。
特定創業支援等事業を申し込む流れ
特定創業支援等事業の申込みは以下の流れになっています。
- 本店所在地の役場に問い合わせる
- セミナーや講習を受講する
- 自治体が発行する証明書を受け取る
支援を受けたことの証明書を登記申請の際に法務局に提出すれば、登録免許税が半額になります。
登録免許税の納付時にチェックするポイント
登録免許税を納付するときには、正しく書類を準備できているか、押印した印鑑が間違っていないかなどを確認しましょう。
印紙の貼り間違い、割印の押し間違いなど、よくやってしまう失敗があります。
印紙や領収書を間違って貼ってしまった場合、一度はがして貼り直しても法務局が受理しないかもしれません。不安な人は会社設立の経験がある司法書士に依頼して、事前にチェックしてもらいましょう。
会社設立の登録免許税で迷ったら専門家に相談しよう
登録免許税は、株式会社の場合だと最低15万円、合同会社の場合だと最低6万円の納付が必要です。
会社設立には税金以外のコストもかかります。登録免許税の負担を小さくしたいときには、各自治体の特定創業支援等事業を利用するのも有効です。
行政手続きに時間がかかると、オフィス用の物件探しや事務用品の購入などが進まず、開業準備が遅れてしまうかもしれません。
会社の設立登記や登録免許税の納付などで困ったときは、専門家に相談することも検討してください。
ベンチャーサポート税理士法人では、親身でわかりやすい説明を心がけ、会社設立に関する無料相談を実施しています。また、税理士だけでなく司法書士や行政書士も在籍しているためワンストップで相談することが可能です。初めて相談する方も、お気軽にご活用ください。