最終更新日:2024/2/6
【法人設立】流れや必要な手続き、費用は?法人設立届出書の書き方も徹底解説!
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
法人設立の流れや手続き、費用を解説します。また法人設立届出書の書き方もサンプルを使って説明します。
株式会社と合同会社の違いもまとめています。
法人設立を検討されている方、手続きで困っている方にお役に立てると幸いです。
目次
法人設立の流れと手続き
法人設立の流れは大きく次の6つのステップになります。
- ①法人設立の内容の決定
- ②法人の印鑑の作成
- ③出資金の払込
- ④法人設立関係書類の作成
- ⑤定款認証
- ⑥登記申請
それぞれの手続きや流れについて具体的に見ていきます。
①法人設立の内容の決定
どのような法人を設立するかという、法人設立の内容を決めます。下記の内容は、絶対に決めなければいけない事項です。
- ・会社名
- ・本店所在地
- ・資本金
- ・1株あたりの金額
- ・発行可能株式総数
- ・取締役会の有無
- ・設立日
- ・会計年度
- ・事業目的
- ・出資者と出資金額
- ・役員の構成
法人設立の流れの中でも法人設立の内容を決めるところが、一番重要でありかつ、難しい点です。
また法律的に問題がなくても、法人設立後に不利になるケースがあります。弊社では法人設立の疑問は無料相談をお受けしております。お問い合わせのうち4割の方は無料相談で解決しています。電話相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
②法人の印鑑の作成
法人名が決定すれば、法人の実印を作成しましょう。法人の印鑑は、「実印・銀行印・角印」の3本セットが一般的です。銀行印を実印と兼ねることも可能で、その場合は2本セットで問題ありません。法人設立の流れの中で、法人印を使うところがありますので、早めに作ることをお勧めします。
③出資金の払込
法人の最初の元手となる出資金を払い込みます。元手を出す人を発起人というのですが、発起人のうち誰か1人の個人名義の銀行口座に出資金を払い込みます。法人設立後に、法人通帳が出来上がれば、その出資金を法人口座に移します。
株主も役員も自分1人だけの、いわゆる「1人会社」の場合は、自分の口座に自分で振込をします。
④設立関係書類の作成
法人設立の手続きでは、公証人役場と法務局に設立関係書類を提出しなければいけません。
提出には順番があり、先に公証人役場に提出をしますが、書類作成は同時に進めることが可能です。法人設立の流れの中で、資料作成は難易度が高い作業ですので、疑問点がある方は無料相談をご利用下さい。
⑤定款を公証人役場で認証
定款は法人の基本情報や運営ルールを定めた書類で、「会社の憲法」と言われる大事な書類です。法人設立の際には、公証人役場で法的に不備がないかを見てもらい、認証を受けなければいけません。定款は、法人設立後もずっと使い続けるものですので、法的な面だけでなく、実務的に自分の目指す法人運営と合致しているかが大事になります。
⑥登記申請
法人は、法務局で登記をすることで法人格が認められます。つまり法人設立とは、法務局で登記申請をして受理されることと考えても間違いではありません。法務局に登記申請書を提出し、法務局内で不備がないかの確認が行われ、問題がなければ登記されます。通常、登記申請をしてから、登記が完了して登記簿謄本が発行されるまで1週間から2週間かかります。
ベンチャーサポートの法人設立サービスなら、上記の手続きがすべて丸投げ可能!
法人設立に必要な費用
法人設立に必要な費用は下記のとおりです。
公証人役場の定款認証の印紙代 | 40,000円 |
定款認証の手数料 | 32,000円 |
法務局の登記申請代 | 150,000円 |
法人の実印代 | 約10,000円程度 |
合計 | 約232,000円 |
法人のハンコはどのような材質を選ぶかなどで金額に幅がありますが、一般的なものであれば1万円程度です。結果的には、法人設立を自分で行う場合の費用は約232,000円と考えられます。
ただし、いくつか費用が安くなったり、高くなったりするパターンがありますので、ご紹介しておきます。
パターン1:資本金が100万円以上になる場合
2022年1月より資本金の金額に応じて、公証人役場の定款認証手数料が変わることとなりました。資本金100万円未満は32,000円ですが、100万円以上300万円未満は42,000円、300万円以上は52,000円となります。まとめると、下記のようになります。
資本金100万円未満 | 約232,000円 |
資本金100万円以上300万円未満 | 約242,000円 |
資本金300万円以上 | 約252,000円 |
パターン2:法人設立の手続きを専門家に依頼する場合
法人設立の専門家である司法書士に設立を依頼すると、司法書士の料金は5万円から10万円が一般的な相場です。ただし、司法書士が「電子定款」というオンライン定款作成を行っている場合は、公証人役場の定款認証の印紙代が0円になります。差し引きをして考えれば、司法書士に依頼した場合、約242,000円~約292,000円(資本金100万円未満の場合)で法人設立ができます。
パターン3:法人設立後の税理士顧問をセットで依頼する場合
法人設立後に税理士顧問契約をセットで申し込むことで、司法書士の手数料を税理士が負担するというパターンが増えています。税理士にとっては、新規のお客様を契約いただくための必要経費と考えているからです。法人設立後は、毎月の経理や法人の決算などで税理士が必要になりますので、セットで申し込みをすると結果的に得をすることが多いです。
この場合は、約192,000円となります。
弊社も法人設立と税務顧問のお得なパッケージサービスをご用意しております。司法書士の手数料を負担することに加えて、法人設立後の料金から最大10万円を値引きしています。
法人設立届出書の記載方法
法人設立が無事にできあがると、税務署や社会保険事務所に届出書を提出しなければいけません。
今回の記事では、その中でも特にご質問が多い「法人設立届出書」の書き方を説明します。
法人設立届出書とは、税務署に会社ができたことを知らせる書類で、株式会社でも合同会社でも必ず提出しなければいけません。また、都道府県と市町村にも同様の書類を提出する必要があります。提出期限は、設立登記の日から2カ月以内になっています。
税務署に提出する法人設立届出書は国税庁のホームページからダウンロードできます。
都道府県と市町村への法人設立届出書は、各都道府県、市町村のホームページをご覧ください。
では書類の上部から順番に記載方法を説明します。
- ここは記載不要です。※マークは記載が不要という意味です。
- 左上の日付の欄は、法人設立届出書を税務署に提出する日付を記載します。
- 本店の所在地を管轄する税務署を記載します。国税庁ホームページで確認できます。
- 登記した本店の住所を登記通りに記載します。
- 基本的には4の本店所在地と同じ住所を記載します。
- 登記した会社名を正式名称で記載します。
- 国税庁の法人番号公表サイトにある13桁の法人番号を記載します。登記事項証明書に記載されている会社法人等番号(12桁)とは違います。下記から調べられます。
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/ - 代表者の氏名を記載します。
- 代表者の住所と電話番号を記載します。
- 登記事項証明書に記載されている会社設立の年月日を記載します。
- 定款で定めた事業年度(会計年度)を記載します。
- 登記事項証明書に記載されている資本金の額を記載します。
- 1期目から消費税がかかる場合にのみ記載します。
- 定款に記載されている事業目的の中から主なものを記載します。下欄は実際に営む事業を記載します。上欄と同じときは同上でかまいません。
- 支店や出張所、工場などがあるときは記載します。
- 新規で会社を設立する一般的な法人設立は「5 その他」になります。カッコの中に新規設立と記載します。個人事業の法人成りは「1 個人企業を法人組織とした法人である場合」に該当します。
- 16で2から4に該当する場合のみ記載します。16で1又は5に該当する場合は、空欄のままでかまいません。
- 事業を開始する予定日を記載します。
- 法人で役員報酬や給料を支払うときは、法人設立届出書と同じタイミングで「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。1人会社であっても自分の役員報酬を取ることになりますので、有に丸を付けることが大半です。
- 税理士と顧問契約をする場合は、記載します。税務署から納税者への連絡が、本人に直接ではなく税理士事務所に行くようになります。
- 添付書類は定款のコピーを提出しなければいけません。
- この法人設立届出書を税理士が作成した場合は、税理士が自分の署名をします。
このようにして作成をした法人設立届出書は、本社所在地の管轄の税務署に直接持っていくか、郵送で提出をします。税務署に提出をすると手元に控えが無くなりますので、必ず提出する前にコピーを取って控えを作り、控えにも税務署の受領印をもらうようにしてください。銀行で法人通帳を作るときに、提出を求められることがありますので、控えが無くなると困ります。
株式会社と合同会社の違い
今回の記事では株式会社を前提とした法人設立のお話をしてきました。近年は合同会社の法人設立も増加していますので、株式会社と合同会社の違いについて説明します。
株式会社と合同会社の違いは、会社法の観点からたくさんありますが、一般的な起業家にとってはあまり関係ないことも多いです。
たとえば、「所有と経営の分離」や「利益配分(配当)の違い」「経営の自由度」などは、一般的な中小企業では問題になるケースは少ないです。
そこで実務の現場で非常に重要な違いを5つに絞ってご紹介します。
①法人設立費用の違い
法人設立の費用は、株式会社の場合、約23万2千円となりますが、合同会社は約7万円で設立ができます。
内訳は法務局で支払う登録免許税が6万円、法人のハンコ代が1万円です。
合同会社は、公証人役場で定款認証を受けませんのでその費用が無くなることと、法務局の登記申請の際の費用が安くなっていることが要因です。
②社会的信用の違い
社会的信用という面では、株式会社の方が合同会社より高いと言わざるを得ません。インターネットで物販をする事業を考えている方や、求人に力を入れる事業を考えている方は、社会的信用の違いを慎重に検討する必要があります。逆に、飲食店や介護事業のように、屋号で商売を行う方は合同会社でも良いかもしれません。
③肩書の違い
株式会社の代表者は、「代表取締役」になりますが、合同会社の代表は「代表社員」となります。
④役員の任期の違い
株式会社の役員の任期は最長10年ですが、合同会社の役員には任期がありません。役員の任期がくれば、再度登記が必要になり、登録免許税が発生します。仮に同じ人が役員に再任(重任)される場合でも登記は必要になります。
⑤上場ができるかどうかの違い
将来的に上場を視野に入れておられる場合、合同会社では上場することができません。