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最終更新日:2022/6/6

会社の決算日はいつ?法人の決算日の決め方と気を付けるポイント

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること

  • いつが会社の決算日になるのかわかる
  • 会社定款への決算日の記載要領がわかる
  • 法人の決算日を決める上での注意点がわかる
  • 決算日を過ぎた後の行事や手続がわかる
  • 決算日の変更方法や必要書類がわかる

会社を設立する際には定款が必要であり、商号(会社名)や資本金額などを決定して記載します。

他にも様々なルールを決めますが、決算日をいつにするかも重要な決定事項になります。

一般的に知られる決算日は年末の12月31日、または年度末の3月31日ですが、9月決算の会社も徐々に増えているようです。

各企業は何を基準に決算日を決めているのでしょうか?

決算日をいつにするかは会社運営にとって重要なことで、特に設立直後は会社の損得にも影響します。

今回は法人の決算日の決め方や注意点を解説しますので、会社設立を検討中の方はポイントを押さえて適切な決算日を設定してください。

会社の決算日はいつ?

個人事業主の決算日は確定申告の対象期間と重なるため、12月31日を決算日とするよう定められています。

一方、法人(会社)の場合は決算日の制約がないため、年末や年度末にこだわらず会社都合に合わせて決算日を設定できます

新卒採用を重視している会社は年度末、個人事業から法人成りした場合は年末決算を引き継ぐなど、各社ともに何らかの理由があって決算日を設定しています。

しかし会社設立前は何を基準に決算日を決めるのか定まりにくく、特に理由もなく設定した決算日は、後から変更が必要になるケースもあります。

では何を基準に決算日を決めるべきか、また定款にはどのように記載するのか、わかりやすく解説していきましょう。

会社定款への決算日記載例

設立する会社の決算日については、以下のように定款へ記載します。

(事業年度)
第○条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする。

上記は年度末を決算日とした例ですが、法人の決算日はいつでも構いません。

年に2回や4回などの決算日も設定できますが、それだけ決算処理も増えてしまうため、1年に1回とするのが一般的です。

法人の決算日を決める際に気を付けること

決算日といえば3月末や12月末をイメージしますが、3月決算を採用している法人は全体の20%程度であり、12月決算は10%程度に過ぎません。

特に理由もなく決算日を決めると業務に支障をきたす可能性や、税金面で損をする可能性もあるため、次に解説するポイントを考慮しながら設定するとよいでしょう。

会社設立日と決算日は近過ぎない方がよい

会社の設立が1月、決算日が同年3月のようなケースでは、十分な利益を上げられない、または赤字のまま決算日を迎えることになります。

しかし赤字決算でも法人道府県民税や法人市町村民税の「均等割」という、法人ベースで課税される地方税を払わなくてはなりません

ちなみに資本金1,000万円以下、従業員数50人以下の法人であれば、法人道府県民税の均等割は2万円、法人市町村民税の均等割は5万円になります。

合計7万円を3ヶ月で月数按分するため、1万7,500円程度の納税が必要となります。

キャッシュフローを考慮しておく

帳簿上の数字ではなく、現金の動き(キャッシュフロー)や資金繰りを考慮して決算日を決める考え方もあります。

決算月の2ヶ月後には法人税などの申告・納付があるため、現金が不足する時期に重なると納税が困難になる可能性もあります

現金が不足する時期とは、売上げの入金が少ない時期やボーナス支給月、経費などの支払いが多い月であり、資金繰りに苦慮するタイミングです。

従って現金が不足する月の2ヶ月前は、決算日から外しておく工夫も必要です。

会社の繁忙期を避ける

定款で定めた決算日はずらせないため、会社の繁忙期と決算日が重なると、業務や決算処理に支障をきたしてしまいます

繁忙期は売上げの伸びる時期でもあるため、決算処理に時間を割くと業務が滞留し、逆に決算に集中した場合は会社の成長を妨げてしまいます。

事業計画の策定段階で繁忙期は掴めるため、決算日と重ならないようにしておきましょう。

税理士や会計士の繁忙期を避ける

3月決算の会社はかなり多いため、税理士や会計士は4月~5月に繁忙期を迎えます。

また毎年2月~3月は所得税の確定申告もあるため、税理士が多忙を極める時期になります。

事務所の規模にもよりますが、税理士や会計士の繁忙期に決算日を設定すると、会計監査や決算書の確認が不十分になる可能性もあるでしょう

消費税の免税期間を考慮しておく

資本金1,000万円未満の会社であれば、設立後から2期(2年度)は消費税の納税が免除となります。

ポイントは「2期」であり、2年間ではないので注意してください。

もし会社設立から最初の決算日までが2ヶ月だった場合、免税期間である「2期」が1年2ヶ月で終わってしまいます。

設立日と決算日を離せば免税期間も最大2年間に伸びるため、決算日の設定は節税にも繋がります。

なお、消費税の関係規定には例外もあるため、税理士のアドバイスも受けておくとよいでしょう。

取引先の決算日を考慮しておく

業務上の連携をスムーズにするため、取引会社や親会社の決算日に合わせた方がよいケースもあります

あくまでも自社都合で決算日は設定するべきですが、念のため取引先の決算日もチェックしておくとよいでしょう。

決算日を過ぎた法人がすべきこと

1事業年度の終了が決算日であり、決算日を過ぎた後は以下の手続きやイベントが発生します。

  • ・決算報告書の作成:決算終了後速やかに(法人税申告に間に合うよう2ヶ月以内で)
  • ・法人税の確定申告:決算日の翌日から2ヶ月以内
  • ・株主総会の開催:決算日の翌日から3ヶ月以内

決算終了後は法人税申告が発生するため、確定申告書に添付する決算報告書(決算書)を作成します。

決算報告書には貸借対照表や損益計算書、個別注記表などの種類があり、株主総会にも提出する重要な書類となります。

会社の決算日を変更する方法・必要書類

何の予備知識もなく決算日を決めてしまった場合、納める必要のない税金が発生することや、繁忙期と重なってしまう可能性もあります

もし最初に設定した決算日に不都合が生じた場合、以下の手続きによって変更が可能になります。

株主総会の特別決議で承認を得る

決算日の変更は定款の変更も伴うため、経営者の一存では変更できず、株主総会の特別決議が必要になります。

発行株式の過半数を有する株主が出席して臨時株主総会を開催し、2/3以上の賛成があれば決算日の変更が認められます

なお、税務署手続きで議事録が必要になるケースもあるため、株主総会の議事録は必ず作成するようにしてください。

異動届出書を税務署へ提出する

株主総会の承認があった場合、管轄税務署や市役所等へ異動届出書を提出します。

異動届出書は税務署窓口や国税庁ホームページから入手できますが、提出時には定款の写しや総会議事録が必要になる場合もあります

また、会社法上では決算日変更の開示義務はありませんが、必要と認められる範囲には書面で通知しておいた方がよいでしょう。

参考:異動届出書(国税庁)

まとめ

会社設立を検討する際には、資金調達や売上げ見込みなどに意識が行きやすいため、特に理由もなく決算日を決めてしまうケースもあるようです。

しかし今回のコラムでおわかりいただけたように、余計な出費や売上げに反映しない業務繁忙を招きかねないため、決算日の設定はとても重要となります。

会社設立時には様々な意思決定が必要となるため、不慣れな方だけで対応する場合はどこかで無理も生じるでしょう。

なるべく本業に専念でき、スムーズなスタートを切るためには専門家との連携が欠かせません。

これから会社設立を予定している方は、よきパートナーとなる税理士や会計士を早めに見つけておくとよいでしょう。

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