最終更新日:2022/6/6
開業届にマイナンバーは必要か不要か?書き方や用意しておくと良い書類・注意点について
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
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YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
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この記事でわかること
- 開業届を作成する際にマイナンバーが必要となることがわかる
- 開業届を提出する際に注意すべきポイントを知ることができる
- 開業届と一緒に開業する時に提出する方が良い書類がわかる
起業して事業を始めると、その開業準備が忙しすぎて、どうしても公的機関への手続きや書類の提出が遅れてしまいがちです。
しかし、開業すると必要な手続きはたくさんあるため、忘れないようにしなければなりません。
ここでは、開業した際に提出する最も基本的な書類である、開業届の記載方法や注意点について解説します。
また、開業届以外の提出書類についても解説しているので、あわせて確認しておきましょう。
目次
開業届においてマイナンバーは不要か
事業を始めた人は、開業届を税務署に提出しなければなりません。
開業届には、提出する人の氏名や住所などを記載しますが、その中にマイナンバーを記載する欄もあります。
つまり、開業届にマイナンバーも必要であるということです。
マイナンバーとは、すべての国民が1人ずつ保有する12桁の番号のことです。
日常的に使用する機会はまだそれほど多くないかもしれませんが、税金や社会保険などの手続きにおいて、この番号が使われます。
どのようにマイナンバーが通知されているのか
それぞれの人のマイナンバーは、国がランダムな番号を決めて、その人に通知されています。
この書類は通知カードと呼ばれ、平成27年11月~12月頃にそれぞれの自宅に郵送されています。
マイナンバーを記載する際には、この通知カードに記載された番号をそのまま開業届に転記すればいいのです。
また、通知カードなどの書類を使って個人番号カードを作成した人は、この個人番号カードに書かれている番号を記載しましょう。
通知カードを紛失した場合の確認方法
通知カードが郵送されてから時間がたつため、紛失してしまったという方もいるかともいます。
その場合、マイナンバーをどのように確認するのでしょうか。
もっとも簡単な確認方法は、住民票を取得することです。
マイナンバーが入った住民票を取得することで、簡単にマイナンバーを知ることができます。
なお、個人番号カードを紛失してしまった場合は、別途再発行などの手続きをする必要があります。
開業届の書き方とマイナンバーの記入箇所について
開業届の用紙は、税務署の窓口で直接もらうか、国税庁のホームページからダウンロードします。
開業届の上部には、提出する人の個人情報を記載する欄があります。
「納税地」には基本的に住所を記載します。
ただ、開業する際の事務所を納税地とすることもできるため、自宅外で開業する場合はこちらを記載することもできます。
そのほか「氏名」「生年月日」「職業」なども記載していきます。
また、マイナンバーは「個人番号」の欄に記載します。
開業届の下部には、「届出の区分」や「所得の種類」、「開業日」など、事業の内容に関する事項を記載していきます。
法人だけに関係する項目や従業員がいる場合だけに関係する項目もあるため、該当しない場合は空欄で構いません。
開業届を出す場合の注意点について
開業届の提出にあたっては、いくつかの注意点があります。
これらの点を事前に確認しておき、開業したら忘れずに提出できるようにしておきましょう。
開業してから1か月以内に提出する
開業届の提出期限は、開業してから1か月以内とされています。
この期限を守れなかったとしても特段不利益になることはありませんし、ペナルティもありません。
ただ、他の提出書類においてこの期限が重要な意味を持つ場合があるため、1か月以内に提出するようにしましょう。
提出時に受領印のある控を受け取る
税務署に開業届を提出する際には、控用の書類も作成しておき、一緒に税務署に提出します。
すると、窓口で提出した日付の入った受領印を押してもらい、控用の書類だけ返却されます。
この控用の開業届は、開業していることの証明書となり、銀行口座の開設や融資の際に必要となるのです。
なお、開業届を郵送で提出する場合は、返信先の宛先を記載し、切手を貼った返信用の封筒を同封しておきます。
そして、提出用と控用の開業届を一緒に郵送すると、控用だけが返送されてきます。
こうすれば、税務署にわざわざ出かけなくても控用の開業届を手元に残しておくことができるのです。
提出する税務署を間違えない
納税地ごとに管轄する税務署が定められています。
国税庁のホームページなどで、その住所を管轄する税務署を確認しなければなりません。
誤って、違う税務署に開業届を提出しないようにしましょう。
マイナンバーは控用には記載しない
マイナンバーは非常に重要な番号であり、その取扱いは厳重にしなければならないことが定められています。
開業届にマイナンバーを記載する必要がありますが、あくまでも記載するのは提出用のみです。
税務署に提出して手元に戻ってくる控用は、その後金融機関などに提出する可能性があるため、マイナンバーは記載しません。
間違えて記載することのないようにしましょう。
都道府県にも開業届を提出する
開業届の提出先は、管轄の税務署だけではありません。
都道府県にも開業届に類する提出する書類があり、税務署に提出する開業届と同じように提出する必要があります。
これは、都道府県が課税する個人事業税という税金の種類があるためです。
都道府県ごとに提出用紙が定められているため、各都道府県のホームページからダウンロードして提出しましょう。
開業届と一緒に出したほうが良い書類とは
開業届は、個人の方が新たに事業を始めたことを税務署に報告するための書類です。
この開業届を提出する際に、一緒に税務署に提出すると良い書類があります。
この書類とは、青色申告承認申請書と呼ばれるものです。
青色申告承認申請書とは
青色申告承認申請書とは、確定申告を行う際に青色申告を行うために、事前に税務署に提出する書類です。
この青色申告承認申請書を提出し、税務署から承認をもらうと、青色申告を行うことができるようになります。
青色申告によるメリットとは
青色申告を行うと良いのは、青色申告に多くのメリットがあるためです。
1つめのメリットとしてあげられるのは、青色申告特別控除が適用できることです。
必要経費とは別に65万円または10万円の特別控除を利用することができます。
2つめのメリットは、赤字が発生した場合に3年間繰り越すことができる点です。
青色申告を行わない場合は、損失が生じてもその損失を翌年以降に繰り越すことはできず、節税にはなりません。
しかし、青色申告を行っている場合は、発生した赤字を翌年の利益から控除することができるのです。
3つめのメリットは、家族に対して給料を支払うことができるようになる点です。
青色申告を行っていない場合は、家族に対して給料を支払っても、その金額は必要経費になりません。
しかし、青色申告を行っていれば所定の手続きのもと、家族に対する給料を必要経費とすることができます。
青色申告承認申請書の提出期限
青色申告承認申請書は、原則として開業から2か月以内に、納税地を管轄する税務署に提出することとされています。
開業届とは違い、この期限を超えてしまうと最初の年は青色申告ができなくなるというデメリットがあります。
そのため、開業から1か月以内に提出することとされている開業届と一緒に準備をしておきましょう。
そして、開業したら開業届と青色申告承認申請書を一緒に提出するようにしましょう。
まとめ
個人で起業した場合、開業準備をするために慌ただしく時間が過ぎていきます。
そのため、開業するととりあえずホッとしたくなると思います。
しかし、ホッとする間もなく、事業を軌道に乗せるためにバタバタと時間は過ぎていくことでしょう。
そのため、どうしても税務署に対する書類は後回しになってしまうのです。
そのため、開業前に時間をつくって開業届と青色申告承認申請書を作成しておきましょう。
青色申告するかどうかで、税負担が大きく変わる可能性があります。
そのため、必ず青色申告を行えるような準備をしておきましょう。