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最終更新日:2024/8/2

社長1人しか社員がいなくても設立可能な会社形態は?【メリット・デメリットや社会保険や役員報酬等の注意点】

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること

  • 1人で設立できる法人形態がわかる
  • 1人でも会社を設立するメリット・デメリットがわかる
  • 1人で会社を設立する際の注意点がわかる

事業を行っている、または、これから行おうとしている場合、その事業に関わるのが自分1人だけのときには、会社を設立した方がよいのかどうか迷うことがあります。

そこで、社長1人しか社員がいなくてもどのような会社が設立できるのか、設立するメリットとデメリット、設立する際の注意点などについて簡単に解説します。

社長1人で会社を設立できる法人形態

きちんと理解するために、まず、普段はあまり気にせずに使っている「会社」「法人」「企業」という言葉の違いについて解説します。

誤解している人が多いのですが、実は、事業を行う人のことを総称して「企業」といい、個人事業主やフリーランスの「個人」も含まれます

その「個人」(法律では「自然人」と呼びます)に対して、法律が人と認めたものを「法人」といい、「法人」の内、基本的に利益を追求しない「非営利法人」と利益を追求する「営利法人」に分かれ、「営利法人」のことをまとめて「会社」と呼び、「会社法」という法律でその詳細について定められています。

1人で会社を設立できる法人形態

会社法で規定されている会社の種類は以下の4種類です。

  • ・株式会社
  • ・合名会社
  • ・合資会社
  • ・合同会社

この内、「合資会社」は1人で設立することができず、「株式会社」「合名会社」「合同会社」の3つについては、1人で設立することができます。

株式会社

事業のお金を出す人=「出資者」と事業を行う人=「経営者」を分離することができる、最も一般的で知名度の高い法人形態です。

出資者は何人いても、また、会社などでも構いません。

もちろん、1人で出資者と経営者を兼ねることもできます。

機関として取締役が1人以上必要ですが、他は任意なので、1人で会社を設立できることになります。

出資者は、出資した金額が限度となる有限責任があり、会社の債権者に対して責任を負います。

合名会社

出資者と経営者が一致している法人形態(「持分会社」とも呼ばれます)で、社員全員が出資者となり、会社の債権者に対して無限の責任を負います。

社員は1名でも可能ですが、債務に無限の責任を負うのはとてもリスクが高いため、実際はほとんど活用されていません。

合同会社

「LLC」とも呼ばれ、社員全員が有限責任である持分会社で、2005年の会社法成立により新たに導入されました。

社員は1名でも可能で、設立のコストも低く、経営の自由度も高いなどメリットも多いのですが、最近登場した法人形態のため、知名度はまだまだ低く、新設法人の2割強を占める程度です。

1人で会社を設立できない法人形態

会社法で定められた会社の内、1人で会社を設立できないのは合資会社です。

また、非営利法人も全て、1人では会社を設立することはできません。

合資会社

持分会社の内、有限責任社員と無限責任社員で構成される法人形態です。

各社員が1名以上必要なため、最低でも2人以上いないと会社を設立できません。

非営利法人

非営利法人には一般社団法人、一般財団法人や、NPO法人、医療法人などがあり、それぞれ独自の法律で詳細が定められていますが、全て1人では設立ができません。

社員が社長1人でも会社設立するメリット

次に、個人事業主と比べて、社員が社長1人でも会社を設立するメリットについて解説します。

会社設立のメリットには、次のようなものがあります。

  • ・社会的な信用が増す
  • ・有限責任になる(合名会社を除く)
  • ・報酬や決算期が自由に決められる
  • ・赤字の繰越期間が延びる
  • ・支払う税金が安くなる
  • ・節税対策の幅が広がる

社会的な信用が増す

個人事業主でも、〇〇商店や△△事務所などといった屋号をつけることはできますが、会社を設立すれば、社員が社長1人でも、「□□株式会社 代表取締役」となりますので、当然、社会的な信用が増すことになります。

融資などを受ける際にも有効で、事業計画書などにも厚みと信頼感が出てきます。

また、他社との契約も全て法人契約となりますので、締結もしやすく、新規取引もスムーズになります。

有限責任になる

株式会社や合同会社を設立する場合、会社の債務に対して、出資した金額以上の責任を負う必要はありません

仮に、1千万円の債務がどうしても返済できず倒産してしまう場合でも、出資金(資本金)が100万円であれば、それ以上の責任を負いません(訴訟などのリスクはあります)。

しかし、個人事業主であれば無限の責任を負いますので、お金がなくてもその債務を返済する必要があります。

つまり、事業が大きく成長した場合は、会社を設立しないとリスクも高まる、ということになります。

報酬や決算期が自由に決められる

社長の報酬(役員報酬)は、株主総会で決めることが会社法で定められていますが、社員が社長1人の会社であれば、社長=株主なので、誰に相談することもなく好きなように決めることができます。

ただし、毎月定額であること、事業年度開始日から3か月以内に決めることが必要です。

ボーナス(役員賞与)も、事前に税務署へ「事前確定届出給与に関する届出」を提出しておくことで、経費として認めてもらうことができます。

また、設立時に決算期を自由に決めることができますので、経費節減や節税対策に大いに活用が可能です。

もちろん、決算期の変更もできます。

赤字の繰越期間が延びる

企業は、赤字(欠損金)が出た場合、その赤字を翌年以降にも繰り越すことができ、翌年以降の利益からその分を差し引くことができますので、支払う税金を安くすることができます。

個人事業主は青色申告をすることで、赤字を3年間にわたり繰り越すことができますが、法人の場合は、10年間にわたり赤字を繰り越すことができます。

支払う税金が安くなる

個人事業の所得税の税率は、課税される所得金額(税引き前の利益)が695万円を超えると23%、900万円を超えると33%、1,800万円を超えると40%、と所得が上がれば税率もどんどん上がっていきます。

一方、中小企業の法人税率は、課税される所得金額が800万円以下の場合で15%、800万円を超えると23.9%となっており、利益が大きくなれば、支払う税金が安くなります

節税対策の幅が広がる

会社を設立することで、個人事業主には認められなかったものが認められるようになります。

報酬は給与所得控除ができるほか、出張の日当も経費になり、法人契約とすることで自宅も社宅として経費化できるなど、節税対策の幅が大きく広がります

社員が社長1人で会社設立するデメリット

一方、会社設立にはデメリットもあります。

こちらも個人事業主の場合と比較して解説します。

会社設立によるデメリットは、次のようなものがあります。

  • ・設立や運営にコストがかかる
  • ・税務申告が複雑になる
  • ・社会保険の加入が義務付けられる

設立や運営にコストがかかる

会社を設立するには費用がかかります。

定款の作成や認証を依頼すればその費用が、登記を依頼すれば代行手数料が必要ですし、全部自分で行っても、登記申請にかかる登録免許税(株式会社15万円~※資本金による、合同会社6万円)は最低でもかかります。

また、赤字でも法人都道府県民税や法人市町村民税が合計で年7万円支払う必要があります。

税務申告が複雑になる

個人事業主の税務申告は、青色申告の場合決算書と確定申告だけで構いませんが、会社を設立すると、総勘定元帳、決算書、領収書綴り、法人税や消費税の申告書など提出に必要な書類が増え、手続きが複雑になります。

そのため、社員が社長1人の会社では、手が回らなくなり税理士に依頼することになるため、その打合せに時間が取られたり、費用がかかったりします。

社会保険の加入が義務付けられる

社会保険は、健康保険と年金がありますが、個人事業主は国民健康保険と国民年金に加入しています。

会社を設立した場合、健康保険は「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)」か、「組合管掌健康保険(組合健保)」のどちらかに加入することになります。

年金については、会社を設立した場合は厚生年金保険を国民年金に加算することになり、その上乗せ分年金保険料を多く支払う必要があります。

また、社会保険料については、個人が支払う(実際は給与天引き)額と同額を会社が負担することになるため、それだけ利益を圧迫することになります。

社長1人で会社設立する際の注意点

社長1人で会社を設立する際には、以下のような点に注意しなければなりません。

  • ・定款や将来のビジョンをしっかり考える
  • ・会計帳票などを備え付ける
  • ・社会保険に加入する
  • ・法人口座を開設する
  • ・登記に気をつける
  • ・所得税と法人税のバランスに気をつける
  • ・全て自分1人でやることを認識する

定款や将来のビジョンをしっかり考える

会社を設立する際は、定款という会社の決まりをしっかりと作らなければなりません。

定款は会社の憲法とも呼ばれ、定款に定めていない業務については、事業として行うことができません。

定款の内容は登記事項証明書に記載され、誰でも自由に見ることができ、許認可を取得する際や融資を受ける際にも提出が義務付けられますので、申請する事業内容が定款に記載されていない場合は、許認可や融資を受けることができません。

もちろん、定款の追加や変更は自由にできますが、その度に費用がかかってしまいます。

まずは、どのような事業を行うのかをしっかりと決めて、今後予想される事業や、周辺の事業、将来手掛けてみたい事業などについても、予め定款に記載しておきます。

社員が社長1人の会社だからといって、簡単に考えるのではなく、定款に記載する事業の数や種類には制限がなく、実際にはやらなくても問題はないので、定款や将来のビジョンについて、しっかりと考えておく必要があります。

会計帳票などを備え付ける

デメリットの所でも解説しましたが、会社を設立すると、すべての取引や会計処理などを記載した帳票類を備え付けなければなりません。

手書きである必要はありませんが、利便性のためには会計ソフトを購入する必要があり、どちらにせよ記載する時間や手間がかかります。

細々した作業は、とかく後回しにしがちになりますが、溜めてしまうと社員が社長1人しかいないため、作業に膨大な時間がかかってしまいますので、注意が必要です。

社会保険に加入する

これもデメリットの中で書きましたが、費用がかかるということだけはありません。

個人事業主の場合の国民健康保険や国民年金と違い、確定申告をすれば自動的に請求書が送られてくるということはありません。

自ら決めた報酬額に沿って計算をし、申請しなければなりません。

法人口座を開設する

会社を設立すると、取引や経費などの決裁をする必要性から、法人口座を開設する必要があります。

ところが、年々、金融機関で法人口座を開設するのが難しくなっています。

個人であれば、身分を証明するものと印鑑さえあれば、すぐにどこの金融機関でも口座を開設することができますが、法人の場合は、必要書類と印鑑を持参しても口座開設の申請しかできず、厳しい審査を受けても開設を断られることもあります。

すぐに取引を開始したい場合には、会社設立後速やかに法人口座の開設をしましょう。

登記に気をつける

会社を設立する際の登記した内容は、ずっとそのままの状態が続くとは限りません。

社名や住所が変わったら、速やかに変更の登記を申請しなければなりません。

では、何も変化がなければ何もしなくてもよいのでしょうか?

実は、取締役には任期があり、最大でも10年です。

任期が満了したら、改めて取締役に就任するため、株主総会を行って議事録を作成し、重任の登記を行う必要があります。

社員が社長1人の会社では、取締役の任期が満了したことを誰も指摘してくれません。

もし、これを忘れてしまうと、最悪の場合、登記を抹消されてしまいますので、注意が必要です。

所得税と法人税のバランスに気をつける

社長1人で設立する会社では、報酬が自由に決められる反面、個人の所得税と法人税のバランスに気をつける必要がでてきます。

役員報酬を多額にすると、その分会社の利益が圧迫されますので法人税を下げることができますが、社長自身の所得が増えるので所得税が多くかかってきます。

また、役員報酬を少なくした場合、個人の所得税は少なくなりますが、それだけ会社の利益が増大することになりますので、法人税は上がります。

さらに、役員報酬が少ないと、支払う社会保険料も少なくなるため、将来貰う年金額も減少することになりますので、全体のバランスをよく考えて報酬を決定するようにしましょう。

全て自分1人でやることを認識する

社員が社長1人の会社では、自分しかいませんので、全て自分1人でやることを認識する必要があります。

得意不得意に関わらず、営業も経理も作業も、どんなに小さなことでもやらなければならないのは結構大変なことですし、不得意なことや面倒なことは専門家にお願いする必要があるということも理解しましょう。

まとめ

ここまで、社長1人しか社員がいなくてもどのような会社が設立できるのか、設立するメリットとデメリット、設立する際の注意点などについて解説してきました。

設立するのは、株式会社か合同会社であり、売上や利益が大きくなりそうなら、設立するメリットの方が大きいことも分かっていただけたと思います。

1人の会社設立を検討している場合は、メリット・デメリットや注意点について理解を深めていただき、不明な点があったら、是非、専門家に相談してみることをお勧めします。

会社設立の手続き

会社設立の手続きは、設立内容の決定から始まり、事業目的のチェック、定款認証、出資金の払い込み、法務局への登記申請を行います。株式会社の設立、合同会社の設立立手続きの基本的な流れを知り、スームーズに手続を行えるにしましょう。

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会社設立内容の決定

会社設立で決めるべき項目について見ていきます。ここで決める内容は定款を作成する際に必要な事柄です。それぞれの項目についての留意点を確認して、会社設立後に問題の起きない内容にしておきましょう。

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会社設立全知識

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会社設立時には設立後の資金調達や税金・会計のこと、許可申請や今後の事業展開を想定した対応も求められてきます。会社設立時には色々なことを検討していかなければなりませんが、事業展望を明確にしていくよい機会となります。確認すべき事項をみていきましょう。

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