最終更新日:2022/6/6
法人設立届出書の提出期限が過ぎたらどうなる?過ぎた時の対処法と届出書類の書き方
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
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書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- 法人設立届出書とはどのような書類でいつまでに提出するかわかる
- 法人設立届出書の提出期限が過ぎたら罰則があるのかがわかる
- 期限が過ぎてから法人設立届出書を提出する場合の記載方法がわかる
法人を設立した場合には、そのことを税務署に届け出る必要があります。
法人設立届出書という書類を作成して、決められた期日までに提出しなければなりません。
しかし、書類の提出を忘れてしまった場合、どのように対応する必要があるのでしょうか。
罰則などはあるのか、書類をどのように記載したらいいのかなど、気になる点を確認しておきましょう。
目次
法人設立届出書とは
法人設立届出書とは、法人を設立した際に、税務署にその設立の内容について報告するための書類です。
株式会社や合同会社を設立する場合、法務局で登記を行う必要がありますが、その後に税務署に届け出ることとされています。
なお、法人の所在地の都道府県や市区町村にも同様の書類を提出することとされているため、忘れないようにしましょう。
提出期限は会社設立日から2ヶ月以内
法人設立届出書は、法人を設立してから2ヶ月以内に提出することとされています。
なぜ2ヶ月以内なのかという点については、明確な答えはありません。
ただ、法人を設立すればすぐに納税義務が発生し、あるいは申告書などの書類の提出義務が生じる可能性があります。
しかし、長期間にわたって法人が設立されたことを税務署が把握していない場合、法人が正しい納税や申告を行っているかわかりません。
そのため、できるだけ早く法人の設立を報告するように義務付けていると考えられます。
その一方で、法人設立届出書には会社の登記事項証明書などの添付書類が必要となります。
確実に登記を完了し、すべての書類を揃えてから法人設立届出書が提出できるよう、2ヶ月の期間を設けていると考えられます。
提出期限を過ぎても罰則はなし
法人設立届出書の提出期限は、法人の設立後2ヶ月以内とされています。
しかし、実際にはその期限を過ぎてしまってから提出したとしても、特段の罰則はありません。
では、期限を無視して法人を設立しても法人設立届出書を提出しなかった場合、どうなるのでしょうか。
実際には、このような場合でも罰則はありませんし、会社にとって大きなデメリットはないと考えられます。
しかし、本来であれば税務署から送付されてくる書類が一切送られてこないこととなります。
法人税や消費税の申告書、年末調整の書類など必要な書類が事前に届かないことで、申告漏れにつながるおそれがあるのです。
そのため、仮に2ヶ月の期限が過ぎてしまった場合でも、気づいたらすぐに法人設立届出書を提出するようにしましょう。
法人設立届出書の書き方について
法人設立届書へ記入する項目は、下記の通りです。
- ・届出先
- ・法人名
- ・本店か事務所の所在地
- ・納税地
- ・代表者氏名
- ・代表者住所
- ・設立年月日
- ・事業年度
- ・資本金
- ・出資金額
- ・事業年度開始の日
- ・事業の目的
- ・設立の形態
- ・税理士
記入する項目は多いですが、定礎・謄本を参照すれば、問題なく記入できるでしょう。
また法人設立届出書を提出するときには、定礎のコピー・登記事項証明書の添付が必要になります。
期限が過ぎた時の書類の書き方
法人設立届出書を期限後に提出する場合、従来の記載内容とは異なる注意点はあるのでしょうか。
実際に法人設立届出書を見ていただけばわかりますが、記載内容は実にシンプルです。
法人の登記事項証明書や定款などを見ながら書けば、初めての人でもほとんど迷うことなく記載できるはずです。
そして、記載事項の中には、いくつか日付を書かなければならない箇所があります。
まず、提出日付です。
これは実際に税務署に提出した日を記載することとなるため、設立から2ヶ月以内にはなりません。
間違って設立から2ヶ月以内の日を記載しないようにしましょう。
次に設立年月日を記載します。
提出した日からさかのぼって2ヶ月以内の日にしたいかもしれませんが、登記事項証明書の日付を記載しなければなりません。
つまり、ごまかすことはできないのです。
そして、事業開始年月日を記載します。
こちらも、実際に売上が発生しているのに事業開始の日をそれより後の日にすることはできません。
実際に事業を開始した日を記載するようにしましょう。
これらの日付をごまかして記載しても何のメリットもありません。
また、2ヶ月経過したからといって不利益になるようなこともないのです。
とにかく大事なのは、期限後となっても法人を設立したことを届け出ることです。
会社設立時に届出が必要な書類一覧
会社を設立したときには、法人設立届出書以外にも提出すべき書類があります。
- ・個人事業の廃業届
- ・法人税の青色申告の承認申請書
- ・給与支払事務所等の開設届出書 など
そこで下記では、法人設立時に出すべき書類の代表的なものを紹介します。
個人事業の廃業届
個人事業主から法人化する場合は、個人事業の廃業をしなければいけません。
提出先は税務署になります。
廃業届の期限は、廃業から1ヶ月以内なので、忘れずに提出しておきましょう。
さらに消費税の課税事業者だったら、事業廃止届出書も提出しなければいけません。
法人税の青色申告の承認申請
法人を設立したら、青色申告の承認申請も忘れずに提出しましょう。
青色申告とは、確定申告時に控除の金額が大きくなる申告方法です。
法人では、年間の売上・経費を集計して「どれだけの利益が出たのか?」を算出します。
利益に対しては、法人税が課税されます。
この利益を計算する際に、青色申告であれば控除金額が大きくなります。
控除金額が大きくなれば、それだけ利益を圧縮できるため、節税にも繋がります。
個人事業主から法人化する場合も、法人税の青色申告の申請書が必要になります。
給与支払事務所等の開設届出書
給与支払事務所等の開設届出書とは、仕事で給与を払う場合に提出が必要な書類です。
給与が発生すると、所得税分を天引きして預かる源泉徴収を行います。
給与支払事務所等の開設届出書を出すことで、税務署から源泉徴収の所得税納付の通知がきます。
もし届出を忘れていたら、余計に税金を支払うケースもあるので注意してください。
法人設立は専門家に依頼した方がいい
法人設立では、提出すべき書類や複雑なルールがあります。
自分ひとりで手続きをせず、税理士などの専門家に依頼した方がいいです。
なぜなら税理士に依頼することで、無駄がなくスムーズな手続きができるからです。
さらに税理士であれば、節税面でも抜かりなく対策を行ってくれるため、安心して依頼できるでしょう。
まずは無料の相談が利用してみるのが、おすすめです。
まとめ
法人を設立する際には、定款の作成や法務局での登記などの手続きが必要なため、つい税務署への届出を後回しにしてしまいます。
登記まで完了したら、税務署や都道府県・市区町村への届出を忘れていないか、必ず確認するようにしましょう。
また、法人を設立した際には、法人設立届出書以外にも多くの届出書類が必要になることがあります。
中には、より期限が厳格に定められている書類もあるため、必ず漏れがないか確認するようにしましょう。