最終更新日:2022/11/18
ベンチャー企業とは?定義と特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- ベンチャー企業とはどのような企業なのかがわかる
- ベンチャー企業とスタートアップ企業、中小企業との違いがわかる
- ベンチャー企業で働くメリット・デメリットがわかる
皆さんはベンチャー企業と聞いてどのような会社を思い浮かべるでしょうか。
今では上場しているような企業の中にも、もとはベンチャー企業としてスタートを切った会社が多くあります。
ここでは、ベンチャー企業で働きたい、あるいは将来起業したいと考える人に役立つよう、ベンチャー企業の定義や特徴、そのメリット・デメリットを簡単にわかりやすく解説していきます。
目次
ベンチャー企業とは?定義や特徴を簡単に解説
ベンチャー企業を簡単に説明すると、新しい技術やアイデアを使って、消費者や他の事業者にサービスを提供したり商品を販売したりする企業のことです。
ほとんどのベンチャー企業は、規模が小さく会社としての歴史も浅いのですが、中には誰もがその名前を知っているようなベンチャー企業もあります。
ベンチャー企業と呼ばれる会社について、資本金の額や創業からの年数、従業員数などについての明確な定義はありません。
ただ、一般的には設立してからの年数が短く売り上げ規模や従業員数などが成長過程にある企業や、ベンチャーキャピタルなどの投資機関から資金を受け入れている企業、新しい分野で大企業ができないような事業を行っている企業などをすべてベンチャー企業といいます。
ベンチャー企業の特徴
ベンチャー企業は、これまでにない新しい技術やアイデアで事業展開を行っています。
経営者は比較的若い人が多いのですが、必ずしも年齢は関係なく、これまでの概念や規制を打ち破るような考え方を持っている人が多いでしょう。
基本的には、経営者の考え方に企業の経営方針は大きな影響を受けます。
その結果、事業を多角化するなど規模を拡大するベンチャー企業もあり、創業当時の事業とは異なる事業からの収益の方が大きくなることも珍しくありません。
ベンチャー企業と他の企業形態との違い
ベンチャー企業 | 他の企業形態 | |
---|---|---|
設立の目的 |
|
|
経営陣の構成 |
|
|
ビジネスの内容 | 既存事業を組み合わせて、新しい仕組みを作る | 以前からの既存事業を継続する |
経営手法 | 製品やサービスの品質向上から広く社会に浸透することを目指す | 特定の顧客や取引先との関係を重視する |
出口戦略 |
| 親族内での事業承継を目指す |
ベンチャー企業と混同しやすい企業形態に「スタートアップ企業」と「中小企業」があります。
これらとベンチャー企業にはどのような違いがあるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い
スタートアップ企業とは、ベンチャー企業の中でも特に事業を立ち上げて間もない企業で、新たなビジネスモデルを作り上げることを目指している企業をいいます。
創業から2~3年程度の企業を指す場合が多く、スタートアップ企業はまだ市場を開拓する段階にあります。
しかしその後、多くの人に認知されるサービスを提供することがあり、一気にその知名度を上げて日常生活に浸透していくこともあるのです。
このようにサービスが一気に浸透するのは、それまでにない新しいアイデアにもとづいたサービスを提供しているためです。
ベンチャー企業にも既存のサービスに新たな付加価値をつけて提供するというケースもありますが、スタートアップ企業は、まったく新しいビジネスモデルを提供するという特徴があります。
また、単に新しい枠組みでの事業というだけでなく、世の中の人に新しい価値を生み出したり、社会貢献という側面があるサービスやモノを提供したりすることが求められます。
スタートアップ企業はそのような革新的な要素を含んでいる点で、ベンチャー企業とは異なるのです。
ベンチャー企業と中小企業の違い
中小企業といえば、規模の小さな企業のことを言うと思うかもしれません。
規模の大きさからすると、ベンチャー企業と同じと思う人もいるでしょう。
中小企業は企業規模の分類の1つで、法律により明確に定義されています。
中小企業基本法では、中小企業庁が中小企業向けの政策を行う場合の範囲となる中小企業について以下のように定められています。
業種分類 | 定義(資本金の額または出資の総額) | 定義(常時使用する従業員数) |
---|---|---|
製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
つまり、中小企業とは法律で提起されている会社の区分であり、資本金や従業員の人数によって明確に定められています。
一方、ベンチャー企業は様々な特徴を持つ企業であり、新製品や新サービスを生み出して、社会に広く浸透することを目指す企業がその代表例です。
歴史の浅い企業が多く、経営者も従業員も、常にクリエイティブなことをしようとする意識があります。
事業開始当初は規模が小さく、先ほど紹介した中小企業の範疇に収まる企業がほとんどです。
しかし、事業が拡大してくるにつれ、しだいに中小企業の範疇を超える会社も現れます。
そのため、ベンチャー企業は必ず中小企業に該当するわけではありません。
ベンチャー企業のメリット・デメリット
ここまでベンチャー企業とはどのような企業なのかを見てきました。
多くのベンチャー企業の社内の雰囲気や従業員の人数、事業の進め方などから、ベンチャー企業のメリットとデメリットについてわかりやすく解説していきます。
メリット①新入社員や若手社員でも評価される
ベンチャー企業は実際の仕事を進めるうえで、古くからある伝統的な企業に比べてフットワーク軽く、新しいことに挑戦する雰囲気があります。
意志決定までの時間が短い特徴があり、特に経営者自身が経営方針を決定する場合には、トップが推し進める形となるため、きわめて短時間で大きな決断をすることができます。
また、入社したばかりの社員からの意見でも耳を傾けてもらえることが多いのです。
その結果、個人としても評価されることとなります。
大企業などでは、下からの意見が通りにくく、若手社員の個人的な評価がされにくい環境にありますが、ベンチャー企業ではそのようなことはないのです。
メリット②早い段階から経験を積むことができる
ベンチャー企業は従業員の数が膨大なわけではありません。
その分、従業員1人1人の責任は重く、また1人あたりの業務の幅が広くなるため、様々な経験を積むことができます。
大企業の場合は、個人が行う業務の内容は極めて狭い範囲に限られます。
その分野でのスキルは向上すると思われますが、その反面、業務で関わっていない分野の知識を得ることは難しいと思われます。
メリット③自分で新たな仕事を生み出すことができる
ベンチャー企業は、新しい事業を生み出すこと自体が会社の大きな目的となっています。
これまで従来の企業ができなかった事業を展開してニーズを獲得することができれば、高収益体質の企業となります。
その結果、新しい分野に挑戦するための資金を獲得することができ、さらなる発展につなげることができるのです。
社員のアイデアや社内での発言をきっかけに、新しい事業展開が生み出されることも珍しくありません。
大企業などの場合、新たな事業を始めること自体珍しいことであり、まして従業員のアイデアが新たな事業を始めるきっかけになることはほとんどないといえるでしょう。
デメリット①即戦力が求められることが多い
ベンチャー企業は、必ずしも従業員が豊富ではなく、新入社員を育成する時間的・金銭的な余裕がない場合もあります。
そのため、入社したらすぐにあらゆる業務をしなければならず、上司のアドバイスは必要最低限になりやすいといえます。
入社したばかりの人でもいきなり第一線で働くこととなるため、最初はプレッシャーを感じるかもしれません。
また、ベンチャー企業は良くも悪くも、経営者の考え方しだいでどのようにも変わる可能性があります。
「ワンマン」という言葉で表現されることもあるように、強引なまでの牽引力が社内外からの反発を招くことがあります。
デメリット②給料や福利厚生面での不満を感じることも
ベンチャー企業の場合、給料や福利厚生に関する制度が大企業ほど整っていないことがあるため、自分の給料がどのように決められているのか、不満を感じることがあるかも知れません。
また、休暇制度や保養所などの施設利用に関する福利厚生が手薄な場合もあることから、手厚い福利厚生を求める人には不向きといえます。
また、多くのベンチャー企業は財務体質が盤石というわけではありません。
そのため、社会情勢の変化やライバル企業の台頭により、一気に経営悪化してしまう可能性もあります。
ベンチャー企業に向いている人
ベンチャー企業に向いている人をご紹介します。
自分から情報が発信できる人
ベンチャー企業は、上司と部下というような社内の組織が硬直的ではなく、従業員から経営者に直接意見を言うことも珍しくありません。
経営者や先輩社員も、新入社員の意見など聞かないというタイプより、様々な意見を幅広く聞いてみるという人が多いでしょう。
そのため、言われたことをコツコツやるタイプより、自ら情報を発信できる人が、ベンチャー企業での仕事に向いています。
ベンチャー企業の経営者は、新たなビジネスチャンスをつかむためには、若い人や業界に無関係の人の意見を聞きたいと考えています。
そのため、自分から情報を発信してくれる従業員に対しては、その評価が高くなる傾向にあるといえます。
好奇心が旺盛でいろいろなことにチャレンジできる人
ベンチャー企業での仕事には、まったく新しいことを始めたために前例がなく、新たにその手法を考えなければならない場合があります。
このような仕事を行う際には、過去の習慣にとらわれて前例にしたがって仕事をしようとする人より、好奇心旺盛な人の方がうまくいきます。
また、チャレンジ精神がない人は、ベンチャー企業での仕事には向いていません。
ベンチャー企業では、これまでに結果を出したものだけ取り組んでいるわけではありません。
中には、これまでやったことのないもの、あるいはすでに失敗したものにチャレンジすることもあります。
ここで大事なのは、失敗しても成功するまでやり遂げるという強い意志です。
チャレンジ精神がなく、途中でくじけてしまうような人は、ベンチャー企業から必要とされないのです。
安定より仕事に対するやりがいを見いだせる人
ベンチャー企業は、大企業のように安定した売上があるわけではありません。
そのため、従業員の待遇面は大企業に比べて不安定なことが多く、そのことに不満を持つ人も少なくないのは事実です。
しかし、ベンチャー企業で仕事をすることのやりがいは、安定ではなく、その仕事自体にあります。
自分が携わった仕事が、何年もかけて大きな事業に成長していく経験ができるのは、ベンチャー企業ならではです。
また、会社の成長とともに自身の待遇も向上し、大企業では得られないような多額の収入を得られる可能性があります。
このような点にやりがいを見いだせない場合は、ベンチャー企業で働く意味はありません。
まとめ
ベンチャー企業の特徴やメリット・デメリットについて、簡単にわかりやすく解説してきました。
ベンチャー企業という言葉はよく耳にすると思いますが、実際にどのような会社のことを言うのかわかっていなかった人も多いでしょう。
ベンチャー企業は簡単にいうと、新しいアイデアや技術で既存の企業が事業化することのできなかったことを行う会社です。
また、常に新しい事業展開を行うチャンスを考えているため、そこで働く人もチャレンジ精神にあふれています。
大企業で働くのとは異なる環境で、新しいことに挑戦したいという人にとっては、ベンチャー企業はとても魅力的な環境といえるでしょう。