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最終更新日:2022/6/6

健康保険組合?協会けんぽ?会社設立時に押さえておきたい2つの違い

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事で分かること

  • 健康保険制度の基本
  • 健康保険組合と全国健康保険協会の違い
  • 組合健保のメリット
  • 起業後に加入する健康保険を選択する際の注意

会社を設立した場合、健康保険に加入しなければなりません。

ところが、このことを意外と知らない人がいます。

また、会社設立後には健康保険に加入しなければならないということは知っていても、健康保険の仕組みや種類等については、分かっていない場合が結構あるようです。

そこで、本稿では、健康保険について、その基本的な事項を確認するとともに、健康保険の種類、それぞれの違い、さらに、具体的に何に加盟すればいいのかについてみていきたいと思います。

健康保険制度の基本

会社の健康保険と国民健康保険

我が国では、国民全てが何らかの医療保険に加入するという「国民皆保険制度」が採用されています。

その一環として、健康保険制度が定められ運用されています。

健康保険は、大きく分けて、国民健康保険と会社の健康保険の2つに分けられます。

会社の健康保険はさらに、健康保険組合が運営するもの(組合健保)と、全国健康保険協会が運営するもの(協会けんぽ)とに分かれています。

会社に勤務している人、および、その扶養家族は、健康保険組合または全国健康保険協会が運営する会社の健康保険に加入することになります。

それ以外の人(自営業者、農業・漁業従事者、無職の人など)は、市区町村や国保組合が運営する国民健康保険に加入することになります。

健康保険制度

そもそも、健康保険制度は、国民(被保険者およびその扶養家族)が怪我をしたり、病気にかかった場合に、その治療のための費用の一部を健康保険から支出することによって、国民が実際に医療機関等に支払う医療費の額を低額に抑え、それによって、国民誰もが適切な治療等を受けられるようにするための制度です。

現在、被保険者等は、実際にかかる医療費の3割だけを自己負担し、残りの7割は健康保険(保険者)が医療機関等に支払う形となっています。

この負担割合については、国民健康保険も健康保険も同じです。

会社の健康保険への加入義務

強制適用事業所

個人が自営として事業を行っている場合は、常時5人以上の従業員がいて、かつ、法律が定める一定の事業を営んでいる場合以外は、強制適用事業所とはならないため、健康保険に加入する必要はありません。

この場合には、事業者は、任意適用事業所として自主的に健康保険への加入を選択した場合(ただし、厚生労働大臣の認可が必要です)を除き、自営業者として国民健康保険に加入することになります。

ところが、会社を設立した場合には、従業員数および業種を問わず、健康保険の強制適用事業所に該当することとなり、たとえ、社長一人だけの会社で他に従業員がいない場合でも、会社組織をとる以上、健康保険に加入しなければなりません(健康保険法第3条)。

違反した場合

強制適用事業所が社会保険に加入していない場合、年金事務所から加入を指導されることになります。

特に、近年、未加入事業所の特定、加入指導が強化されていますので、注意が必要です。

そして、強制加入とされた場合、過去に遡って保険料を徴収されたり、罰則を科される場合がありますのでより注意が必要なのです。

「協会けんぽ」と「健康保険組合」との違い

健康保険の保険者

健康保険の運営主体を保険者といいます。

保険者には全国健康保険協会と、健康保険組合とがあります。

これは健康保険法第4条に定められています。

健康保険組合(組合健保)

健康保険組合とは、会社自体が設立する公法人をいいます。

会社が健康保険組合を設立するには、国の認可を得る必要があります。

大企業などでは、一つの企業で独立した健康保険組合を設立しているところもあります(単一型健康保険組合)。

単独の企業で健康保険組合を設立するには、常時700人以上の社員がいることが条件となります。

また、単独の企業ではその要件を満たさない場合には、複数の会社が共同して健康保険組合を設立する場合もあります(総合型健康保険組合)。

この場合は共同して健康保険組合を設立する企業の従業員が合計で常時3,000人以上であることが条件となります。

健康保険組合が設立されている場合、その会社の従業員およびその扶養家族は、健康保険組合の被保険者となります。

全国健康保険協会(協会けんぽ)

一方、会社独自に単一型健康保険組合を設立しておらず、また、他社と共同での総合型健康保険組合の設立もしていない会社の従業員については、健康保険組合がないため、健康保険組合に加盟することはできません。

そのような会社員および扶養家族のための健康保険の運営組織として、全国健康保険協会が設置されています。

これは、2008年に健康保険法に基づいて設立された厚生労働省所管の公法人です。

それ以前は、健康保険組合のない会社の社員および扶養家族については、社会保険庁が政府管掌健康保険として健康保険を運営していました。

しかし、社会保険庁が解体されるに際して、新たに全国健康保険協会が設置され、健康保険組合を有しない会社の社員および扶養家族の健康保険については、全国健康保険協会が保険者となることとなったのです。

健康保険組合(組合健保)と全国健康保険協会(協会けんぽ)の違い

健康保険組合(組合健保)と全国健康保険協会(協会けんぽ)の組織上の違いは上記の通りですが、その具体的な内容等についても違いがあります。

保険料率

健康保険組合(組合健保)の場合には、保険料率は、3%〜13%の間で、各健康保険組合が独自に決定できることとされています。

実際、当該組合健保に加盟している被保険者数、被保険者の年齢構成、組合員の給与水準、業種など、さまざまな情報などを考慮して、各健康保険組合が独自に保険料率を決定しています。

ちなみに、平成31年度のデータによると健康保険組合(組合健保)の全国の平均の保険料率は9.218%とされています。

参考:健康保険組合連合会「2019年度健康保険組合予算早期集計結果と「2022年危機」に向けた見通し等について

一方、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合には、保険料率は各都道府県における医療費の実態に合わせて、都道府県単位で決定されます。

平成31年の保険料率を見てみると、最高が佐賀県の10.75%、最低が新潟県の9.63%でした。

参考:全国健康保険協会「平成31年度都道府県単位保険料率

以上のデータを見てみると、一般的に組合健保の保険料の方が、協会けんぽの保険料率よりも低い傾向にあるといえます。

付加給付

保険が適用される場合、医療費の7割を健康保険が負担してくれる点は、組合健保でも協会けんぽでも同じです。

これを法定給付といいます。

また、医療費が高額になった場合には、さらに高額療養費制度によって支払い済みの医療費の一部を払い戻ししてくれます。

ここまでは、組合健保も協会けんぽも基本的に同じです。

ただ、組合健保の場合には、さらに、「付加給付」という制度が認められています。

これは、実際に1ヵ月に支払った医療費が、高額療養費の自己負担限度額を上回った場合には、その超えた部分の医療費を払い戻してくれる制度です。

この自己負担限度額は健康保険組合毎に設定されているため、健康保険組合によって異なりますが、厚生労働省は25,000円程度と指導しているため、各健康保険組合においても、ほぼ、この金額に近い金額が設定されているものと思われます。

従業員の負担割合

基本的に保険料は、会社と従業員である被保険者とが折半で負担することとされています。

しかし、健康保険組合の場合は、規約で定めることにより、会社が負担する割合を増加させることができます。

これによって、従業員の負担を軽減させることが可能となるのです。

その他

さらに、健康保険組合の場合には、独自に福利厚生を行うことが可能です。

よくある例としては、各種健診の実施、保健指導、保養所の設置、スポーツクラブ等の利用料の割引、スポーツ大会の実施等があります。

これによって、従業員等の健康増進を図ることが可能となっています。

実際の加盟手続き

起業したときはどちらに加入する

加入できる健保組合があるかのチェック

現実に会社を設立した場合、健康保険に加入する義務があることは既に述べたとおりです。

それでは、現実にどちらに加入すればいいでしょうか。

まず、起業した時点で、自社の健康保険組合を設立するということは不可能ですので、そもそも、単一型健康保険組合は選択肢から外れることになります。

総合型健康保険組合の場合、自社がその加入する条件を満たしているかが問題となります。

例えば事業の種類とか、地域等によって加入が制限されている場合もあります。

また、会社設立後一定期間が経過していること、または、一定期間協会けんぽに加盟していることなどが、健康保険組合への加入の条件となっている場合もあります。

そのような場合には、会社設立後直ちに健康保険組合に加入することはできないことになってしまいます。

加入できる健保組合がある場合の選択

健康保険組合への加入要件を満たしている場合でも、必ずしも組合健保がいいとは限りません。

確かに、一般論としては、組合健保の方が、協会けんぽよりも、保険料率が低い傾向にあったり、付加給付が可能であったり、会社の負担割合を増やすことで従業員の負担を軽減できるなど、メリットが大きいように思われます。

ただし、平成31年のデータによると、健保組合においても赤字の組合が全体の6割を超えるといわれており、さらに、保険料率が協会けんぽの平均保険料率である10%よりも高くなっている健康保険組合も302組合ある状態と報告されています。

参考:健康保険組合連合会「2019年度健康保険組合予算早期集計結果と「2022年危機」に向けた見通し等について

保険料率が協会けんぽの平均である10%を超えた場合、健保組合を存続させるよりも協会けんぽに移籍した方が、負担が少なくなるということもいわれており、現実にも、解散を選択する健康保険組合も出てきているのが現状です。

また、解散までいかなくても、保険料率を上げたり、付加給付を廃止するといった動きも出てきているのが実態です。

そのような状況を考えると、一概に、組合健保の方が有利とも言えない状況になってきているということを認識する必要があります。

仮に、加入できる組合健保があるとしても、実際に、当該健康保険組合への加入を選択するか、または、協会けんぽを選択するかについては、具体的に保険料率がいくらか、また、健康保険組合における付加給付の有無、さらには、その規約や財政状況、組合員数や平均年齢等も確認して、本当に加入するメリットがあるか否か、また、すぐに破綻するリスクがないか等をしっかり確認して、いずれを選択するべきか判断する必要があるといえます。

加盟手続き

最後に、現実には、会社設立後直ちに健康保険組合に加入することは、その要件等から難しいのが実情であることを鑑みて、協会けんぽに加入する場合の手続きについての概要をみておきましょう。

①年金事務所に所定の「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。

この提出は、会社設立(会社の設立登記完了日)から5日以内に行う必要があります。

添付書類としては、会社の登記事項証明書、法人番号指定通知書の写しを提出します。

②次いで、従業員(社長を含みます)についての、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出します。

③従業員(社長を含みます)に扶養家族がいる場合には、「健康保険被扶養者(異動)届」も提出します。

まとめ

以上、健康保険制度の基本から、種類、それぞれの違い、加盟についての判断基準、手続きまでをみてきました。

既に述べたとおり、会社設立時には、おそらく協会けんぽに加入する場合がほとんどだと思います。

ただ、一方で、制度としては、健康保険組合の方が従業員等にとってメリットが大きい場合もあります。

その場合は、その健康保険組合の実態・財政状況等をしっかり確認したうえで、いずれが自社にとってメリットが大きいかを正しく判断して対応するようにしましょう。

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