最終更新日:2025/5/15
会社設立までの期間は2~3週間が目安!株式会社・合同会社の法人登記の流れ

ベンチャーサポート司法書士法人代表司法書士。
東京司法書士会所属(登録番号:第7627号)
1987年生まれ、香川県出身。
青山学院大学卒業後、都内の司法書士法人に補助者として勤務しながら、2014年司法書士試験に合格。合格後から今日に至るまで、相続分野を専門とし、多岐にわたる知識、経験を培う。
2018年ベンチャーサポート司法書士法人の代表社員に就任。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tana
この記事でわかること
- 会社設立の期間と登記完了までのスケジュール
- 許認可申請を含めた会社設立スケジュール
- 株式会社と合同会社の設立手続き上の共通点・相違点
会社設立までの期間は、早くても2~3週間ほどになるのが一般的です。
会社を設立するには、会社の基本事項の決定や定款(ていかん)の作成、法人登記など、いくつかのステップが存在します。この「2~3週間」という期間は、会社概要の決定から法人登記の完了までの目安期間です。
会社を設立しようとする人のなかには「数週間もあれば事業に専念できるだろう」「登記申請さえクリアすれば法人化は簡単だろう」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、法人登記を完了させるには多くの書類の準備が必要で、登記完了後にも法人口座の開設や届出書類の提出など、やることは多くあります。スムーズに設立手続きが進んだとしても、事業に専念できるまでには1カ月程度はかかるでしょう。
書類の準備やスケジュール調整でつまずきがあると、貴重な時間を浪費する事態になりかねません。設立手続きの流れや目安期間、必要書類などを把握しておくことは、スピーディーな会社設立のためには必須です。
この記事では、2~3週間という期間で行える会社設立の流れ必要書類などを解説します。会社設立における株式会社と合同会社の違いについても解説するので、設立期間や費用などの面でどちらの形態が自身に合っているのかも明確になるでしょう。
目次
会社設立(法人登記)完了までの目安期間は2~3週間
冒頭で述べたとおり、会社設立(法人登記)完了までの目安期間は2~3週間ほどです。
「会社設立 日数」などで検索すると「最短◯日」という魅力的な記事もヒットします。ただ、最短数日で登記完了まで進めるのはあくまで理論上の話で、書類の準備や手続きの予約などが何もかも滞りなく進んだケースのみです。
ここでは、「数日とは言わずとも、できるかぎり早めに設立したい」という方へ向けて、会社設立の山場である「法人登記」の基本事項や、会社の設立日を決める税制上のメリットをご紹介します。
具体的な手続きの話に入る前に、自身に合った設立期間を定めるモチベーションを高めていただければ幸いです。
法人登記は会社情報を法務局に登録する手続き
法人登記とは、設立する法人(株式会社や合同会社、一般社団法人など)の情報を法務局に登録する手続きのことです。
登記する情報には、商号(会社名)や事業目的、資本金の額などがあります。これらの登記事項は一般に公開されるため、法人登記は「会社の信用を担保する」という意味で非常に重要な手続きです。
また、法人登記が完了すると、正式に登記された証拠である「登記事項証明書(登記簿謄本)」を法務局で発行できるようになります。この登記事項証明書は、設立後のさまざまな届出や法人口座の開設などに必要です。
法人登記は、会社の信用を維持し、安全かつスムーズに取引や手続きを進めるための大事なステップになります。
計画的に設立日を定めると税制上のメリットもある
会社設立の期間を適切に見積もって設立日(登記申請日)を定めると、税制上のメリットを受けられるケースがあります。
資本金が1,000万円未満の会社の場合、決算月(任意で設定する事業年度の最終月)と設立日をできるだけ離すことで、1期目の消費税の免税期間を長くすることが可能です。
2023年にインボイス制度が導入されたことで、設立当初から消費税の課税事業者となる法人も増えてきました。もちろん、適格請求書発行事業者として登録すると、設立1期目から消費税が課税されます。
それでも、決算業務の手間や法人税の支払いなどを考慮して、会社設立日と決算月をできるだけ離す事業者は今でも多いです。
会社設立の期間や登記までのスケジュールについて正しい認識を持って手続きを進めると、設立後に受けられる恩恵が増えたり、余裕のある会社運営ができたりします。
計画的に会社を設立するためには、以下の設立スケジュールをしっかり押さえておくことが重要です。
法人登記完了までの大まかな設立スケジュール
ここからは、法人登記に至るまでの大まかなスケジュールを見ていきます。
法人登記までの大まかな流れ
- STEP1会社の基本事項を決める
- STEP2会社の印鑑を作成する
- STEP3定款の作成・認証を行う
- STEP4資本金を払い込む
- STEP5法務局に登記申請をする
法人登記までにはさまざまな準備が必要で、登記が完了したあとにも多くの書類を各所に提出しなければなりません。この章の後半では、登記完了後の手続きについても簡単に説明します。
まずは、法人登記完了までの流れを確認していきましょう。
1.会社の基本事項を決める
会社設立の事前準備として、まずは会社の基本事項をまとめなければなりません。
たとえば、以下のような項目を決める必要があります。
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 事業目的
- 資本金の額
- 役員(合同会社の場合は社員)の構成
- 会社設立日
- 事業年度など
商号を決めるときは、同じ住所で同じ商号を登記できない点、使用できない文字や記号がある点に注意しましょう。
事業目的や資本金の額などは、後述する「定款」の記載項目でもあります。とくに事業目的については、国や自治体の許認可を必要とする業種であれば、決まった文言を入れる必要があります。
会社設立日は、法人登記を法務局に申請する日のことです。
2.会社の印鑑を作成する
設立登記申請書や印鑑届書など、登記申請をする際に「会社代表者印」の押印が必要な書類もあります。会社代表者印とは、会社の実印のことです。法人登記が完了したあとも多くの場面で必要になります。
このほか、会社の印鑑には、「銀行印」や「角印(社印)」などもあります。セットで購入するとお得になるケースも多いため、会社代表者印とあわせて、後々必要になるこれらの印鑑もまとめて作成するのがおすすめです。
3.定款の作成・認証を行う
定款(ていかん)とは、商号や事業目的、資本金の額など、会社の基本事項やルールを記載した書類のことです。「会社の憲法」とも呼ばれます。
法人登記の申請には、定款の提出が必須です。
定款は、ただ作成するだけでなく、公証役場で公証人から認証を受ける必要があります(合同会社の場合だと認証は不要です)。
以下では、定款認証のために必要な書類、認証にかかる時間について解説します。
定款認証に必要な書類
定款認証に必要な書類は、下表のとおりです。
必要書類 | 概要・備考 |
---|---|
定款 | 印刷・製本した3通の定款を提出(書面認証の場合)。 |
印鑑証明書 | 発起人(出資者)全員分の証明書が必要。同じく全員分の実印も必要。 |
実質的支配者となるべき者の申告書 | 経営を実質的に支配できる人が暴力団などの反社会的組織と無関係であることを申告する書類。 |
このほか、代理人が定款認証を行う場合には、委任状および代理人の身分証明書・印鑑証明書が必要になります。また、発起人(合同会社の場合は社員)が法人の場合には、その法人の登記事項証明書や代表者の印鑑証明書が必要です。
定款認証にかかる時間
公証役場に出向いて定款認証を受ける場合、手続きは30分ほどで完了します。
基本的に、公証役場は事前予約制です。電話やメールなどで面談予約を行い、本店所在地を管轄する公証役場で認証の手続きを行います。
電子定款(紙ではなくデータで作成・保管する定款)の場合だと、テレビ電話による定款認証が可能です。法務局が遠方にある人などは、認証については電子定款のほうが時短になるでしょう。
4.資本金を払い込む
定款認証を終えたら、発起人(合同会社の場合は代表社員)の個人口座に資本金を払い込みます。払い込む金額は、定款に記載した資本金額です。
資本金の額は1円から認められます。ただ、資本金が極端に少ない場合、金融機関や取引先などから信用を得るのが難しくなるかもしれません。
一般に、資本金は「開業資金+運転資金6カ月分」が目安とされています。適切な資本金額を設定したうえで入金することが大切です。
なお、会社名義の銀行口座は登記が完了してからでないと開設できないため、振込先はあくまで個人の口座である点には注意しましょう。
5.法務局に登記申請をする
資本金の払込みが終わったら、法務局に登記申請を行います。
法人登記の申請から完了までにかかる期間は、最短で3営業日ほどです。重大なミスがないかぎり、法人登記を申請した日が会社設立日になります。
法人登記の申請には、登記申請書に加え、定款や就任承諾書などの多くの書類を提出することが必要です。
以下では、登記申請の必要書類、申請方法、費用についてまとめます。
法人登記の必要書類
法人登記に必要な書類は、下表のとおりです。
必要書類 | 概要・備考 |
---|---|
会社設立登記申請書 | 商号、本店所在地、資本金の額などを記入する書類。申請書の様式は、法務省のWebページ「商業・法人登記の申請書様式」からダウンロードできる。 |
収入印紙貼付台紙 | 登録免許税を納付するときに使用するA4サイズの台紙。登録免許税は収入印紙で納付するため、税額に応じた収入印紙を貼り付ける台紙を用意する。 |
定款 | 認証が完了した定款の謄本を1部用意する。 |
発起人決定書(発起人の同意書) ※株式会社のみ | 設立時の役員や本店所在地(地番まで)、資本金の額などに対する発起人の同意を証明する書類。定款に記載がある場合は不要。 |
取締役決議書(設立時代表取締役を選定したことを証する書面) ※株式会社のみ | 複数の取締役から設立時代表取締役を選定したことを証明する書類。発起人が1人の場合は不要。 |
代表社員、本店所在地及び資本金決定書 ※合同会社のみ | 設立時の代表社員や詳細な本店所在地、資本金の額の決定を証明する書類。定款に記載がある場合は不要。 |
就任承諾書 | 代表取締役や取締役、監査役(合同会社の場合、代表社員)就任への承諾を証明する書類。 |
印鑑証明書 | 市町村役場に登録された印鑑であることを証明する書類。有効期限は発行から3カ月。取締役が複数人いる場合、全員分が必要(取締役会を設置しているなら代表取締役の分のみ)。合同会社の場合、代表社員の分のみ。 |
払込証明書(払込みを証する書面) | 出資金の全額が所定の銀行口座に払い込まれていることを証明する書類。通帳(表紙、表紙の裏、該当する振込明細ページ)のコピーも添付する。 |
印鑑届書 | 会社代表者印を法務局に登録するための書類。法人登記に必須の書類ではないものの、一般的には登記申請書類とあわせて提出する。 |
印鑑カード交付申請書 | 印鑑カードを発行するための書類。交付された印鑑カードは、会社代表者印の印鑑証明書を取得するときに提示する。 |
登記すべき事項を記録した別紙または電磁的記録媒体 | 商号や本店、公告をする方法などの登記すべき事項をまとめた資料。書面のほか、CD-RやDVD-Rといった電磁的記録媒体でも提出できる。 |
このほか、現物出資がある場合には、調査報告書、財産引継書、資本金の額の計上に関する証明書が必要です。
登記申請に必要な書類は、会社の形態や定款の内容などによっても変わってきます。自身の状況に合った書類を把握するには、法務局のWebサイトを確認したり、司法書士などの専門家に相談したりすることも大切です。
法人登記の申請方法
法人登記の申請方法は、以下の4種類です。
- 法務局の窓口での申請
- 郵送による申請
- オンライン申請
- QRコード付き書面申請
法務局の窓口での申請
1つ目は、管轄の法務局の窓口に行って直接申請する方法です。
繁忙期でなければ、申請の翌日から3営業日ほどで法人登記は完了します。ただ、一般的には1週間ほどかかると考えておくのが通例です。
法務局の窓口では、法人登記の完了予定日を確認できます。Web上で公開しているところもあるため、利用予定の法務局のサイトを確認してみるとよいでしょう。
郵送による申請
2つ目の申請方法は、郵送によるものです。
郵送の場合、法務局に届いた日が申請日(会社設立日)となります。窓口で申請する場合より不確実になるため、配達状況がわかる「特定記録郵便」や「簡易書留」で送ると安心です。
申請から完了までの期間は、窓口での登記申請と同様になります。
オンライン申請
法人登記の3つ目の申請方法は、オンライン申請です。
オンライン申請を行う場合、法務局のオンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」を利用します。自宅のパソコンから処理状況を確認できたり、補正(申請書の軽微なミスの訂正)が必要な場合にメールで通知されたりと、利便性はかなり高いです。
このほか、マイナポータルによる「法人設立ワンストップサービス」でもオンラインでの登記申請ができます。法人登記だけでなく、定款認証や登記後の届出もオンラインで済ませることが可能です。
なお「登記ねっと 供託ねっと」「法人設立ワンストップサービス」ともに、マイナンバーカードまたはスマホ用電子証明書を準備する必要があります。
QRコード付き書面申請
4つ目の申請方法は「QRコード付き書面申請」です。
専用の無料ソフトで作成した申請書の情報を法務局に事前送信したのち、その内容を登記申請書として印刷して提出します。登記申請書には、申請情報が事前に提出されていることを示すQRコードが印字されます。
先述のオンライン申請では、電子証明書の発行が必須でした。
しかし「QRコード付き書面申請」では、電子証明書を発行せずにオンライン申請と同じメリット(処理状況の確認や補正の通知)が受けられます。
詳細は法務局のWebサイトに記載されているので、気になる人はチェックしてみてください。
参考:QRコード(二次元バーコード)付き書面申請について(法務局)
法人登記の費用
法人登記にかかる費用は、会社の形態や資本金の額、電子定款の利用の有無などによって変わってきます。
費用の目安は、株式会社で約24万円、合同会社で約11万円程度です。
代表的な費用の内訳は、下表のようになります。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
資本金 | 1円~ | 1円~ |
会社の印鑑の作成費 | 5,000円~ | 5,000円~ |
印鑑証明書の交付手数料 ※自治体によって異なる | 約300円×必要枚数 | 約300円×必要枚数 |
定款の収入印紙代 ※電子定款の場合は不要 | 4万円 | 4万円 |
定款の認証手数料 | 1万5,000~5万円 | 0円 |
定款の謄本交付手数料 ※1ページあたり250円 | 約2,000円 | 約2,000円 |
登録免許税 | 15万円~ | 6万円~ |
合同会社の場合、定款認証の必要がないため認証手数料は0円です。
株式会社の場合、資本金の額などによって認証手数料が変わります。
資本金が100万円未満かつ「発起人が3人以下、法人出資でない、出資者が発起人のみ、取締役会がない会社」の場合は1万5,000円、資本金100万円未満でこれら4条件を満たさない場合は3万円です。資本金が100万円以上300万円未満の場合は4万円、300万円以上の場合は5万円です。
登録免許税は、資本金の0.7%が上表の最低額を超える場合、その金額になります。
なお、法人登記の完了後には「登記事項証明書」と会社代表者印の「印鑑証明書」が多くの場面で必要です。発行手数料は請求方法によって異なりますが、登記事項証明書は1通あたり500円前後、印鑑証明書は400円前後です。
法人登記の完了後には各種届出も必要
法務局から書類の不備などの連絡がなく、法人登記が完了したら、晴れて新会社の誕生です。
ただ、登記事項証明書の取得や法人口座の開設など、登記完了後にもやるべきことは多くあります。
なかでも重要なのが、法人設立や社会保険に関する届出です。提出する書類や提出先がさまざまで、期限も設定されています。
法人登記が完了したあとに必ず行うべき届出は、下表のとおりです。
提出書類 | 提出先 | 提出期限 |
---|---|---|
法人設立届出書 | 税務署 | 会社設立日から2カ月以内 |
青色申告の承認申請書 | 会社設立日から3カ月以内 | |
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 会社設立日から1カ月以内 | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 会社設立後、速やかに(提出期限はなし) | |
法人設立・設置届出書 | 都道府県税事務所 | 会社設立日から15日~1カ月以内 ※自治体によって異なる |
市町村役場 | ||
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所 | 加入すべき事実の発生から5日以内 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 |
このほか「労働保険保険関係成立届」や「雇用保険適用事業所設置届」など、必要に応じて提出すべき書類も多くあります。
また、添付書類として登記事項証明書や印鑑証明書が必要になることも多いです。それぞれ最終的に何通必要になるのかを計算し、事前に一度の手続きで取得すると時短になります。
登記完了後の届出については、以下の記事でも詳しく解説しています。適宜ご参照ください。
登記内容を変更したい場合の注意点
商号の変更や本店の移転、新規事業の開始など、もとの登記内容に変更が生じることもあるでしょう。このような場合、変更登記の手続きを行う必要があります。
変更登記は、登記内容に変更があってから2週間以内に行わなければなりません。2週間の期限を過ぎると、100万円以下の過料(罰金)が科せられる可能性があるため注意が必要です。
また、最後の登記から12年間にわたって変更登記がない株式会社は、解散されたとみなされてしまいます(みなし解散)。これは、役員の任期が最長10年であるためです。
なお、変更登記の際には、変更内容に応じた登録免許税がかかります。2週間の期限とあわせて覚えておきましょう。
許認可申請を含む設立スケジュール:社会福祉法人の場合
国や自治体からの許認可(事業実施を認めてもらう手続き)が必要な業種で起業しようとする場合、法人設立のための手続きと許認可申請のための手続きを同時に進める必要があります。一般的な会社設立よりも時間や手間がかかる点は要注意です。
以下では、許認可申請を視野に入れた法人設立のスケジュールを解説します。もちろん事業の種類によって具体的な設立スケジュールは異なりますが、以下では社会福祉法人を例にとって説明します。
1.基本事項の決定や印鑑の作成
事業所として利用する土地や建物の取得、設立準備会の設置や設立後の融資資金の検討などを行います(通常1年以上の期間が必要です)。
設立の計画がまとまった時点で社会福祉法人設立計画書を所轄官庁に提出し、審査を受けます(審査会が結果通知を行います)。
2.定款や登記申請書類の作成
審査結果に問題がなければ、設立認可申請のための書類作成に取りかかります。設立する法人の定款を作成するとともに、都道府県に提出する認可申請書を作成します。
3.認可申請
書類の準備がそろった時点で都道府県に対して認可申請を行います。なお、事業所の建設工事は法人設立認可申請と同時期に着手するのが一般的です。
4.所轄の官庁による認可決定
認可申請が行われると、所轄官庁は書類審査や現地調査の形で審査を行います。問題がなければ所轄官庁(社会福祉法人の場合は都道府県)は認可決定を行い、認可証を発行します。
認可が下りるまでの期間は、通常、数カ月~半年ほどです。
5.法人登記を行う
最後に、法人登記を行うことによって設立手続きが完了します。
なお、社会福祉法人の場合には認可決定が出てから(認可証を受け取ってから)2週間以内に法人登記をしなくてはなりません。
寄付財産の移転については、移転が行われてから1カ月以内に寄付財産移転完了報告を行います。
【株式会社vs合同会社】設立期間や登記申請の共通点・相違点
ここまで、法人登記の流れと大まかなスケジュール、必要書類などについて解説してきました。会社設立が完了するまでには多くのステップがあり、必要な手続きや書類は会社の形態によっても異なります。
ここからは、株式会社と合同会社を比較し、設立期間や登記申請における共通点や違いを見ていきましょう。具体的には、以下の4つのポイントを詳しく解説します。
- 登記申請にかかる期間はどちらも最短3日以内
- 会社設立全体の期間は合同会社のほうが短い
- 登記申請に必要な書類は合同会社のほうが少ない
- 登記申請にかかる費用は合同会社のほうが安い
そもそも2つの会社形態の違いがわからないという人は、以下の記事を参考にしてください。とくに大きな違いとしては「所有と経営の分離/一致」があります。株式会社の場合、所有者(出資者である株主)と経営者(社長や取締役)が別人であるのが原則です。一方、合同会社は、所有(出資)も経営も「社員」が行うのが原則とされています。
登記申請にかかる期間はどちらも最短3日以内
先述のとおり、法人登記の申請から完了までにかかる期間は、最短で3営業日ほどです。
2018年3月より、登記申請を受け付けた日の翌日から3営業日目までの登記完了を目指す取り組み(会社の設立登記のファストトラック化)が開始されました。この「ファストトラック化」により、繁忙期(例年3~4月頃)を除けば申請から3日以内に設立登記完了に至ることが可能です。
よって、株式会社も合同会社も、法務局の繁忙期を避ければ最短3日以内に法人登記を終えられると見込めます。ただし、法務局から補正を指示されることもあるため、申請から完了までには余裕を持って1~2週間ほど見積もっておくほうが安心でしょう。
登記申請が通るまでの期間のほか、設立に必要な出資者(1名以上)や資本金の額(1円以上)などの設立要件も、株式会社と合同会社で大きな違いはありません。一転、以下で解説する会社設立全体の期間、登記申請の手間やコストについては両者に違いがあります。
会社設立全体の期間は合同会社のほうが短い?
法人登記の申請からその完了までの期間に差はありませんが、会社設立全体の期間で考えると、株式会社より合同会社のほうが短くなります。
一般に、会社設立(事前準備から法人登記の完了まで)にかかる期間は、株式会社では約3週間、合同会社では約2週間です。
この1週間の差には、公証役場による定款認証の有無が関係しています。合同会社の場合だと定款認証が不要なため、認証を受ける日までの時間が節約できるというわけです。ただ、この期間の差は、これから縮まっていくことが予想されます。
2024年より、定款作成専用のツールを使うことで株式会社の定款認証をよりスムーズにする取り組みが進行中です。この取り組みでは、以下2つの原則が定められています。
- 48時間処理の原則
定款および必要書類の送信後、48時間以内に認証を完了させる - ウェブ会議の原則
定款認証における面前審査をウェブ会議で実施する
なお、これらの原則は、専用の「定款作成支援ツール」を使うことが前提です。地域によって対応状況も異なります。それでも、以前より株式会社の定款作成・認証の手続きはいっそう便利かつスピーディーになるでしょう。興味がある人は、日本公証人連合会のWebサイトもご参照ください。
参考:スタートアップ支援のための定款認証に関する新たな取組(日本公証人連合会)
登記申請に必要な書類は合同会社のほうが少ない
登記申請に必要な書類は、株式会社より合同会社のほうが少ないです。
株式会社と合同会社の主な登記申請書類をまとめると、以下のようになります。
株式会社の登記申請での必要書類 | 合同会社の登記申請での必要書類 |
---|---|
|
|
とくに取締役会を設置しない株式会社の場合、取締役全員分の印鑑証明書が必要になり、添付書類が多くなります。
ただ、必ずしも合同会社のほうが少ない添付書類で済むわけではありません。たとえば代表社員が法人であるケースでは、登記事項証明書などの書類が追加で必要になります。
会社の形態のみならず、個々のケースによって申請書類が変わることは覚えておきましょう。
登記申請にかかる費用は合同会社のほうが安い
登記申請にかかる費用は、株式会社より合同会社のほうが安いです。
「法人登記の費用」でも述べたとおり、株式会社では約24万円、合同会社では約11万円の費用がかかります。登記申請の費用に10万円以上の差が出るのは、定款の認証手数料と登録免許税の額に大きな違いがあるためです。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
定款の認証手数料 | 1万5,000~5万円 | 0円 |
登録免許税 | 15万円~ | 6万円~ |
定款認証が不要な合同会社では、定款の認証手数料はかかりません(もちろん紙の定款を作成した場合の収入印紙代4万円は、合同会社でもかかります)。
登録免許税の最低額も合同会社のほうが安いです。資本金の額が約2,140万円を超えると、その0.7%が15万円を超えるため、この差はなくなります。
とはいえ、約7割の会社は500万円未満の資本金で設立されているため、やはり合同会社のほうが設立費用は割安です。
法人登記や会社設立を短期間で終えたいなら専門家に相談
法人登記の流れを振り返ると、次のようになります。
法人登記の流れ
- STEP1会社の基本事項を決める
- STEP2会社の印鑑を作成する
- STEP3定款の作成・認証を行う
- STEP4資本金を払い込む
- STEP5法務局に登記申請をする
とくに定款の認証や登記申請は外部の機関とのやり取りになるため、完了までの期間が読みづらいです。
登記申請は最短3日以内に完了させることが可能ですが、繁忙期と重なったり書類に不備があったり、不測の事態に見舞われることも考えられます。また、会社の形態や個々の状況によって必要書類が変わる点にも注意が必要です。
法人登記・会社設立を短期間で終えたいなら、各種手続きを熟知した専門家(司法書士や行政書士など)に依頼するのも有効でしょう。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立に関する無料相談を実施しています。税理士だけでなく行政書士や司法書士、社労士も在籍しているためワンストップで相談が可能です。レスポンスの速さにも定評があるため、初めての方もお気軽にご相談ください。