この記事でわかること
- 農地を相続したときに必要な2種類の手続きがわかる
- 農地の相続手続きに必要な書類がわかる
- 相続した農地を活用する方法5つがわかる
相続した農地で農業を続けるときや、他の用途に使うときは、相続人名義を必ず変更しておく必要があります。
一般的な宅地であれば、法務局の手続きのみで構いません。
しかし、農地の場合は農業委員会への届け出も必要です。
しかしほとんどの相続人は初めての経験になるので、「手続きの流れはどうなる?」や「どんな書類を提出する?」といった疑問もあるでしょう。
そこで今回は、農地を相続したときの手続きや、必要な書類をわかりやすく解説します。
農地以外の活用方法も解説しますので、「相続したけど農業は続けられない」という方も本コラムを参考にしてください。
目次
農地を相続したときに必要な手続き2種類
農地を相続したら、まず法務局で相続登記の手続きを行い、次に所有権が移転したことを農業委員会に届け出します。
手続きの流れや必要書類は次のとおりです。
しかし、農業委員会への届け出には期限があるため、できるだけ早めに相続登記を済ませておきましょう。
法務局での相続登記
農地を相続したときは、被相続人(亡くなった方)から相続人へ所有権を移転させます。
通称「相続登記」と呼ばれる手続きです。
ここでは農地の所在地を管轄する法務局へ申請するので、まず管轄法務局を調べておきましょう。
申請方法には以下の3種類があるので、自分に合ったものを選んでください。
相続登記の申請方法
- 窓口申請
- 郵送申請
- オンライン申請
オンライン申請の場合、申請者情報の登録と総合ソフトのインストールが事前に必要なので、以下のリンクから手順や操作要領を確認してください。
では次に、申請時に必要な書類を解説します。
参考:各法務局のホームページ(法務局)
参考:相続登記のオンライン申請(法務局)
農地の相続登記に必要な書類と費用
法務局で相続登記するときは以下の書類が必要です。
法務局で取得する書類
- 相続登記申請書:法務局窓口またはホームページから取得
- 登記事項証明書:法務局窓口、郵送、オンラインのいずれかで取得~1通480~600円
市町村役場で取得する書類
- 相続人全員の印鑑証明書:1通300円
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本:1通450~750円
- 被相続人の戸籍附票:1通300円
- 被相続人の住民票除票:1通300円
- 相続人全員の戸籍謄本:1通300円
- 農地の固定資産評価証明書:1通200~400円程度
自分で準備する書類
- 遺産分割協議書:専門家に依頼すると3万~8万円程度(遺言書があれば不要)
なお、登記申請の際には登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)も納付します。
参考:相続登記申請書(法務局)
参考:登記事項証明書の取得(法務局)
農業委員会への届け出
農地は農業委員会によって管理されています。
そのため、相続したことを農業委員会に届け出しなければなりません。
届け出は相続開始を知った日から10ヶ月以内が期限となっているで、相続登記もできるだけ早めに済ませておいてください。
期限を過ぎると10万円以下の過料が課される可能性があるので要注意です。
農業委員会は市町村役場内に設置されていることがほとんどなので、まず役場に問い合わせてみましょう。
農業委員会への届け出に必要な書類と費用
相続した農地を農業委員会に届け出するときは、以下の書類が必要になります。
農業委員会に提出する書類
- 農業委員会が指定する届出書:各農業委員会の窓口や自治体ホームページから取得
- 相続登記した登記事項証明書:法務局窓口、郵送、オンラインのいずれかで取得~1通480~600円
届出書は「農地法第3条の3第1項の規定」に基づいた書類です。
取得者や面積などの項目は登記事項証明書どおりに記入していきます。
なお、「権利を取得した日」については、相続発生日を記入します。
相続登記の完了日ではないので注意してください。
相続した農地を活用する方法5つ
農地には様々な活用方法があります。
相続しても農業を続けられないときは「貸す」「売る」などの選択肢もあります。
耕作放棄地になると近隣の農家にも迷惑がかかるので、次のような活用方法も検討してください。
農家に貸す
自分の代わりに農業をしてくれる人がいれば、農地を貸してもよいでしょう。
別の農家に貸すには農業委員会の許可が必要です。
一定基準を満たした農家にしか貸せません。
しかし、荒地にはならないので周辺農地への影響がないというメリットがあります。
市民農園にする
都市部郊外では、市民農園として活用しているケースもあります。
農業委員会の許可や自治体との協定が必要ですが、所有権はそのまま残るので、権利移転の手間もありません。
なお、農地を区割りして貸し出すため、用途は野菜栽培などの畑に限られます。
体験農園にする
農業体験を目的とした活用方法が体験農園(観光農園)です。
農業指導をするため、ある程度の農業経験は必要ですが、利用者への貸し出しではないので、基本的に農業委員会の許可は必要ありません。
売却する
農業を維持できなくても固定資産税や管理コストはかかります。
そのため、不要な農地であれば売却することも検討してみましょう。
農地のまま売却する、または農地以外に転用して売却する方法があり、どちらも農業委員会の許可が必要です。
また、譲渡益(売却益)が出ると譲渡所得税もかかるので、確定申告も必要になります。
農地以外に転用する
農地を宅地や雑種地に転用することができれば、活用範囲が広がります。
例えば賃貸アパートや貸駐車場、資材置き場などの活用方法があり、一定の賃料収入も得られます。
ただし、農業委員会の許可が必要であり、許可を得る時点で転用後の用途も確定していなければなりません。
「とりあえず宅地にする」といった転用はできないので注意してください。
まとめ
農地を相続したときは、まず相続登記と農業委員会への届け出を済ませてください。
所有権がなければ農業は継続することができず、第三者に貸すこともできません。
ただし、先祖の代で相続登記が停止したため、権利関係者が複雑になっている農地もあります。
その場合、中には登記申請したくてもできないケースがあります。
売却や活用するときも税金面や資金面の問題が生じるので、農地の相続には総合的に判断することが必要です。
相続した農地の扱いに困ったときは、農業委員会や不動産会社、または相続の専門家に相談して最善策を提案してもらいましょう。
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