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最終更新日:2022/11/15

成年後見制度の費用一覧と相場まとめ【費用を抑えるために自力で手続きする際は注意】

本間 剛 (行政書士)
この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

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この記事でわかること

  • 成年後見制度の概要と手続きの流れについて理解できる
  • 成年後見制度の手続きに必要な費用と相場がわかる
  • 成年後見人への報酬額の目安がわかる

成年後見制度の手続きにかかる費用が気になる方は、成年後見制度がどのようなものなのか、おおよその見当はついているかと思います。

従来、判断能力が不十分な方に関する制度としては「禁治産・準禁治産者宣告制度」と呼ばれるものがありました。

これは、判断能力が不十分な方を「禁治産者」とし、財産管理などを制限するというものです。

しかしながら、禁治産者になると、戸籍に記載され、その事実が公示されるため、地域社会等から偏見や差別を生むといった問題がありました。

そのような偏見や差別をなくし、ノーマライゼーションの理念のもと、平成12年、本人の財産と権利を守るために、介護保険制度とともに成年後見制度がスタートしました。

成年後見制度の利用には、弁護士や司法書士といった専門家に相談や代理を依頼する場合の報酬とは別に、申立て手続きを行う際に必要な費用もあります。

ここでは、成年後見制度を利用するにあたって必要となる費用と相場について説明していきたいと思います。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や知的障害等によって判断能力が十分ではない人のために生まれた制度です。

判断能力が不十分なため、契約などの法律行為を行えない人を代理して、成年後見人が必要な契約等を締結したり、財産を管理したりすることで本人の生活や権利を守ります。

法定後見と任意後見

成年後見制度には、法定後見と任意後見があります。

法定後見とは、すでに判断能力が十分ではない人のための制度です。

家庭裁判所に申立てることによって、成年後見人を選任してもらいます。

選任された成年後見人は、本人に代わって財産や権利を守り、法的に支援します。

一方、任意後見は、将来、判断力が不十分となったときのために準備する制度です。

本人に判断能力がある時に、将来、認知症等によって自分の判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ後見人となる人を選んで、公正証書で任意後見契約を締結しておくというものです。

本記事では、すでに判断能力が十分ではない人について利用する法定後見について説明していきたいと思います。

法定後見の3類型

ここまで、成年後見制度における法定後見では「成年後見人」が選任されると説明してきましたが、実際は、後見、保佐、補助の3類型に分けられます。

後見、保佐、補助の違いは、その対象となる人の違いです。

  • ・後見は、日常の買い物が全くできない等、判断能力が全くないという状態の人が対象となります。
  • ・保佐は、日常の買い物はできるけど、不動産を売買するといった重要な財産行為を行う際は、支援があったほうが良いという状態の人が対象となります。
  • ・補助は、日常の買い物はできるけど、不動産を売買するといった重要な財産行為を行う際は、一人で行うことも不可能ではないけれど、適切に行えない恐れがあるので、援助を受けた方が安心という状態の人が対象となります。

それぞれ、本人の判断能力の差によって、3類型が判断されます。

本記事では、判断能力が全くないという状態の人を支援する「後見」について説明していきたいと思います。

成年後見人を選任してもらうという手続きについて説明していきますが、保佐や補助も大まかな流れは同じですので、参考にしてください。

成年後見制度の手続きの流れ

成年後見制度を利用し、成年後見人を選ぶためには、家庭裁判所へ申立て手続きを行う必要があります。

申立てする裁判所は、申立人ではなく本人(被後見人となるもの)の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

ここでは、成年後見制度の手続きを行う際に必要なことを、手順に沿って説明していきます。

医師の診断書を取得する

家庭裁判所へ後見開始の審判を申立てるためには、医師に診断書を作成してもらうことが必要です。

本人に後見人を付けることは、本人の権利を制限することでもあります。

ですから、成年後見制度では、本人の判断能力が精神上の障害等によって著しく低下していることが条件となっています。

そのため、判断能力が十分ではないということを判断するために、申立て時に医師の診断書が必要となっています。

この診断書は、認知症や精神疾患などの専門医によるものである必要はありません。

ですから、通常の主治医、かかりつけ医に作成してもらう場合が多いようです。

後見人の候補者を選ぶ

成年後見人は、家庭裁判所が選定しますので、申立人が候補者を選んでも、その通りに選ばれるとは限りません。

ですが、申立人または家族等を成年後見人としたい場合は、候補者としてあげて書類等を準備します。

なお、候補者なしでも申立て自体は可能です。

成年後見人選任の申立て書類を作成・収集する

家庭裁判所へ、成年後見人選任の申立てを行う際には、以下のような書類が必要となりますので、作成および収集を行いましょう。

  • ・審判申立書一式(家庭裁判所ホームページからダウンロードして作成しましょう)
  • ・本人の戸籍謄本(本籍地の役場)
  • ・本人の住民票(住所地の役場)
  • ・本人の診断書(主治医等の診断書)
  • ・本人の「登記がされていないことの証明書」(法務局)
  • ・本人の財産目録および資料(不動産の登記事項証明書、預金通帳の写し等)
  • ・成年後見人候補者の住民票
  • ・収入印紙、郵便切手

なお、ここでいう本人とは、判断能力が低下して成年後見人を付けてもらう「被後見人」を指します。

家庭裁判所への申立て

必要な書類が集まったら、家庭裁判所へ書類を提出して申立てを行います。

書類は、家庭裁判所の窓口へ直接提出できますが、郵送でも可です。

この申立てが行われると、家庭裁判所の調査等へ進みます。

家庭裁判所は、提出された書類の確認以外にも、本人や後見人候補者と面談を行い、申立てに至った経緯や、本人の生活状況、親族の関係性などを調査します。

また、これらの調査や提出された診断書を踏まえて、裁判所が必要と判断したときは、本人に対して医師による鑑定が行われる場合があります

ですが、実際に鑑定が必要とされるケースは、全体で7%程度と少なくなっています。

後見開始の審判

最終的に、家庭裁判所が、本人に後見が必要だと判断した場合、後見開始の審判がなされて、同時に成年後見人が選任されます。

成年後見人は、選任とあわせて登記も行われますので、この登記事項証明書を取得して、後見人としての業務を行うこととなります。

成年後見制度の手続きに必要な費用一覧と相場

成年後見制度の手続きを行うにあたっては費用も必要となりますので、手続きにかかる費用について説明していきたいと思います。

まず、手続きに必要な費用を一覧にまとめましたので、ご覧ください。

手続き費用一覧表

項目 金額 備考
申立手数料 800円
医師の診断書作成料 5千~1万円程度 本人に関する診断書
戸籍謄本の交付手数料 450円 本人分
住民票または戸籍附票の交付手数料 300円 本人分
「登記されていないことの証明書」の交付手数料 300円 本人分
後見登記の手数料 2,600円 審判後の後見人の登記手数料
郵便切手代 3~5千円 連絡用に必要
後見人候補者の住民票または戸籍附票の交付手数料 300円 成年後見人候補者がいる場合
後見人候補者の商業登記事項全部証明書の交付手数料 600円 成年後見人候補者が法人の場合
不動産の登記事項全部証明書の交付手数料 600円 本人が不動産(登記済み)の権利を持っている場合
不動産の固定資産評価証明書の交付手数料 400円 本人が不動産(未登記)の権利を持っている場合
医師の鑑定費用 5~10万円程度 家庭裁判所により、鑑定が必要だと判断された場合のみ必要
専門家への申立て報酬 10~30万円程度 申立ての手続きを自分ではなく、専門家へ依頼した場合の報酬額

原則として、上記の申立て手続きに関する費用は、申立人が負担することとなっています。

ですが、裁判所によって費用負担の運用が異なる場合もあります。

たとえば、東京家庭裁判所では、審判が下された後、本人負担と判断された手続き費用は、本人の財産の中から償還を求めることが可能です。

この際、償還を求める先は、家庭裁判所ではなく選任された成年後見人です。

また、大阪家庭裁判所では、上申書を提出すれば、申立手数料、後見登記手数料、鑑定費用の全部または一部を本人負担とすることができる場合があります。

このように、手続きに関する費用は、本人負担とすることができる場合があります。

特に、医師の鑑定が必要となった場合は、費用額も大きいので、申立て先の家庭裁判所に確認をとりましょう。

以下、手続き費用一覧表の各項目について説明していきます。

申立手数料

後見開始の申立て手数料は、収入印紙800円分です。

収入印紙は、手続きする裁判所内もしくは郵便局で購入することができます。

医師の診断書作成料

後見開始の申立てには、医師の診断書が必要です。

診断書作成の依頼は、主治医、かかりつけの医師で構いません。

申立てに添付する診断書は、家庭裁判所が指定している様式でなければなりませんが、依頼する医療機関にも同様の様式があるケースがほとんどですので、申立人が持参する必要はありません。

診断書の作成料は、医療機関によって異なりますので、依頼の際は事前に確認してください。

相場としては、5千~1万円程度です。

戸籍謄本の交付手数料

本人の戸籍謄本は、本人の本籍地の市区町村役場で取得できます。

交付手数料は、1通450円です。

本人の本籍地がわからない場合は、住民票を取得する際に本籍地の記載を依頼すれば、知ることができます。

本籍地が遠隔地で、役場に出向くことが困難な場合は、郵送でも入手することができますので、該当する役場のホームページなどの案内を確認してください。

住民票または戸籍附票の交付手数料

本人の住民票は、本人の住所地を管轄する市町村役場で交付を受けられます。

また、住民票に替えて、戸籍附票でも構いません。

戸籍附票とは、本籍地の市区町村で戸籍の原本と一緒に保管している書類です。

その戸籍が作られてから現在に至るまでの住所が記録されていますので、住所履歴の証明にもなります。

交付手数料は、住民票も戸籍附票も300円ですが、申請先が異なりますので、本籍地がわかっていて、住所地とは異なる市区町村が本籍地の場合は、戸籍謄本と合わせて、戸籍附票を取得すると手間が省けます。

「登記されていないことの証明書」の交付手数料

成年後見等に関する「登記されていないことの証明書」は、法務局において300円で交付を受けられます。

請求する法務局は、本人の住所地や本籍地に関係なく、最寄りの法務局、地方法務局で構いませんが、支局や出張所では交付を受けられませんので、ご注意ください。

請求は窓口で交付を受けるのが一般的ですが、郵送もしくはオンラインでも請求可能です。

後見登記の手数料

後見登記とは、後見開始の審判が下され、成年後見人が選任された後に行われる後見人登記のことです。

この後見登記の手数料は、収入印紙で2,600円です。

収入印紙は、郵便局や裁判所内で購入可能です。

郵便切手代

家庭裁判所からの連絡用の切手代として、郵便切手の現物で事前に納める必要があります。

この郵便切手代は、申立てする家庭裁判所によって異なりますが、3~5千円程度です。

納める郵便切手は、何回かに分けて使用されるものです。

何円切手が何枚という風に指定されていますので、購入前にご確認ください。

後見人候補者の住民票または戸籍附票の交付手数料

後見開始の申立て時に、成年後見人の候補者を立てる場合は、その候補者の住民票もしくは戸籍附票が必要です。

住民票もしくは戸籍附票は、本人のものと同じく1通300円です。

成年後見人の候補者を1名ではなく、複数名候補としてあげるような場合は、すべての候補者の住民票もしくは戸籍附票が必要となりますので、ご注意ください。

後見人候補者の商業登記事項証明書の交付手数料

成年後見人の候補者には、自然人(通常の人)以外に、法人とすることも可能です。

法人を成年後見人の候補とする場合は、その法人の商業登記事項証明書が必要となります。

交付手数料は、600円です。

商業登記事項証明書は、全国の登記所(法務局、地方法務局、支局、出張所)で交付を受けられます。

不動産の登記事項証明書の交付手数料

本人が不動産の所有権等を有していて、その不動産が登記されている場合は、不動産の登記事項証明書が必要となります。

複数の不動産を所有している場合は、すべての不動産の登記事項証明書が必要です。

登記事項証明書の交付手数料は、1通600円です。

不動産の登記事項証明書も、商業登記と同じく、全国の登記所で交付を受けられます。

不動産の固定資産評価証明書の交付手数料

本人が所有権等を有する不動産が、登記されている場合は、登記事項証明書が必要ですが、登記されていない不動産の権利を有しているようなときは、その不動産の固定資産評価証明書が必要です。

固定資産評価証明書は、対象の不動産の所在地を管轄する市区町村によって、取得できる場所が多少異なります。

東京都23区内の不動産の場合は都税事務所で、それ以外の地域の場合は、各市町村役場で取得することができます。

なお、窓口で取得する以外にも、郵送でも取得可能です。

遠方の不動産の場合は、郵送の方が便利かもしれません。

交付手数料は、1通400円です。

複数の不動産の場合は、それぞれの証明書が必要となりますので、ご注意ください。

医師の鑑定費用

家庭裁判所の判断によって、鑑定が必要とされた場合、この鑑定費用を負担する必要があります。

鑑定費用は、5万円以下が約55%、10万円以下が約95%となっていますので、10万円程度かかると想定しておいてください。

鑑定は、すべての申立てにおいて実施されるわけではありません。

申立て先の家庭裁判所によって、考え方が異なりますので、手続き前に確認するようにしてください。

専門家への申立て報酬

成年後見の申立て手続きは、自分で行うことができますが、書類作成や必要書類の収集等、手間も時間もかかりますので、弁護士や司法書士といった専門家に委任することもできます。

専門家に申立てを委任する場合には、当然報酬が発生します。

報酬額は、依頼する弁護士や司法書士の事務所によって異なりますし、本人の財産が多い等、状況によっても変わります。

平均的には、10~30万円程度の報酬額が必要となります。

また、手続きの代理だけではなく、弁護士や司法書士に成年後見人の候補者になってもらうことも可能ですので、依頼時に相談してみてください。

成年後見人の報酬目安額

成年後見の申立て手続きにかかる費用は、原則として申立人が負担することになっていますが、家庭裁判所が選任した成年後見人の報酬は、本人(後見される人)が負担します

成年後見人は、その業務の内容に応じて、被後見人の財産から報酬を受け取ることができますが、その場合、家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。

ですから、成年後見人として申立人や親族などが選ばれた場合は、報酬を請求することは多くありませんが、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職が成年後見人に選任された場合は、報酬が発生します。

専門職が成年後見人に選任された場合の報酬額は、これまでの実務の算定例などを踏まえ、目安として標準的な額が決めらており、家庭裁判所が最終決定します。

以下は、成年後見人に関する報酬額の目安です。

成年後見人の基本報酬

成年後見人が、通常の後見業務を行った場合の報酬額は、月額2万円が目安です。

ですが、管理財産額が高額な場合には、報酬額は上がります。

管理財産額とは、成年後見人が管理する預貯金、有価証券等の流動資産の合計額です。

管理財産額が高額になると、管理が複雑で業務量も増加するため、報酬額が上がります。

目安の報酬額としては、管理財産額が1千万~5千万円の場合月額3、4万円程度となります。

管理財産額が5千万円を超える場合には、基本報酬は月額5、6万円程度となります。

成年後見人の付加報酬

成年後見人の身上監護等の後見業務において、通常ではない特別困難な事情が生じた場合は、基本報酬額の50%の範囲内で、追加の報酬額が発生することがあります

また、成年後見人が、以下のような「報酬付与申立事情説明書」に記載されているような業務を行った場合は、その業務に応じた報酬が付加されることがあります。

  • ・遺産分割の調停
  • ・調停・訴訟外の示談行為
  • ・保険金の請求
  • ・不動産の処分・管理
  • ・訴訟、非訟、家事審判
  • ・その他

成年後見監督人の報酬

成年後見監督人とは、家庭裁判所の判断によって、付けられるものです。

成年後見人の財産管理等にサポートが必要な場合などに、選任されます。

一般的には、預貯金の金額など管理する財産の規模が大きい場合に付けられます。

監督人には、一切利害関係のない人物を選ばなければならず、弁護士が選任されることが多くなっています。

ですから、成年後見人のように候補者を指定するようなことはできません。

この成年後見監督人の報酬額の目安は、管理財産額が5千万円以下の場合、月額1、2万円程度、管理財産額が5千万円を超える場合には月額2、3万円程度となります。

成年後見人、監督人の報酬額は、家庭裁判所が決定するものですが、本人の財産が少なく、本人の生活に支障をきたすような場合は、減額されることもあります。

また、成年後見にかかる費用を補助している自治体もあります。

成年後見制度の費用が払えない人がやるべきこと

「成年後見制度を使いたいけど、費用が払えない」という人もいると思います。

ここからは、費用が払えない人がやるべきことを紹介します。

お金がなく費用を払えなくても、成年後見制度を利用する方法はあるので、ぜひ参考にしてみてください。

成年後見制度利用支援事業を活用する

成年後見制度の費用が払えない人は、成年後見制度利用支援事業の利用がおすすめです。

成年後見制度利用支援事業とは、自治体が費用を支給してくれる制度です。

各自治体が実施しており、条件を満たせば、費用の支給をしてくれます。

条件は自治体によって細かく異なり、例えば「資産・収入が一定以下」などが条件になります。

成年後見制度利用支援事業を利用したとしても、費用を全額支給してくれるわけではありません。

払える分の費用は自分で払って、足りない分を支給してくれます。

「自分は生活保護をもらっているけど、成年後見制度利用支援事業を利用できるの?」と思う人もいるかもしれません。

生活保護受給者も、成年後見制度利用支援事業の対象に入っています。

まずは近くの自治体で、成年後見制度利用支援事業について聞いてみましょう。

「成年後見制度を使いたいけど、費用が払えない」という人は、近くの自治体で成年後見制度利用支援事業を活用するのがおすすめです。

法テラスを利用する

成年後見制度の費用が払えない人は、法テラスの利用もおすすめです。

法テラスとは、全国にある法律相談窓口です。

法テラスは、法律トラブルを抱えた人の問題解決を目的としており、誰でも気軽に相談できます。

利用は無料なので、お金がなくても専門家に相談できます。

「成年後見制度を利用したいけど、費用が払えない」という人でも、法テラスなら安心して相談できます。

また相談は無料ですが、実際に専門家に依頼するなら費用がかかります。

依頼費用が払えない場合は、法テラスが立て替えてくれる場合もあります。

専門家への依頼費用は10〜30万円と大きな金額になるため、すぐに依頼費用を準備できない人向けに、依頼費用を立て替える制度もあります。

ただし依頼費用を法テラスに建て替えてもらっても、あとで返済しなければいけません。

返済については、無理のないスケジュールを組んでもらえるため、分割でコツコツ返すことができます。

さらに、収入・資産などが一定以下の場合は、依頼費用をすべて法テラスが払ってくれる場合もあります。

法テラスの窓口は全国にあるので、まずは無料相談から利用してみるのがいいでしょう。

費用を抑えるために自力で手続きする際の注意点

成年後見の申立て手続きは、専門家に委任することなく、自力で行うことは可能です。

その場合、専門家に支払う報酬額は発生しませんが、書類の交付手数料や診断書作成料、鑑定料などは発生しますので、ご注意ください。

また、自身で成年後見の申立て手続きを行うにあたっての注意点をご紹介したいと思います。

書類作成や必要書類収集は大変

成年後見の申立て手続きは、一般の方にとって、初めて行う手続きではないでしょうか。

また、人生で何度も行うような手続きではありません

つまり、1回の申立て手続きのために、手続きの流れを把握し、書類準備しなければならないわけです。

成年後見の申立て手続きは、制度の概要を把握しなければならず、書類を作成するのも簡単ではありません。

また、住民票や戸籍謄本、登記証明書など、収集すべき書類も多く、窓口で取得するためには平日に出向く必要があります。

ですから、申立て手続きの大変さを理解した上で、自力で行うかどうかを決めましょう。

相続人同士で揉めることも

成年後見制度は、判断能力が不十分な人の財産や権利を守る制度です。

成年後見人は、本人の財産を守ることが仕事ですから、本人の財産について資産運用や、生前贈与などの相続税対策はできなくなります

また、成年後見人への報酬額が発生しますが、これは本人の財産から支払われます。

成年後見制度の利用者は、認知症等の高齢者が多いことから、本人の相続予定者同士が、本人の財産の減少について揉めることがあります。

専門家が代理手続きを行っている場合、申立人以外の相続予定者へも制度の内容や報酬額について適切な説明を行うことができますが、自力で手続きを行っている場合、他者への説明は難しいだけでなく、不信感を抱かれやすくなってしまいます。

成年後見の申立て手続きを行う際には、親族や相続予定者等と十分に話し合ってから、進める必要があるでしょう。

相続税対策ができなくなる

成年後見の手続きを自力で行う際に限ったことではありませんが、本人の財産が高額な場合は、注意が必要です。

成年後見人がつくと、本人の財産管理を行うことになりますので、本人の資産の運用も、相続税対策も行うことができなくなります。

相続税対策の基本である生前贈与はもちろん、不動産の買い替え、小口不動産の購入、賃貸アパートの建築などもできなくなります。

成年後見制度を利用せざるを得ない状況になってしまうと、難しいですが、成年後見制度の代わりに家族信託という方法もあります。

代表的な家族信託は、財産の名義を信頼できる家族に移し、本人の代わりとして家族に財産の管理・運用をしてもらうというものです。

事前に取り決めをしておけば、本人の判断能力が不十分となった場合でも、資産運用や相続税対策ができます。

まとめ

成年後見の申立て手続きには、自力でやった場合でも申請手数料、書類の交付手数料、診断書の作成料などが必要です。

それぞれの金額は、高額ではありませんが、事前に確認しておいてください。

これらの金額は、原則として申立人の負担となります。

成年後見人が選任された後、後見人の報酬額は、本人の財産の中から支払われます

成年後見の申立て手続きは、何度もやるものではありませんので、報酬は発生しますが、業務に慣れた弁護士や司法書士といった専門家に委任することも検討してみましょう。

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