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交通事故に精通している弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所 > 交通事故弁護士コラム > 示談・和解・裁判 > 交通事故時にドライブレコーダーの提出は義務?提出を求められた事例とは

交通事故時にドライブレコーダーの提出は義務?提出を求められた事例とは

この記事でわかること

  • ドライブレコーダーの映像記録の提出義務があるか否かがわかる
  • 交通事故裁判でドライブレコーダーの映像記録に提出命令が出された事例がわかる
  • ドライブレコーダーの映像記録を提出した方が良いか否かがわかる
  • ドライブレコーダーを使用する際の注意点がわかる

ドライブレコーダーは、技術革新や製造メーカの生産能力の向上で様々な価格帯、機能を備えた製品が販売されていています。

最近では業務用車両だけではなく自家用車にも装備されて、その映像記録が多くの交通事故の賠償問題の解決のため一般的に利用されています。

この記事では、ドライブレコーダーの映像記録について、交通事故の問題解決の際に提出が強要されるのか否か、また積極的に活用した方が良いケースや使用の際の注意点も併せて説明します。

交通事故の際にドライブレコーダーの提出義務はない

ドライブレコーダーの映像記録は、そのレコーダーを使用している者に所有権があるので、これをどう利用するかを他者から強要されるものではありません。

交通事故の加害者・被害者を問わず、示談交渉においては相手方からドライブレコーダーの映像記録の提出を求められても応じる義務がありません。

ただし、交通事故裁判において、相手方からの申立てで裁判所が文書提出命令を出したときは注意が必要です。

この場合、文書の提出命令を受けた者は、これに従わなくても罰則などを課せられません。

しかし文書提出命令にかかる相手方の主張について裁判所が真実であると認めることができるようになり、判決等で不利益を被る可能性があります。

具体的には、被害者が「加害者が信号無視をしたことで事故が発生した」との主張に合わせて、加害者のもつドライブレコーダーの映像記録について文書提出命令が出された場合があったとします。

加害者がこれに応じない結果、被害者が主張する「事故原因が加害者の信号無視」ということを裁判所が認める可能性があるということになります。

ドライブレコーダーの提出を求められた事例

実際に起きた都営バスに衝突されて被害者が死亡してしまった事故についても考えてみましょう。

加害者と被害者遺族で過失割合について争いになり、示談交渉が決裂して被害者遺族から交通事故による損害賠償を請求する訴訟へと発展しました。

争点1・過失相殺

被告側が交通事故の原因が被害者にあるとして過失相殺を主張したことから、原告である被害者側が自己の主張を裏付ける証拠として、加害車両であるバスに装備されていたドライブレコーダーの映像記録について文書提出命令を申し立てました。

争点2・個人情報保護と文書提出命令の可否

加害者側である東京都は、個人情報保護条例にもとづいて「通行車両、通行人などが映っている映像記録が個人識別情報として非開示にできるものである」として文書提出命令には応じられないと争いました。

裁判所の判断

都営バスのドライブレコーダーの映像記録については、開示による不利益の程度と、開示によって保護される人の生命・健康・生活又は財産の重要性を比較衡量するとしています。

開示による不利益

ドライブレコーダーの映像記録に個人が識別できる情報が含まれていても、次の理由から訴訟中に開示されることによる不利益は非常に小さなものであると判断しました。

  • 記録された映像が2分程度の短いものであること
  • 開示の目的が民事訴訟の証拠としてのみ使用されるものであること

開示によって保護される利益

ドライブレコーダーの映像記録の開示により得られる財産的利益は、次の理由から相当程度大きいものであると判断しました。

  • 死亡事故の損害賠償請求訴訟であること
  • 過失相殺が争いになっていること
  • 映像の開示の有無によって裁判所による過失割合の認定に影響を与え、損害賠償の金額が大きく変動する可能性があること

結果

裁判所は「都の条例では非開示である個人識別情報であっても、例外的に人の生命、健康、生活又は財産を保護するため公にすることが必要であると認められるときは、非開示情報にあたらないと規定されている」ことを根拠として、最終的に文書提出命令を出すことが確定しました。

ドライブレコーダーを提出した方が良いケース

ドライブレコーダーの映像記録は、次の様なケースで積極的に活用した方が良いといえます。

  • 目撃者のいない事故
  • 事故の発生時の状況について当事者の主張が食い違う
  • 当て逃げやひき逃げの事故
  • 被害者が死亡または意識不明の状態で発言できない

特に走行中の車両同士の事故では、目撃者のいない状況では被害者であっても過失割合がゼロになることが稀なので映像記録が重要になってきます。

また、加害者が被害者の過失を大きく主張してくるときの対応として、加害者に自分の過失を認めさせる、被害者にかけられた嫌疑を晴らすことにも映像記録が活用できます。

編集していない映像記録は、当事者の主観を挟まないので事故状況を客観的に捉えて真実を明らかにするものですが、次の様に被害者であっても不利になる内容が含まれていることもあります。

  • 制限速度を超えて走行をしていた
  • 信号を無視した
  • 一時停止や徐行の標識に従っていなかった
  • 携帯電話を使用していた
  • 車線変更や右折・左折時などの方向転換でウィンカーを出していなかった

交通事故の示談交渉や裁判において、自分の主張を裏付けるために有利になる映像記録は積極的に提出し、逆に不利になるようなものであるならば裁判所の提出命令があるときを除いて提出しないことも得策です。

自分が持っているドライブレコーダーの映像が有利なものか不利なものであるかについて判断がつかないときには、交通事故に精通した弁護士へ相談することも大切になってきます。

ドライブレコーダーを使用する際の注意点

ここまでドライブレコーダーの映像記録の活用について説明してきましたが、ドライブレコーダーを使用する際には、いくつかの注意点があります。

動作の確認

ドライブレコーダーを装備した当初は、映像が記録されているかどうか確認する方も多いですが、時間が経ってくると確認の頻度が減ってくる方も多いのではないでしょうか。

交通事故に遭って映像記録が必要になったときに記録されていないということが起きないように、年に数回は動作の確認をすることをおすすめします。

消耗品の交換

ドライブレコーダーは、エンジンキーのオンによって録画を開始してオフになると停止しますが、殆どの製品で映像記録はSDカードに保存されることになります。

このSDカードは消耗品ですので、ドライブレコーダーで使用するときには2年に1回ほどの頻度で交換する必要があります。

操作に慣れておく

ドライブレコーダーは様々な機能があるので、操作を誤ると正しく映像が記録されないことが起こってしまいます。

そのため、マニュアルを参考にして常日頃から操作に慣れておく必要があります。

特に駐車監視機能などは、手動で切替えをしなければならない製品もありますので注意が必要です。

まとめ

ここまで説明してきたドライブレコーダーは、交通事故の確定的な証拠となることがあり、多くのケースで活用されるようになりました。

交通事故の被害に遭って泣き寝入りしないためにも、事前に対策をすることが大切になりますので、ドライブレコーダーの導入を検討してはいかがでしょうか。

保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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