交通事故後、被害者が加害者側との示談交渉を成功させるには、その流れの中で行なう保険会社とのやりとりが重要になります。
ただ、示談交渉の流れの中で保険会社とやりとりをする際、どのような対応をすればいいのかわからない人も多いでしょう。
この記事では、交通事故発生後に保険会社とやりとりする内容と流れについて詳しく解説していきます。
また、示談交渉や慰謝料請求など交通事故後の手続きを弁護士に相談するメリットについても触れていきます。
交通事故発生後、保険会社とのやりとりの内容や流れについて詳しく知りたい人は、参考にしてみてください。
目次
交通事故の被害者が慰謝料請求する場合、加害者側の保険会社を相手に示談交渉を行なうのが通常です。
そのため被害者側は、示談交渉の流れの中での加害者側の保険会社への対応方法を理解しておかなければなりません。
事故発生の際、適切な方法で加害者本人や保険会社に対して話を進めると、その後の示談交渉や慰謝料請求もスムーズに行なえます。
また、治療費や自動車の修理代などの負担に関する加害者側の保険会社への対応方法も重要です。
そこで、加害者側の保険会社との示談交渉の流れやその中での対応方法について、具体的に見ていきましょう。
被害者が交通事故に遭った際、加害者側の保険会社と示談交渉を行なうには、加入している保険の種類と保険会社を把握する必要があります。
そのため、被害者は事故発生の際、まず加害者に対して加入している自動車保険の種類およびその内容を確認しましょう。
具体的には、加害者に自賠責保険証と任意保険証を見せてもらい、その記載内容から確認します。
自動車保険のうち、任意保険は加入が強制されていないため、加害者によっては未加入のケースもありえます。
これに対して、自賠責保険は強制加入の自動車保険なので、加入していないケースはありません。
事故発生の際、少なくとも加害者から自賠責保険証は見せてもらいましょう。
自賠責保険証の内容を確認しておけば、被害者が加害者の自賠責保険に対して被害者請求をする際、スムーズに手続きができます。
被害者請求とは、被害者が加害者側の自賠責保険に対して直接賠償金の請求ができる制度です。
保険加入の確認の結果、加害者が任意保険加入者であった場合、通常、保険会社側から被害者に対して連絡があります。
連絡の際には、治療費の支払いに関する指示や示談交渉について話をされます。
被害者側としては、加害者側の保険会社から提示された話の内容を把握した上で、今後の対応を考えていかなければなりません。
一方、事故発生から一定期間経過しても、加害者側の保険会社から連絡がないケースもあります。
このようなときは、被害者が加害者側の保険会社へ連絡し、対処するのがいいでしょう。
被害者が加害者側の保険会社と示談交渉を行なうのは、負傷の治療が終わった後になります。
交通事故による負傷の治療が終わった後でなければ、慰謝料の額を算出できないからです。
ただ、被害者は治療中でも、治療費の支払いに関して加害者側の保険会社とやり取りをしなければなりませんから、治療費の支払いに関する加害者側の保険会社への対応方法を理解しておく必要があります。
被害者は加害者側に対して、損害賠償として治療費の支払いを請求することが可能です。
この場合、加害者側の保険会社が直接治療費の支払いを行うのが通常です。
加害者側の保険会社が直接治療費の支払いをする場合、事前に「同意書」が送られてきます。
同意書には、加害者側の保険会社が被害者の治療費の支払うことに対して同意を求める内容が記載されています。
上記内容の同意書に同意をすると、病院側は治療費の支払いを加害者側の保険会社に直接請求することになり、被害者が治療費の支払いをしなくて済むようになります。
ただ、同意書に同意をする場合、事前にその内容を確認した上で署名捺印することが大切です。
同意書の記載事項の中には、治療費の直接支払いの他、被害者の個人情報を取得する旨の同意事項が含まれているケースもめずらしくありません。
たとえば、「被害者の診断書や治療費の明細などの開示」、「医師に被害者の治療状況を確認する」旨の記載です。
上記内容の記載がある同意書に同意をすると、加害者側の保険会社から被害者の治療状況を具体的に把握されてしまいかねません。
その結果、加害者側の保険会社と示談交渉する際に不利な状況となってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
加害者側の保険会社によっては、被害者の治療費の支払いに対してスムーズに対応してくれないケースもあります。
たとえば、加害者本人が加入している保険会社に連絡をしていなかったり、保険会社内で手続きが進められていなかったりする場合です。
このようなときは、被害者から加害者側の保険会社に連絡をして対応します。
その際、被害者が治療している病院名を伝えた上で、加害者側の保険会社に対して治療の支払いを請求することになります。
治療を開始している場合、その際の費用は一旦被害者側で立替払いをして、後に加害者側の保険会社に支払い請求しなければなりません。
そのため、治療の支払いに関して、被害者側に一時的な経済負担が生じる点を把握しておきましょう。
被害者が一定期間継続して治療をしてきた後、加害者側の保険会社から治療の打ち切りを提案されるケースもめずらしくありません。
加害者側の保険会社は、過去の経験則をもとに治療に必要な期間を判断し、その期間が経過すれば治療の必要はないと考えてこのような提案をしてくるのです。
しかし、被害者は、加害者側の保険会社のこういった提案に対して同意する必要はありません。
被害者本人の意思と医師の診察結果をもとに、治療を継続するか否かを決めるものだからです。
被害者側で治療の必要があると判断する限り、治療の打ち切りの提案に対して拒否する姿勢を示しましょう。
その際、医師の医学的説明に基づく意見書を提出すると、加害者側の保険会社に治療費の支払いを継続してもらえることが多くなります。
もし、被害者側の拒否の姿勢が受け入れられず、加害者側の保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合でも問題ありません。
なぜなら、被害者にとって必要な治療である旨を示すことができれば、示談交渉の際に加害者側の保険会社にその分の治療費を請求できるからです。
交通事故の際、被害者の自動車が損傷した場合、加害者側の保険会社に修理費の請求ができます。
加害者側の保険会社に対して修理費の請求をするには、一定の流れに沿って手続きしなければなりません。
そのため、修理費を請求する際の加害者側の保険会社への対応方法も把握しておく必要があります。
加害者側の保険会社に自動車の修理費の支払いを求める場合、請求金額と自動車の損傷状況に関する情報を提供しなければなりません。
請求金額は、修理業者に費用の見積もりを取った上でその金額を提示します。
費用の見積もり請求および修理してもらう業者は、被害者側で選択してかまいません。
保険会社の中には、修理業者を指定してくるケースもありますが、被害者側はそれに従う必要はありません。
また、自動車の損傷状況を明らかにするため、写真を提出します。
提出する写真は、事故発生時に撮影したものが好ましいです。
そのため、交通事故で自動車が損傷した場合、事故発生直後に写真を撮影しておきましょう。
修理費の見積もり、自動車の損傷状況がわかる写真などを提出した後、加害者側はそれらをもとに支払金額を決定します。
示談交渉の際に具体的な金額が提示され、合意が成立した後、被害者に支払われます。
交通事故に遭った場合、被害者は治療後または必要に応じて後遺障害等級認定を受けた後、示談交渉をするという流れで手続きを進めていきます。
示談交渉では、示談の具体的な内容を決めるために、加害者側の保険会社と話し合いをします。
そのため、示談交渉時の加害者側の保険会社への対応方法も重要です。
加害者側の保険会社と示談交渉をする際、条件に納得した上で合意しましょう。
示談交渉の際、加害者側の保険会社は相場よりも低い示談金を提示してくるケースもめずらしくありません。
示談交渉中に加害者側の保険会社からそのような金額の提示がなされた場合、適切な賠償額の支払いを求めていくことが大切です。
その際には、賠償額の相場や法的な根拠を主張していきましょう。
加害者側の保険会社との話し合いの中で、納得できる内容の示談条件が提示されたときにはじめて合意に応じるという姿勢を崩さないことが大切です。
交通事故から示談交渉までの間、被害者は加害者側の保険会社と手続き上の連絡を取ることが多くなります。
しかし、手続き上の連絡を取る相手となるのは、加害者側の保険会社だけではありません。
自分の契約している保険会社とも手続き上の連絡を取らなければなりません。
交通事故に遭った場合、たとえもらい事故であっても、被害者は自分の契約している保険会社に連絡することが大切です。
交通事故発生の過失が被害者側にもある場合、自分が加入している保険を使用するケースもあるので、連絡するのは当然です。
一方、もらい事故のように被害者側に過失がない場合でも、連絡の必要性があります。
なぜなら、加害者側が任意保険未加入者である場合、被害者が十分な金額の慰謝料の支払いを受けられない可能性も出てくるからです。
もし、上記のようなケースになった場合でも、被害者の加入している自動車保険の内容によって、保険会社から補償を受けられるときがあります。
たとえば、被害者の加入している自動車保険に「人身傷害保険」が含まれている場合、被害者が交通事故で死傷したとき、補償を受けることが可能です。
また、「無保険車傷害保険」が含まれている場合、任意保険未加入者の加害者から十分な賠償をしてもらえないときに補償してもらえます。
どのような交通事故に遭ったときでも、被害者が自分の契約している保険会社に連絡することで、十分な補償を受けられる可能性が高くなります。
自動車保険の任意保険の補償範囲は、保険金による支払いだけではありません。
被害者に代わって、加害者側の保険会社と示談交渉をしてもらうことも可能です。
示談交渉の際には、加害者側の保険会社と慰謝料額や過失割合などについて話し合いをしなければなりません。
慰謝料額の相場や適切な過失割合を把握するには専門的な知識が必要であるため、被害者自身で示談交渉を行なうのは困難です。
しかし、保険会社の示談交渉サービスを利用すれば、そのような問題が解決されるのです。
ただ、任意保険に加入していれば、無条件で保険会社の示談交渉サービスを利用できるわけではありません。
交通事故の発生において、被害者側にも過失があるときのみ、保険会社の示談交渉サービスを利用できます。
交通事故発生において、被害者側の過失が0の場合、保険会社の示談交渉サービスは利用できません。
このような場合、保険会社は法律上で被害者の示談交渉を代行できない立場に置かれるからです。
保険会社が示談交渉を代行できるのは、被害者が相手側に損害賠償をしなければならない立場にあるときだけです。
交通事故で被害者の過失が0である場合、相手側に対して損害賠償責任が生じません。
そのため、保険会社は被害者の代わりに示談交渉できる余地がなくなるのです。
弁護士法72条で、「非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止」の規定がされています。
保険会社の示談交渉サービスも、被害者の損害賠償責任の存在がなければ、弁護士法72条の規定に反する行為となってしまうのです。
したがって、被害者側の過失が0の場合、原則として、加害者側の保険会社との示談交渉は自分で行なわなければなりません。
被害者側の過失が0の場合、自分で加害者側の保険会社と示談交渉をしなければならないのが原則です。
しかし、一般の人が自分で示談交渉を行なうのはハードルが高いといわざるを得ません。
被害者側が納得できるような内容の示談を成立させるには、交通事故に関する専門知識が必要だからです。
もし、示談交渉を成功させて慰謝料増額を目指したいのであれば、弁護士に相談するのがおすすめです。
また、慰謝料増額を実現できる他、弁護士への相談をおすすめする理由がいくつかあります。
弁護士に相談すると慰謝料増額を目指せるのは、示談交渉の際、裁判基準で算出した適正金額で請求してくれるからです。
交通事故の慰謝料相場には、「裁判基準」「自賠責基準」「任意保険基準」の三つの基準があります。
加害者側の保険会社は示談交渉の際、任意保険基準で算出した慰謝料額を提示してくるのが通常です。
任意保険基準で算出された慰謝料額は、裁判基準で算出される金額よりも大幅に低くなります。
もし、任意保険基準の額で示談を成立させると、被害者は適正相場の慰謝料を請求できなくなってしまいます。
しかし、弁護士に相談して示談交渉の手続きを進めれば、裁判基準で算出した慰謝料額を粘り強く請求してもらえます。
それにより、請求できる慰謝料が増額され、被害者にとって納得できる内容の示談を成立させてくれるのです。
被害者が自分で示談交渉を行なう場合、手続き上の手間がかかったり、精神的な苦痛を感じたりすることも少なくありません。
自分で示談交渉をする際、加害者側の保険会社と何回もやりとりするなどの手間がかかります。
また、交渉している最中に加害者側の保険会社は、専門用語で話をしてきたり、被害者側に失礼な言動をしてきたりするケースもめずらしくありません。
それにより、被害者が精神的な苦痛を感じてしまうことも多いです。
一方、弁護士に相談すれば、示談交渉を含む加害者側の保険会社とのやりとりを全部任せられます。
その結果、示談交渉による手続きの手間や精神的苦痛を回避できるのです。
交通事故案件を多く取り扱っている弁護士は、示談交渉のやり方に関する様々なノウハウを持っています。
そのため、弁護士に相談すれば、スムーズに示談を成立させることができるのです。
また、慰謝料は原則として示談成立後でなければ受領できません。
しかし、弁護士に相談してスムーズに示談を成立させることができれば、その分慰謝料の受領時期も早くなります。
交通事故の被害者は、加害者側と示談交渉を行なう際、相手側の保険会社とやりとりするケースが多くなります。
そのため、示談交渉をする流れの中での加害者側の保険会社への対応方法について、理解しておくことが大切です。
また、自分の契約している保険会社に連絡することで、補償を受けられたり、示談交渉の代行をしてもらえたりする点も把握しておきましょう。
ただ、交通事故発生の責任状況によっては、自分の契約している保険会社に示談交渉の代行をしてもらえない場合も出てきます。
そのようなときは、弁護士に相談して示談交渉を進めていくのがおすすめです。