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通常、交通事故のあと翌日から数日後に相手方の保険会社から連絡が来ます。
その後、治療中や示談交渉の際にも連絡があります。
では、どのような内容の連絡が来るのでしょうか。
交通事故にあった後の最初の電話の時点では、お互いに相手のことをよく知りません。
また、相手方の保険会社で担当者が決まると、通常は同じ担当者と最後まで連絡を取り合います。
そのため、まず挨拶や今後の流れなどについての説明があります。
その際に、通院先の病院について確認されることがあります。
これは、交通事故の治療費を加害者である相手方の保険会社が、病院に直接支払いをすることが多いためです。
治療中にも相手方保険会社から連絡があることがあります。
このときの連絡は、治療についての状況確認や、治療費の打ち切りの提案などの可能性があります。
示談交渉は電話で行うことが多いため、交渉が始まると複数回に渡って電話がかかってくることになります。
電話は一般的な業務時間内にかかってくることが多く、仕事中に電話があっても出られないなど、交渉内容以前に電話自体がストレスになるという方も少なくありません。
示談交渉においては、相手も自分が有利になるように話を進めてくるため、対応するにあたり様々な点に注意する必要があります。
相手方保険会社の対応としてよくあるパターンは次の通りです。
交通事故の相手の保険会社への対応方法
それぞれのパターンと注意点について詳しく解説していきます。
交通事故の示談交渉の中で、保険会社の担当者が専門的な用語を並べてくることがあり、ときには威圧的な態度で対応してくることさえあります。
このような態度を取られると腹が立つこともあるでしょうが、感情的にならないよう冷静に対応することが大切です。
感情的になっても担当者との関係が悪くなるだけでメリットがなく、示談交渉を有利に進められるわけではありません。
どうしても我慢できない場合は、しかるべきところに相談しましょう。
通例では、交通事故の被害者の治療費は加害者側の保険会社から支払われます。
治療費の支払いは、当然治療が不要になるまで続けるべきものですが、ある程度の期間が過ぎると治療費の打ち切りを促してくるケースがあります。
しかし、治療を終了するかどうかの判断は、保険会社ではなく通院先の担当医がすることです。
担当医が「治療は必要だ」と判断するのであれば、医師の方針に従い治療を継続しましょう。
賠償金の金額は、当事者双方の過失割合によっても大きく違ってきます。
保険会社は賠償金を支払わなければなりませんので、できる限り加害者の過失を小さくし、被害者の過失を大きくしたいと考えています。
そのため、保険会社にとって都合のいい主張をしてくることがありますので、保険会社の主張する過失割合に納得できない場合は安易に受け入れず、専門家に相談した方がよいでしょう。
逸失利益とは、事故の被害に見舞われなければ得ることができた収入などのことをいいます。
後遺障害が残ると、障害の箇所や程度により今まで通りに働けなくなることも少なくありません。
しかし後遺障害が残っても、相手の保険会社が実際に働くうえでの作業能力が失われたわけではないと判断した場合、逸失利益の減額を主張してくることがあります。
例えば、次のような後遺障害です。
・脊柱の変形障害
・顔に人目を引く傷が残るなどの醜状障害
逸失利益の計算は複雑で、事故の発生状況や原因などの様々な要因により金額が変動します。
もし保険会社から提示された金額や主張に納得できない場合は、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
基本的に交通事故にあった場合は、遅くとも数週間以内に相手方の保険会社から連絡が来ます。
ところが、何週間経っても電話がかかって来ないことがあり、もどかしい思いをすることがあります。
では、どういった理由で保険会社は連絡してこないのでしょうか?
相手の保険会社から連絡がない理由
それぞれ詳しく見ていきましょう。
交通事故の加害者は、被害者への賠償問題以外に刑事罰に問われることもあり、その対応などで手一杯となり、保険会社への報告を忘れてしまっていることがあります。
また、覚えていたとしても加害者となった罪の意識から、事故に関することを遠ざけようとしてしまうこともあります。
このように、保険会社が報告を受けていないことが原因で、被害者に連絡が来ないことがあります。
加害者の保険会社からしてみると、きちんと賠償金・示談金を支払ったところで、保険会社が何か得をするということはありません。
また、人身事故においては賠償金が巨額になるケースもあり、資金が潤沢な会社でなければ会社の負担はかなりのものとなります。
そのため、褒められたことではありませんが、被害者へ連絡することに消極的になりがちです。
それだけでなく、物損事故のように賠償金の金額がさほど大きな額でない場合には、連絡が遅れるどころか連絡せずに放置されてしまうことすらあります。
そもそも相手方保険会社が賠償金を支払うのは、加害者が被害者に対して損害を賠償しなければならないためです。
そのため、加害者に過失がないと保険会社が判断すると「賠償金を支払う義務自体がない」と考えるため、被害者への連絡がないという場合があります。
保険会社の担当者が他の案件を抱えており、多忙のために連絡する時間がなかったということもあります。
被害者からすれば理由になっていないと思うかもしれませんが、実は結構あるパターンです。
本来であれば相手側保険会社から連絡するものですが、それが来ない場合には被害者として次のような対応が必要です。
相手の保険会社から連絡がないときの対処法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
保険会社から本来あるべき連絡が来ないことで不安に思った場合は、被害者の方から問い合わせた方がいいでしょう。
ただし、加害者から保険会社に連絡がいってない場合は、個人情報保護の観点から回答が得られないかもしれません。
とはいえ、加害者から保険会社に連絡している場合は、遅れている理由など何かしらの回答があるでしょう。
また、その際に頻繁に連絡するよう伝えておくと、担当者も気を付け、対応が変わることもあります。
同じ保険会社であっても、担当者によって対応は異なります。
そのため、態度の悪い担当者などの場合は、連絡がないだけではなく、そのことに苦情を言っても相手にされないことがあります。
しかし、相手方保険会社の苦情受付窓口に相談することで、「担当者を放置していると会社全体の責任問題にもなりかねない」と判断され、指導や担当者の変更をしてもらえることがあります。
保険会社の担当者の中には、必要な連絡をして来ない場合や、わざと専門用語や法律用語を使い、被害者側がわからないことをいいことに自分たちに有利に交渉を進めようとしてくることもあります。
そのような保険会社の対応に納得できないときは次のような行動をとりましょう。
保険会社の対応に納得できないときにすべきこと
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ここで注意しなければならないことは、担当者の態度が悪いというようなことであれば有効ですが、賠償額が低くて納得いかないといった話は苦情受付窓口では対応してくれません。
賠償額に関することは、担当者個人が判断して決めることは滅多になく、会社の方針や基準であることが多いので、苦情受付窓口では判断できないためです。
ADRとは「裁判外紛争解決手続」のことで、調停、仲裁、あっせんなど、裁判をすることなく法的なトラブルを解決するための手続きのことです。
そんぽADRセンターは、日本損害保険協会のお客様対応窓口であり、そんぽADRセンターに所属する専門の相談員が、損害保険や交通事故に関する相談に対応してくれます。
保険会社とトラブルになった際の苦情の受付や、保険会社との間の紛争解決、和解案の提示などの支援を行っています。
先ほどのADRに日弁連交通事故相談センターという機関もあります。
この機関は名前の通り日本弁護士連合会が運営しており、弁護士が無料で相談に応じてくれます。
高い依頼料を払って弁護士に依頼することに躊躇している場合は、とりあえず一度利用してみるといいかもしれません。
相手方保険会社との示談交渉自体を弁護士に依頼することが最もおすすめです。
ADRは便利で役立つものですが、基本的に当事者間の話し合いにおいてADR機関が仲介するという方法であり、強制力もありません。
また、ADRに所属する弁護士は、中立の立場で示談斡旋を行いますので、被害者に有利になるように進めてくれるわけではありませんので注意が必要です。
その点、個人で弁護士に依頼した場合、費用はかかりますが、依頼人の利益を最優先に考えて交渉を進めてくれます。
実際に、いざ示談交渉となっても弁護士に依頼することは躊躇される方も多いでしょう。
この項目では、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットをご紹介しますので、参考にしてみてください。
先述の通り、中には不誠実な対応をする保険会社の担当者などもいますが、自分で示談交渉を行うとなると、その不誠実な担当者と交渉を続ける必要があります。
そのため、示談交渉は想像以上に精神的に大きな負担となります。
弁護士に依頼してしまえば、交渉を任せることができるので余計なストレスから解放されます。
また、訴訟などが頭をよぎるからか、弁護士が入った途端に担当者の対応が激変することもあります。
交通事故慰謝料を算定するための3つの基準があり、各基準によって相場は大きく違います。
種類 | 内容 | 金額 |
---|---|---|
自賠責保険基準 | 最低限度の補償 | もっとも低い |
任意保険基準 | 任意保険会社が独自に設定 | 自賠責保険よりは高い |
弁護士基準 | 弁護士依頼・裁判時に採用される基準 | もっとも高い |
それでは、1つずつみていきましょう。
自賠責基準は、車を所有する場合に必ず加入しなければならない強制保険である自賠責保険によって、交通事故の被害者に最小限の補償をするための基準です。
この基準は最小限の補償ですので、他の基準と比較しても低額に設定されています。
任意保険への加入は義務ではありませんが、自賠責保険だけでは高額な賠償金をカバーすることができないこともあるため、多くの方が加入しています。
任意保険基準は、自賠責保険と比べると少し高めに設定されています。
この基準には統一的な基準がなく、それぞれの保険会社によって基準が異なります。
弁護士基準は、裁判所の判例等に基づいて算出する基準で、他の2つの基準よりも高額に設定されています。
示談交渉の際には、弁護士基準を用いて主張することが望ましいですが、ケースによって金額の計算根拠なども異なってくるため、一般の方が計算し主張することは困難といえます。
しかし、弁護士であれば、弁護士基準を用いて適切な金額を算定し主張できるため、賠償額を引き上げることができます。
交通事故において責任の割合が10:0となるのは一部のケースだけであり、被害者側も過失があったと主張される事例がよくあります。
とはいえ、過失割合の決定には様々な要因や思惑が絡み合うため、保険会社が主張する過失割合に納得がいかないことも往々にしてあります。
このような場合には弁護士に相談し、割合が適切なものかどうか確認してみるといいでしょう。
適切であった場合は相手方保険会社の主張通りに受け入れる必要がありますが、適切でなかった場合は、被害者の納得のいく内容に修正してもらえる可能性が高いです。
そもそも、法律的な主張に対して、被害者自らが反論して交渉することは困難ですので、弁護士に任せたほうがよいでしょう。
交通事故の被害者となると、示談交渉などで相手方保険会社と連絡を取り合うことになります。
しかし、けがの治療や自動車の修理などストレスがかかることも多いときに、保険会社とのやりとりは苦痛を伴います。
相手方保険会社の対応が悪いときや、示談交渉の提案内容に納得いかないときは尚更です。
そもそも、相手方保険会社は加害者の代理人です。
そのため、公平な判断をすることや、被害者に有利な条件で交渉を進めてくることは滅多にないことだと考え、納得できない場合は示談に応じないようにした方がよいでしょう。
こういった精神的負担の軽減や賠償額の算定のことを考えると、弁護士に依頼した方が望ましいかもしれません。
とはいえ、弁護士の報酬も決して安価ではありませんので、まずは無料相談を利用するなどして報酬額のことも併せて相談してみるとよいでしょう。
交通事故の示談交渉は日常生活を圧迫します。
一刻も早くいつもの日常に戻すためにも、ぜひとも一度弁護士に相談してみましょう。