「加害者側の保険会社から示談書が届いたけど、この金額では納得いかない」
「いったい本当は、いくら位が相場なの?」
このように思われている方も多いのではないでしょうか?
交通事故に遭われた被害者の方にとって「示談金」はとても重要なことの一つです。
ある日突然、日常生活を奪われたのですから損なく適正な金額で合意をするべきです。
事故の大小は関係ありません。
損害賠償金を求めることは、被害者の方の正当な権利です。
いま現在お悩みの方は、迷うことなく弁護士に相談することを強くおすすめします。
目次
「示談金っていったい何?」
「慰謝料とは何が違うの?」
ひと口に示談金といっても、具体的に理解されている方は少ないのではないのでしょうか。
ここでは、まず示談金について簡単にご説明します。
「示談金」=加害者から被害者に支払われる損害賠償金+慰謝料のことをいいます。
法的な規定はなく金額も当事者双方に委ねられます。
「示談」とは、被害者と加害者の「話し合い」のことです。
法律の条文には示談という言葉は無く、示談に該当するものは「和解」といいます。
示談は、民法上の「和解契約」ということになります。
よって、示談金を決める時には、当事者双方の話し合いにより「合意」が必要となります。
もし、示談が決裂すれば、調停や訴訟などの手続きへ移行し解決をしていくことになります。
なお、調停や訴訟などで決定される金額のことを「損害賠償金」といい、和解が成立すれば「裁判上の和解」となります。
調停や訴訟にもつれ込まないようにするためには、示談で合意し示談金をもって決着をつけることになります。
根拠となる条文は以下のとおりです。
(和解)
民法695条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いを止めることを約することによって、その効力を生ずる。(不法行為による損害賠償)
民法709条 故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(財産以外の損害賠償)
民法710条 他人の身体、自由もしくは名誉を侵害した場合または他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
示談金は、「事故の種類」や被害者の方が負われた「怪我の大小」により異なります。
まずは、事故の種類からみていきましょう。
【事故の種類】
など
示談金の項目(内訳)には、「事故の種類」により異なり、さまざまなものがあります。
示談金の項目(内訳)=損害賠償金の費目を合計したもの(例:修理代、通院交通費、治療費など)
被害者の方が示談交渉を一人で進めると、加害者の保険会社に提示された金額を鵜呑みにしてしまいすぐに「合意」してしまうケースが多いです。
本来であれば得られるものも得られなくなってしまいます。
とはいえ、肉体的にも精神的にも辛い状況であれば、示談交渉をすること自体が大変な労力でありストレスです。
少しでも納得がいかない金額であれば、法律の専門家である弁護士に相談されることを強くおすすめします。
では、具体的にはいったいどのようなものがあるのでしょうか。
下記をご参考になさってください。
人身事故(軽傷)のケースでは、以下のとおりです。
後遺障害の有無は関係なく認められます。
など
人身事故(後遺障害あり)のケースでは、以下のとおりです。
上記の人身事故(軽傷)のケースの項目に、下記をプラスします。
など
事故の被害者の方が亡くなられるケースでは、以下のとおりです。
被害者の方が即死の死亡事故ではなく、事故後に生きていたケースでは、治療費や入通院慰謝料などが認められます。
上記、人身事故(傷害)の項目をプラスします。
物損事故のケースでは、以下のとおりです。
など
交通事故は、事故の種類や怪我の大小などさまざまな事案があります。
示談金は個々の事情により金額が大きく異なります。
いったい、どのような事情を要素として金額に影響するのでしょうか?
主に4つの基準(要素)が影響すると考えられます。
以下で、解説していきますのでご参考になさってください。
具体例は以下のとおりです。
・人身事故(軽傷)
例:軽いむち打ちや打撲などのケース。
示談金はあまり高額にはならない。
・人身事故(後遺障害あり)
例:何らかの後遺障害が残存したケース。
後遺障害等級認定が認められ「等級」が上がれば、示談金は非常に高額になるケースもあります。
※後遺障害等級認定は、弁護士に依頼した方が、早期解決かつ等級アップを期待できます。
・人身事故(死亡)
例:被害者の方が、残念ながらお亡くなりになられたケースです。
この場合も被害が大きいので示談金は非常に高額になります。
・物損事故
例:被害者の方に怪我などがないケース。
車両などの「もの」が壊れた交通事故が該当します。
この場合は、示談金は最も低額になります。
次に、被害者の方が働いていたかどうかについてみていきましょう。
こちらに関しても、示談金の相場が大きく変わります。
中でも、大きく影響するのは前述した「事故の種類」の中でも下記の2つが該当します。
この2つの事故では、被害者の方に「逸失利益」という損害が発生します。
逸失利益とは、交通事故に遭わなければ将来得られるはずであった収入に対する賠償のことです。
「減収分」ともいえます。
交通事故で、後遺障害が残ると身体が不自由になり、事故前と同じようには働けなくなります。
労働効率は下がり、収入が下がることが考えられます。
その「減収分」を逸失利益として加害者に請求することができます。
死亡事故の場合も、基本的な考えは同様で「死亡逸失利益」といいます。
被害者の方がお亡くなりになられると、全く働けなくなり収入が無くなります。
年齢や収入などにより「生涯年収」に相当する金額を算出し、加害者に請求することができます。
最後に、被害者の方の過失割合による基準(要素)をみていきましょう。
以下のとおりです。
過失割合とは、交通事故(事故結果に対する)の当事者双方の責任割合のことです。
被害者の方に過失が認められると、その分だけ賠償金から減額されます。
例:損害額 1億円
過失割合 加害者7割:被害者3割
示談金 7,000万円(被害者の過失3割分を引いた金額)
上記のように、被害者の過失が大きければ示談金は減額され、小さければ示談金は上がります。
示談交渉の際に、加害者側から提示された過失割合に納得がいかなければ、すぐに合意をせずに弁護士に相談された方がおすすめです。
適正な過失割合の交渉をすることができ、結果的に示談金の額を増額が期待できるでしょう。
「自分の遭った事故のケースでは、いったいどのくらいの示談金が相場なの?」
このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
怪我をされた被害者の方なら、今後の生活を大きく左右する事柄です。
しっかりと把握しておきたいものです。
交通事故の種類による、示談金の相場をみていきましょう。
人身事故(軽傷)のケースではどうでしょうか。
このケースでは、主に、治療費、入通院慰謝料、休業損害などが、被害者の方に支払われます。
実際に受けた治療内容や通院頻度、過失割合により異なるのです。(治療期間が長ければ長いほど、治療費や休業損害が多額になります)
およそ数十万円~200万円ほどと金額にはバラつきがあります。
人身事故(後遺障害あり)のケースでは、後遺障害等級の「等級」によっては非常に高額となります。
1番軽い14級では、およそ数百万円~多ければ1,000万円程となることが多いです。(例:14級は、むち打ちなどの自覚症状のみ)
重大な障害が残存して、1~3級程度が認められた場合には1億円ほどの示談金になることも珍しくありません。
人身事故(死亡)のケースも、非常に高額となります。
前述したとおり、亡くなられた被害者の方が働いていたかどうかにより異なりますが、1億円を超えるケースも少なくありません。
働いておらず、逸失利益が認められないケースでも2,000万円を超えることが多いです。
物損事故の場合は、あまり高額にはなりません。
主な内容は以下のとおりです。
など
およそ、数万円~30万円程度となることが多いです。
ただし、さまざまな事情によりこれよりも高額になるケースもあります。
被害者の方に逸失利益がある場合とない場合では、示談金の相場はいったいどのくらいなのでしょうか。
(被害者の方に逸失利益あり)
例:・後遺障害等級1級~3級が認められたケースまたは死亡事故のケース
・示談金相場 5,000万~1億円超
これに対して、被害者の方に逸失利益がないと認められると、5,000万円を下回る可能性が否定できません。
ですが、逸失利益が認められなくても、示談金が1億円を超える可能性があるケースがあります。
下記のようなケースが該当します。
例:・被害者の方が事故によるお怪我のために、バリアフリー化や車両改造など、生活する上で必須な自宅改装費用
・将来介護が発生するケース
被害者の方の過失割合で変わる示談金の相場もみていきましょう。
【後遺障害等級認定で14級が認められたケース】
例:過失割合 加害者10:被害者0
示談金 およそ数百万~1,000万円ほど
被害者の過失割合が3割、4割……と増えていけばいくほど、示談金の受け取り額も3割減、4割減と減少していきます。
その結果、およそ数十万円~2,200万円ほどの示談金となるケースも考えられます。
示談金の計算は、事故の種類やさまざまな個別の事情により異なり、とても複雑です。
「示談金の計算方法がわからないけど、このまま進めちゃって大丈夫かな?」
と不安に思われている被害者の方も多いのではないでしょうか。
まず、大前提として、示談金についておさらいをしておきましょう。
示談金=加害者から被害者に支払われる損害賠償金+慰謝料
示談金の計算の際には、算出基準というものがあります。
いったいどのようなものなのでしょうか。
下記で解説していきますので、ポイントをしっかりおさえて示談交渉にのぞみましょう。
算出基準の違いにより慰謝料の額が大きく変わります。
算出基準には、下記の3つがあります。
自賠責保険基準 | 車両所有者に加入を強制している保険。最低限の補償を目的としている。最も低い基準 |
---|---|
任意保険基準 | 任意保険会社が独自で定める基準。保険会社ごとに基準が異なる。 |
弁護士基準(裁判基準) | 法的な根拠があり、過去の裁判例をもとに、裁判所が交通事故の損害賠金を計算する際に使う基準。最も高い基準。 |
最も低額な自賠責基準と最も高額な弁護士基準(裁判基準)と比較すると、2倍ほどの差が生じるケースもありますので、弁護士に依頼されることを悩まれている方は、お早めにご相談にいかれることを強くおすすめします。
適切なアドバイスを受けることができるでしょう。
弁護士に依頼することで増額できることが期待できる項目ともいえます。
治療にかかわるものについては、治療期間が長くなれば、その分だけ金額は高くなります。
具体例をあげた計算方法を下記にご紹介します。
【ケース① 】40代男性 会社員
自家用車を運転中の男性(被害者)が信号待ちで停車中に、後続車に追突される。
被害者は、頸椎捻挫や腰椎捻挫(むち打ち)の傷害を負う。
事故後、およそ半年で「症状固定」となるが、痛みが残る状態。
※後遺障害「非該当」から「14級」を獲得、およそ3倍の損害賠償金を獲得。
保険会社の提示金額 任意保険基準 | 弁護士基準 (裁判基準) | |
---|---|---|
入通院慰謝料 | 約80万円 | 約100万円 |
後遺症逸失利益 | 0円 | 約90万円 |
後遺症慰謝料 | 0円 | 約110万円 |
休業損害 | 約30万円 | 約30万円 |
後遺障害等級 | 非該当 | 14級 |
合計金額 | 約110万円 | 約330万円(220万円アップ) |
医師との面談や追加書類を揃えるなど手を尽くし「異議申し立て」を行うと上記のケースのように後遺障害等級が認定されることが期待できます。
この結果をもとに保険会社と交渉することにより増額が可能です。
【ケース②】30代女性 接客業
信号待ちで停止中の歩行者(被害者)に、車が衝突。
歩行者(被害者)の顔面には、大きな傷跡が残る状態。
※0円だった後遺症逸失利益をおよそ2,000万円獲得
保険会社の提示金額 任意保険基準 | 弁護士基準 (裁判基準) | |
---|---|---|
入通院慰謝料 | 約140万円 | 約160万円 |
後遺症逸失利益 | 0円 | 約2,000万円 |
後遺症慰謝料 | 約600万円 | 約690万円 |
休業損害 | 約250万円 | 約360万円 |
後遺障害等級 | 9級 | 9級 |
合計金額 | 約990万円 | 約3,210万円 (2,220万円アップ) |
後遺障害が「外貌醜状」のみの認定であるケースでは、保険会社は逸失利益を否定することもあります。
被害者の職業が、人前に出る「接客業」であることを主張立証し、保険会社と交渉します。
結果として、上記のような示談が成立することが期待できます。
「示談金と慰謝料はどう違うの?」
「呼び方の違いなの?」
このような疑問をお持ちの方は少なくありません。
とてもわかりづらいとういう声を耳にすることが多いです。
簡単ではありますが、下記をご参考にしてください。
・示談金
示談(話し合い)が合意すれば支払われるお金。財産的な損害を金銭に換算したもの
・慰謝料
交通事故の被害者の方が受けた精神的な苦痛や損害を金銭に換算したもの
人身事故にのみ発生(物損事故のみでは発生しない)する、示談金の中の一つの項目
示談金>慰謝料(示談金の中の一つの項目)
示談金=加害者から被害者に支払われる損害賠償金+慰謝料
示談交渉の際に注意するべきことは、なんといっても「慰謝料」についてです。
慰謝料の計算方法には3つの基準があり、どの基準で計算されるかにより慰謝料の額がかなり変わります。
これから示談交渉をされる方は、十分にご注意していただき、前述の解説をご参考にしてください。
慰謝料を含めた損害賠償請求権には、時効があり、原則3年です。
慰謝料の種類により、時効の起算日が異なります。
下記をご参考にしてください。
慰謝料の種類 | 時効の起算日 |
---|---|
入院慰謝料(怪我の治療で入院・通院をした場合) | 事故発生日から3年 |
後遺障害慰謝料(完治せずに後遺症が残存する場合) | 症状固定から3年 |
死亡慰謝料(被害者の方がお亡くなりになった場合) | 亡くなった日から3年 |
※「ひき逃げ」のような相手が誰だか不明なケースは、例外的に時効は20年となります。
中には、被害者の方のご遺族の方が示談交渉をせずに事項を迎えてしまうケースもあります。
深い悲しみの中では無理もありません。
お一人で解決しようとせずに、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか?
きっと、解決への糸口が見えるはずです。
過去の裁判例で、慰謝料が増額となったケースをご紹介します。
ご参考になさってください。
無免許運転、飲酒運転、薬物使用、ひき逃げ、スピード違反、信号無視などの正常な運転ができない状態にもかかわらず運転をしていたなど、加害者の過失が著しく大きなケース。
加害者が「全く謝罪をしない」「うその供述ばかりする」など。
交通事故の目撃者の供述証言を警察官から聞いても、否定し続けるなど加害者の対応が著しく不誠実なケース。
被害者の方の死亡事故など重大な事故のショックで、親族が精神疾患に罹患したケース。
示談金について、少しはご参考になったでしょうか?
今、もしご自身が交通事故の被害者の方、被害者のご家族の方であるのなら、大変深くお悩みのことと思います。
交通事故の種類や個々のケースにより相場がありますが、必ずしも相場どおりの示談金を受け取ることができるとは限りません。
これは、被害者の方が示談金の相場や増額の仕組みを知らずに、任意保険会社に提示された金額を鵜呑みにしてしまい(低い基準で算出された金額)示談書に合意のサインをしてしまうことが原因です。
本当にその過失割合で納得していますか?
本当にその慰謝料額で納得していますか?
事故後の不自由な体とは一生付き合っていかなければなりません。
納得のいく補償をしてもらうべきです。
少しでも納得がいかずお悩みがあるようでしたら、迷わずにお早めに弁護士に相談すべきです。
その際は、「交通事故専門の弁護士」をキーワードに探すことを忘れないでください。