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自己破産の「同時廃止」とは?管財事件との違いや手続・要件・基準について

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • 自己破産の同時廃止とは何か
  • 同時廃止と管財事件の違い
  • 同時廃止の手続きの流れや要件・基準

自己破産とは、返済能力のない債務者が借金を免除してもらう目的で実施する裁判上の手続きです。
一般的に、自己破産では債務者の財産を処分し、債権者に配分する破産手続きを行います。

しかし、債務者が処分できる財産を持っていない場合には、債権者への配分をせずに破産手続きを終了することが可能です。
これを「同時廃止」と呼び、手続きにかかる時間や費用を軽減できるメリットがあります。

この記事では、自己破産における同時廃止の詳しい内容や管財事件との違いについて解説します。

自己破産の同時廃止とは

自己破産の同時廃止とは、裁判所が自己破産手続きの開始決定をしたと同時に、破産手続きを廃止することを指します。

同時廃止となった場合、破産手続きを経ずに免責手続きに入ります。
裁判所は債務者の借金を免除するかどうかを判断し、免責許可あるいは不許可の決定を出します。
裁判所の決定をもって、自己破産の手続きは終了となります。

ここでは、自己破産の事件を2種類に分けて解説するとともに、両者の違いを詳しく解説します。

自己破産は2種類に大別される

自己破産手続きは、その手続きの流れによって「管財事件」と「同時廃止」の2種類に大別されます。

日本弁護士連合会の調査によると、2020年6月から10月に実施された自己破産手続きのうち、同時廃止によって終結した事件は「68.55%」を占めています。
なお、同連合会は「2002年調査以降、『同時廃止』が減少傾向にあり、管財事件が増加傾向にある」としています。

引用:日本弁護士連合会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】」

管財事件

通常、自己破産手続きでは、自己破産を申し立てた債務者の財産を処分する手続きが行われます。
裁判所は破産手続きの開始とともに、債務者の財産を管理する「破産管財人」を選定します。

破産管財人は債務者の財産の調査・管理を担当し、財産の処分によって得た利益を債権者に配分します。
一連の流れを「破産手続き」と呼び、破産手続きが必要な事件を「管財事件」と呼びます。

原則として、法人や法人の代表者、個人事業主が自己破産を申し立てた場合には、管財事件として扱われます。

同時廃止

自己破産では財産の処分と債権者への配分が行われますが、一定の場合にはこの手続き自体が不要になります。

たとえば、自己破産を申し立てた債務者(個人)が、処分できる財産を持っていない場合が挙げられます。
処分する財産がないため、当然、債権者に配分できる利益もありません。
この場合、裁判所は破産管財人を選定せずに破産手続きを終えます
裁判所が破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定をするため、「同時廃止」と呼ばれています。

同時廃止と管財事件の違い

同時廃止と管財事件のどちらに該当するかは、債務者が申告した財産状況や調査の必要性などを総合的に考慮した上で、裁判所が判断します。

同時廃止と管財事件の違いとしては、主に次の3つが挙げられます。

  • 処分できる財産の有無
  • 手続き終結までにかかる時間
  • 裁判所に支払う費用

それぞれの項目について解説します。

処分できる財産の有無

同時廃止と管財事件の大きな違いは「処分できる財産の有無」です。
これは裁判所の判断基準にもなっています。
処分できる財産がない場合には同時廃止、ある場合には管財事件となります。

ただし、前述したように、処分できる財産がなくても、自己破産の申立人が法人・法人の代表者・個人事業主であれば管財事件として扱われます。
法人の自己破産では、債権者や取引先などのステークホルダーが多く、財産がないように見えても、申立人の自己申告のみで同時廃止とするのは適切でないためです。

手続き終結までにかかる時間

同時廃止と管財事件では、「手続き終結までにかかる時間」が大きく変動します。

同時廃止は裁判所による破産手続開始決定とともに破産手続廃止となるため、破産手続きをまるごと省略できます。
一方、管財事件は破産管財人による財産の調査・管理・処分を経て、債権者に利益配分をする必要があり、同時廃止よりもかかる時間が長くなります。

なお、法人の自己破産の場合には、個人の自己破産よりも財産や債権者の数が多いため、手続き終結までの時間も長引くことが多くなっています。

裁判所に支払う費用

同時廃止は管財事件に比べて、裁判所に支払う費用を抑えられるます。

通常、管財事件となると、破産管財人が財産管理を実施する費用として、20万円以上が必要になります。
自己破産をするほど困窮している債務者にとって、20万円はかなり大きな出費でしょう。

一方、同時廃止では、調査や処分が必要な財産がなく、破産管財人による業務が必要ありません。
このため、破産管財人の費用を用意することなく、比較的低額で自己破産手続きができます。

同時廃止となる要件・基準

同時廃止となる要件・基準は裁判所の運用によって異なりますが、ここでは東京地方裁判所の基準を元に解説します。

裁判所が事件を同時廃止に振り分ける主な要件・基準は、大きく2つに分けられます。

  • 財産に関する要件・基準
  • 債務者に関する要件・基準

ここでは、それぞれについて解説します。

財産に関する要件・基準

同時廃止は財産の処分と債権者への配分ができない場合に実施されるため、債務者が保有する財産に関する要件・基準が定められています。
主なものとして、次の3つが挙げられます。

  • 現金が33万円未満であること
  • 保有資産が20万円未満であること
  • 財産調査が必要ないこと

現金が33万円未満であること

自己破産はあくまで債務者の経済を立て直すための手続きであるため、最低限生活に必要な現金は手元に残すことが許されています。
たとえば、債務者が30万円の現金を持っている場合、すべて取り上げてしまうとその後の生活が立ち行かなくなり、不合理です。

そこで、東京地裁では現金が33万円以上である事件については、管財事件として扱うこととしています。
なお、銀行口座の預金は「現金」ではなく、次に説明する「保有資産」の扱いとなります。

保有資産が20万円未満であること

債務者が保有する資産が20万円未満であることも、同時廃止の要件・基準となります。
保有資産としては、以下のものが該当します。

  • 銀行口座の預金
  • 生命保険などの解約返戻金
  • 有価証券
  • 自動車
  • マイホームなど

ただし、保有資産が20万円を超えるか否かは、全資産の合計ではなく、資産ごとに審査されます。
たとえば、生命保険の解約返戻金15万円、有価証券15万円を保有している場合、それぞれ20万円未満であるため、管財事件とはなりません。

財産調査が必要ないこと

同時廃止事件に振り分けられるには、処分できる財産がないことが明確でなければなりません。
現金が33万円未満であり、かつ、保有資産が20万円未満であることが、申立人の申告のみでは判断できない場合には、財産調査が必要とされることがあります。

財産調査では破産管財人を選定することになるため、管財事件として扱われます。

債務者に関する要件・基準

債務者が自己破産を申し立てる最終的な目的は、裁判所から免責許可を受けることにあると言えます。
処分できる財産を保有していなくても、裁判所による免責許可決定を受けなければ、債務の返済義務は免除されません。

このため、同時廃止の判断には、財産に関する要件・基準だけでなく、債務者に関する要件・基準が定められています。
主なものとして、次の2つが挙げられます。

  • 申立人が法人または個人事業主でないこと
  • 免責を受けるための調査が必要ないこと

では、この要件について、詳しく見ていきましょう。

申立人が法人または個人事業主でないこと

申立人が法人や個人事業主であれば、原則として管財事件に振り分けられます。

法人や個人事業主は、個人と違い、事業として財産を取り扱っています。
違法な経理処理をして財産を隠すことや、特定の債権者のみに弁済(=偏頗弁済)をしている可能性もあるため、慎重な調査が必要になります。

ただし、調査する財産が少ない場合には、より簡易的な「少額管財」の手続きを利用できます。

免責を受けるための調査が必要ないこと

破産手続きが終了した後、裁判所は債務者の借金を免除するかどうかを判断します。
このとき、債務者が「免責不許可事由」に該当していると、より詳しい調査が必要になります。

免責不許可事由としては、主に次のようなものがあります。

  • 浪費やギャンブルなどを理由とした借金
  • 特定の債権者の借金のみを先に返済する行為
  • 資産を処分されないために名義を変更する行為
  • 過去7年以内に免責を受けている

免責不許可事由に当てはまっていても、その他の事情を考慮した上で、裁判所の裁量で免責を認めることが可能です。
その判断材料を集めるためにも、破産管財人を選定して調査を実施する必要があります。

同時廃止の手続きの流れ

同時廃止の手続きは申立ての準備から始まり、裁判所の免責許可決定を受けるまで、いくつかの段階に分けて進められます。
ここでは、一般的な同時廃止の手続きの流れを解説します。

なお、同時廃止の手続きには最低でも3カ月かかります
申立ての準備に要する期間も含めると、6カ月から1年程度が目安になります。
ただし、管財事件に振り分けられた場合には、破産管財人の業務だけでも3カ月以上かかるとされています。

申立ての準備

一般的に、裁判所は申立て時の申告内容で同時廃止を判断します。
このため、申立て前には1カ月から3カ月ほどかけて入念な準備をすることになります。

申立ては自分で行うこともできますが、自己破産は複雑な手続きなため、法的な知識が不可欠です。
失敗するリスクを軽減するためにも、実績豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。

申立て

財産の調査をして必要な資料を集めたら、申立書とともに添付書類や予納金を裁判所に提出します。
弁護士に依頼している場合には、弁護士が代理人として提出します。

裁判官との面談(債務者審尋)

申立てが受理されると、裁判官との面談(債務者審尋)が設定される場合があります。

面談をする場合には事前に連絡があり、弁護士または弁護士・債務者の両方が呼び出されます。
ここでは、申立て内容について詳しい聞き取りが行われ、同時廃止と管財事件のどちらに振り分けるかを決定されます。

破産手続開始決定・破産手続廃止決定

同時廃止の場合、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止が決まります。
早ければ、申立て当日には破産手続開始決定が出されます。

免責審尋

必要に応じて、免責審尋が行われます。
申立て時に裁判官との面談をした場合には、省略されることがほとんどです。

免責許可決定

免責審尋で問題がなければ、免責許可決定が出されます。
同時廃止では振り分けの段階で、免責不許可事由に該当しないことを確認しているため、ここで問題になることはあまりありません。
破産手続開始決定から免責許可決定までは最短でも1カ月ほど要します。

同時廃止の手続きにかかる費用の内訳・相場

同時廃止の手続きにかかる費用は、裁判所費用と弁護士費用に分けられます。

ここでは、それぞれの内訳と相場を解説します。

裁判所費用

同時廃止の場合、裁判所費用は概ね2万円以内に収まることが多いでしょう。
裁判所によって多少金額が変動しますが、ここでは東京地方裁判所を例に解説します。

費用内訳費用相場
申立て手数料1,000円〜1,500円
予納金11,859円(東京地裁の場合)
予納郵券4,400円

この他、申立て書類の取り寄せ費用やコピー料金、裁判所への交通費など各種実費がかかります。

弁護士費用

同時破産の手続きを弁護士に依頼する場合、弁護士費用がかかります。
弁護士費用は依頼する事務所によって変動しますが、44万円ほどが相場です。

弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所では、料金をわかりやすく設定しています。

費用内訳費用相場
相談料5,500円/30分
手数料・報酬金44万円(同時廃止の場合)

(詳しい料金についてはこちら

まとめ

自己破産における手続きは、処分可能な資産の有無によって同時廃止と管財事件に振り分けられます。
同時廃止では、管財事件と比べて手続きにかかる費用や期間を大幅に抑えることができます。
債務者にとってメリットが大きいため、「同時廃止を目指したい」と考える方も多いでしょう。

同時廃止では、保有する現金・資産が一定の額を下回ること、免責不許可事由に該当しないことなどの基準が定められています。
自己破産時に同時廃止を狙えるかどうか知りたい場合には、あらかじめ弁護士に相談しましょう。

破産のお悩みは深刻で不安なものです。
弊社では、相談者様の目線に立って、
丁寧に問題解決に向けた対応をさせていただきます。
楽な気持ちで何でも相談してください。

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