最終更新日:2024/6/7
会社設立のときにアドバイザーは必要?選び方やよいアドバイスをもらうコツや注意点
この記事でわかること
- 会社設立時にアドバイザーが必要な理由
- 会社設立のアドバイザーの選び方や士業の違い
- 会社設立のアドバイザーにできること
- 会社設立時によいアドバイスを受けるコツ
会社設立の際は、設立手続きや経営に関する心配事の解消が必要です。
この記事では、会社設立時にアドバイザーが必要な理由、アドバイザーの選び方や依頼できることをわかりやすく解説します。アドバイザーの助言や協力があると、会社設立時の行政手続きがスムーズになるため、本業に専念できる環境が早く整います。
目次
会社設立時にアドバイザーは必要?
会社設立の際は、多くの行政手続きに対応しなくてはならないため、アドバイザーの助言や協力が必要です。自分だけで会社設立の手続きを進めると、以下のリスクが発生しやすいため注意してください。
- 定款を安易に決めたため、会社設立直後に変更が必要になる
- 行政機関への届出を失念する、または期限に間に合わない
- 必要書類の準備に時間がかかり、開業時期が遅れる
- 設立日や資本金などの判断を誤り、法人税などが高くなる
- 時間不足で開業までに許認可申請が間に合わない
- 社会保険の加入手続きや給与計算に対応できない
他にもさまざまな不利益が発生するため、会社設立にはアドバイザーの協力が欠かせません。
会社設立のアドバイザーができること
会社設立のアドバイザーができることは次のとおりです。
会社設立時の手続きや必要書類を教えてくれる
会社設立のアドバイザーには、司法書士や行政書士など内容により異なる専門家が選ばれます。そのため、相談したい内容から適切な専門家を選ぶ必要があります。適切な専門家を選べれば、各専門知識に基づいて必要な手続きを教えてくれるため、行政手続きを漏らしてしまうリスクが減ります。
また、開業までにかかる日数の先読みも可能です。すべて自分で対応した場合、一つずつ会社設立の手続きや必要書類を確認しなくてはならないため、いつを開業日にしてよいのか目途が立たなくなる場合もあります。あらかじめアドバイザーに教えてもらうと、効率的に設立準備を進められるでしょう。
会社設立時の手続きを代行してくれる
会社設立の際には書類の収集・作成・提出が必要となるため、時間を確保できないときはアドバイザーに代行を依頼しましょう。定款認証や会社の設立登記、税務や労務関係の届出は必要書類が多く、書き方に迷ってしまうケースもあります。行政機関に直接出向かなければならない手続きもあるため、平日の昼間に時間を割かなければなりません。
経営戦略や事業計画の策定に集中したい場合は、アドバイザーにその手続きを依頼することも考えてみてください。
会社設立時の節税や節約をアドバイスしてくれる
会社設立のアドバイザーに相談すると、電子定款の作成で印紙代4万円を節約できるなど、コストがかかりにくい設立方法を提案してくれます。資本金や役員報酬、事業年度などの決め方は所得税・法人税・消費税などに影響するため、節税方法のアドバイスも受けるとよいでしょう。
また、アドバイザーに日々の会計処理や決算書作成、財務分析などサポートしてもらうことで、補助金・助成金の申請や、融資の審査にも通過しやすくなります。
会社設立までの期間を短縮できる
アドバイザーのサポートがあれば、会社設立までの期間を短縮できます。1人で会社の設立手続きを進めると、定款の内容が決まらない、必要書類を準備する時間がないなど、すべての作業が停滞するケースがあります。
また、登記申請が終わると会社設立はひとまず完了しますが、次は行政機関への各種届出に対応しなければなりません。事業のスタートが遅れると、ビジネスチャンスを逃してしまうリスクがあります。できる限り早く会社を設立したい場合は、アドバイザーに協力してもらいましょう。
アドバイザーは誰がいい?司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士・公認会計士を比較
会社設立時のアドバイザーは相談内容によって、次の人が選ばれます。
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 公認会計士
それぞれのアドバイザーが会社設立時にできることを説明します。
司法書士
司法書士は登記申請が独占業務になっており、会社の登記に関する手続きをすべて代行してもらえます。必要書類の収集や登記申請書の作成にも対応してもらえるため、スムーズに会社の設立手続きが完了します。
また、会社を設立した後は、任期満了による役員交代なども発生するため、数年に一度は法務局に変更登記を申請しなければなりません。本業に専念したいときは、登記に関する業務を司法書士に依頼してください。
行政書士
行政書士は定款作成や認証業務の代行が可能です。許認可申請も依頼できるため、飲食店や建設業、自動車整備業などを開業するときは、各機関に代理申請してもらうとよいです。
また、助成金・補助金の申請や、社用車を購入したときの車庫証明取得についても、行政書士に代行してもらうとスムーズに手続きが進みます。助成金や補助金制度には公募期間があるため、申請手続きに時間を割けない方は、行政書士に依頼しましょう。
税理士
税理士の主な業務は記帳代行や税務申告、節税対策の提案などになっており、長期的に会社経営をサポートしてもらえます。会社の設立段階から税理士に関わってもらうと、適切な資本金や決算月、役員報酬などのアドバイスを受けられます。
また、税理士が会社経営のパートナーになった場合、税制改正にも速やかに対応してくれるため、税務署に指摘されない申告・納税が可能です。経営に集中したいときは、会社の税務を税理士に依頼してください。
社会保険労務士
会社を設立するときは社会保険への加入が必要になるため、専門家に手続きを依頼したいときは、社会保険労務士に相談してください。社長一人だけの会社でも社会保険の加入が義務付けられており、従業員を雇用したときは必ず加入しなければなりません。
社会保険労務士は労働問題の解決などにも対応してくれるため、従業員が安心して働ける職場環境を整備できます。労使間のトラブルが少ない会社であれば、優秀な従業員を確保しやすいでしょう。
公認会計士
公認会計士には監査業務を依頼できるため、会社の財務状況が適正かどうかチェックが可能です。財務状況がよい会社は融資や助成金・補助金などの審査を通りやすいため、資金調達の問題をクリアしやすい傾向があります。
また、公認会計士は登記申請にも対応しており、顧問契約を結ぶ場合は低価格、または無料で会社の設立登記などを代行してもらえるケースもあります。創業融資を確実に受けたい方は、公認会計士に事業計画書の作成も依頼してください。
会社設立のアドバイザーを選ぶポイント
会社設立のアドバイザーは専門分野が分かれており、依頼内容によってサービスや費用が異なります。事務手続きだけ依頼するのか、コンサルティングまで含めるのかで、付き合い方も変わるでしょう。
ここからは、会社設立のアドバイザーを選ぶポイントを解説します。
どこまで対応してくれるのか
会社設立のアドバイザーに相談するときは、どこまで対応してくれるのか必ず確認してください。各士業は専門分野が決まっているため、会社の設立登記と税務申告などは同時に依頼できません。
また、会社設立がメイン業務ではない士業の場合、必要書類を自分で収集しなければならないケースがあります。
なお、司法書士や行政書士、税理士などが在籍している総合事務所であれば、事務手続きの代行や経営のアドバイスにワンストップで対応してくれます。
依頼費用はいくらになるのか
アドバイザーに会社の設立手続きを依頼するときは、費用がいくらになるか確認しましょう。費用が明確になっていると予算を組みやすく、自己資金だけで会社を設立できるのか、創業融資などが必要になるのか判断できます。行政機関に出向く際の日当や、書類の収集・作成費用など、細かな内訳も聞くとよいでしょう。
なお、費用が不明瞭なアドバイザーに依頼すると、想定外の出費が発生しやすいため要注意です。
会社設立後もアドバイスをしてくれるのか
会社設立を各士業にサポートしてもらう場合、設立後もアドバイスを受けられるかどうかが重要です。年末調整や決算報告、税務申告などの時期が近付くと、専門的なアドバイスが必要になります。経営者だけで財務・税務・労務に対応すると、本業に専念する時間を削られてしまい、業績に影響する可能性があるため注意してください。会社設立後もアドバイザーのサポートがあれば、増資のタイミングなども的確に判断できます。
会社設立のときに、よいアドバイスを受けるための3つのコツ
初めてビジネスを立ち上げるケースでは、多くの人に助言を求めたくなるものです。そこで、身近な人からプロまであらゆる人の意見を聞きたいと思う人は多いのではないでしょうか。
しかし、アドバイザーも人間です。いつも正しい方法で人に助言を与えているとは限りません。今回は、アドバイザーのタイプ別に、どうすればよりよいアドバイスを引き出せるかを見ていきます。
いいことばかりを言うアドバイザーの場合
いいことばかりを言うアドバイザーに遭遇するケースは、よくあると思います。ネガティブな内容ばかり持ち出すと、相談者がやる気をなくし、場合によっては解約やキャンセルになるのではないかと心配するため、楽観的な見解ばかり述べるアドバイザーがいます。確かに、アドバイスは「ネガティブ=悲観的」でない方がいいかもしれません。
しかし、現に存在する「問題点」についてはきちんと指摘してもらうのが大切です。「このアドバイザー、いいことばかりを言う」と思っても、すぐに「信用できない人だ」と断定してはいけません。自分の態度がそうさせていないか、顧みる必要があります。自分の態度が「どんなフィードバックも受け入れます」という雰囲気を醸し出していない限り、アドバイザーは問題点を指摘しにくいものです。オープンに話し合える雰囲気を作れるよう努めましょう。
「今」何をすべきかに重点を置かないアドバイザーの場合
経験豊富なアドバイザーは、つい先々の話をしがちです。自分でビジネスを立ち上げて、その後何年も経営者としてマネージメントに携わっている人は、「次に何が起こるか」という予測がつくからです。そのように、話が将来の内容ばかりになってきたら、「なるほど。では、今は何をすればよいでしょうか?」と、必ず確認しましょう。
なぜなら、会社を立ち上げたばかりの起業家は、まず「地固め」に力を入れなければならないためです。
質問が必要十分かどうかを確認しないアドバイザーの場合
相談者の質問に対して、実に丁寧に答えてくれるアドバイザーもいます。ところが、その質問が必要十分かをお互いに確認せずに終わってしまう場合もあります。
たとえば、相談者が売り出そうとする商品について「色はこれでいいと思いますか?」と、アドバイザーに聞いたとします。アドバイザーの中には、それに答えると同時に、相談者がすべき質問は他にもあることを指摘してくれる人もいます。
「大きさについては、考え直さなくていいの?」
「販売をスタートするのは今の時期でいいか、確認しなくていいの?」
このような質問を逆にしてくれるのです。
ところが、まだ不慣れなアドバイザーの場合、そのような指摘を行わないかもしれません。自分のした質問が必要十分であるか、自ら確認をとりましょう。
会社設立はアドバイザーに依頼してスムーズに手続きを進めよう
会社設立ではさまざまな手続きが必要で、専門知識も要求されるため、アドバイザーの協力が欠かせません。司法書士や行政書士などにサポートしてもらうと、定款の作成や認証、会社の設立登記が確実に進むため、理想的なタイミングで創業できるでしょう。
また、税理士や社会保険労務士などの協力があれば、決算書作成や税務申告に悩む必要がなく、社会保険の加入手続きも代行してもらえます。
ただし、士業によっては会社設立に携わった経験が少なく、節税などの対策が不十分になることもあるため注意が必要です。
ベンチャーサポートには経験豊富なアドバイザーが在籍しています。会社設立の困りごとがあれば、お気軽に無料相談をご活用ください。