最終更新日:2022/6/6
年収2000万にかかる税金はいくらくらい?手取り目安や節税方法も紹介
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- 年収2000万円の人が支払う税金や社会保険料の目安がわかる
- 年収2000万円の人はどのような節税対策を利用できるかわかる
- 年収2000万円の人が税金計算を行う上での注意点がわかる
年収2000万円といえば、サラリーマンではごく一部の人しか超えられず、個人事業主でも該当する人は多くありません。
このような高額所得者は、税金や社会保険料をどれくらい負担しているのでしょうか。
また、税金などの負担を減らすために、どのような対策を行っているのでしょうか。
所得が大きくなることで、特例の利用に制約を受ける可能性もあるため、どこまで実行可能なのか確認しておきましよう。
目次
年収2000万の所得税・住民税・社会保険料の目安
まず、年収2000万円の方は、どれくらいの税金や社会保険料を負担しているのでしょうか。
ここでは、年間の所得金額が2000万円となった個人事業主の、1年間に支払う金額について考えてみます。
まずは所得税です。
所得税は、所得金額が大きくなるほど税率が上がる累進課税制度となっています。
所得金額が2000万円の場合、所得税額は2000万円×40%-2,796,000円=5,204,000円となります。
この時、復興特別所得税もあわせて納付することとなるため、合計5,313,200円が所得税の額となります。
続いて住民税の額ですが、住民税の税率は一律10%となっています。
そのため、2000万円×10%=200万円が住民税の額となります。
最後に社会保険料です。
国民健康保険に加入している場合、その年間保険料には最高限度額が設けられています。
多くの自治体では、国民健康保険料の限度額を99万円(令和3年度)としています。
社会保険に加入している所得金額が2000万円の人の場合、納める社会保険料は最高限度額となります。
社会保険料に関しては早見表が協会けんぽのホームページに掲載されているので、興味のある方は確認してみてください。
参考:令和3年度保険料額表
年収2000万の手取り目安
年収2000万円の人が税金や社会保険料を負担することで、実際の手取り金額はどれくらいの金額になるのでしょうか。
サラリーマンの場合と個人事業主の場合で、それぞれの手取り額を計算してみましょう。
サラリーマンの場合
サラリーマンの場合、まずは社会保険料の金額から計算してみましょう。
サラリーマンが負担する社会保険料は、給与収入のおよそ15%程度となります。
ただ、毎月の社会保険料には上限があり、厚生年金保険料は約6万円、東京都の協会けんぽの場合の健康保険料は約8万円となっています。
そのため、年収2000万円の人が1年間に支払う社会保険料の額は、およそ168万円となります。
サラリーマンの場合は、年収2000万円といった場合、給与収入が2000万円あることを意味します。
ところが、税金計算の際に用いる金額は、給与収入ではなく給与所得の金額です。
そして、給与所得の額は、給与収入の額から給与所得控除の額を差し引いて計算します。
この場合、給与所得控除の額は上限の195万円になるため、給与所得の額は1805万円になります。
そこから基礎控除48万円、社会保険料控除168万円を控除すると、合計所得金額は1589万円となります。
この額が、所得税や住民税の計算の基礎となる金額です。
ここから計算される所得税の額は3,785,500円、住民税の額は1,589,000円となります。
したがって、社会保険料と合わせておよそ705万円を負担することとなり、手取り額は1295万円となるのです。
個人事業主の場合
個人事業主の場合、最初に所得金額が2000万円になる場合の税額や社会保険料を紹介しました。
所得税額が約520万円、住民税額が200万円、社会保険料が99万円となります。
そのため、税金や社会保険料の負担は819万円となり、手取りは1181万円となるのです。
年収2000万の方ができる節税対策
年収が2000万円を超えるような方は、非常に大きな税負担になることがおわかりいただけたでしょう。
何か節税対策を行って、その税額を減らすことができないかと考える方もいるのではないでしょうか。
ここでは、節税対策として効果的なものをいくつかご紹介します。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、個人で証券会社や金融機関に口座を開設します。
そして、その口座に一定額を拠出し、投資信託などの金融商品を購入して運用していく制度です。
運用期間中は運用益も非課税となり、老後の資金を確保するための手段として利用されています。
iDeCoに加入すると、掛金として支出した金額が全額、所得控除の対象となります。
そのため、所得税・住民税の節税に大きな効果があるのです。
拠出額の上限はサラリーマンか自営業者かによって、あるいは企業年金に加入しているかによって異なります。
最もiDeCoの掛金が大きくなるのは自営業者であり、月額68,000円、年間816,000円まで拠出することができます。
仮に所得金額が2000万円である自営業者が816,000円の掛金を拠出した場合、所得税と住民税で40万円以上の節税となるのです。
ふるさと納税
ふるさと納税は、自身が住んでいる自治体以外の自治体に寄付を行うと、その寄付額に応じた返礼品をもらえるという制度です。
ふるさと納税を行うと、寄付した金額から2000円を除いた金額が所得税や住民税から控除されます。
そのため、2000円の負担をするだけで、多くの返礼品を手にすることができる制度なのです。
自己負担額が2000円となる金額は、その人の所得金額により異なります。
所得金額が大きくなればなるほど、その上限額は大きくなるため、より多くの返礼品を手にすることができるのです。
たとえば、夫婦と子どもがいる年収2000万円のサラリーマンの場合、約53万円の寄付をしても、自己負担額は2000円となります。
50万円を超える寄付を行えば、多くの返礼品が手に入るため、結果的には生活費を節約することができるはずです。
不動産投資
不動産投資を行う理由は、主に2つあります。
1つは、賃貸収入という不労所得を得ることです。
そしてもう1つは、節税を行うことです。
どうして収入が増えるのに節税ができるのかと疑問に感じるかもしれませんが、その仕組みは次のようになります。
不動産投資を行った場合、家賃収入から必要経費を控除した金額が課税対象になる金額です。
この場合、マンションやアパートを所有しているため、その建物の購入費を必要経費に加えることができます。
ただ、購入した時に全額を必要経費とするのではなく、何年かにわたって減価償却を行い、必要経費とするのです。
すると、購入した翌年からは、現金による支払を伴わない必要経費が計上されることとなるのです。
減価償却費は大きな金額になることが多く、家賃から必要経費を差し引くとマイナスになることも珍しくありません。
そのため、給与所得や事業所得の金額と合算すると、所得全体の金額が下がり、税負担を軽減することができるのです。
住宅ローン控除
マイホームを購入する際には、ほとんどの人が住宅ローンを利用します。
その住宅ローンの残高から控除額を計算し、発生した所得税額から控除することができる制度です。
住宅ローン控除を利用するためには、いくつかの要件があります。
購入する住宅の床面積の他、購入する人の所得制限も設けられています。
ただ、住宅ローン控除を利用できるのは、所得金額が3000万円までとされているため、年収2000万円の人は利用することができます。
年収2000万にかかる税金に関する注意点
年収が2000万円になった場合、税金の負担が増えること以外にも注意しなければならないことがあります。
特に、初めて年収が2000万円を超えた場合には、気を付けなければなりません。
サラリーマンも2000万円を超えると確定申告が必要
サラリーマンは、住宅ローン控除や医療費控除など、所得控除や税額控除の適用を受けるために確定申告をする場合があります。
また、株式投資や不動産投資を行っているために、確定申告しなければならない場合があります。
しかし、多くのサラリーマンの方は、通常、勤務先で年末調整を受けるため、確定申告義務はありません。
ただ、給与の金額が2000万円を超えた場合は、勤務先で年末調整を受けることはできないのです。
その代わり、自身で確定申告を行う必要がでてきます。
もし確定申告を忘れてしまうと、申告・納税義務を怠ったものとして、ペナルティが課されることもあるので、確定申告を忘れないようにしましょう。
不動産投資にはリスクもある
前述したように、所得が多い人の場合、節税対策として不動産投資を行う人が多くいます。
不動産所得で節税を行えば、大きな節税効果を長期間にわたって受けられるからです。
ただ、不動産投資を行う際は、無計画にどのような物件を購入してもいいというわけではありません。
入居者が見つからない期間が長くなると、ローンの返済ができなくなってしまうからです。
また逆に、不動産投資で大きな利益が出て、多額の税額が発生する可能性もあります。
節税対策としての不動産投資には、様々なリスクがあることを知った上で行う必要があるのです。
まとめ
年収2000万円以上の方は、日本国内のすべての人の0.7%程度になります。
わずかな人だけが年収2000万円を実現できるのですが、その分、多くの税負担が発生してしまいます。
そこで、少しでも手取りを増やすために、節税対策を実行してみましょう。
iDeCoや不動産投資など、老後の資金や不労所得を確保するための手段としても非常に有効といえるでしょう。