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最終更新日:2022/6/6

法改正によって拡大した社会保険の加入条件とは?必要書類や手続きについても完全網羅

社会保険労務士 西村兆潔
この記事の執筆者社会保険労務士 西村兆潔

ベンチャーサポート社労士法人 社会保険労務士。
大学を卒業後に、都内にある社会保険労務士事務所での勤務経験を経て、ベンチャーサポートに入社。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-nishi

社会保険の加入条件について、平成28年10月より法改正によってその対象者となる従業員が拡大しています。

ではどのような条件になれば、社会保険の加入対象者となるのでしょうか。

またその手続きに必要な書類もあわせてご紹介します。

社会保険の加入条件とは

社会保険は法律により加入する条件が定められています。

では、その加入条件はどのようになっているでしょうか。

社会保険とは

さて、よく「社会保険」という言葉を耳にしますが、これはどういった保険のことなのでしょうか。

社会保険には大きく分けて次の5種類があります。

  • ①医療保険
  • ②年金保険
  • ③雇用保険
  • ④災害補償保険
  • ⑤介護保険

このうち医療保険・年金保険・介護保険を社会保険、雇用保険・災害補償保険を労働保険と2つに分けて言う場合もあります。

法人などの会社が加入する義務がある保険は、社会保険では健康保険と厚生年金保険、労働保険では雇用保険と労災保険となります。

以下、このページでは、社会保険としていますが、会社が加入する義務がある健康保険と厚生年金保険のことを言うものとします。

社会保険の適用事業所とは

社会保険は、法律により適用される事業所が決められています。

これを強制適用事業所といいます。

強制適用事業所には、以下の事業所が該当します。

  • ②常時従業員を使用する法人の事業所
  • ②個人経営で 5人以上の従業員を使用する事業所で法律によって定められた16業種

また次に該当する業種は、個人経営で5人以上の従業員がいても強制適用事業所にはなりません。

  • ①一次産業(労業、林業、水産業、畜産業など)
  • ②サービス業(飲食、旅館、接客、理容、レジャーなど)
  • ③法務業(弁護士、税理士、行政書士、社会保険労務士など)
  • ③教業(神社、寺院、教会)

ただし、これらの事業所や5人未満の事業所でも任意に社会保険の適用を受けることができ、この場合を任意適用事業所と言ったりします。

社会保険の加入対象者は

では、社会保険の加入対象となる従業員は誰になるのでしょうか。

適用事業所の場合、雇用している従業員は全員が加入するのでしょうか。

これは、その従業員の労働時間や労働日数によって加入対象者かそうでないかが分かれます。

まず、正社員は全員加入対象となります。

では次に、パートなどの時短勤務の従業員はどうなるのでしょうか。

1週間の所定労働時間および1カ月の労働日数が一般社員の4分の3以上である方は社会保険の加入対象者となります。

また、一般社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3未満であっても、下記の5つの要件をすべて満たす方は、社会保険の加入対象者となります。

  • ②週の所定労働時間が 20時間以上あること
  • ②雇用期間が 1年以上見込まれていること
  • ③賃金の月額が 8.8万円以上であること
  • ③学生でないこと
  • ④常時 501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

社会保険の加入対象者に該当する場合、会社はその人を社会保険に加入させる義務があります。

社会保険の手続きに必要な書類とは

では、実際に社会保険に加入するにはどのような手続きが必要なのでしょうか。

その必要書類を見ていきます。

新規に会社を設立した場合

新しく会社を設立した場合、法人は常に強制適用事業所に該当しますので、社会保険に加入する義務があります。

この場合、会社設立日から5日以内に事業を行っている営業所の所在地を管轄する年金事務所に加入届を提出します。

これを「新規適用届」といいます。

提出には、電子申請、郵送、窓口持参の3つの方法があります。

届出書および添付書類は以下となります。

  • ①健康保険・厚生年金保険 新規適用届
  • ②法人(商業)登記簿謄本(コピー不可)
  • ③法人番号指定通知書等のコピー

これらの書類をそろえて提出することになります。

個人経営で加入届を提出する場合

個人経営で5人以上の従業員を雇うことになり、社会保険に加入する場合は、以下の書類が必要となります。

  • ①健康保険・厚生年金保険 新規適用届
  • ②事業主の世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの、提出日から遡って90日以内に発行されたもの)

こちらも上記書類をそろえて提出します。

新しく従業員を雇ったとき

新しく従業員を雇ったときも、その従業員が加入対象者に該当するなら、会社はその従業員を社会保険に加入させなければなりません。

この加入手続きは事業者が行わなければならないとされています。

この場合、従業員を雇った日から5日以内に事務所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。

こちらも提出には、電子申請、郵送、窓口持参の3つの方法があります。

提出書類は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」となります。

通常、添付書類はありませんが、次に該当する場合は添付書類が必要になります。

  • ①60歳以上の方が、退職後 1 日の間もなく再雇用された場合
  • ②国民健康保険組合に引き続き加入し、一定の要件に該当する場合等

こちらも必要書類をそろえて提出します。

常に最新の情報を手に入れるようにしましょう

今回のページは、平成28年10月1日に加入対象者が拡大されたときの法律に基づき作成されています。

このように法改正が起これば、加入対象者の条件も変わってきますので、常に最新の情報をチェックするようにしましょう。

まとめ

社会保険は、広義には、医療保険、年金保険、雇用保険、災害補償保険、介護保険のことをいいます。

このうち医療保険、年金保険、介護保険のことを社会保険、雇用保険、災害補償保険のことを労働保険と狭義ではいいます。

会社が加入する義務がある社会保険には、健康保険と厚生年金保険があります。

社会保険の適用事業所はすべての法人と個人経営で5人以上労働者を雇う事業所が適用されますが、個人経営の場合、業種によっては強制適用事業所にならない場合もあります。

正社員はすべて社会保険の加入対象者になります。

パートなどの時短社員の場合、1週間の労働時間と1ヶ月の労働日数が一般社員の4分3以上である場合は加入対象者に該当します。

法人を設立した場合や強制加入適用事業所となった場合、5日以内に社会保険の新規適用届を年金事務所に届け出る必要があります。

従業員を雇った場合は、被保険者資格取得届を5日以内に提出する必要があります。

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