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最終更新日:2022/6/6

領収書の整理・保管方法まとめ!整理時のコツや注意点とは

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • どのような領収書を保管しておかなければならないかがわかる
  • 領収書の保管期間や整理・保管方法について知ることができる
  • 徴収書を整理・保管する際のコツや注意点を知ることができる

法人や個人事業主の方は、自身で税金を計算し申告しなければなりません。

その際、かかった経費の金額を証明するものとして、領収書の保管が義務付けられています。

しかし、毎日のように発生する領収書の整理は、非常に大きな負担になる作業です。

そこで、どのような領収書を保管しておく必要があり、その保管期間は何年間なのか、詳しく解説します。

また、領収書の整理や保管がうまくいくコツや、注意点についてもご紹介していきます。

法人・個人事業主が保管しておくべき領収書

領収書と一口にいっても様々なものがあるため、何を保管しておく必要があるのかわからないかもしれません。

まずはどのような領収書を保管しておく必要があるのか、解説していきます。

法人の場合

法人の場合、支出したものはすべて法人の費用として法人税や消費税の計算をすることとなります。

そのため、基本的にすべての領収書を保管しておく必要があります

電車の切符を購入した時などは、領収書やレシートをもらうことのできない場合がありますが、「誰が、いつどこへ、どういった目的で行ったのか」が明らかになれば、問題ありません。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、保管しなければならない領収書は「事業のために使った経費」になるものです。

事業に関係ない個人的な支出については、経費にならないため、領収書を保管しておく必要はありません。

ただ、事業のためか個人的な支出かを明確に区分できないものもあります。

たとえば、車を事業とプライベートの両方に使っている場合のガソリン代などです。

このような支出については、一部を経費とすることができるため、領収書を保管しておかなければなりません。

領収書を監査に備えられるよう保管するには

領収書を保管しておく必要があるからといって、すべての支払いの際に領収書をもらう必要はありません。

コンビニやスーパーで買い物をした際にもらえるレシートがあれば、それ以上のものは必要ないのです。

むしろ、領収書では支払いの金額や相手先しかわからず、何を買ったかがわからないという欠点があります。

領収書がある場合でも、レシートや請求書、見積書、送付状などをあわせて保管しておくと、後から中身を確認しやすくなります。

また、領収書しかない場合には、その領収書に支出の内容を詳しく書いておくといいでしょう。

具体的には、誰がどのような目的で支払ったのかを記載し、食事代の場合は参加した総人数も書いておきましょう。

領収書の保管期間

日々発生する領収書を保管しておくと、かなりのスペースが必要となってしまいます。

できるだけ保管しておく領収書の数を減らしたいでしょうが、最低限どれだけの領収書を保管しなければならないのでしょうか。

法人の場合

法人が保管しなければならない領収書の保管期間は、法人税法に定められています。

法人税法によれば、その保管期間は7年とされています。

白色申告を行う個人事業主の場合

白色申告を行う個人事業主が保管すべき領収書の保管期間は、5年間とされています。

ただし、他の帳簿については保管期間が7年間とされているため、それらの帳簿とあわせて管理しておくのも1つの方法です。

青色申告を行う個人事業主の場合

青色申告を行う個人事業主については、領収書の保管期間は7年間とされています。

白色申告から青色申告に申告方法を変更した場合、領収書の保管期間も変わるため注意が必要です。

領収書の整理・保管方法

1年間の領収書を整理しないままため込んでしまうと、膨大な量になってしまいます。

そのため、領収書を整理し保管する作業は、できるだけ毎日行う必要があります。

領収書を整理・保管する方法にはどのようなものがあるのか、解説していきます。

領収書を封筒に入れて保管しておく方法

日々発生する領収書を使って記帳作業を行った後、封筒に入れて保管しておく方法です。

領収書やレシートをそのまま保管しておくことができるため、整理の作業に多くの時間を割く必要はあります。

そのため、手軽に領収書を保管することができる方法です。

ただ、すべての領収書を1つの封筒に入れてはいけません。

封筒をいくつかに分けて、その種類ごとに保管しておく必要があります。

封筒の分け方には、主に2つの方法があります。

1つめは、封筒を月ごとに分ける方法です。

毎月、仕訳処理を終えたら封筒に入れて保管することができるため、間違えたり紛失したりする心配はありません。

もう1つは、費目別に領収書を分けて保管する方法です。

旅費交通費、消耗品費、通信費、租税公課など、毎月発生する領収書については、その費目ごとの封筒で保管します。

そのほか、単発で発生する費用については、1つの封筒でまとめておきます。

封筒を1年間にわたって使用するため、紛失しないように気を付けなければなりません。

一方で、毎月の仕訳処理の整合性を確認することができるという利点があります。

領収書をノートに貼って保管する方法

領収書を整理する方法として、仕訳処理を行った領収書をノートに貼り付けて保管する方法もあります。

ノートに貼り付ける理由は、後から支出の内容を確認しやすいことや、領収書を紛失するリスクが低いことです。

また、貼り付けたノートを保管しておけばいいため、場所をとらずに保管でき、管理しやすいこともあげられます。

ただ、領収書をノートに貼り付ける作業は、単純ですが時間がかかります。

また、適当に貼り付けると、ノートがくっついてしまったり、領収書を紛失したりすることもあります。

そのため、ノートに貼る方法は整理や保管はしやすい一方、手間がかかる方法といえます。

また、請求書や見積書などを一緒に保管する場合は、別に保管用のファイルなどを用意しなければなりません。

領収書をノートに貼り付ける際は、日付順に貼るのが一般的です。

会計処理の終わったものから順番にノートに貼り付けることで、仕訳の二重計上を防ぐことができるからです。

また、入力した仕訳に間違いがないかチェックする際も、ノートを見ればいいため、確認しやすくなります。

ファイルを利用して保管する方法

領収書の保管をしやすくするための商品を利用して、領収書やそれに関係する書類を保管する方法です。

領収書を入れておく場所がファイルのようになっているため、領収書以外の書類をあわせて保管しやすくなります

領収書と見積書などの書類を一緒に保管すれば、後から内容を確認する際の手間を省くことができるのです。

また、専用ファイルを利用せずに、クリアファイルに保管しておくだけでも問題はありません。

このほか、市販のファイルボックスを利用して、そこに領収書を保管していく方法もあります。

ファイルに保管する際は、領収書の日付で月ごとに保管するのがおすすめです。

こうすることで、後から領収書を確認する場合にも、探している領収書を発見しやすくなります。

ただ、毎月の領収書の量が多い場合には、すべてをひとまとめにすると、1つのファイルが膨大になってしまいます。

そのような場合は、特定の取引先の領収書だけ相手先ごとにまとめておくといった工夫が必要です。

領収書を電子化して保管する方法

領収書をそのまま保管するのではなく、電子化したデータをパソコンなどで保管する方法です。

膨大な量の領収書を保管するためには、ノートやファイルを保管しなければならず、多くの場所が必要ですが、電子データを採用している場合には、パソコン1台に7年分の領収書を保管しておくことができます。

領収書を電子化するためには領収書をパソコンに取り込む必要があり、これはかなりの手間がかかる作業です。

ただし、いったん電子化してしまえば、その後の整理や保管は圧倒的に楽になります。

ここで注意しなければならないのは、パソコンの管理です。

電子化したデータを消去してしまうことのないよう、パソコンの管理には細心の注意を払う必要があります。

特にパソコンの入れ替えを行う際には、きちんとデータを引き継いでいることを確認しましょう。

また、領収書を電子化するためには、電子帳簿保存法に対応したシステムを整備しなければなりません。

その手順の1つとして、事前に税務署に電子帳簿保存を行うことを届け出しておく必要があります

事前に届出をせずに電子帳簿保存を行おうとしても、それは正式な領収書とは認められないため注意しましょう。

領収書の整理をしやすくするコツ

領収書の整理は、数多くある業務の中でも、特に後回しにされやすいものです。

しかし、後回しにして領収書をためてしまうと、その分領収書の整理はさらに大変になってしまいます。

そこで、少しでも領収書の整理を簡単に行うためのコツをご紹介します。

必要のない領収書は捨てる

個人事業主の方だけに関係する内容ですが、必要のない領収書を保管し続けるのは無駄なことです。

明らかに個人的な支出は、いくら領収書があっても経費にすることはできません。

そのような領収書は、内容をしっかりと覚えているうちに破棄して、その後の作業の妨げにならないようにしましょう。

記帳を行ってから領収書を整理する

領収書の整理をすることは、あくまで適切な経理を行うための手段であり、納税者としての義務でもあります。

単に領収書を整理すればそれでいいわけではなく、その前提として正しい経理を行う必要があります。

そのためには、領収書を入手したらまず記帳を行い、終わったものから領収書を整理するようにしましょう。

領収書の整理に使える便利なグッズ

紙の領収書を保管するためには、どのようなものを使うといいのでしょうか。

ここでは、領収書の保管に便利なグッズをいくつか紹介します。

ノートやスクラップブック

今では少しアナログな方法となりましたが、昔からノートやスクラップブックに日付順に領収書を貼り付けて保管するのは多くの企業が採用していました。

空気に触れにくいということも利点ですし、とりあえず挟んで保管できるということもあり、現在も小さな個人事業主には採用されている保管方法です。

封筒

封筒は、どこでも簡単に購入することができます。

銀行のATMにおいてあるような少し幅の広めの縦長の封筒が、領収書の整理には便利なサイズです。

ただ、ATMに封筒が置いてない場合もあるため、100円ショップなどで適度なサイズの封筒を探してみましょう。

一般的にはA4サイズに対応している「長3封筒」と呼ばれるサイズが便利です。

大きな書類にも使えるサイズもそろえておくと、請求書や明細書と一緒に保管することができます。

領収書ホルダー

100円ショップなどで購入できるのが領収書ホルダーです。

仕切りがついているため、種類ごとに区分して領収書を保管しておくことができます

大きすぎないため保管しやすいのですが、大きな領収書や他の書類は別に保管しておく必要があります。

領収書ホルダーという名前ではありませんが、A4サイズの書類が入る蛇腹になっているファイルボックスも便利なアイテムです。

使い勝手のよいホルダーを色々見てみることをおすすめします。

領収書ファイル

事務用品メーカーのコクヨから、領収書の保管に特化したファイルが発売されています。

通常のファイルよりポケットの大きさが小さい分、区分して領収書を保管することができる構造になっています。

1冊のファイルで1年分の領収書を保管しておくこともできるため、大変使い勝手のいい商品になっています。

領収書を整理・保管するときの注意点

最後に、法人や個人事業主が領収書を保管する際の注意点をまとめました。

重複する内容もありますが、非常に重要なことですので改めて確認しておきましょう。

感熱紙の保管には要注意

レシートの中には、感熱紙となっているものが少なくありません。

この感熱紙となっているレシートは、保管しているうちに文字が消えてみえなくなることがあるため、保管方法には注意を要します。

できるだけ光が当たらない場所に保管するとともに、印字部分を内側に折り曲げて保管したり、コピーをとっておくなどの対策をするようにしましょう。

電子帳簿保存には事前の届出が必要

前述したように、電子帳簿保存は、領収書の管理が楽になり場所も取らないため、利用者にとって大変メリットの大きな制度です。

しかし、税務署に届出を行わずに電子帳簿保存制度を利用することはできません

必ず事前に届出を行い、その承認を受けるようにしましょう。

税務署の承認がないまま勝手に電子化しても、帳簿を保存していることにならないため、注意が必要です。

まとめ

納税者にとって、税金の計算は毎年必ず行わなければならないものです。

その税金計算を少しでも楽にするために、日々の作業を効率的に行う必要があります。

領収書を入手したら、仕訳を作成し、その整理を行って保管しておくようにしましょう。

仕訳処理を間違えると税額を余分に支払い、あるいは修正申告の原因となる可能性があるので、ため込まないことが重要です。

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