最終更新日:2025/12/2
取締役の辞任届とは?雛形と書き方を徹底解説!

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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この記事でわかること
- 取締役の辞任届の基本知識
- 雛形の入手方法
- 辞任届を書く際のポイント
取締役が任期の途中で取締役の職を辞任する場合には、取締役の辞任届の提出が必要です。
辞任届は単なる意思表示のための社内文書ではなく、法務局での登記変更に必要な書類でもあるため正しく作成しなければなりません。
取締役の辞任届が必要なのはどのようなときなのか、辞任と退任・解任は何が違うのかといった会社の組織に関する基本的な知識をまず知っておきましょう。これらを理解していないと、思わぬトラブルを招く可能性もあります。
この記事では、取締役の辞任届に関する基本知識から、雛形の活用法、書き方の注意点、登記における扱いなどをわかりやすく解説します。


取締役の辞任届の雛形
取締役の辞任届は、自分でゼロから作成することもできますが、雛形を参考に作る方が簡単です。
取締役の辞任届は法務局への登記申請書類の1つとして利用されるため、記載の誤りや抜け漏れ、使用する印鑑の種類にミスがあると手続きに支障を来しかねません。
取締役の辞任届はシンプルな文書ではありますが、会社の役員に関する重要な意思表示を記録するものです。
公的機関や専門家監修のものを使用する
取締役の辞任届の雛形はインターネット上にいくつか公開されています。参考にする際には、信頼できるサイトのものを利用しましょう。
最も安心できるのは、法務局や公証人などの公的機関が公開している雛形を利用することです。また、弁護士や司法書士など専門家が監修しているものも信頼性が高い雛形だといえます。
取締役の辞任届を自分で作成するときに雛形を利用すれば、記載事項の抜け漏れを防ぐことができ、必要な内容を網羅したものを作ることができます。
法務局の公式サイトからダウンロードできる
法務局の公式サイトでは、取締役の辞任届を含む会社変更登記に関する各種申請書や添付書類の雛形が公開されています。公的機関のものなので無料でダウンロードでき、誰でも利用できる標準的な形式となっていて便利です。
取締役の辞任届のような書類は、定められた形式が大きく変わることはほとんどありません。まずは法務局の雛形を基本にして作成するのが確実です。
取締役の辞任届を書くときのポイント
辞任届は単に自らの退職の意思表示というだけでなく、変更登記でも利用する書類です。
ここでは、自分で取締役の辞任届を作成する際に特に注意すべきポイントを解説します。取締役の辞任届は、雛形を利用する場合でも自分用に編集する必要があり、自身の署名や押印をする正式な文書です。慎重に作成しましょう。
タイトルは「辞任届」
取締役の辞任届のタイトルについて法律で定められたルールはありません。シンプルに「辞任届」と記載するのが一般的です。
少々細かい点ですが、取締役は会社に雇用されている従業員ではないため、「退職届」や「退職願」といった表現は適切ではありません。実務上、取締役の辞任を示す書面は「辞任届」と明記することで、ひと目で内容がわかります。
作成方法については、手書きでもパソコン作成でも問題ありません。
ただし、手書きの場合は鉛筆ではなくボールペンや万年筆を使用します。書き間違えた場合、修正液の使用は避けるべきです。WordやPDFで作成したものを印刷して署名押印する方法も広く用いられています。
取締役の辞任届の記載事項
取締役の辞任届を作成するときには、以下の項目を記入しましょう。
- 会社名
- 作成年月日
- 辞任の意思
- 辞任する日付
- 氏名と住所
- 押印
まず、宛名に会社名を記入します。取締役の辞任届は重要な書類であるため、ここでは会社名を略さずに正式名称で書くことをおすすめします。
続いて、取締役の辞任届を書いた日付を記入します。西暦でも和暦でも構いませんが、書類を作った日を明確にするために記載します。辞任の意思を示したのはいつかはとても大切な記載事項です。
次に、辞任の意思を簡単な文章にします。この欄で、辞任する理由について多く語る必要はありません。
内容の一例としては「一身上の都合により、~年◯月◯日をもって貴社の取締役を辞任いたします」といった短い文章で十分です。大切なのは、ここで辞任の意思をはっきり示すことです。
次に、辞任する日付を明記します。書類を作成した日と辞任する日は別の日となるケースもあるため、必ず辞任する日付が必要です。これは、会社が取締役の登記変更をする期限(後述)に関する重要な情報となります。
最後に、自分の住所と氏名を記載して押印します。
取締役の辞任届で使用する印鑑は、取締役の場合は実印である必要はなく、認印を使用しても構いません。
代表取締役の辞任届の記載事項
代表取締役が辞任する場合の辞任届も、基本的な記載事項は取締役と同じです。
宛名や作成年月日、辞任の意思などを明記し、最後に押印すれば問題ありません。
違いとしては、取締役と記載する箇所が代表取締役に変わる点があります。
また、代表取締役の場合、押印する印鑑は必ず実印でなければなりません。
印鑑の種類の違いに注意
取締役でも代表取締役でも、任期の途中で辞任する場合は辞任届を書く必要があります。記載事項に大きな違いはありませんが、印鑑の種類が異なるため注意しましょう。
- 取締役:認印でも実印でも可
- 代表取締役:登記所に届け出た実印が必須
間違えやすいポイントなので、しっかり確認しておきましょう。
記入漏れに注意する
辞任届は一見シンプルな文書ですが、記載漏れには注意しましょう。 特に住所や辞任日の未記載や誤記はよくあるミスです。辞任日は会社が行う変更登記の申請期限にも関わるため必ず記載してください。
辞任届は本人の意思表示を示すとても大切な書面となるため、雛形に沿ってすべての記載項目を埋め、署名押印の有無を必ず確認することが重要です。
取締役の辞任届とは?
取締役の辞任届は、取締役が自らの意思で役職を辞めることを正式に表明する文書です。
取締役は会社の意思決定や経営に関わる重要な役割を担うため、その地位を離れる場合には口頭の意思表示だけでは不十分です。書面で辞任の意思を示し、会社がそれを受け取ることは非常に重要な手続きとなります。
取締役の辞任届は、形式的な文書ではなく「辞任の証拠」として機能しているのです。
任期の途中で取締役を辞任するときに必要
取締役が任期の途中で辞任する場合、必ず取締役の辞任届を提出する必要があります。
法律上は口頭の意思表示でも辞任は成立するとされていますが、会社が行う登記変更は、取締役の辞任届がなければ申請が進められません。取締役の辞任届は必ず作成しなければならないのです。
取締役は、会社の意思決定など重要な責任を負っており、対外的にも影響力があります。そのため、任期の途中で取締役を辞するときには、取締役の辞任届を提出して「いつ辞めるのか」を書面で明確にする必要があるのです。
現在、取締役の職に就いていて、近い将来に辞任を考えている場合は、事前に雛形を確認しておくとよいでしょう。
任期満了の場合は不要
取締役が定款で定められた任期を満了した場合、辞任ではなく「退任」となるため、辞任届は不要です。
この場合、任期満了という事実によって取締役の地位が終了します。辞任届が必要なのは、任期満了以外の事情や自己都合により任期途中で職を辞するケースです。
法務局に提出する必要がある
取締役は会社法上の役員であるため、法務局で登記が必要です。
ここでは法務局での手続きに必要な書類をご紹介します。ただし、この登記は会社が行う手続きであって、辞任する取締役本人が行うものではありません。
取締役が変更になったら登記が必要
取締役の変更があった場合、会社は必ず変更登記をしなければなりません。会社法上の役員として取締役の登記が義務づけられているためです。
登記の変更に必要な書類は、変更登記申請書、辞任届、委任状などです。
取締役の辞任届がないと必要な変更登記ができないため、辞任する場合は会社から「辞任届を提出してほしい」との要請があるはずです。
会社法 第九百九条
第九百九条 この法律の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記又は消滅の登記をしなければならない。
引用元 e-Gov 法令検索
登記懈怠になると罰則がある
登記された事項に変更があった場合は、必ず変更登記を行います。これは会社がしなければならない手続きですが、申請期限は変更から2週間と定められています。
この2週間は、取締役の辞任の場合は「取締役の職を辞した日」からスタートします。
会社が必要な登記を怠ると、会社の代表者に対して100万円以下の過料が科される可能性があります。
さらに、変更登記がされていない状態では、辞任したはずの取締役が登記簿上は役員として残ってしまうため、対外的な契約や取引において混乱を招くおそれもあります。
会社法 第九百七十六条 第一号
第九百七十六条 発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第九百六十条第一項第五号に規定する一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第二項第三号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第九百六十七条第一項第三号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、社債管理補助者、事務を承継する社債管理補助者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。引用元 e-Gov 法令検索
取締役の辞任と解任の違い
取締役がその地位から退く形式には「辞任」「解任」「退任」があります。
言葉は似ていますが、手続きや効力、会社や本人に与える影響は大きく異なります。違いを正しく理解することは、役員自身にとってはもちろん、会社を円滑に運営していくうえでも不可欠です。
ここでは、それぞれの意味合いと違いを解説します。
辞任は自ら職を辞すること
「辞任」とは、任期の途中で取締役本人の意思によって職を辞することを指します。
任期の途中であっても、本人が辞任届を提出すれば辞任することができます。そして、会社側がこれを法的に拒否することはできません。辞任は本人の自由意思によるものであるため、会社は異議を唱えることができないのです。
ただし、会社法上の規定や定款の定めによっては、辞任の効力が発生するタイミングや手続きに注意が必要です。
株主総会直前の辞任や、後任の取締役が選任される前の辞任などの場合、会社の経営体制に大きな影響を与えることも多いため、辞任のタイミングなどについて会社から「調整してほしい」と相談される可能性はあります。
解任は株主総会の決議によるもの
「解任」は、株主総会の決議によって会社が一方的に取締役を役職から外すことです。
取締役などの役員は、会社の所有者である株主から経営を委任されている立場にあります。株主が「経営を任せるのにふさわしくない」と判断した場合には、本人の意思に関わらず解任が可能です。
解任の決議は、株主総会の普通決議となります。
- 議決権の過半数を有する株主の出席
- 出席した株主の議決権の過半数の賛成
上記の条件を満たしていれば、取締役を本人の意思とは関係なく解任できます。ただし解任にはリスクがあるため注意が必要です。
会社法 第三百三十九条
第三百三十九条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。引用元 e-Gov 法令検索
会社が取締役を解任するときにはリスクがある
前述のとおり、株主総会での正式な手続きを踏めば取締役を任期の途中で「解任」することができます。
解任の理由は、不祥事や会社上層部の人間関係などが多く、その場合は取締役が自ら辞任届を提出せずに「解任」される形となるわけです。
もちろん取締役の解任そのものは適法な行為ですが、会社側にはリスクがあります。
役員は会社から「役員報酬」を受け取っています。取締役を株主総会で解任した場合は、取締役は残りの任期の役員報酬を請求できるケースがあるのです。
たとえば、任期10年の取締役を1年で解任したとします。解任された取締役は「残りの9年分の役員報酬を支払ってください」と会社に請求できることになります。
ただし、解任に関して正当な理由がある場合などはこれにあたらないという判例もあります。
参考:会社法339条2項の「正当な理由」に関する主張の整理|裁判所
取締役と任期について
取締役には任期が定められています。
会社法上、取締役の任期は原則2年で、非公開会社なら定款で10年まで延長可能です。在任中の取締役は、会社の経営に関わる重要な責任を負います。
取締役の任期は、辞任を選ぶか退任を選ぶかの基準にもなるため、把握しておきましょう。
会社法 第三百三十二条
第三百三十二条 取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
引用元 e-Gov 法令検索
取締役は任期の途中でも辞任できる
取締役は、自分の意思でいつでも辞任できます。任期の途中であっても辞任届を提出して辞任が可能です。辞任の理由にも制限はなく、個人的な理由でも構いません。また、会社に「辞任を拒否する」という権限はありません。
もちろん、事情によっては会社側から引き止められることはあるかもしれません。
ただ、それはあくまで社内的な交渉や打診であって「取締役だから辞任できない」「任期の途中で辞任はできない」といった決まりはありません。就任時に「任期満了まで役割を果たします」と公言していたとしても辞任は可能です。
取締役の辞任に関する規定は会社法にはありません。一方、民法には委任契約に関して「本人の意思表示で解除できる」という旨が規定されています。
取締役は、従業員のような雇用契約ではなく委任契約で任務を果たします。委任契約の解除は自由というのが原則なので、本人が「辞任します」と意思表示すればよいということです。
民法 第六百五十一条
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。引用元 e-Gov 法令検索
取締役の辞任届は自らの意思を示す重要書類
取締役の辞任届は、会社運営において極めて重要な意味を持つ文書です。
取締役本人が自らの意思で職を辞する際には、口頭での意思表示でも法律上は成立します。とはいえ、辞任届は変更登記で必要になり、契約を終了するという法的にも重要な意味を持つため、必ず文書として残すことが求められます。
取締役という重要なポストを退くための書類なので、慎重に作成しましょう。
自分で辞任届を作成することもできますが、記載内容には一定の型があるため、作成する際には信頼できるサイトの雛形を利用すると安心です。


















