相続が発生した場合、相続人の一人から用意して欲しい書類を依頼されることがあると思います。
その中でも印鑑証明書を依頼された場合、どういった手続きに印鑑証明書が必要になってくるのか疑問に思ったことはありませんか?
印鑑証明書は取り扱いに慎重な方も多くいらっしゃると思いますし、どういった形で使用されるのか知ることが出来れば安心出来ますよね。
今回は相続の手続きにおいて、印鑑証明書が必要になるパターンをいくつかご紹介したいと思います。
目次
そもそも印鑑証明書ってなに?
本題に入る前に印鑑証明書について簡単にご説明します。
印鑑証明書が必要になる機会は少ないと思いますので、意外と知らない方もいるかも知れません。
印鑑証明書とは、主に不動産や自動車の売買、公正証書を作成したりする時に使われ、登録印鑑が地方公共団体に登録されているものであることを証明するためのものです。
地方公共団体により、「本人が登録した印鑑」であることが証明されますので、それはつまり、信頼できる第三者が本人の印鑑の正当性を保証していることを意味します。
使われ方次第では、印鑑偽造などの事件につながるような危険性もあり、慎重な取り扱いが必要な書類なのです。
印鑑証明書が必要になる4つのケース
複数の相続人がいる場合の遺産分割協議時
遺産分割協議書を作成するときには、相続人全員の印鑑証明書の提出と、実印での押印が必要となります。
したがって、このケースでは印鑑証明書が必要になりますので、相続人の一人より印鑑証明書の依頼が来る可能性があります。
印鑑の偽造の可能性もゼロではないので、どうしても慎重に行いたい方は遺産分割協議書の押印が終わってから渡すと良いでしょう。
なお、相続人が1人のときはすべての財産を相続することになり、遺産分割をする必要がないため遺産分割協議書の作成も印鑑証明書も不要になります。
相続なら印鑑証明書は1通でOK
相続時に多くの申請先に印鑑証明を提出する必要が発生しますが、印鑑証明書は1通で対応可能です。
理由として、申請先の多くで「原本還付」を行っているからです。
1度提出した原本は返却される仕組みのため、1通を使い回して利用可能です。
不動産の所有者名義を変える場合
原則として、不動産の所有者の名義を変える相続登記を行うときには印鑑証明書が必要になります。
その際は、不動産を引き継ぐ相続人だけでなく、相続人全員の印鑑証明書が必要となります。
なお、相続人が1人の場合、遺言書がある場合、調停調書・審判書がある場合には例外的に印鑑証明書が不要となります。
相続登記における必要書類(印鑑証明書含む)は原則として原本還付が可能ですので、他の手続きで必要な書類があった場合には原本還付で申請し再利用すると良いでしょう。
金融機関、証券会社で払い戻し手続きをする場合
どういった方法により財産の分配を行ったかによっておおまかに3つのパターンがあります。
1 遺言書がある、または、相続人が1人の場合
- 預金を相続する方の印鑑証明書
2 遺産分割協議書がある場合
- 相続人全員の印鑑証明書
3 家庭裁判所による調停調書、審判書がある場合
- 預金を相続する方の印鑑証明書
詳細な取り扱いについては該当の金融機関に問い合わせが必要なってきますが、印鑑証明書の有効期限は取得後3か月以内となっています。
取得の際には期限切れがないよう、ある程度の段階で取得が望ましいです。
相続税の申告を行う場合
相続人が複数人おり、遺産分割協議を行う場合は相続人全員の印鑑証明書が必須となります。
なお、相続人が1人のとき、遺言書がある時には遺産分割協議時と同様に印鑑証明書は不要となります。
また、原本還付については法務局とは異なり、税務署に提出する印鑑証明書は原本の還付をしてもらうことができないため、税務署提出分を別途用意する必要があります。
印鑑証明書の取得方法
印鑑証明書を取得するには2通りの方法があります。
役所
市区町村の窓口で取得可能です。
取得する際は、印鑑登録時に発行される印鑑登録証(印鑑登録カード)が必要になるため、忘れないようにしましょう。
なお、印鑑証明書を代理人が取得する場合でも原則委任状は不要です。
コンビニ(費用・手続き方法・注意点を紹介)
コンビニでも取得できます。
ただしマイナンバーカードによる公的書類の発行が可能な市区町村だけに限りますので、まずは自身の地域が発行可能かネット検索してみてください。
コンビニ発行ができる場合は、年末年始を除きAM6:30~PM11:00まで取得可能なため忙しい方でも安心して取得できます。
印鑑証明書の発行費用
印鑑証明書の発行費用は、一般的には450円に設定されています。
ただし、地域により実際の発行費用は200~450円でまちまちのため、住んでいるエリアの料金は調べてみてください。
印鑑証明書の有効期限
印鑑証明書を提出する際は、有効期限にも注意しましょう。
提出先により、発行日から何カ月以内の書類でないと受付不可に設定されていることが多いです。
一般的には3か月以内か6カ月以内に設定されています。
印鑑登録をしていない場合の登録方法
登録する印鑑は偽造などを防ぐため、三文判以外のものが適しています。
印鑑登録は、意思能力を有する15歳以上の方から行うことが可能です。
印鑑登録手続きは、住所地を管轄する役所で行います。
印鑑登録手続きには、印鑑を登録する本人が以下のものを用意し、役所にて手続きを行います。
- 登録する印鑑(サイズなどによって登録できない印鑑もありますので、予めお住いの役所のホームページなどでご確認ください。)
- 本人確認資料(免許証やパスポートなど写真付きのもの)
印鑑を紛失してしまったら?
仮に実印を紛失してしまった場合は、印鑑登録の廃止と新しい印鑑の登録が必要です。
すでに登録している印鑑を別の印鑑に代えることはできず、廃止と再登録をしなければなりません。
印鑑登録の廃止には、以下のものが必要です。
- ・認印
- ・印鑑登録証(印鑑登録カード)
- ・本人確認書類
印鑑の再登録は、紛失の証明書などは不要で通常の印鑑登録の手続きと変わりません。
本人確認書類と実印登録する印鑑のみで手続き可能です。
もし印鑑証明書の提出を拒否されたら?
印鑑証明書の提出を拒む相続人がいる場合、遺産分割調停を申し立てる必要があります。
申立て後、調停がまとまった場合や裁判所の審判が下された場合、裁判所から超低調書や審判書が発行されます。
書類が発行された時は、相手方の印鑑証明がなくとも手続きを進められます。
最後に
印鑑証明書という機会の少ない提出書類の、相続時における手続きで必要になるパターンをお伝えしました。
遺産分割協議作成の際に一貫して必要となる書類でもありますので、下記参考となる相談窓口もぜひ参考にして頂けたらと思います。
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