この記事でわかること
- 相続税申告の際に過去にさかのぼって通帳が必要なことがわかる
- 相続税申告に過去の通帳を提出しなければならない理由がわかる
- 通帳以外に預貯金に関する書類として必要なものを知ることができる
相続税申告を行う際には、相続財産の金額を証明するために、様々な書類を提出しなければなりません。
相続財産となる預貯金の額は基本的に亡くなった日の残高ですが、実はそれだけでは相続税の計算はできません。
預貯金が相続財産となる場合は、過去の通帳でその動きを確認しておく必要があるためです。
何年前までさかのぼる必要があるのか、また通帳以外に必要なものはないのか、解説していきます。
目次
相続税申告では何年分の通帳の提出が必要?
相続財産になるものの代表例は、土地や建物などの不動産、預貯金や有価証券などの金融資産です。
相続税の申告を行う場合、亡くなった日に保有している相続財産の金額をすべて合計し、相続税額を計算します。
このうち預貯金については、亡くなった日の残高が通帳で簡単に確認できるため、評価額の計算は最も簡単です。
ただ、預貯金自体の評価額とは別に、預貯金の動きで注意しなければならないことがあります。
その理由については後ほど説明しますが、用意しなければならない預金通帳は以下のとおりです。
預貯金の種類
普通預金や定期預金など、被相続人のすべての預貯金が必要です。
複数の金融機関と取引がある場合は、その全てを準備しなければなりません。
誰の通帳が必要か
実は、被相続人だけでなく相続人の通帳が必要になる場合もあります。
詳しくは後ほど説明しますが、被相続人から相続人へのお金の動きを明らかにする必要があるためです。
また、預金通帳の名義が相続人であっても、その中身は被相続人のものであると考えられる場合もあるためです。
何年分必要か
少なくとも相続発生前3年分の預貯金は必要となります。
場合によっては5年、あるいはそれ以上古い通帳も必要となるため、準備しておく必要があります。
相続税申告で通帳の提出が必要な理由
それでは、なぜ相続税申告の際に通帳の提出が求められるのか、その理由をご紹介します。
いくつかの理由があり、すべてに該当するケースは少ないかもしれませんが、いずれかに該当しているケースは多いでしょう。
被相続人から相続人へ贈与が行われているか調べる
被相続人が亡くなって相続が発生すると、その亡くなった日時点の預金残高が相続財産となります。
ただ、これとは別に、相続が発生した日以前3年以内に行われた贈与について、相続財産とすることが定められています。
そのため、少なくとも3年間の通帳から、贈与が行われているかどうかを確認する必要があります。
相続が発生しそうな状況にある場合に少しでも相続税の額を減らそうと、預貯金を贈与しておくことが考えられます。
こうすれば、相続が発生した時点での預貯金残高を減らすことができるからです。
しかし、このような相続税逃れを防ぐため、相続発生前3年間に行われた贈与については、相続財産に含めることとされています。
過去に贈与を行い、贈与税の申告を行っている場合は、税務署もその内容を把握しています。
しかし、贈与税の基礎控除内での贈与が行われた場合は、過去の贈与について税務署では把握できないこととなります。
そこで、通帳の提出を求め、預貯金を通した贈与が行われていないかを確認することになっています。
なお、前述したように過去に贈与税の申告を行い、贈与税を支払っている場合もあります。
このような場合には、過去に支払った贈与税額は、相続税額から控除するものとされています。
名義預金がないかを調べる
名義預金とは、預貯金の口座の名義人は相続人となっているものの、その実態は被相続人のものである預貯金のことです。
その口座を作った経緯や、その後の口座の管理状況を確認することで、名義預金かどうかを確認することができます。
相続人の預貯金まで確認する必要があるのは、この名義預金に該当するかどうかを調べるためです。
被相続人が自身の判断で配偶者や子どもの名義の口座を作り、そこに自身のお金を入金するというケースがあります。
しかし、名義預金と判断されればその名義人に関係なく、相続財産として相続税の対象となります。
相続税申告時に通帳以外に必要な書類
相続税申告の際に、預貯金の額がいくらになるかを証明する書類は、通帳だけではありません。
具体的にどのような書類があるのかをご紹介しますので、相続が発生した際には準備しておきましょう。
残高証明書
残高証明書は、特定の日において預貯金がいくらあるのかを証明するための書類です。
金融機関に依頼すれば、相続が発生した日における預貯金の残高を記載した残高証明書を発行してもらうことができます。
残高証明書が特に必要となるのは、定期預金など利息が発生する預貯金です。
口座の残高は通帳を見ればわかりますが、その後に通帳には入金されていない利息が発生していることがあります。
このような経過利息の額がないかを確認するためには、残高証明書が必要不可欠となります。
取引履歴明細書
被相続人・相続人ともに、手元に古い通帳が残っているとは限りません。
5年前、10年前から途切れずに通帳が保管されていることの方が、珍しいかもしれません。
この場合、通帳を提出しようにも、その通帳がないという状態になってしまうでしょう。
そこで、金融機関に取引履歴明細書を発行してもらいましょう。
取引履歴明細書を見れば、通帳と同じく、いつ、どれだけの金額が誰に対して支払われたかがわかります。
また、誰から入金があったかを確認することができます。
古い通帳がないからという理由で、過去の取引を見逃してもらうことはできません。
そのため、取引履歴明細書を入手して、取引の内容を確認しておく必要があります。
まとめ
相続財産となるものとして真っ先に名前があがるのが、預貯金です。
預貯金は比較的簡単に動かすことができるため、相続対策に利用しやすい財産と言えます。
ただ、生前贈与などを行っても、時期によっては相続税の申告に含めなければならない金額が発生することがあります。
相続税申告の際に誤りやすいポイントであるため、申告を行う際には注意しましょう。
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