私の父は今年70歳になります。
元気な父を見ていると、まだ相続などを現実的に考えることもないのですが、父は元気なうちにいろいろしてやれることをやっておきたいと考えているようです。
そのような状況で、先日、突然父から現金100万円を受け取りました。
聞けば、子供である私に贈与すれば、その分相続税を減らすことができて相続対策になるし、贈与税が非課税になる110万円以内の贈与だから税金の問題もないとのことです。
はたして父の言っていることは正しいのか、私では判断ができず困っています。
現金の贈与が相続対策に有効だとわかれば、これからも贈与を受けることになると思いますが、ありがたいと思う反面、不安も感じています。
突然現金を贈与されたりすると、いくらお金を受け取っただけだとしても、いろいろと不安に感じることでしょう。
ただ、お父様のおっしゃっている内容は、おおむね間違っていません。
他に誰かから贈与を受けたりしていない限り、今回お父様からお金を受け取ったことで、税金の負担が生じることもありませんし、その結果相続対策にもなっているといえます。
ただ、現金を贈与する場合、他の財産を贈与する場合とは違いわかりにくいため、注意しなければならないことがあります。
現金を贈与するといっても、その直前に預金口座からお金を引き出していることがほとんどだと思いますが、引き出したお金をどのように使ったかが後から問題になることがあるのです。
1つ目は、贈与した直後に相続が発生した場合です。
相続が発生した場合、その相続から3年以内に行われた贈与については、贈与がなかったものとして相続税の計算を行う必要があるため、相続対策にはなりません。
相続が発生してから3年までの預金通帳の記録などをさかのぼって確認する必要があるため、あわてて贈与を行っても意味がない状況が考えられるのです。
2つ目は、贈与が遺産分割の際に揉める原因となる可能性があることです。
相続が発生した場合、遺言書にしたがって遺産を分けるか、法定相続人どうしで遺産分割協議を行って遺産を分けることとなります。
また、法定相続人の中には最低限の相続分である遺留分を保有する人もいます。
遺産をできるだけ平等に分けようとするのであれば、生前に行われた贈与を加味したうえで遺産を分割する必要があります。
こちらは10年以内に行われた生前贈与についてさかのぼる必要があるため、しっかりと記録を残しておかないと、後から相続人どうしで揉める原因となりかねません。
もしお父様から現金の贈与を受けるのであれば、「住宅取得等資金の贈与」など、贈与税の特例を利用した方がメリットがある場合もあるため、ぜひ贈与税の特例についても検討してみてください。
生前贈与で現金の手渡しは、不正なお金の授受と受取られかねません。
ここでは、なぜ現金の手渡しがNGであるのかを解説します。
生前贈与で「現金の手渡しなら税務署にバレない」と思う人は多いですが、これは間違いです。
実際には、多額の現金が動けば、現金の手渡しであっても税務調査で明らかになります。
贈与税の時効は6年ですが、生前贈与の隠蔽など悪質なケースでは7年です。
その間に、贈与者や受贈者に税務調査が入れば、お金の流れを詳細に調べ上げられます。
申告漏れの事実が発覚すると、処分が行われます。
現金の手渡しによる生前贈与が税務署の税務調査で明らかになった場合は、暦年課税制度により、贈与税を納めることになります。
しかし、被相続人が死亡する3年以内の贈与なら、相続税の対象のため相続税の申告や修正申告が必要です。
いずれにしても税金を納めることになります。
ただし、贈与の事実を申告していなかった場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティを受ける可能性が高くなります。
生前贈与などの贈与では、適切に申告すれば暦年課税制度の対象となります。
暦年課税制度とは、贈与が発生した年の1月1日から12月31日までの贈与合計から110万円までが非課税になる仕組みです。
この制度は1年限りではなく、毎年110万円の基礎控除を受けられるのがポイントです。
つまり、毎年110万円以下の財産贈与であれば非課税ということになります。
ただし、贈与は契約ですので、税務署に贈与の事実を証明する必要があります。
贈与税は、年間110万円以下であれば「暦年贈与」といって税金がかかりません。
生前贈与を行うときに、暦年贈与の範囲内で贈与していくのは有効な手法です。
しかし、毎年一定の金額を贈与し続けると、定期贈与とみなされるかもしれません。
自分では毎年110万円を暦年贈与しているつもりでも、定期預金として扱われると合計金額に対して課税されます。
例えば年間110万円を10年続けると、1,100万円の贈与になります。
暦年贈与であれば、毎年の贈与に対して税金はかかりません。
しかし定期贈与になると「最初から1100万円贈与するつもりで、10年に分割して贈与した」という扱いになります。
そのため合計金額の1,100万円に対して、控除額190万円を差し引いて40%の贈与税がかかり、結果的に364万円の税金を払わなければいけません。
定期贈与として扱われないためにも、贈与する金額や時期を毎年変えながら、生前贈与を行いましょう。
生前贈与は契約ですので、贈与者と受贈者が互いに合意して、贈与契約書を交わすことが望ましい形です。
また、贈与契約書がある場合でも、親族間で現金の手渡しをすれば「契約書の金額と実際の金額に差があるのでは」と疑われる可能性もあります。
したがって、生前贈与を現金で行う場合は、口座振込など証拠が残る方法で行いましょう。
他にも、贈与契約書以外に領収書を作成しするのも有効です。
贈与された現金を使わずに、そのまま金融機関の口座に預けるなどの対策を講じれば、贈与契約の証拠として役に立ちます。
贈与契約書作成の注意点は、贈与者と受贈者の氏名や住所を明記することです。
次に、贈与財産が何であるか、条件は何かと贈与方法を記載します。
現金の手渡しの場合は、金額と実際に手渡しされた日時なども明記しておくと良いでしょう。
贈与は、1年間の贈与が110万円を超えると贈与税が課税されますが、特例や制度を利用できれば110万円を超えても非課税となるケースがあります。
贈与税には「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」があります。
この制度の対象は、受贈者が20歳以上で50歳未満であり、贈与者は、直系尊属(父母や祖父母)に限られます。
この制度の要件を満たしていれば、最高1,000万円までの贈与が非課税となります。
1,000万円の中で結婚資金の非課税上限は300万円です。
この制度を利用する際には、金融機関の営業所などを経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出しなければなりません。
生前贈与には、教育についての贈与税軽減措置もあります。
「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」であり、定められた要件を満たせば、まとまった金額の贈与であっても非課税となります。
直系尊属からの贈与であり、受贈者が30歳未満の直系卑属への教育資金贈与に限りますが、1人あたり1,500万円までの贈与が非課税になります。
ただし、現金などを直接手渡しするのではなく、受贈者が開設した金融機関口座に入金する必要があります。
贈与税には、住宅取得資金についても現在措置があります。
「住宅取得資金の贈与の特例」であり、一定の要件を満たせば非課税枠が適用されます。
主な要件は、直系尊属から直系卑属に対する贈与であり、受贈者が贈与を受けた年の1月1日に20歳以上であることです。
他にもいくつかの要件がありますので、贈与前に専門家や税務署などに確認することをおすすめします。
住宅取得資金の非課税枠につては、住宅の性能や契約の締結日によって控除の上限が異なります。
省エネ等の住宅では、控除額が高く省エネ住宅以外では控除額が低い傾向となっているので注意しましょう。
契約時の消費税額にもよりますが、300万円から最高3,000万円までの控除を受けられます。
贈与が成立した日から3年以内に贈与人が死亡すると、贈与は無効となり、贈与された財産は相続財産とみなされます。
つまり、相続税の申告財産に含まれることになるのです。
しかし、相続税の基礎控除額は、贈与税の基礎控除よりも多いです。
そのため、遺産総額によっては、贈与税が還付される可能性もあります。
相続税も正しく申告するようにしましょう。
相続税対策として、計画的に生前贈与を行う場合は、贈与人の体調などを考慮して、早めに行動に移すと安心です。
「生前贈与したいけど、相続税で損をしたくない」と思っている人は、税理士への相談がおすすめです。
ここからは、税理士に相談するメリットを紹介します。
生前贈与をうまく活用するには、法的な専門知識が必要です。
生前贈与だけではなく、相続時の税金についても計算して、そのうえで適切な方法を選ばなければいけません。
法的な専門知識がない状態で判断してしまうと、結果的に高い税金を払うことになるかもしれません。
そこで税理士に相談すれば、財産・贈与する側・受ける側の状況を見ながら、適切な方法を教えてくれます。
贈与税・相続税は非課税枠を大きく増やせるようなテクニックもあります。
専門家である税理士に相談して適切な方法を選択すれば、高い税金を払って損することもないでしょう。
生前贈与では非課税枠が増える仕組みもありますが、手続きが必要になります。
手続きは自分で書類を準備して、税務署に提出しなければいけません。
もし間違っていたり手続きの期限を過ぎてしまうと、非課税枠が増やせない可能性もあります。
そこで専門家に依頼すれば、面倒な手続きを任せられます。
自分は最低限の手続きだけすればいいので、期限を過ぎてしまうような心配もありません。
「税理士に依頼したいけど、費用が気になる」という人もいるでしょう。
費用が気になる人は、初回の無料相談がおすすめです。
無料相談の範囲内なら、依頼費用は発生しないので、気軽に相談できます。
無料相談を使ってみて、実際の依頼費用を確認したり、依頼したらどういうことをやってくれるのかをチェックしてみましょう。
無料相談の範囲内でキャンセルすれば、費用もかかりません。
生前贈与において、現金の手渡しはリスクが大きいため避けるほうが無難です。
また、贈与税には、多種多様な軽減措置が設けられています。
これらを上手に利用して、節税できるところはしっかりと節税しましょう。
贈与税の仕組みや軽減措置と相続税の仕組みや計算方法、軽減措置は複雑です。
そのため、専門家でなければ分からないケースも多くあります。
適切な税金対策で迷っているなら、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
日本最大級の実績とノウハウで、あなたにとって一番有利な相続アドバイスを致します。気軽なご質問だけでも構いません。
ご自身で調べる前に、無料相談で相続の悩みを解決して下さい。 [親切丁寧な対応をお約束します]
相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門) 代表税理士。
昭和50年生まれ、東京都浅草出身。
相続は時間もかかり、精神や力も使います。私たちは、お客様の心理的な負担や体力的な負担を最小にして、少しでも早く落ち着いた日常に戻れるように全力でお手伝いします。
プロフィール
相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。
昭和56年生まれ、神奈川県出身。
相続税の仕事に携わって13年。相続税が最も安く、かつ、税務署に指摘されない申告が出来るよう、知識と経験を総動員してお手伝いさせていただきます。
プロフィール
相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。
昭和55年うまれ、大阪府出身。
大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
プロフィール
相続サポートセンター(ベンチャーサポート行政書士法人)代表行政書士。
昭和55年生まれ、山形県出身。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。
プロフィール
相続サポートセンター(ベンチャーサポート司法書士法人)司法書士。
昭和62年生まれ、香川県出身。
相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。
プロフィール
相続サポートセンター(弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所 相続部門)弁護士。
新潟県出身。
相続問題は複雑なケースが多く、状況を慎重にお聞きし、相続人様のご要望の実現、相続人様に合ったよりよい解決法をアドバイスさせていただくようにしています。
プロフィール
ベンチャーサポート相続税理士法人 税理士。
相続は、近しい大切な方が亡くなるという大きな喪失感の中、悲しむ間もなく葬儀の手配から公共料金の引き落とし口座の変更といった、いくつもの作業が降りかかってきます。おひとりで悩まず、ぜひ、私たちに話してください。負担を最小限に、いち早く日常の生活に戻れるようサポート致します。
プロフィール