記事の要約
- 遺産分割協議書の主な提出先は、「税務署・法務局・金融機関・運輸支局」の4か所
- 手続きをする際は「原本還付」という制度があるため、遺産分割協議書は「相続人の数」だけ用意しておけば構わない
- 「遺言書」があるケースなどでは、そもそも遺産分割協議書の作成は不要
遺産分割協議書の主な提出先は、以下の4つの機関です。
- 税務署(相続税の申告)
- 法務局(不動産の名義変更)
- 金融機関(預貯金・株式などの手続き)
- 運輸支局(自動車の名義変更)
この記事では、それぞれの提出先での手続きの詳細と、用意しておくべき遺産分割協議書の部数などをお伝えします。
なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。相続手続きでわからないことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。
目次
遺産分割協議書の主な提出先

遺産分割協議書が必要になるのは、主に以下の機関で相続関係の手続きをするときです。
ここでは、それぞれの機関で行う手続きについて、詳しく見ていきます。
提出先1:税務署(相続税の申告)

税務署で「相続税の申告」をする際、下記のような制度を利用する場合は、遺産分割協議書の提出を求められます。
このとき、提出する遺産分割協議書は「写し」で構いません。
相続税の申告・納付の期限は、「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」のため、間に合うように手続きを進めましょう。
なお、そもそも相続税の申告が必要かどうかの判断方法は、下記の記事で詳しくお伝えしています。
提出先2:法務局(不動産の名義変更)

故人が土地や家屋を所有していた場合は、法務局で「不動産の名義変更(相続登記)」の手続きが必要です。
この手続きをする際は、遺産分割協議書の「原本」の提出を求められます。
例外
相続登記の手続き期限は、「自分が相続によってその不動産を取得することを知った日から3年以内」です。
提出先3:金融機関(預貯金・株式などの手続き)

銀行・証券会社などの金融機関で、次のような手続きをする際には、遺産分割協議書が必要です。
- 銀行や信用金庫:預金口座の解約・払い戻し
- 証券会社:株式・投資信託の名義変更
ただし、これらの手続きでは「相続手続依頼書」や「相続届」といった書類が、遺産分割協議書の代わりになることも多いです。
金融機関が指定する様式に、相続人全員が署名・押印をすることで、遺産分割協議書なしで手続きを進められます。
金融機関での手続きに期限はありませんが、完了するまで預貯金の引き出しなどに制限がかかるため、なるべく早めに取りかかるようにしましょう。
提出先4:運輸支局(自動車の名義変更)

運輸支局で行う、故人が所有していた「(普通)自動車」の名義変更の手続きでも、遺産分割協議書は必要です。
参考
ただし、自動車の査定額が100万円以下の場合は、遺産分割協議書の代わりに「遺産分割協議成立申立書」という書類を使えます。
この遺産分割協議成立申立書には、相続人全員が押印する必要がなく、手続きする人の署名・押印のみで手続きを進められます。
自動車の名義変更の期限は、「所有者に変更があった日から15日以内」です。
ただし、相続の場合は「誰が自動車を相続するのか」が決まるまで手続きができないという事情があるため、実務上は柔軟に対応されることがほとんどです。
遺産分割協議が完了しだい、速やかに手続きするようにしましょう。
ワンポイント
遺産分割協議書は「何通」用意すればいい?

ここまで見てきたように、相続手続きで遺産分割協議書が必要なときは、「原本」の提出を求められることが多いです。
補足
それでは、「必要な手続きの数」と同じ部数の遺産分割協議書を作成しなければならないかというと、そうではありません。
基本的に、遺産分割協議書は「相続人の人数分」だけあれば十分です。
たとえば、相続人が3人であれば「3通」作成し、それぞれが1通ずつ保管します。手続きをする際は、そのうちの1通を持ち出して使用すれば問題ありません。
多くの相続手続きには「原本還付」という制度があり、提出した原本を後で返却してもらえます。

原本還付の手続き
具体的な手続きの流れは、窓口によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ただし、提出先によっては、原本を返されるのが当日ではなく、後日になるケースもあります。
その場合、一時的に遺産分割協議書が手元にない状態になるため、不安であれば予備として「手続き用の1通」を作っておくと便利です。

また、期限の関係などで、同時に複数の手続きを進めたいときには、その分だけ遺産分割協議書を追加で用意するのも一手です。
遺産分割協議書の提出が「不要なケース」

下記のケースに該当する場合には、相続手続きで遺産分割協議書の提出が不要となります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
ケース1:有効な遺言書がある
故人が有効な遺言書を残していた場合、原則として遺言の内容に従って遺産を分けます。
この場合、相続手続きには「遺言書」を使用するため、遺産分割協議書は不要です。
ケース2:相続人が1人しかいない
相続人が1人だけの場合、すべての財産をその人が引き継ぐことになります。
このため、相続手続きをする際に、遺産の分割方法を証明する「遺産分割協議書」は不要です。
ケース3:遺産分割調停が成立した
相続人同士で話し合いがまとまらず、家庭裁判所で「遺産分割調停」を行った場合、調停が成立すると「調停調書」という書類が作成されます。
相続手続きをする際は、この調停調書を使用するため、遺産分割協議書は不要です。
【参考】法定相続分どおりに分割するときは?
本来、遺産分割協議書は、遺産を法定相続分とは異なる分割方法にしたときに、「その分け方に相続人の全員が合意していること」を証明するために作る書類です。
このため理論上は、下記のようにすべての財産を法定相続分どおりに分割するのであれば、遺産分割協議書の作成は不要です。

ただし現実には、このような分け方をするケースはほとんどありません。
これは、不動産を共有名義にすると、売却するには共有者全員の合意が必要になるなど、取り扱いに制限がかかるからです。
そこで、下記のように「最終的な取得額」が、だいたい法定相続分と同じになるように分けられることが多いです。

このような分割方法にした場合には、遺産分割協議書の作成が必要となります。
相続手続きが大変に感じられたら、専門家を頼りましょう
この記事では、遺産分割協議書の提出先についてお伝えしました。
相続手続きを進めるうえでは、遺産分割協議書のほかにも、用意すべき書類が多数あります。
もし、ご自身1人で手続きをするのが大変に感じられたら、相続の専門家を頼ってみてはいかがでしょうか。
当事務所では、相続に関する相談を無料で受け付けておりますので、何かございましたら、お気軽にご連絡ください。



