記事の要約
- 孫が相続人になるケースは少ないので、財産を渡したい場合には生前の対策が必要
- 具体的な方法には「遺言書を書く・生前贈与する・養子縁組する・生命保険の受取人にする」の4つがある
- このうち、まずはもっとも手軽にできる「生前贈与」を検討するのがおすすめ
「かわいい孫に自分の財産を譲りたい」
このように考えていても、原則として孫は相続人にならないため、何もしなければ財産が直接渡ることはありません。
そこで、自分の意思で孫に財産を渡したい場合は、生前に対策することをおすすめします。
この記事では、孫に財産を渡すための具体的な対策として、次の4つを紹介します。
- 遺言書を書いて遺贈する
- 生前に贈与する
- 孫と養子縁組をする
- 生命保険の受取人にする
なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。なにかお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。
目次
▼孫に財産を渡す方法については、下記の動画でも解説しています
多くのケースで「孫」は相続人になれない

相続が発生したとき、「孫」が相続人になるケースは少ないです。
そもそも法律では、相続人の順位が以下のように決められています。

- 配偶者は、常に法定相続人となる
- 第1順位:子ども
- 第2順位:直系尊属(父母や祖父母など)
- 第3順位:兄弟姉妹
一般的に、孫が相続人になれるのは、第1順位の「子ども(孫の親)」がすでに亡くなっていて「代襲相続」が発生するときです※1。

ただし、この代襲相続は、予期せぬ不幸によって発生するものです。
そのため、「自分の意思」で孫に財産を渡したいのであれば、生前に対策をしておく必要があります。
- ※1
- このほか、「被相続人が孫と養子縁組をしていた場合」も法定相続人になる
孫に財産を渡すための生前対策

孫に財産を直接渡すために、ご自身の生前にできる対策は、次の4つです。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
対策1:遺言書を書いて遺贈する

1つ目の対策は、「遺言書」を書くことです。
遺言書に「孫に預貯金1,000万円を遺贈する」などと書き記すことで、指定した財産を孫に渡せます。
ただし、遺贈によって財産を受け取った孫は、相続税の額が1.2倍になる「2割加算」の対象となる点には注意が必要です※1。
また、遺言書に書いた遺産分割の方法が、ほかの相続人の「遺留分」を侵害していた場合、その人から孫に「遺留分侵害額請求」をされるおそれもあります。
遺言書の書き方や作成の際の注意点は、下記の記事でもお伝えしているので、併せてご確認ください。
- ※1
- 代襲相続で法定相続人になっているケースを除く
対策2:生前に贈与する

2つ目の対策は、「生前贈与」をすることです。
孫が1年間に受け取った財産の合計額が「110万円」以下であれば、贈与税はかかりません。
もし、年間110万円を超える金額を贈与したい場合には、「結婚・子育て資金の一括贈与」や「住宅取得等資金の贈与」などの特例を使うことで、贈与税が非課税になります。
孫への効果的な生前贈与や、実際に行う際の注意点は下記の記事でお伝えしているので、検討される方は併せてチェックしてみてください。
対策3:孫と養子縁組をする

3つ目の対策は、孫と養子縁組をして、戸籍上は「自分の子ども」にする方法です。
孫が「養子」になれば、相続順位は「実子」と同じになります。

これにより、当然の権利として遺産分割協議に参加し、財産を相続できるようになります。
また、法定相続人の数が増えることで、相続税の基礎控除額も増えるため、結果として税負担の軽減にもつながります。
計算式
財産を取得する権利は養子全員にありますが、上記の計算式の法定相続人に加えることのできる養子の人数には、次のような制限があります。
- 被相続人に実子がいる場合:1人まで
- 被相続人に実子がいない場合:2人まで
また、養子になった孫は、相続税の「2割加算」の対象になる点にも注意が必要です。
対策4:生命保険の受取人にする

4つ目の対策は、生命保険の契約をして、「孫」を受取人にする方法です。
保険金は遺産分割協議の対象外のため、相続人同士の話し合いを経ずに、保険会社から直接孫へ支払われます。
ただし、相続税の負担の面では、次の2つのデメリットがあります。
| デメリット | 概要 |
|---|---|
| 非課税枠が使えない |
■ 相続人なら使える「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が、相続人ではない孫には適用されない ■ そのため、受け取った保険金の全額が相続税の対象になる |
| 過去の「生前贈与」が持ち戻し対象になる |
■ 孫へ贈与しても孫が相続または遺贈で財産を取得しないなら「生前贈与加算(持ち戻し)」の対象外 ■ しかし、保険金を受け取ることで遺贈で財産を取得したとみなされ、生前贈与がある場合は持ち戻しが発生して、相続税の負担が発生する可能性がある(2割加算あり) |
まずは「生前贈与」から検討しよう

孫に財産を渡す方法はいくつかありますが、もっとも手軽なのは「生前贈与」です。
孫が1年間に受け取る金額が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も必要ありません。
やるべきことは「贈与契約書を作って、お金を振り込む」だけなので、誰でもすぐに実行できるのが生前贈与のメリットです。
一方で「遺言書の作成・養子縁組・生命保険」を実行する際には、次の点に注意が必要です。
| 方法 | 注意点 |
|---|---|
| 遺言書の作成・養子縁組 | 孫が代襲相続人ではない場合、かかる相続税が1.2倍になる(2割加算) |
| 生命保険 | 相続人ではない孫には「非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)」が適用されず、2割加算の対象にもなるため、税負担が重くなる可能性がある |
以上のことから、まずは「生前贈与」から検討することをおすすめします。
ただし、特定の孫に生前贈与をすると、「孫の親の兄弟(孫から見たおじ・おば)」が不満を覚えることがあります。
また、贈与した人が亡くなる1年前までに、相続人ではない孫に渡した財産は「遺留分」を算定する際の対象にもなることから、税理士のサポートを受けながら行うのが安全です。
当事務所では、生前贈与や相続に関する相談を無料で受け付けておりますので、下記からお気軽にご連絡ください。
孫への贈与に関するよくある質問
最後に、孫への贈与に関する、次の質問にお答えします。
Q1:孫の学費を払ってあげたいが、贈与税はかかる?
孫の学費を「必要な都度」、「必要な金額」を渡すのであれば、贈与税はかかりません。
これは、「扶養義務者」が教育費などを渡す際には、贈与税は課されないからです。
相続税法
第21条の3 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
1 法人からの贈与により取得した財産
2 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの
(後略)引用元 相続税法|e-Govポータル
祖父母は、孫に対して「扶養義務」があります。このため、必要な学費を渡しても贈与税はかかりません。
ただし、「将来の分もまとめて1,000万円渡す」といった場合には、贈与税の対象になるのでご注意ください。
Q2:孫に土地を遺贈すると、税金はどうなる?
遺言書によって孫に土地を遺贈すると、代襲相続人ではない孫の場合は2割加算があり、相続人ではない孫だと登録免許税と不動産取得税の負担が重くなります。
- 「相続税」が2割加算になる(代襲相続人の場合はなし)
- 「登録免許税」の税率が、相続で取得した場合より高くなる
- 相続で取得した場合には非課税の「不動産取得税」がかかる
このことから、孫への「土地」の遺贈は、慎重に検討するようにしましょう。
Q3:認知症になった後でも、孫への贈与はできる?
認知症などにより「意思能力(判断能力)」がなくなると、孫への贈与は無効となります。
そもそも、贈与は「あげます」「もらいます」という双方の合意によって成立する法的な契約です。
認知症を患って「契約に合意するための判断能力がない」場合、その贈与は無効となります。
また、成年後見制度を利用したとしても、後見人ができるのは「本人の財産を守る行為」に限られ、生前贈与のような「資産を減らす行為」は原則として認められません。
以上のことから、孫への贈与は、ご自身がお元気なうちに実行することが大切です。
トラブルを避けるには「コミュニケーション」が大切
この記事では、孫にご自身の財産を渡す方法をお伝えしました。
実際に孫に財産を渡す際は、相続人になる予定の親族から「将来、自分が受け取る財産が減ってしまうのではないか」と不満を持たれるおそれがあります。
そこで、無用な相続トラブルを回避するためには、「親族間でのコミュニケーション」が非常に重要です。
事前に「孫に財産を渡したい意図」を丁寧に説明しておくことで、ほかの親族に納得してもらいやすくなります。
当事務所では、円満に相続が進むためのサポートをしております。何かご不明・ご不安なことがあれば、お気軽にご連絡ください。初回の相談は、無料で承っております。



