この記事でわかること
- 相続税の計算方法
- 相続税額の早見表で概算の金額
- シミュレーションツールで概算の相続税額
将来的に相続が発生した場合、どれくらい相続税がかかるのか気になる方もいるのではないでしょうか?相続税額の概算だけでも知っておきたいという場合には、相続税額の早見表やシミュレーションツールを活用するのがおすすめです。
具体的な相続税の計算方法を知っておけば、いざという時のための現預金の準備ができたり、生活の判断をする際に節税を考慮して動けたりするといったメリットがあります。
本記事では、相続税の計算方法を4つのステップで簡単に解説します。相続税額の概算がわかる相続税の早見表やシミュレーションツールもあるため、ぜひ参考にしてください。
目次
最新版【相続税の計算方法】事例でわかりやすく解説します!
相続税とは何か
相続とは、ある人が亡くなった際、その人の金銭や土地といった財産(全ての権利や義務)を配偶者や子どもなどの人物(相続人)が引き継ぐことです。
相続税は相続人が財産を受け継いだ際、該当する財産にかかる税金のことを指します。相続税は相続が発生した際、必ずしもかかるとは限りません。
相続した財産の総額から負債(借金など)や葬儀費用などを差し引いた金額が、定められた基礎控除額を超えた場合、相続税の申告・納付義務が生じます。
相続税がかかる人とは(相続人の範囲と種類)
亡くなった人の財産を相続できる人物は民法で定められており、その人の配偶者をはじめ、子や父母、兄弟姉妹などの親族が原則です。
また、亡くなった人との関係性に応じて、相続の優先順位は決められています。配偶者は必ず法定相続人となり、あわせて子などが第1順位、親などが第2順位となります。
より上位の親族がいる場合、下位の親族は亡くなった人の法定相続人とはならず、財産を相続することはできません。
課税対象となる財産とは
相続が発生して亡くなった人から引き継いだ財産には、課税対象となる財産とならない財産があります。
現金や預貯金、有価証券、不動産といった財産だけではなく、生命保険金や死亡退職金なども相続税の対象となります。
一方で、お墓や仏壇、位牌といった財産は、相続税の対象から外れます。
相続税の申告と納税には期限がある
相続税の申告と納税が必要な場合は期限が設定されており、どちらも被相続人(亡くなった人のこと)が亡くなった日の翌日から10カ月以内に行うことになっています。
被相続人の住所を管轄する税務署に、相続税の申告書の提出と納税をする必要があります。
なお、期限に遅れて申告や納税を行った場合は、加算税や延滞税といった追徴課税がかかるため、注意が必要です。
相続税の計算における財産の種類について
相続税を計算するには、相続する財産の総額が必要になります。財産全てに相続税が課税されるわけではなく、非課税の財産や債務、葬儀費用などを引いた金額が課税対象です。
また、相続税には誰でも適用される基礎控除があり、遺産総額が基礎控除額内に収まれば相続税はかかりません。
相続税の計算対象となる財産は、「プラスの財産」「マイナスの財産」「みなし相続財産」「特定の条件下で贈与された財産」に大まかに分類されます。
金融資産 | 現金や預貯金、海外財産、有価証券(公社債、上場株式、非上場株式、投資信託等) |
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不動産 | 家屋(貸家も含む)、宅地(貸家建付地も含む)、農地、山林など |
不動産上の権利 | 借地権、地上権など |
動産 | 自動車や貴金属、宝石、骨董品などの家財 |
その他 | リゾート会員権やゴルフ会員権、著作権、商標権、特許権など |
死亡保険金 | 生命保険金や損害保険金について、相続人に支払われたもの |
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死亡退職金 | 退職金や功労金、これに準ずる給与の中で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの |
その他 | 生命保険契約や定期金に関する権利など |
相続前3年以内、または7年以内に贈与された財産 | 2023年12月31日までは被相続人が亡くなる前3年以内、2024年1月1日以降は被相続人が亡くなる前7年以内(段階的な経過措置あり)に被相続人から贈与された財産がある場合、その贈与された財産も相続財産に含める |
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相続時精算課税制度を利用して贈与された財産 | 2024年1月1日以降に、相続時精算課税制度を利用して生前に贈与をしていた場合、毎年110万円までの基礎控除を超えた部分の贈与財産を相続財産に含める |
借金 | 住宅ローン等の借入金、未払金など |
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保証債務 | 保証人、連帯保証人としての地位 |
公租公課 | 未払いの所得税や固定資産税、住民税など |
その他 | 損害賠償債務など |
相続税の課税対象となる財産の注意点としては、被相続人が亡くなった日に所有していなくても相続人が受け取る「みなし相続財産」も財産に含まれることです。
ただし、みなし相続財産である死亡保険金と死亡退職金には、それぞれ一定の非課税枠があり、非課税枠を超えた金額が課税対象となります。非課税枠内の死亡保険金または死亡退職金を受け取った場合、相続税の課税対象となりません。
なお、銀行や他人からの借入金・未払金などの債務が残っている場合、相続人は債務も相続することになります。債務はマイナスの財産といわれ、債務控除という計算によりプラスの財産から差し引くことができます。
相続税の申告時に相続税が課税される財産の記載が漏れてしまうと、その財産分の相続税に加え、加算税や延滞税が課されます。漏れがないように注意しましょう。
■みなし相続財産の課税対象と非課税限度額
相続税の計算方法
相続税の計算は、以下のような4つの手順で行います。相続税の基礎控除なども含め、手順ごとに詳しく見ていきましょう。
- ステップ1. 遺産総額を計算する
- ステップ2. 相続税の基礎控除額と課税遺産総額を計算する
- ステップ3. 法定相続分に応じた取得金額を計算する
- ステップ4. 相続税の特例や税額控除を確認する
ステップ1. 遺産総額を計算する
相続税の計算をするためには、遺産総額の計算が大切です。まず、前述した相続税の課税対象の財産を洗い出しましょう。財産の持ち主がいない中で該当するものを探したり、土地・家屋、車両のような現金ではない財産を評価したりすることは難しいため、税理士などの専門家に相談しながら確認するのがおすすめです。
なお、以下の「遺産総額シミュレーション」では、プラスの財産、マイナスの財産、その他みなし相続財産や贈与財産を個別に入力していくことで遺産総額を簡単に計算できます。死亡保険金の非課税枠も考慮して計算できるため、ぜひ参考にしてください。
ステップ2. 相続税の基礎控除額と課税遺産総額を計算する
ステップ2では、相続税の基礎控除額と課税遺産総額を確認します。相続税の基礎控除は、相続財産の総額から差し引くことができる控除金額で、課税遺産総額は遺産総額から基礎控除額を差し引いた金額のことです。
基礎控除額の計算式は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。例えば、法定相続人が1人の場合だと基礎控除額は3,600万円となり、遺産総額が3,600万円以下であれば相続税はかかりません。
■相続税の基礎控除と課税遺産総額
基礎控除額の計算では、「誰が法定相続人になるか?」の判断が難しいこともあります。その場合は、家族構成を入力することで法定相続人と基礎控除額を自動計算できる、以下の「基礎控除額シミュレーション」を利用してください。
なお、基礎控除額より課税遺産総額が多い場合は次の段階へ進みます。
ステップ3. 法定相続分に応じた取得金額を計算する
相続税は、ステップ2で計算した課税遺産総額に税率をただ単にかけるわけではありません。「課税遺産総額を法定相続分によって相続した」と仮定した金額に相続税率をかけます。法定相続分とは、民法で定められた相続割合のことです。
例えば、被相続人(亡くなった人)の配偶者の法定相続分は2分の1で、残る2分の1を子どもの人数で均等に割るといったように、法定相続分は被相続人と法定相続人の間柄によって定められています。
法定相続分に応じた取得金額に税率をかけて算出した金額の合計が、相続税額の総額になります。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
※国税庁「No.4155 相続税の税率」
ここからは、被相続人の配偶者と子ども2人が遺産総額8,000万円を相続した場合を想定し相続税の総額に関する具体的な計算方法を紹介します。
- 遺産総額8,000万円-基礎控除額4,800万円=課税遺産総額3,200万円
- 配偶者の法定相続分(2分の1)1,600万円×税率15%-50万円=相続税額190万円
- 子ども1人の法定相続分(4分の1)800万円×税率10%=相続税額80万円
- 190万円+80万円+80万円=相続税額の総額350万円
この例では、相続税額の総額は350万円となります。
つまり、実際に相続する割合ではなく、法定相続割合をもとに相続税の総額を先に確定させるというのがポイントです。
また、遺産分割協議や遺言による遺産取得割合で相続する場合は、上記の方法で一旦相続税の総額を求めてから、実際に相続する割合によって按分(あんぶん)します。
計算方法は「相続税の総額×遺産分割協議や遺言による遺産取得割合=各相続人の相続税額」です。
ステップ4. 相続税の特例や税額控除を確認する
ステップ4では、相続税の特例や税額控除を確認します。特例や税額控除は、一定の要件に該当すれば相続税を大幅に軽減できるため、積極的に活用しましょう。
主な相続税の特例や税額控除は以下のとおりです。
- 小規模宅地等の特例
- 配偶者の税額軽減
- 障害者控除とその他の税額控除
例えば、配偶者が財産を相続する場合、「配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)」を適用できます。配偶者の税額軽減では、配偶者が取得する遺産額が1億6,000万円、または配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までであれば、配偶者に相続税はかかりません。
前述の計算例を当てはめると、遺産額が1億6,000万円以下のため、配偶者の税額軽減を適用した場合、配偶者が遺産のすべてを相続しても相続税額は発生しません。
また、土地を相続する場合、一定要件を満たすと「小規模宅地等の特例」を適用することができ、土地の評価額を最大8割下げることができます。ほかにも、「障害者控除」「未成年者控除」「相次相続控除」「贈与税額控除」などの税額控除の適用により、相続税額が減少する場合もあります。
ただし、上述した特例や税額控除を適用すると、たとえ相続税がかからなくても申告が必要な場合があるので気をつけましょう。相続税がかかるのか否かや、相続税の申告の必要有無を判定するには、以下の「相続税額・申告シミュレーション」をご活用ください。
相続税の早見表
相続発生時に課税対象となる財産と法定相続人が把握できている場合、相続税の早見表を使って大まかな税額を知ることが可能です。遺産総額が多いほど相続税の税額は増え、法定相続人が多いほど税額は減ります。
遺産総額 | 相続人 | |||
---|---|---|---|---|
配偶者 + 子ども1人 |
配偶者 + 子ども2人 |
配偶者 + 子ども3人 |
配偶者 + 子ども4人 |
|
4,000万円 | – | – | – | – |
5,000万円 | 40万円 | 10万円 | – | – |
6,000万円 | 90万円 | 60万円 | 30万円 | – |
7,000万円 | 160万円 | 113万円 | 80万円 | 50万円 |
8,000万円 | 235万円 | 175万円 | 138万円 | 100万円 |
9,000万円 | 310万円 | 240万円 | 200万円 | 163万円 |
1億円 | 385万円 | 315万円 | 263万円 | 225万円 |
1億5,000万円 | 920万円 | 748万円 | 665万円 | 588万円 |
2億円 | 1,670万円 | 1,350万円 | 1,218万円 | 1,125万円 |
2億5,000万円 | 2,460万円 | 1,985万円 | 1,800万円 | 1,688万円 |
3億円 | 3,460万円 | 2,860万円 | 2,540万円 | 2,350万円 |
3億5,000万円 | 4,460万円 | 3,735万円 | 3,290万円 | 3,100万円 |
4億円 | 5,460万円 | 4,610万円 | 4,155万円 | 3,850万円 |
4億5,000万円 | 6,480万円 | 5,493万円 | 5,030万円 | 4,600万円 |
5億円 | 7,605万円 | 6,555万円 | 5,963万円 | 5,500万円 |
相続財産が多いほど税額アップ
相続人が多いほど税額ダウン
相続税額が簡単にわかるシミュレーションツール
相続税額を簡単に知りたい場合は、以下の「相続税シミュレーション」がおすすめです。「法定相続人」と「財産額」の入力を行えば、簡単に相続税の計算ができます。
ぜひこちらのツールを活用して、どれくらいの相続税が発生する可能性があるのかを把握しておきましょう。
相続税の計算は税理士に相談しながら進めよう
相続税額を計算するには、遺産総額を算出したうえで基礎控除額や課税遺産総額などを計算するなど、さまざまな手順を踏む必要があります。相続税の計算は複雑になりがちなため、概算で知りたい場合は相続税額の早見表やシミュレーションツールを活用してみましょう。
実際に相続税を計算する際には、特例や税額控除といった制度が適用できるかどうかで負担する相続税額が大きく変わります。相続税の申告・納付は期限が決まっているため、スムーズに行うには税理士に相談して進めるのがおすすめです。
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