この記事でわかること
- 市街地農地等の評価証明書とはどのようなものか知ることができる
- 市街地農地の相続税評価額の評価方法について知ることができる
- 市街地農地の相続税評価額を求める際の注意点がわかる
農地を相続する際には、その農地の相続税評価額を計算しなければなりません。
宅地はその用途に制限はないことから、評価方法を細かく分ける必要はありません。
しかし農地の場合は、転用できる農地と転用できない農地などの違いがあるため、それに合わせた評価をしなければなりません。
ここでは市街地農地の相続税評価額について、その評価方法や注意点をご紹介します。
目次
市街地農地等の評価明細書とは
市街化農地等の評価証明書と呼ばれる書類があります。
市街地農地の他、市街地山林や市街地原野などの相続税評価額を計算するために用いる書類です。
市街地農地の評価証明書を使って評価額を計算したら、相続税の計算を行います。
この申告書に市街地農地の評価証明書を添付し、一緒に税務署に提出することとされています。
市街地農地の評価方法
市街地農地の相続税評価額は、どのような計算方法で行うのでしょうか。
その基本的な評価方法はどのようなものか、実例もあわせて確認していきましょう。
市街地農地とは
そもそも農地の中で市街地農地と呼ばれるものはどのようなものなのでしょうか。
農地は4つの分類のいずれかに該当することを確認した上で、その評価方法を決定します。
4つの分類は、以下のように定められています。
- (1)純農地
- (2)中間農地
- (3)市街地周辺農地
- (4)市街地農地
(1)純農地とは、宅地の影響を受けない農地を指します。
「農用地区域内にある農地」や「市街化調整区域内にある農地で第一種農地又は甲種農地に該当するもの」などが含まれます。
(2)中間農地とは、「第二種農地(市街地化が見込まれる農地あるいは生産性が低い農地)」などが該当します。
(3)市街地周辺農地とは、「第三種農地(市街地の区域または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地)」などが該当します。
(4)市街地農地とは、「農地法第4条又は第5条に規定する許可を受けた農地」や「市街化区域内にある農地」が該当します。
また、「転用許可を要しない農地として都道府県知事の指定を受けたもの」も、市街地農地に含まれます。
市街化区域内にある農地に代表されるように、農地から他の用途への転用が見込まれる農地が市街地農地となります。
市街地農地は宅地比準方式又は倍率方式
市街地農地の相続税評価額の計算方法は、宅地比準方式又は倍率方式によることとされています。
このうち、宅地比準方式による場合の計算式は、以下のようになります。
宅地比準方式による場合は、最初にその農地が宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額を求めます。
そして、その農地を宅地に転用する場合にかかる、通常必要と認められる1㎡あたりの造成費を控除します。
その金額に、農地の地積を乗じて求めた金額が、その市街地農地の相続税評価額となるのです。
転用が可能な地域にある農地でも、実際にはこれから転用することから、造成費を土地の価額から控除するのです。
また、その農地が倍率地域にある場合には、宅地保持方式ではなく倍率方式でその計算を行います。
倍率方式による場合は、評価対象となる農地に最も近接する宅地の相続税評価額をもとに計算します。
計算例
市街地農地を宅地比準方式で計算する場合の、計算例を紹介します。
事例
市街化区域内に、300㎡の農地があったとします。
この農地が宅地であるとした場合の価額は、1㎡あたり100,000円とします。
また、1㎡あたりの造成費は、9,300円であったとします。
この場合、(100,000円-9,300円)×300㎡=27,210,000円となるのです。
1㎡あたりの造成費は、その造成の内容ごとに国税庁ホームページに掲載されています。
あらかじめ、その内容や金額を調べておきましょう。
市街地農地を評価するときの注意点
市街地農地の相続税評価額は、周辺の宅地とそれほど変わらない金額になることが想定されます。
では、市街地農地を評価する時はどのような点に注意するといいのでしょうか。
市街地農地の現地確認を行う
市街地農地を評価する際は、造成費用が発生することを前提として評価計算を行います。
この造成費用には、工事の内容によっていくつもの種類があり、その中から該当するものを選んで計算に含めます。
実際に工事を行うわけではない中で、造成工事の内容を決めるためには、農地を現地で確認する必要があります。
本当に市街地農地に該当するか確認する
前述したように、農地は4つの分類があり、そのいずれかにより評価方法は変わります。
たとえば市街地周辺農地は、市街地農地の80%に相当する額になるなど、その金額は大きく異なるのです。
本当に市街地農地に該当するのか、その土地の所在地などから確認する必要があります。
転用が可能か確認する
市街地農地の相続税評価額の計算方法は、対象となる農地が宅地等に転用されることを前提として定められています。
そのため、何らかの事情で転用できない農地については、宅地比準方式によることができないと考えられます。
市区町村役場などで転用可能かどうかを確認することができるため、事前に確認しておくのがおすすめです。
まとめ
農地を相続した場合でも、その農地を簡単に転用できるのであれば、その農地は宅地とほぼ同じ価値を持つと考えられます。
そのため、相続税評価額を計算する際には、宅地に近い相当大きな金額になることが想定されます。
実際に農地の状況を調査し、どのような造成工事が必要なのか確認しておきましょう。
また、それだけ高額な評価額になることを把握した上で、相続税対策を行う必要があると覚えておきましょう。
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