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最終更新日:2022/10/5

傍系尊属(ぼうけいそんぞく)とは誰を示す?尊属と卑属の違いや直系尊属との違いを解説

本間 剛 (行政書士)
この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

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傍系尊属とは誰を示す?尊属と卑属の違いや直系尊属との違いを解説

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この記事でわかること

  • 傍系尊属の意味がわかる
  • 尊属と卑属の違いがわかる
  • 誰が傍系尊属になるか理解できる
  • 相続時における傍系尊属と直系尊属の違いがわかる

核家族化の進む現代では家族構成もシンプルになっていますが、ルーツを辿ると「想像以上に複雑だった」という方は少なくないようです。

特に傍系尊属は言葉自体の認知度が低く、家系図を書いても誰が傍系尊属にあたるかわからないといったケースもあります。

傍系にあたる人が相続人になる「傍系相続」もあまり詳しくは知られていないため、誤った解釈をすると親族間のトラブルにもなりかねません。

また不慮の事故や病気などで相続人になる予定だった方が先に死亡した場合、遺産の行き先が変わってしまうこともあります。

今回は相続の基礎知識に欠かせない直系卑属や尊属とともに「傍系尊属」や「傍系相続」について詳しく解説します。

傍系尊属とは

叔父や叔母など同じ祖先から分かれた血族であり、自分からみて上の世代を「傍系尊属(ぼうけいそんぞく)」といいます。

つまり同じ祖先(ルーツ)から分かれた血縁関係にある人であり、家系図に表すと縦のライン(直系)ではなく横の繋がりが傍系になります。

上下の世代に関係なく広範囲にみた場合は傍系血族といい、中には面識のない人や葬祭時に挨拶を交わしただけの人もいるでしょう。

傍系尊属には日常的な付き合いのない人もいますが、家族の死亡時には葬儀案内等を送る場合もあるため、範囲を把握しておくとよいでしょう。

尊属と卑属の違い

相続の際には「尊属(そんぞく)」や「卑属(ひぞく)」など少々わかりにくい言葉も登場します。

尊属は自分からみた上の世代の血族であり、父母や祖父母のほか養子縁組している場合は実親・養親ともに尊属となります。

横の繋がりになる傍系では上の世代となる叔父や叔母(伯父や伯母)などが尊属にあたります。

一方、卑属は自分からみた下の世代の血族であり、直系となる子や孫、曾孫(ひまご)のほか玄孫(やしゃご)などを指しています。

傍系の卑属には兄弟姉妹の子である甥や姪、兄弟姉妹の孫や曾孫、親の兄弟である叔父叔母の子(従兄弟、従姉妹)や孫、曾孫も含まれます。

なお、兄弟姉妹や従兄弟・従兄弟など尊属でも卑属でもない同列の血族は傍系血族に分類されます。

傍系尊属の例

祖先が同じであり上の世代となる傍系尊属には以下のような例があります。

【親族系統図】傍系尊属の例

  • ・父母と同列の傍系尊属:伯父(親の兄)、叔父(親の弟)、伯母(親の姉)、叔母(親の妹)
  • ・祖父母と同列の傍系尊属:大伯父(祖父母の兄)、大叔父(祖父母の弟)、大伯母(祖父母の姉)、大叔母(祖父母の妹)
  • ・大伯父や大叔父等の子:従伯父(大伯父の息子で父母より年上)、従叔父(大叔父の息子で父母より年下)、従伯母(大伯父の娘で父母より年上)、従叔母(大叔父の娘で父母より年下)
  • ・曾祖父母と同列の傍系尊属:曾祖伯父(曾祖父母の兄)、曾祖叔父(曾祖父母の弟)、曾祖伯母(曾祖父母の姉)、曾祖叔母(曾祖父母の妹)

同じ読みの「おじ」や「おば」にも違いがあるため、傍系尊属や傍系卑属について親族間で話し合う場合は家系図を作成しておくとよいでしょう。

直系尊属と傍系尊属の違い

日頃はあまり意識することのない直系尊属や傍系尊属ですが、相続が発生した際には相続人になれる人・なれない人に分かれます。

一般的な相続の場合、財産の承継者は配偶者と子になりますが、子や孫がいない場合は直系尊属となる父母や祖父母が相続人に加わります。

また父母や祖父母など直系尊属がいない場合は亡くなった方の兄弟・姉妹(傍系)が相続人となります。

では相続発生時の親族関係によりどのように相続人が変わるか、例を挙げて解説します。

配偶者と子がいる場合の相続例

亡くなった方に配偶者と子どもがいる場合、配偶者は常に相続人であり、子は第1順位の相続人となります。

遺言がなければ配偶者と子どもで遺産分割しますが、法定相続分に従う場合は以下のような配分になっています。

  • ・配偶者の法定相続分:1/2
  • ・子どもの法定相続分:1/2(兄弟姉妹がいれば等分する)

子どもが先に死亡しており、その子に子(亡くなった方からみて孫)がいた場合は代襲相続が発生し、孫が相続人に加わります。

配偶者と直系卑属(子や孫)がいる場合の相続では、直系尊属や傍系血族に財産が承継されるケースは少ないようです。

直系尊属が相続する場合の例

亡くなった方に直系卑属(子や孫)がいない場合は配偶者と直系尊属(父母など)が相続人となって財産を承継します。

民法上、直系尊属は第2順位の相続人であり、法定相続分どおりに財産を分ける場合は以下の配分となります。

  • ・配偶者の法定相続分:2/3
  • ・直系尊属の法定相続分:1/3(父母ともに生きている場合は等分する)

父母が既に亡くなっている場合は祖父母へ相続権が移行します。

傍系相続が発生する場合の例

子や孫がおらず、父母や祖父母も亡くなっている場合は、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人となり「傍系相続」が発生します。

被相続人の兄弟姉妹は第3順位の相続人であり、法定相続分は以下のようになっています。

  • ・配偶者の法定相続分:3/4
  • ・兄弟姉妹の法定相続分:1/4(複数いる場合は等分する)

被相続人の兄弟姉妹が亡くなっていても子(甥や姪)がいる場合は代襲相続できますが、甥や姪の代襲は一代限りとなっています。

さて、ここで注目すべきは優先順位の移行であり、配偶者以外の相続人は直系が優先され、まず子ども、次に親となっています。

両方ともいない場合は被相続人の兄弟姉妹(傍系)へ相続権が移りますが、上位世代の血族となる傍系尊属に相続権はありません

つまり傍系相続は被相続人と同列またはその下の世代までということになります。

誰も相続人がいない場合

未婚の一人っ子など第1順位の相続人がおらず、親も死亡しているケースは珍しくありません。

また相続放棄や欠格・排除によって相続人が不在となるケースもあります。

相続人がいない場合は遺言によって親しい方へ財産を分ける(遺贈といいます)こともでき、福祉団体などへの寄付も可能です。

遺言がない場合でも亡くなった方と特別な関係にある「特別縁故者」であれば、家庭裁判所へ財産分与の申立てができます。

特別縁故者には被相続人と生計を一にしていた内縁の妻などが挙げられますが、特別縁故者もいない場合、財産は国庫に帰属します。

相続について悩んだら税理士へ相談しよう

相続について悩んだら、税理士への相談がおすすめです。

ここからは税理士に相談するメリットを紹介します。

相続人の範囲を教えてくれる

相続では「だれがいくら相続するか?」が重要になります。

スムーズな相続を実現するためにも、相続人の確定をしなければいけません。

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そこで相続に精通している税理士に相談することで、相続人の範囲をしっかりと教えてくれます。

税理士に依頼すれば、相続人のカウントで間違うこともなく、スムーズに相続を進められるでしょう。

「直系・傍系について調べたけど、結局だれが相続できるの?」と悩んでいる人は、税理士への相談がおすすめです。

相続税の対策ができる

相続では、相続財産から基礎控除を引いた金額に相続税がかかります。

基礎控除は相続人の人数によって変わりますが、最低額が3,600万円です。

つまり相続財産が3,600万円以上あると、相続税がかかるかもしれません。

相続税は他の税金に比べて税率が高くなっており、対策をしておかないと高い税金を払うことになります。

そこで税理士に相談すれば、しっかり相続税の対策をしてくれます。

相続では基礎控除以外にも、非課税枠を増やす「特例」という仕組みがあります。

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面倒な手続きを依頼できる

相続税が発生する場合は、税務署へ相続税申告の手続きをしなければいけません。

相続税申告は、必要書類を準備したり、税金の金額を計算して納付する必要があります。

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まとめ

親族関係については親や祖父母から口頭で教わる場合が多いため、「伯父」や「叔父」など詳しい関係を理解できていないケースがあります。

また、幼いころから交流があり年齢も近いため、「従兄弟」だと思い込んでいた人が実は「叔父」だったという話もあるようです。

広義の傍系には「傍系姻族」もあり、配偶者の傍系血族や自分の傍系血族の配偶者も含むため、頭の中だけでは整理しきれなくなるでしょう。

直系尊属や直系卑属、傍系尊属などの関係は戸籍の確認がおすすめであり、戸籍をもとに家系図を作成すれば正確に把握できます。

ただし古い戸籍などは内容がわかりにくいため、相続や相続税対策として戸籍を確認する場合は専門家にも相談するようにしてください。

相続問題に強い司法書士や税理士であれば正確に相続人を把握し、相続税対策などさまざまなアドバイスも受けられます。

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