この記事でわかること
- 固定資産評価証明書とはどのような書類でいつ必要なのかがわかる
- 固定資産評価証明書を取得する際に必要な書類を知ることができる
- 固定資産評価証明書を取得する際の注意点を確認することができる
土地や建物を保有している方は、毎年固定資産税を支払わなければなりません。
固定資産税の計算は自身で行うわけではなく、市町村で評価額を算出し、その税額を決定しています。
そのため、土地や建物の固定資産税評価額を、意識して確認することはほとんどないかもしれません。
しかし、その固定資産税評価額を使うケースが他にもあり、その際には固定資産評価証明書が必要になります。
今回は、固定資産評価証明書とはどのような書類で、どのような場合に必要になるのかを解説していきます。
目次
固定資産評価証明書とは
固定資産評価証明書とは、固定資産税の計算に用いる固定資産税評価額を証明するための書類です。
土地や建物に対する固定資産税は、その土地や建物が所在する市町村役場で評価を行い、税額を計算します。
この時、各市町村ではすべての土地や建物を登録した固定資産課税台帳が作成され、この台帳を基にして固定資産税が課されます。
固定資産評価証明書は、その台帳に登録されている土地や建物について、その内容を個別に記載しています。
固定資産税評価額の他にも、所有者や土地・建物の所在地、土地の地積、建物の床面積などが記載されます。
固定資産評価証明書が必要になるケース
土地や建物を所有していると、毎年固定資産税が課されます。
ただ、この税額決定の際には固定資産税の計算を市町村役場が行っているため、固定資産評価証明書は必要ありません。
それでは、固定資産税評価証明書が必要になるのはどのようなケースなのでしょうか。
不動産の登記申請を行うケース
土地や建物は、その所有者や抵当権者について、法務局で登記を行います。
法務局で登記を行う際には、登録免許税と呼ばれる税金を負担することとなりますが、土地や建物の価格をもとに計算します。
そして、土地や建物の価格として用いるのが固定資産税評価額であるため、固定資産評価証明書を添付することが求められます。
相続税や贈与税の申告を行うケース
土地や建物を相続した場合には、相続税が課されます。
また、土地や建物を贈与された場合には、贈与税が課されることとなります。
この相続税や贈与税の税額は、相続したり贈与されたりした土地や建物の相続税評価額をもとに計算することとされています。
そのため、まず土地や建物の相続税評価額を計算し、その額に相続税や贈与税の税率を乗じるのです。
土地の相続税評価額は、路線価を使って計算する路線価方式と、固定資産税評価額を使って計算する倍率方式があります。
その土地の所在地ごとに、いずれの評価方法によるのかが定められているため、それにしたがって計算しなければなりません。
このうち、倍率方式による場合は固定資産税評価額の金額をもとに計算するため、固定資産評価証明書が必要となるのです。
また、建物の相続税評価額は、固定資産税評価額をそのまま用いることとされています。
そのため、建物を相続・贈与した場合には、固定資産評価証明書が必要となるのです。
不動産に関する訴訟を行うケース
不動産に関する訴訟を提起する場合、その不動産の金額に応じた手数料を負担しなければなりません。
この時、不動産の金額として利用することとなるのが、固定資産税評価額です。
不動産に関する訴訟の代表例としては、不動産の引渡し・明け渡し訴訟があります。
これは、土地を不法に占拠されたとして、その土地の所有者が訴えるものです。
さらに、隣接する土地の境界線をめぐる境界確定訴訟も、よくある訴訟の1つといえるでしょう。
この他、不動産の登記に関する訴訟や、不動産上の使用収益を行う権利を認めてもらう訴訟などもあります。
このように、例をあげればきりがありませんが、これらの訴訟を行う際には固定資産評価証明書を添付しなければならないのです。
固定資産評価証明書の取得方法・必要書類
固定資産評価証明書を取得する際には、どこへ行けばいいのか、そして誰が取得できるのかといった疑問があるでしょう。
ここでは、固定資産評価証明書を取得する方法や、その際に必要となる書類を確認していきます。
固定資産評価証明書を取得する窓口
前述したように、土地や建物の固定資産税を課すのはその所在地の市町村です。
そのため、固定資産評価証明書を取得しようとする場合は、その所在地の市町村役場に行く必要があります。
なお、東京23区内にある土地や建物については、東京都が固定資産税を課します。
この場合、固定資産評価証明書を取得するためには、それぞれの都税事務所に行くこととなります。
固定資産評価証明書を取得しようとする人が住んでいる市区町村とは関係ない場合も多いため、注意が必要です。
本人が取得する場合
土地や建物を所有する人が、自分で固定資産評価証明書を取得しようとする場合です。
この場合、取得のために必要な書類などは、以下のとおりです。
・固定資産証明申請書
各市町村役場の窓口に備え置かれている書類です。
自分で書類に記載し、窓口に提出します。
・本人確認書類
運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどの書類が必要となります。
健康保険証の場合はさらにもう1種類の本人確認書類が必要となるため、あらかじめ準備しておきましょう。
・手数料
発行する書類の種類や数に応じて、窓口で手数料を支払います。
なお、手数料の金額は自治体によって異なりますが、固定資産評価証明書1枚あたり200円~400円程度になります。
一戸建ての建物の場合、証明書は土地について1枚、建物について1枚となるため、1つの物件について2倍の手数料がかかります。
本人以外の人が取得する場合
土地や建物を所有する本人以外の人が、固定資産評価証明書を取得する場合があります。
本人が忙しかったり遠方に住んでいたりするため、家族など別の人が行く場合です。
本人以外の人が固定資産評価証明書を取得しようとする場合、以下のような書類が必要となります。
・固定資産証明申請書
・委任状
委任を受けていることが確認できれば、その書式に決まりはありません。
・代理人として窓口に行く人の本人確認書類
相続人が取得する場合
土地や建物の所有者が亡くなると、相続税の申告や相続登記のために相続人が固定資産評価証明書を取得することとなります。
この場合、固定資産の所有者と窓口に行く人が一致しないため、本人が申請する場合とは必要書類が異なります。
相続人が、固定資産評価証明書を取得する際の必要書類は以下のとおりです。
・固定資産証明申請書
・相続人の本人確認書類
・相続人であることを証明する書類
戸籍謄本などで、窓口に来た人が土地や建物の所有者の相続人であることを証明します。
・被相続人の死亡の事実が確認できる書類
除籍謄本など、土地や建物の所有者が死亡したことを確認できる書類が必要となります。
郵送で取得する方法
土地や建物の所在する場所が遠方にある場合など取得しに行くことが難しい場合もあるでしょう。
その場合、郵送で固定資産評価証明書を取得することもできます。
取得に必要な書類一式と切手を貼った返信用の封筒、そして手数料分の郵便定額小為替を同封して、その市町村役場に郵送します。
すると、1~2週間程度で固定資産評価証明書を郵送してもらうことができるのです。
固定資産評価証明書を取得する際の注意点
固定資産評価証明書を取得する場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
あまりなじみのない書類であるため、取得する際に間違えないようにしましょう。
固定資産評価証明書の年度に注意
固定資産評価証明書を取得する必要があるケースについては、すでに紹介しました。
その中で紹介した3つのケースがありましたが、実際に必要となる固定資産評価証明書の年度が異なるため、注意が必要です。
不動産の登記申請を行うために必要な固定資産評価証明書は、その登記申請を行う日の属する年度の固定資産評価証明書です。
したがって、最新の固定資産評価証明書が必要となります。
相続税の計算を行うために固定資産評価証明書を取得する場合は、その相続開始の日の属する年度の固定資産評価証明書が必要です。
相続税の申告を行う際は、相続開始の日から10か月程度経過していることが多く、年度が変わっていることも多くあります。
そのため、必ずしも最新の固定資産評価証明書とはならないことに注意しなければなりません。
贈与税の計算を行うために固定資産評価証明書を取得する場合は、贈与があった日の属する年度の固定資産評価証明書が必要です。
贈与があった場合は、贈与があった年の翌年2月1日から申告を行います。
そのため、贈与の時期によっては最新の固定資産評価証明書とはなりません。
どの年度の固定資産評価証明書が必要となるのか、よく確認して取得するようにしましょう。
なお、相続税や贈与税の修正申告・期限後申告を行う際には、過去の固定資産評価証明書を取得しなければならない場合もあります。
過去の固定資産評価証明書を取得することもできますが、5年以上過去にさかのぼると取得が難しくなることもあります。
できるだけ申告漏れのないよう、その都度正しい申告を行うことが重要です。
固定資産評価証明書を取得することができる人
固定資産評価証明書に記載されている内容は、土地や建物に関する詳細な情報であり、誰でも見ることができるものではありません。
そのため、固定資産評価証明書を取得することができる人は限られています。
基本的には、その土地や建物を所有している人やそれに準ずる人に限られます。
準ずる人となるのは、固定資産税納税義務者の相続人、借地人・借家人などです。
また、土地や建物に関する訴えを提起する人や、本人から委任された代理人も含まれます。
まとめ
固定資産税を毎年負担している人の中には、どのようにその税額が決められているのか疑問に思う方もいるかもしれません。
これまで述べてきたように、土地や建物の所在地の市町村が土地や建物の評価を行い、固定資産税の計算を行っています。
その固定資産税評価額は、相続税や贈与税の計算、登記など様々な場面で利用されている重要な金額です。
証明書が必要となった場合は、その所在地の市町村役場に行くか郵送で取得することとなるため、間違えないようにしましょう。
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