この記事でわかること
- パソコンで作成することができる遺言書とは何かわかる
- 自筆証書遺言の一部がパソコンで作成可能になったことがわかる
- 法務局で遺言書を保管してくれる制度が理解できる
- 財産目録をパソコンで作成する方法と注意点がわかる
- 秘密証書遺言をパソコンで作成する方法と流れがわかる
懸命に築いてきた尊い財産をどう引き継いでいくかは、人生を整理するためにも、また、家族を支え、和を保つためにも大きな関心事です。
子が巣立って独り立ちを始め、親を看取れば、今度は自分の番。
どう生き、どう死んでいくか、そんな風に考える方も少なくありません。
突然訪れる老化や死の前に、そんな思いを整理するためには、遺言書が有効な手段となります。
作成方法や保管面など、必ずしも利用しやすいとは言えなかった遺言書制度ですが、民法改正により、一部にパソコンが利用できるなどの改善が図られました。
以下では、パソコンで作成できる遺言書や、自筆証書遺言でのパソコン利用、作成した遺言書の保管制度について紹介します。
また、自筆証書遺言や秘密証書遺言書については、パソコンで作成する方法や注意点などについても詳しく紹介します。
目次
パソコンで作成することができる遺言書とは?
遺言は、15歳以上であれば、その能力が認められ、相続割合の指定や名義の特定などによって、財産全てまたは一部を処分することができます。
遺言書の利用者数は、法務省の委託調査によれば、平成28年の公正証書遺言が約11万件、自筆証書遺言の検認数では約1万7千件です。
普及が進んだとまでは断言できませんが、緩やかな増加傾向にあることは間違いない事実です。
また、将来的には、55 歳以上人口の 20.1%に当たる約1千万人が、自筆証書遺言を作成する見込みとも推計されています。
遺言書は3種類
遺言書には、通常、公正証書遺言、秘密証書遺言、自筆証書遺言の3種類あり、民法の要件を満たすものであれば、すべて法的な効力が認められます。
公正証書遺言
この遺言書は、公的な立場にある公証人に作成してもらうもので、公証役場で保管されることもあり、最も確実な方法です。
公証役場において、公証人は、2人以上の証人の立会いのもとで遺言者から内容を聴き取り、遺言書を作成します。
遺言者が亡くなって相続が始まれば、相続人が最寄りの公証役場で受け取りますが、家庭裁判所の検認手続きなしで、相続手続きを行うことができます。
なお、少し後で触れますが、検認手続きが必要な遺言書の場合、すぐに相続手続きを進めることができないデメリットがあります。
秘密証書遺言
自分で遺言書を作成し、公証人と証人に、遺言書の存在を証明してもらう方法です。
遺言書は、自筆の記名と押印が必要ですが、パソコン利用や代筆も可能です。
遺言者が自分で作成して封印した遺言書を、公証役場において、公証人と2人以上の証人に確認してもらい、封筒に証明してもらう手順で作成します。
遺言書の保管は遺言者自ら行い、遺言者が亡くなったときは相続人が発見し、家庭裁判所で検認手続きを済ませた上で、相続手続きを行います。
自筆証書遺言
この遺言書は、公証役場に出向く必要も、証人を用意する必要もなく、遺言者一人だけで完結できる方法です。
秘密証書遺言と同じく、保管は遺言者自身で行います。
遺言者が亡くなったときは、相続人が発見し、家庭裁判所での検認手続きを済ませた上で、相続手続きを行います。
公証役場へ出向く手間や、費用がかからないことから、ほかの2種類の遺言と比べ、取り組みやすい遺言の方法です。
自筆証書遺言のデメリットと民法改正
自筆証書遺言は、自分一人で完結させることができ、あとで書き直すことも容易など、ほかの2種類にはない手軽さが大きなメリットです。
しかしながら、遺言者の負担や改ざんされる危険性、民法の要件を満たさずに無効となる恐れなどがデメリットとされてきました。
このデメリットのうち、全文自筆の負担や保管方法については、平成31(2019)年に法律が改正され、改善が図られました。
どのように改善が図られたかは、続いて詳しく確認していきましょう。
自筆証書遺言の一部がパソコンで作成可能に
2019年の民法改正により、自筆証書遺言書は同年1月から一部について、パソコンなど自筆以外の方法で作成することが認められました。
財産目録は自筆でなくても可
新たにパソコン利用や自筆以外の作成方法が認められたのは、遺言書に添付する財産の明細書である「財産目録」です。
財産を正確に指定するためには、間違いなく記載する必要があり、財産の種類が多い場合などは、書き間違いの原因になりやすかったのです。
記載を間違えたままの財産指定では、遺言が有効に機能せず、場合によっては、相続争いの原因にもなってしまいます。
自筆ではない財産目録の作成方法とは?
財産目録は、土地や建物などの不動産、預貯金などの明細を整理したものを指し、パソコンで作成したり、既存資料のコピーで代用できたりします。
パソコンによる書き方は、表作成ソフトやエクセルなどの表計算ソフト、ワードの表作成機能などを利用する方法が手軽です。
確認や修正をしながら、綺麗でわかりやすい一覧表が作成でき、作成後の修正や変更も容易です。
また、パソコンを利用しなくとも、配偶者など家族に代筆を依頼し、財産目録を作成することが認められます。
さらに、不動産なら全部事項証明書、金融機関の口座なら通帳のコピーなど既存の資料で、財産目録に替えることができます。
ただし、これらの方法で作成した財産目録には、偽造や修正など第三者による改ざんを防ぐことができるよう、遺言者自身の署名と押印が、1枚1枚に必要です。
法務局で遺言書を保管してくれる制度とは
制度が改正される前は、自筆証書遺言を遺言者自身が保管する制度であったため、せっかくの遺言書が有効に機能しないケースもありました。
たとえば、保管場所を忘れて紛失してしまうケースや、家族が誤って捨ててしまうケース、場合によっては家族が隠ぺいするケースもあります。
また、家族が遺言者になりすまして偽造や改ざんを行うケースもあり、手軽に作成できる遺言書ゆえのデメリットも発生してきました。
今回の制度改正では、このようなデメリットを防止するため、法務局に預けることができる制度が新設されています。
遺言書の保管制度とは?
この制度は、2020年7月10日から新たに始まるもので、法務局が、自筆証書遺言としての形式を審査し、保管してくれます。
公正証書遺言と同様、紛失や改ざんの恐れもなく、遺言者自身が保管する場合とは違って、相続人による家庭裁判所への検認手続きが必要ないのです。
受付時には、法務局が要件を満たしているか様式を審査し、適合しない部分があれば即時に修正できるため、遺言書の有効性を確保することができます。
死後に遺言書が発見されても、遺言書の形式が要件を満たさずに無効なら、相続に遺言者の意思を反映することは困難ですから、その点でも安心できます。
原本の保管に際し、法務局は証明書を発行するとともに、画像情報を全国の法務局で共有します。
このため、相続人が遺言書の開示請求を行えば、全国にある地方法務局で閲覧が可能になります。
また、相続人の一部が法務局で遺言内容を確認した場合は、法務局が他の相続人に遺言書の内容を知らせることになるため、相続人間の公平性も保たれます。
自筆証書遺言の検認手続きとは?
検認は、家庭裁判所が行う手続きで、数週間かかることもあり、相続手続きがすぐに進められないデメリットがあります。
家庭裁判所は、相続人に対して遺言の存在や内容を知らせるとともに、形状や修正の状態、日付、署名など遺言書の現状を明確にします。
この検認によって、遺言書の現状が記録されるため、検認日以降の偽造や変造を防止することが可能となります。
ただし、有効か無効かの判断は行われないことに注意が必要です。
財産目録をパソコンで作成する方法と注意点
民法改正により、2019年1月からは、パソコンを利用して自筆証書遺言の財産目録を作成することが可能になりました。
この改正によって、遺言書は、これまでと同様に手書きで作成する本体と、財産目録に分けで作成できます。
この方法による大きな特徴は、遺言書本体の作成にかかる労力を大きく軽減できることにあります。
以下では、書き方と注意点を確認しましょう。
財産目録をパソコンで作成する方法
財産目録は、遺言本体で「相続させる」などと指定する財産について、見やすく表形式で作成する明細書です。
不動産の所在や地番、地積などの登記情報や、金融機関や支店名、口座種別、口座番号など金融資産を特定する情報を、正確に整理します。
財産が多い場合、手書きの遺言書にすべての情報を書き写すことは難しく、転記間違いや漏れなどが避けて通れないと言って良いでしょう。
表計算ソフトや表計算機能を利用
パソコンで作成する場合の書き方は、エクセルなどの表計算ソフトや、ワードの表作成機能などを使うと、きれいに仕上げることができ、作成後の修正も容易です。
遺言書本体での指定と一致する表現で整理
財産目録を作成すれば、遺言書本体で指定する財産を「別紙財産目録第一の不動産」や、「別紙財産目録の財産」などと、少ない文字数で間違いなく記載できます。
したがって、財産目録の整理は、遺言書本体の記述と整合するように作成することがポイントです。
つまり、財産目録には、「別紙」「財産目録」「第一」「第二」のように、遺言書の記載と同じ表現を使い、財産の種類ごとに表を作成すると良いでしょう。
財産目録をパソコンで作成する場合の注意点
財産目録をパソコンで作成する場合は、すべて自書する自筆証書遺言とは異なる点がありますから、書き方の注意点を確認していきましょう。
遺言書の印刷
手書きの遺言書本体とパソコンで作成した財産目録とは、別の用紙に印刷しなければなりません。
また、財産目録が複数ページになる場合でも、できるだけ用紙の片面だけに印刷し、遺言書本体からページ番号を振りましょう。
すべてのページに署名と押印
自書ではない財産目録には、遺言者がすべてのページに署名し、押印しなければなりません。
用紙の両面に印刷する場合は、両面に署名と押印が必要です
実印でなければならないとの決まりはありませんが、遺言者本人が作成したものであることを、より明確に示すことができる実印がおすすめです。
これは、代筆による財産目録やコピーの添付などの場合でも共通で、すべてのページに署名と押印が必要です。
遺言書として整える
ページ番号は必要ですが、押印や遺言書本体との閉じ方などについての特別な規定はなく、ホチキス止めや契印は必ずしも必要ありません。
しかしながら、遺言書が複数ページにわたるときは、相続人が確認しやすいように、ホチキスで綴ったのち、割印しておく方法がおすすめです。
訂正方法
印刷し直さずに訂正するには、遺言書本体の訂正と同様、厳格に定められている方式で訂正しなければなりません。
その方式とは、訂正したい箇所に二重線を引き、二重線の上に押印し、その横に正しい文字を記載します。
さらに、遺言書の余白には「〇行目〇文字削除〇文字加入」などと自書し、署名押印するやり方です。
しかしながら、パソコンを利用する場合は、作成後の修正が容易にできますから、訂正が必要なものは破棄し、修正後の内容で新たに印刷し直しましょう。
財産目録以外はすべて自筆
勘違いしてはいけないのは、パソコンを利用して作成できるのは財産目録だけで、遺言書本体は必ず、すべてを自書しなければなりません。
自書する部分は、全文は当然ですが、日付と氏名も対象となるため、注意が必要です。
保管を依頼する場合は、綴りや封印不要
法務局での保管を依頼する場合は、形式審査や保管のため、用紙の片面だけに印刷し、ホチキス留めなどで綴らないようにします。
また、同じ理由で、封筒に入れる場合も開封のままで、封印しないことが原則です。
パソコンを利用して作成する自筆証書遺言のひな形
パソコンを利用して作成した、自筆証書遺言のひな形を紹介します。
遺言書は、遺言書本体を手書きで作成し、財産目録をパソコンで作成すれば完成です。
ひな形では、遺言者は山田太郎さん、相続人は妻と長男で、妻には自宅として使用している建物と土地を、長男には貯金を相続させると決めました。
自宅と貯金以外に高額な財産はありませんが、指定した以外の家財など残りの財産一切は、妻に譲ることを記し、財産処分を明確にしました。
具体的な財産の特定については、財産目録で詳細を記載するため、遺言書本体では、財産目録と一致する番号「第一」などだけ記載します。
この記載方法を採用することにより、遺言書本体の文字数や記載内容を最低限に留めることができます。
この結果、遺言者が自書する際の負担が減り、書き間違いや漏れを減らすことにつながるのです。
秘密証書遺言をパソコンで作成する方法
パソコンで作成できる遺言書には、自筆証書遺言に添付する財産目録以外に、秘密証書遺言があります。
この秘密証書遺言は、だれにも内容を知られないまま作る遺言書で、すべてをパソコンなど自書以外の方法で作成することも可能です。
作成の流れ
この遺言は、公証役場に、遺言者が自分で作成して封印した遺言書を持参し、公証人と2人以上の証人に確認してもらう方法で作成します。
遺言書を封印した封筒には、公証人と証人に証明や署名押印をしてもらい、遺言者自身で保管します。
したがって、秘密証書遺言の作成は、遺言の内容を他者に明かさないまま、遺言の存在だけを公証人と証人によって証明してもらう流れとなります。
なお、自筆証書遺言に比べ、自書の制約はなく、日付の記入も規定されていないなどの違いがあります。
遺言書の作成
遺言者は、遺言内容を証書に記し、署名・押印した上で、封筒に入れ封印します。
遺言書の証明
公証人の予約を行い、証人を依頼します。
証人とともに、指定日に公証役場に出向き、封印した遺言者を持参します。
封筒には、公証人が証明する文と署名押印を、さらに、証人と遺言者が署名押印をして、遺言者が完成します。
なお、内容の確認や審査などはありませんので、遺言書の内容が有効かどうかについては、遺言者自身が責任を負うことになります。
遺言書の保管と相続への反映
遺言書は、遺言者自身が保管しますが、途中で変更や撤回が必要な場合は、変更や撤回をすることも可能です。
遺言者が亡くなると相続が開始され、保管を依頼された方や、遺言書を発見した相続人などが、遺言書の検認を家庭裁判所に申立てます。
検認手続きが終われば、相続手続きを始めることができます。
作成方法
秘密証書遺言の要件は、(1)遺言者の署名と押印、(2)遺言書と同じ印鑑で封印、③公証人と証人2人以上の前に封印した遺言書を提出することです。
つまり、作成する際に、自書の制約や日付の規定はないのです。
作成手段
遺言の内容を証書に記すことから始めますが、自書の制約がないため、自身の手書きや代筆、パソコンやワープロで作成しても問題ありません。
手書きで作成するための筆記用具にも指定はありませんが、万が一の水濡れ対策を考えておくことがおすすめです。
このため、鉛筆やシャープペンシルなど消えやすいものは避けるとともに、ボールペンなら油性インク、万年筆なら顔料インクが良いでしょう。
用紙
用紙についても指定はありませんが、破損のリスクを避けるために、ある程度の強度や耐久性のあるものが望ましいでしょう。
印鑑
遺言の内容を記した遺言書は、署名と押印が必要ですが、実印である必要はなく、認印でも問題ないとされています。
日付
公証役場での証明の際に、封筒に日付が記載されますから、遺言書を作成した日付を入れるかどうかは任意で、自筆証書遺言のように必須ではありません。
内容の確認は行われない
公証人は、封印された秘密証書遺言について、その存在だけを証明することになるため、遺言書の内容を確認しません。
したがって、自筆証書遺言と同様、遺言書の内容については、全て遺言者の自己責任になります。
このため、遺言書の内容が不明瞭な場合や不備がある場合などは、遺言者の意思が十分に反映されない状況もあり得ることに、注意が必要です。
封印
遺言書を封筒に入れて糊付けし、遺言書と同じ印鑑で封印します。
この際、遺言書と異なる印鑑で封印した場合は、遺言自体が無効になる恐れがあるため注意が必要です。
証人を依頼
公証役場では、公証人とともに2人以上の証人立会いの下で、遺言書の確認が行われます。
このため、最低2人の証人を依頼しておきます。
一般的には、少し遠い親戚や、友人に証人になってもらうことが比較的多いようですが、未成年者や利害関係者は証人となることができません。
利害関係者としては、推定相続人や受遺者、これらの配偶者や直系血族が該当します。
推定相続人は、相続時点で最も先順位の相続権を持っている方を指し、代襲相続人も含まれます。
また、受遺者は、遺言によって財産を受け取る方のことで、相続人以外も対象となります。
なお、公証人と関係の深い方も証人になることができません。
具体的には、公証人の配偶者ほか、公証人の四親等内の親族、書記、使用人も対象外です。
候補者がいない場合や、遺言の存在を知られたくない場合は、弁護士や司法書士、行政書士など専門家に依頼することもできます。
専門家に依頼する場合は、遺言書の内容や書式なども含めたサポートや助言があり、遺言書の作成を依頼することもできます。
証人とともに、公証役場に遺言書を持参
公証役場には事前に連絡し、公証人の予約を取っておきましょう。
約束の日がきたら、証人とともに、封印した遺言書を公証役場に持参します。
秘密証書遺言を公証人に証明してもらう際は、定額1万1,000円の手数料がかかります。
また、身分証や印鑑など持参すべきものがありますから、事前に公証役場での確認が必要です。
遺言書に証明
遺言者は、証人が同席する場で、公証人に封印した遺言書を提出し、自身の遺言書である旨を述べ、氏名と住所を申し述べます。
それを受け、公証人は、封印された封筒に当日の日付を記し、遺言者の遺言書であることと、遺言者の氏名と住所を記します。
その後は、公証人、証人、遺言者の順に、封筒に署名し、押印します。
最終的に、公証人は、日付や、遺言者と公証人の氏名・住所を、公証役場の記録に残し、署名押印された遺言書を遺言者に戻します。
遺言書は遺言者自身で保管
公正証書遺言と違い、公証役場で遺言書を保管してもらうことはできません。
秘密証書遺言は、保管制度がなく、遺言者自身で保管するか、だれかに委託して保管してもらいます。
保管場所には十分注意しなければなりませんが、仮に相続開始前に開封されると、秘密証書遺言としては無効になる恐れがあります。
一方、家族など相続人に発見されにくい場所に保管する場合、相続時に発見されない恐れもあります。
このように、相続前に発見されて開封されるリスクや、発見されないリスクを避けるには、遺言書で「遺言執行者」を指定し、保管を依頼する方法があります。
遺言執行者が指定されていれば、この執行者が遺言の内容を実現することになり、相続人が勝手に財産を処分することができなくなります。
遺言執行者は、未成年者と破産者を除き、基本的に他の制限はありませんが、遺言執行に関する知識を有する専門家に依頼することが一般的です。
なお、専門家としては、弁護士や司法書士、税理士、行政書士、信託銀行などが候補となるでしょう。
遺言の変更や撤回
秘密証書遺言は、変更や撤回も可能です。
秘密証書遺言の内容を変更するためには、あらためて希望する内容の遺言書を作り直します。
基本的には、以前の遺言書を破棄した上で、再度、公証人に証明をしてもらう方法が最善です。
仮に、遺言書が複数ある場合でも、日付が新しいものが有効な遺言書となります。
秘密証書遺言を撤回し、遺言書がない状態に戻すには遺言書を破棄すれば良いのですが、公証役場に証明の記録が残ります。
記録を探されるといった不安が残るようであれば、新たな遺言書を作成しておけば、新しい日付が有効になるため、より安心できます。
遺言書に基づく相続
遺言者が亡くなると相続が始まり、検認手続きを済ませた遺言書に従って、財産が引き継がれます。
遺言執行者を指定した場合は、遺言執行者から相続人に遺言書があることが伝えられます。
遺言書の開封前に、検認手続きが必要ですから、遺言執行者は家庭裁判所に検認手続きを申立てます。
秘密証書遺言の開封は、偽造や変造を防止するため、検認の前に行ってはいけません。
仮に、検認前に開封してしまっても、遺言が無効になるわけではありませんが、開封者に5万円以下の過料が科されることがあります。
なお、遺言執行者がいない場合や、遺言執行者がすでに死亡している場合は、遺言書を発見した相続人などが、他の相続人への連絡や検認の申立てを行うことになります。
まとめ
秘密証書遺言は、これまでもパソコン利用が可能でしたが、公証人の証明手続きにかかる労力や費用負担があることから、利用は一部にとどまっています。
一方、自筆証書遺言は、制度改正前まで、全てを遺言者の手書きによらなければならず、遺言者の負担が大きいことが、普及しない原因の一つになっていました。
自筆証書遺言は、自分一人で完結できるところが最大の魅力であり、手書き部分を大幅に減らすことができるこの改正によって、利用しやすくなったと言えるでしょう。
また、法務局に保管を依頼すれば、遺言書が発見されないリスクや改ざんのリスクを避けることができることもあり、普及が進むと予想されます。
遺言書は、自分の意思を反映させる有効な手段ですから、無効にならないよう、遺留分や記載ミスにも注意しながら活用したいものです。
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