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最終更新日:2024/11/21

相続税の書面添付制度は税務調査対策になる?メリットや注意点を解説

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

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この記事でわかること

  • 相続税申告の書面添付制度の概要
  • 書面添付制度を利用するメリット・デメリット、注意点
  • 書面添付制度を利用するときの流れ

相続税の申告は、ほとんどの人にとっては一生に一回あるかどうかというほど、実際に関わることの少ないものです。そのため、相続税の申告を行った後、しばらくして税務調査が行われるようなことは、できれば避けたいと考えることでしょう。

税務調査を受ける可能性が低くなる制度として、書面添付制度というものがあります。

書面添付制度とは、はたしてどのような制度なのでしょうか。

この記事では、書面添付制度の概要やメリット・デメリット、利用するときの流れについて解説します。

書面添付制度を活用した申告を検討する方へ

既に相続が発生し、書面添付制度を活用した申告を検討されている方は是非、ベンチャーサポート相続税理士法人の無料相談をご利用ください。

相続税申告の経験豊富な担当者が、対面で書面添付制度のメリットやデメリットなどを詳しくご説明させていただきます。

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書面添付制度とは

書面添付制度とは、税理士法第33条の2に規定する書面添付制度と法第35条に規定する意見聴取制度を総称したものです。

意見聴取制度は平成13年の税理士法改正において創設されました。税理士法第30条に規定する税務代理権限証書と法第33条の2に規定する書面を添付した申告書を提出しているという二つの条件を満たしている場合、調査の通知前に、税務代理権限証書を提出している税理士に、添付書面に記載された事項に関する意見を述べる機会を与えなければならないとするものです。

意見聴取を行った結果、調査の必要性がないと認められた場合に、税理士等に対し調査に移行しない旨を原則として書面により通知されます。

ただし、証拠隠蔽の恐れのある場合などに行われる無予告調査では、意見聴取は行われず税務調査となります。

書面添付制度を活用するメリット

書面添付制度を活用するメリットは以下のとおりです。

税務調査を受ける可能性が減る

書面添付は税理士が申告書に保証書をつけるようなイメージです。書面添付があると意見聴取が行われますが、ここでは納税者の臨席はないため、精神的な負担が軽減されるでしょう。

書面添付制度を利用した場合、調査に先立ち、税理士に対して意見聴取が行われ、意見聴取の場で調査官の疑問点がすべて解決されれば調査省略となります。

申告漏れがあった場合にも加算税が課されない

税務署から、調査に入りたいとの通知があった場合に、その調査通知以後に提出された修正申告書または期限後申告書に対して、加算税が課されますが、書面添付制度を利用した場合に行われる意見聴取の連絡を受けた段階、または意見聴取の場で修正事項が判明し、修正申告書を提出したとしても、意見聴取は調査ではないため、加算税は課されません(延滞税は課されますのでご注意ください)。

申告内容に対する信頼性が向上する

何をどこまで税理士が確認したのか、それに基づきどのように判断して申告書の記載にいたったのか、納税者からどのような相談を受けたのかという申告書には書けない内容を記載するため、申告書の質と信頼性が向上します。

書面添付制度を利用する際の注意点とデメリット

書面添付は万能ではなく、注意点や多少のデメリットもあります。

書面添付制度を利用する際の注意点とデメリット

  • 相続人の手間や出費が増える
  • 税務調査の可能性を0にできるわけではない
  • 税理士によって対応が異なる

相続人の手間や出費が増える

書面添付をする申告書を作成する税理士としては添付しない申告と比較して、より内容精査に力を入れますので、提出を求められる資料が増えたり、打ち合わせ回数が増える可能性があるでしょう。
また、書面添付を行うにあたり、その分の報酬がかかる場合が多いでしょう。

税務調査の可能性を0にできるわけではない

書面添付制度を利用することで意見聴取が行われ、調査官の疑問点が解消されれば調査省略となりますが、疑問点が解消しなかった場合や新たに疑問点が生じた場合などは調査移行となりますので、書面添付制度を利用すれば必ず調査省略となるわけではありません。

税理士によって対応が異なる

書面添付は申告書の保証書のようなものであり、添付書面の虚偽記載は税理士法第46条該当となり、懲戒処分の対象となります。それを嫌って書面添付を行わない税理士もいます。

書面添付制度を利用した方がいいのか?

書面添付にはメリット・デメリットともにありますが、書面添付制度を利用した方が良いのでしょうか?

相続税申告におけるデータから見ていきましょう。

税務調査が行われる可能性は誰でもある

日本は申告納税方式を採用しており、納税者自身で税額を計算し納付するため、実際よりも納税額を少なくした申告をする可能性がありますが、それを阻止するのが税務調査です。自分に調査が来た時に指摘されないよう、正しい申告をしようとする意識を納税者に持たせるために税務調査は行われるので、誰に対しても税務調査が行われる可能性はあるのです。

税務調査を受ける割合は11%以上に及ぶ

税務調査を受ける割合については、相続税の申告期限から約1年半ほどあとに税務調査となることが多いため、2年前の申告書提出人数と調査数を比較します。

令和2年分における相続税の申告書を提出した人数は153,023人、令和4事務年度(令和4年7月から令和5年6月)における実地調査件数は8,196件で、税務調査の割合は約5.4%となっています。

新型コロナ感染症の影響で調査率はかなり下がった状態ですが、コロナ禍前は11%程度もあったため、徐々に増加していくものと思われます。

追徴税額の平均は800万円以上にも!

令和4事務年度における実地調査件数は8,196件ですが、このうち申告漏れなどがあった申告は7,036件にのぼり、割合としては85.8%、追徴税額は1件当たり816万円でした。税務調査を受けると、更なる税負担が発生しています。

書面添付制度利用の流れ

書面添付は税理士だけが作成し添付できます。納税者が自分で作成した申告書に自分で書面添付をすることはできません。書面添付をする場合、税理士に依頼することになります。

書面添付制度利用の流れ

1. 税理士と委任契約を結ぶ
先述のとおり、書面添付をしない税理士もいますので、書面添付制度を利用したい旨を伝えた上で税理士に相続税の申告業務を依頼します。
2. 必要書類の提出・必要な情報の聴取
相続人等は税理士から依頼された資料や情報を提供します。
3. 相続税の申告書の作成・提出
税理士は、書面を作成して申告書に添付し、税務署に提出します。
4. 申告内容に不明点がある場合は意見聴取が行われる
調査官が申告書および書面添付内容を確認し、疑問点がある場合は意見聴取が行われます。

ベンチャーサポート相続税理士法人での書面添付の活用状況

ベンチャーサポート相続税理士法人では令和5年、申告件数は2,204件、税務調査・意見聴取を合わせた件数は28件でした。簡単に計算すると、1.27%の割合で税務署より申告について連絡があったということです。

そして税務署より連絡のあった28件のうち、7件は意見聴取のみで終わっております。

割合で言うと、意見聴取もしくは税務調査の実施率は全案件の約1.27%、税務調査まで行われた案件が全案件の0.95%です。

全国で見ると、令和4年分の相続税申告件数は189,138件、相続税税務調査件数は8,196件となっており、割合は4.3%です。

これに比べるとベンチャーサポート相続税理士法人では税務調査の実施率がかなり低くなっております。

ベンチャーサポート相続税理士法人では質の高い申告書作成に加えて、書面添付制度の活用を推奨しており、結果として1%以下という税務調査率を実現しています。

相続税申告は書面添付制度に対応している税理士に依頼しよう

書面添付制度は、税理士が申告内容を保証する形で書面を添付する制度です。

書面添付制度を活用することによって、税務調査のリスクが低くなる可能性があります。

また、申告内容の信頼性が高まり、修正申告時の加算税が免除されるなどのメリットがあります。

税務調査の可能性を少しでも下げたい場合には、書面添付制度に対応している相続専門の税理士に依頼をしましょう。

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