この記事でわかること
- 遺族年金の受給手続きを行うところ
- 遺族年金を受け取るための具体的な手続きや必要書類
- 遺族年金の受給を依頼する相手
遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入している人、または加入していた人が亡くなった際に、その亡くなった人によって生計を維持されていた遺族に対して支給される年金です。
仮に一家の大黒柱である夫が亡くなり遺族年金を受け取りたい場合、どのような手続きをとればよいのか分からない方は多いのではないでしょうか。
この記事では、遺族年金の手続きについて解説します。
遺族年金の請求手続きを行う場所や具体的な手続きの流れ、必要書類に関しても詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。
目次
遺族年金の手続きはどこでする?
遺族年金の請求手続きは、請求する年金の種類によって行う窓口が異なります。
- 遺族基礎年金の場合:住んでいる地域の市区役所や町村役場※
- 遺族厚生年金の場合:年金事務所または街角の年金相談センター
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が亡くなったときに受給できる年金であり、遺族厚生年金とは、厚生年金保険に加入していた会社員や公務員であった人が亡くなったときに受給できる年金です。
自分がどちらを受給することになるのかは、事前によく確認しておきましょう。
- ※
- 死亡日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は年金事務所または街角の年金相談センター
遺族年金の受給手続きの流れ・必要書類
ここからは、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取るための手続きや必要書類をそれぞれ詳しく解説します。
遺族基礎年金の受給手続きの流れ・必要書類
遺族基礎年金を受け取る際は、以下の流れで手続きを行います。
- 遺族基礎年金請求書を取得する
- 必要書類を準備する
- 遺族基礎年金請求書と必要書類を提出する
- 年金を受給する
ここからは、遺族年金を受け取るための具体的な手続きや必要書類について詳しく解説します。
1.年金請求書を取得する
まずは、遺族基礎年金請求書を取得します。
遺族基礎年金請求書は、住所地の市区町村役場・年金事務所または街角の年金相談センターの窓口に備え付けられており、また日本年金機構のホームページからダウンロードすることも可能です。
遺族基礎年金請求書には、遺族年金を受け取る人と亡くなった人の情報や、亡くなった人の公的年金の加入歴などを記入します。
2.必要書類を準備する
次に、遺族基礎年金請求書に添付する必要書類を準備します。
遺族年金を受給するには、一定以上の要件を満たしている必要があり、その要件を満たしていることを示すための書類を揃え、提出する必要があります。
遺族基礎年金を請求するにあたって、すべての人が必要となる書類は以下のとおりです。
遺族基礎年金請求書に添付する必要書類
- 年金手帳または基礎年金番号通知などの基礎年金番号が分かる書類
- 戸籍謄本(受給権発生日以降で、提出日以前6カ月以内に発行されたもの)
- 世帯全員の住民票の写し(受給権発生日以降で、提出日以前6カ月以内に発行されたもの)
- 亡くなった人の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要)
- 所得証明書や課税証明書、源泉徴収票など請求する人の収入が分かる書類
- 子どもの収入が分かる書類(義務教育終了前は不要、高校生の場合は学生証のコピーなど)
- 市区町村に提出した死亡診断書のコピーまたは死亡の記載事項証明書
- 遺族名義の年金受取先金融機関の通帳コピーなど
また、亡くなった人の死亡原因が、交通事故などの第三者の行為による場合、先述した書類に加えて以下の書類が必要となります。
遺族基礎年金請求書に添付する追加書類
- 第三者行為事故状況届(所定の様式あり)
- 交通事故証明書または、事故内容が分かる新聞記事のコピーなどの事故が確認できるもの
- 確認書(所定の様式あり)
- 被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことが分かる書類(健康保険証、源泉徴収票、学生証などのコピー)
- 損害賠償金の算定書(示談書など。すでに決済済みの場合のみ)
また、状況によっては、さらに別途書類が必要となることがあります。
- 年金証書(遺族が他の公的年金から年金を受給している場合)
- 合算対象期間が確認できる書類(国民年金に任意加入しなかった期間がある場合)
- 年金裁定請求の遅延に関する申立書(やむを得ない事情により、年金を受給できる権利が発生した翌日から5年を経過している場合)
- 年金受給選択申出書(他の年金を受け取っている場合)
- 診断書(亡くなった人に20歳未満の障害の状態にある子どもがいる場合)等
3.年金請求書と必要書類を提出する
書類が揃ったら、年金請求書と一緒に提出します。
先述したとおり、遺族基礎年金を請求する場合は、住んでいる地域の市区役所や町村役場、遺族厚生年金の場合は、年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。
4.年金を受給する
書類を提出してから2カ月以内に、年金受給の権利を証する「年金証書」が自宅に届きます。
そして、その約1~2カ月後から、年金請求時に指定した口座に年金が振り込まれます。
1つ注意すべきなのが、法律上、遺族年金を受給する権利が発生した日の翌日から5年が経過すると時効によって消滅する点です。
やむを得ない事情があれば、その理由を書面(年金裁定請求の遅延に関する申立書)で申し立てることができますが、それ以外の場合は、時効によって5年より前の支払い分の年金を受給できない可能性があります。
このような事態を避けるためにも、できるだけ早めに手続きすることをおすすめめします。
遺族厚生年金の受給手続きの流れ・必要書類
遺族厚生年金を受け取る際も、遺族基礎年金と同様、以下の流れで手続きを行います。
- 遺族厚生年金請求書を取得する
- 必要書類を準備する
- 遺族厚生年金請求書と必要書類を提出する
- 年金を受給する
ここからは、遺族厚生年金を受け取るための具体的な手続きや必要書類について詳しく解説します。
1.遺族厚生年金請求書を取得する
まずは、遺族基礎年金と同様に、遺族厚生年金請求書を取得し記入します。
2.必要書類を準備する
次に、遺族厚生年金請求書に添付する必要書類を準備します。
基本的に、必要書類は遺族基礎年金と同じです。
状況によって、追加書類の提出が必要となる場合もあるので、その際は指示に従って対応しましょう。
3.遺族厚生年金請求書と必要書類を提出する
書類が揃ったら、遺族厚生年金請求書と一緒に提出します。
先述したとおり、遺族厚生年金を請求する場合は、年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。
4.年金を受給する
書類を提出してから2カ月以内に、年金受給の権利を証する「年金証書」が自宅に届き、さらいにその約1~2カ月後から、年金請求時に指定した口座に年金が振り込まれます。
遺族基礎年金と同様、遺族厚生年金を受給する権利が発生した日の翌日から5年が経過すると時効によって消滅する点には十分に注意しましょう。
遺族年金の手続きを依頼できる専門家
遺族年金に関しては、社会保険労務士に依頼することで手続きを代行してもらえます。
先述したとおり、遺族年金を受け取るには、書類の取得や記入や必要書類の準備などを行わなければなりません。
基本的に年金事務所や市区役所が開所しているのは平日なので、仕事などで出向くことが難しく、なかなか手続きの時間がとれないという方も多いでしょう。
そのような場合には、社会保険労務士に依頼し、手続きを代行してもらうことをおすすめします。
報酬や費用がかかりますが、年金の専門家に分からないことや不安事を相談できる、的確なアドバイスをもらえるなどのメリットがあります。
どうしても自分で手続きするのが難しい場合は検討してみるとよいでしょう。
まとめ
遺族年金の手続きは、確認や把握すべきことが多く、準備する書類も多いので、自分一人で手続きするのは少し大変かもしれません。
忙しくて時間がとれない場合や、自分で手続きすることに不安がある場合は、社会保険労務士に依頼することを検討するとよいでしょう。