記事の要約
- 相続争いは富裕層に限らず一般家庭でも増加傾向にあり、感情の対立や財産管理の不透明さが主な原因となって泥沼化します。
- 争いの長期化は精神的・金銭的な負担を招くため、生前の財産情報の共有や遺言書の作成といった事前の対策が欠かせません。
- トラブルを未然に防ぎ円滑に解決するためには、当事者だけで抱え込まず、早い段階で弁護士などの専門家へ相談することが重要です。
相続は残された家族の未来に大きな影響を与える重要な場面ですが、思わぬ誤解や感情の対立から深刻な争いへ発展することもあります。
家族が財産状況を開示してくれない、遺言書の内容が不公平、相続人同士の関係が良くないといった状況が重なると、協議が進まず精神的な負担が大きくなります。
争いが長引くほど調停や審判に進む可能性も高まり、時間も費用も多く必要になります。争いの解決が難しいと感じたら、早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。
この記事では、相続争いでよくある事例と具体的な対処法、相続争いを早期に解決するためのポイントや争いを未然に防ぐ方法までを、弁護士がわかりやすく解説します。
目次
相続の争いは年々増加している

相続をめぐるトラブルは、近年着実に増え続けています。令和6年度の司法統計では、家庭裁判所で取り扱った遺産分割事件は15,379件と報告されており、平成12年の8,889件と比べて約1.7倍に増えていることがわかります。
家族の在り方が多様になり、財産の種類も複雑化したことで、話し合いがまとまりにくいケースが目立ちます。さらに、相続人同士の関係が悪い、遺言書の内容に偏りを感じるなど、日常でのすれ違いが争いの引き金になる例もあります。
相続争いは富裕層だけで発生するトラブルではない

令和6年の司法統計を確認すると、遺産分割事件における認容・調停成立件数のうち、約80%は遺産額5,000万円以下のケースでした。資産家だけが争っているというイメージとは異なり、相続トラブルの多くは一般的な家庭で起きています。
特に不動産は預貯金のように単純に分割しづらいため、「誰が住むのか」「売却するのか」「評価額をどう考えるのか」などの意見がぶつかりやすく、話し合いが滞る原因になります。
問題が生じる家庭が特別なのではなく、誰にとっても起こり得る身近な問題として受け止めることが大切です。
相続争いでよくある事例と対処法
ここでは、多くの家庭で実際に発生している典型的な争いのパターンと、具体的な対処法を紹介します。
なお、法定相続人や法定相続分などについては、以下の関連記事をご確認ください。
絶縁状態などが理由で話し合いが進まないケース
相続人同士が長い間連絡を取っていない、過去のトラブルで関係が悪いといった状況は、相続手続きの場面で大きな障害になります。
相続人の一人が連絡に応じない場合、財産内容の確認や遺産分割の話し合いが全く進まず、最終的に家庭裁判所の調停へ進むケースも多くあります。無理に直接やり取りを続けると、感情的な対立が深まり、より複雑な争いになるおそれもあります。
こうした状態に直面したときは、第三者を間に入れて客観的に話し合いの場を整えることが重要です。弁護士に依頼すると、相続人全員への連絡や協議の段取りを専門的な立場で進められるため、時間的な負担や精神的なストレスを大きく減らせます。
相続財産を開示してくれないなど、遺産の使い込みが疑われるケース
相続財産の内容を知りたいのに、特定の相続人だけが通帳や書類を握り、詳細を教えないという状況もあります。
生前にキャッシュカードを預かった親族が頻繁に出金していたり、本人の判断能力が落ちた時期にまとまった金額が動いていたりすると、不信感が強まり「本当に正しい使い方だったのか」と疑問を抱くことも多いでしょう。
財産の不正な持ち出しが事実として裏付けられる場合は、刑法上の横領罪で刑事告訴できる可能性があります。ただ、刑法では直系血族や同居の親族に対して刑を免除する規定があるため、刑事告訴を検討する際は関係性の評価にも注意が必要です。
一部の相続人が相続財産を開示してくれない場合でも、弁護士が間に入ることで財産開示への心理的なプレッシャーをかけることができます。
また、裁判所を通じて財産状況を調査する方法もあるため、個人で進めるよりも遺産全体を把握しやすいです。
家族や親族が不平等な相続分を主張してくるケース
相続人の中には、法律で定められた取り分より多い相続分を求める人が出てくることがあります。たとえば「自分が親の面倒を見てきた」「自分は長男として不動産を相続する権利がある」など、主観的な事情を理由に過大な取り分を求めるケースです。
しかし、相続割合の目安は民法で定められているため、個人の感情や思い入れだけで大幅な増額を求めることは難しいといえます。話し合いが難航する場合は、遺言書の内容や財産の構成、過去の援助の有無などを整理し、争点を明確にすることが重要です。
主張の根拠に疑問があると感じるときは、専門家へ相談して法的な観点から適切な相続分を確認すると、納得できる落としどころを見つけやすくなります。
一部の相続人に多額の贈与をしていたケース
生前、特定の相続人にだけまとまった金額を渡していた場合、他の相続人との間で不公平感が生まれやすく、相続協議が進みにくくなります。
教育資金、住宅取得の援助、生活費の補填など、理由がはっきりしていても、金額が大きいほど「自分の取り分が減るのではないか」という不安が強くなり、感情的な対立へ発展しやすくなります。
このような問題が起こる背景には、民法の特別受益という考え方があります。特別受益とは、生前に特定の相続人だけが大きな利益を受けたとき、その分を相続分に反映して全体の公平を図る制度です。ただし、援助の目的や金額、時期などによっては特別受益に当たらないこともあります。
贈与の内容で意見が食い違うと協議が長引きやすいため、まずは振込記録や領収書など、事実を確認できる資料を整理しましょう。特別受益に該当するかどうかは専門的な判断が必要になるため、もめる前に弁護士への相談を検討しましょう。
遺言書の内容が明らかに不平等だったケース
遺言書の内容が極端に偏っていると、相続人の間で強い不公平感が生まれ、協議が進みにくくなります。
例えば「全ての財産は長男が相続する」「長女だけ相続人から排除する」といった内容が記載されていると感情的な対立につながります。
不平等な内容の遺言書が見つかった場合、不満のある側がそもそもその遺言が有効かどうか問題にすることも多くあります。自筆証書遺言は、日付や署名、押印など決められた形式があり、これが欠けると無効になる可能性があります。
また、作成当時に判断能力が十分でなかった疑いがある場合も、有効性が争点になります。さらに、筆跡が不自然であったり、内容が本人の意思と明らかに異なる状況では、遺言書の偽造を疑う場面もあります。
遺言書の効力に疑問があるときは、医療記録や筆跡に関する資料、関係者の証言など客観的な情報を整理することが大切です。遺言の有効性に関する判断は専門的な調査が必要になるため、早めに弁護士へ相談すると、適切な進め方が見えてきます。
不動産をどう分けるかでもめるケース
相続財産の中で不動産の占める割合が大きい家庭では、その扱いが相続争いの中心になりやすい傾向があります。
不動産は現金のように単純に分けることができないため、「誰が住むのか」「売却するのか」「評価額をどう考えるのか」といった点で意見がぶつかりやすくなります。複数人の共有名義にすると管理や売却の際に全員の合意が必要となり、後々さらにトラブルが生じることもあります。
話し合いが進まないときに検討される方法の一つが代償分割です。代償分割とは、不動産を相続人の一人が取得し、その代わりに他の相続人へ現金などで公平を図る方法です。不動産を売却せずに済むため便利ですが、代償金の金額や支払方法で再び対立が生じることもあります。
評価額の算定や将来の管理方法をどう考えるかによって適切な分け方が変わるため、専門家へ相談しながら冷静に比較すると、納得しやすい解決策を見つけやすくなります。
亡くなった人を介護していたことで寄与分を主張するケース
相続人の中には、長期間にわたり介護を担った人が「自分の苦労を考慮してほしい」と感じ、相続分の増額を求めることがあります。こうした場面で問題となるのが寄与分という制度です。
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人について、その貢献度を相続分に反映させる仕組みです。介護の負担が大きかった場合でも、寄与分にあたるかどうかは、貢献の内容や期間、他の相続人との役割分担など、具体的な事情によって判断が分かれます。
「介護をした=必ず寄与分が認められる」というわけではなく、日常的な家族間の扶助の範囲と評価され、寄与分と認められないこともあります。そのため、主張する側は、介護の記録、支出した費用、専門職に代わる行為であったかなどの資料を整理することが重要です。
前妻との子どもが相続分を主張してくるケース
亡くなった人と前妻の間に子どもがいる場合、その子どもも法律上の相続人になり、現在の家族と同じ相続分を取得する権利を持ちます。
この仕組みを知らず、相続手続きが始まってから前妻やその子どもから相続権を主張する連絡を受けて驚くケースがあります。特に、前妻の子どもと交流がない場合、連絡手段の確保や財産情報の共有だけでも大きな負担になります。
前妻の子どもは法定相続人であるため、一方的に取り分をゼロにすることはできません。ただし、遺言書の内容や寄与分などが関係する場合は、最終的な取得額が法定相続分と異なること もあります。
納税資金の確保(流動性の高い財産の取得)でもめるケース
相続税の支払いに充てる現金の配分について意見が割れると、話し合いが停滞しやすくなります。 相続税は各相続人が自分の取得分に応じて納税する仕組みですが、実際には「遺産に現金が少なく、納税資金が用意できない」といった事情から、誰が換金性の高い財産(現預金など)を取得するのかで対立するといったケースです。
特に、不動産を中心とした遺産分割で、不動産を取得する相続人が十分な現金を受け取れない場合、納税資金の確保が難しくなり、不公平感が高まります。「不動産はいらないから現金が欲しい」といった現金の取り合いや、逆に「納税資金がないから不動産は引き継ぎたくない」といった押し付け合いになることもあります。
また、相続税の申告期限は原則として相続開始から10カ月と短いため、協議がまとまらないまま期限が迫ると焦りが生まれ、さらに対立が激しくなることもあります。誰が不動産を引き継ぐのか、あるいは売却して現金化するのかを早めに整理しないと、期限内の納税が困難になります。
納税資金の確保でもめている場合は、財産の分け方を根本から見直したり、不動産を売却して代金を分ける(換価分割)といった方法を検討する必要があります。申告期限を意識しながら、税理士や弁護士に相談すると、現実的な分割方法を決めやすくなり、相続争いの長期化を防ぐことにつながります。
相続争いの悲惨な末路とは?
相続争いが長引くと、家族関係だけでなく日常生活にも大きな影響が出ます。相続争いがもたらす主な悪影響は、以下のとおりです。
- 家族・親族関係が悪化し、長期的な断絶につながる
- 肉体的・精神的な負担が増え、日常生活に支障が出る
- 遺産を受け取れず、弁護士費用や諸費用だけがかかる
- 特別受益や寄与分を時効により主張できなくなる
- 相続税の特例が利用できず、税負担が増える
- 調停や裁判へ進み、解決までに長い時間がかかる
これらの問題は、争いが深まるほど避けにくくなります。親族関係の悪化は簡単に修復できず、精神的な疲労は仕事や生活にも影響します。また、特別受益・寄与分・相続税の特例には期限や要件があるため、協議が進まない状態を続けるほど不利になります。
調停や裁判に進むと、解決までに数カ月から数年かかることも珍しくありません。こうした悲惨な事態を避けるためにも、早い段階で専門家に相談し、争いの拡大を防ぐことが重要です。
相続争いを早期に解決するためのポイント
相続争いで話し合いが停滞すると、精神的な負担だけでなく制度上の不利益も大きくなります。ここでは、争いを早期に解決するためのポイントを紹介します。
争点を明確にし、優先順位をつける
相続争いが長引く理由の一つは、何が問題なのかが整理されていない点にあります。相続人同士が「不公平だ」「納得できない」と感情的な話に終始すると、具体的な論点が見えなくなり、協議が前へ進みません。
まずは財産の内容、遺言書の有無、生前贈与の状況など、争点となりそうな部分を紙に書き出し、優先順位をつけることが大切です。重要な順に取り組むことで話し合いの方向性が明確になり、早期の解決につながります。
「負けるが勝ち」が有効なケースもある
遺産分割協議では、すべての主張を通そうとすると対立が激しくなり、結果的に解決まで多くの時間を使うことがあります。
正しいことであっても、主張すると反発を産むこともあるため、自分の要求を少し調整して、全体がまとまることを優先するのもひとつの戦略です。
特に早期に解決したいと考える場面では、譲れる部分と譲れない部分を明確にすることが重要です。合理的な落としどころを見つける姿勢が、結果として自分の利益を大きく守ることにつながるケースもあります。
使い込みや不正の疑念は証拠で確認する
相続財産に不明点があると、感情的な対立が一気に強まります。疑念があっても憶測だけで議論を続けると、解決が遠のくだけでなく、家族関係の悪化にもつながります。まずは通帳、取引明細、不動産関係書類などの客観的な資料を整理し、事実を確認することが重要です。
話し合いで情報を得られない場合は、遺産分割調停を申し立て、家庭裁判所の調査嘱託制度を利用して金融機関から資料を取り寄せる方法もあります。証拠を基に協議を進めると判断の根拠が明確になり、早期の解決が期待できます。
相続税の申告期限を意識して協議を進める
相続税の申告期限は、原則として相続開始から10カ月と短いため、争いが続くほど期限が迫り、焦りが生まれます。申告に間に合わないと加算税や延滞税が発生し、余計な負担が増えるおそれもあります。
遺産の分け方が固まらない場合でも、まずは概算で申告し、あとから修正申告を行う方法もあります。期限を意識すると協議の優先順位が明確になり、無駄な争いを避けやすくなります。
家庭裁判所の調停を早めに検討する
相続人同士の話し合いが進まない場合、家庭裁判所の遺産分割調停を活用すると、第三者が間に入り公平な議論を行えます。
調停委員が意見の整理を行うため、直接の対立を避けたい場面でも有効です。早めに調停へ進むことで問題点が明確になり、長期化を防ぎやすくなります。調停は訴訟より柔軟に話をまとめられる点も大きなメリットです。
相続争いを未然に防ぐための方法
相続争いは、事前の準備や家族間の情報共有によって大きく減らせます。相続人同士が財産の内容や被相続人の意向を理解していれば、誤解や不信感が生まれにくく、協議が円滑に進みます。
生前に家族と話し合い、財産状況を共有しておく
相続争いの多くは、財産の全容が分からないことから始まります。生前の段階で、預貯金、不動産、保険、負債などの情報を家族で共有すると、相続開始後の混乱が少なくなります。
また、被相続人の財産内容や分け方の意向を確認する場を設けることで、どの財産をどのように扱うのかが明確になり、相続人同士で紛争となる可能性を減らせます。
家族間で話し合うのが難しい場合は、書面で一覧化した財産目録を作るだけでも効果があります。財産に関する情報を可視化すると、特定の相続人だけが内容を把握している状況を避けられるため、不必要な疑念が生まれにくくなります。
遺言書を作成して相続人の意思を明確にする
遺言書は、相続争いを防ぐために最も効果的な手段の一つです。誰にどの財産を渡したいのかを明確に示すことで、相続人同士の解釈違いや不公平感を大きく減らせます。特に不動産が複数ある場合や、前妻との子どもがいる場合は、遺言書の有無で協議の難易度が大きく変わります。
遺言書には自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3つがあります。どの方式を選ぶかは家庭の事情によって異なりますが、遺言書で被相続人の意思を明確にしておけば、相続人同士の話し合いがスムーズになり、無用なトラブルを避けやすくなります。
家族信託(民事信託)を利用して財産管理を明確にする
家族信託は、財産の管理や処分を信頼できる家族に託す仕組みで、高齢者の認知症対策として有効です。判断能力が低下すると銀行口座の管理や不動産の処分が難しくなり、相続人同士の意見がぶつかりやすくなるため、判断能力が低下する前に管理体制を整えることが重要です。
家族信託契約をしておくことで、財産を管理する人(受託者)と利益を受ける人(受益者)の役割が明確になり、誰がどの権限を持つのかがはっきりするため、相続開始後の争いを大幅に減らせます。
なお、家族信託について知らない相続人がいると、知らなかったことが原因でトラブルとなるケースもあるため、契約前に家族間で契約内容などを共有しておくことも大切です。
相続争いで弁護士や税理士に相談するメリット
相続争いは、財産の種類が多いほど複雑になり、家族関係の問題も重なって冷静な判断が難しくなります。
法律や税金の知識が十分でないまま協議を進めると、争点を見落としたり、不利な条件で合意してしまうおそれがあります。こうしたトラブルを防ぐために、早い段階で弁護士や税理士に相談することは大きなメリットがあります。
- 弁護士に相談する主なメリット
- 弁護士は、遺産分割協議、遺産の使い込み、遺言書の有効性、寄与分・特別受益など、相続争いの核心部分を法律面から整理し、最適な進め方を提示します。相続人同士の連絡調整や交渉も代わりに行えるため、直接やり取りをすることで生じる感情的な負担を避けながら協議を進められます。
- 税理士に相談する主なメリット
- 税理士は相続税の計算、納税資金の確保、特例の適用可否など、税務面のリスクを見極め、過不足のない申告をサポートします。遺産に不動産が多いケースでは、評価方法の違いで税額が大きく変わることもあり、専門家の判断が欠かせません。
法律と税金の双方を適切に整理できることで、相続争いの長期化を防ぎ、円滑な解決につながります。複数の専門家に相談するのが手間な場合は、相続争いから税金対策、登記業務までを一括して任せられる事務所に依頼するのがよいでしょう。
相続争いに関してよくある質問(Q&A)
Q.相続放棄をすれば相続争いに巻き込まれずに済みますか?
相続放棄を行うと、その相続について一切の権利を持たない立場になります。そのため、遺産の分け方をめぐる協議には原則として関与しなくて済みます。ただし、放棄したとしても、他の相続人から事情の説明を求められるなど、完全に無関係になるとは限りません。
また、相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」という期限があるため、迷う場面では早めに専門家へ相談すると安全です。
Q.相続争いが起きたらどの専門家に相談すればいいですか?
相続争いの内容によって、相談すべき専門家が異なります。
遺言書の有効性、特別受益や寄与分、遺産の使い込みなど法律判断が必要な場面では弁護士が適しています。相続税の計算、申告期限の確認、財産評価など税務に関する問題は税理士が担当します。
不動産の名義変更や相続登記については司法書士が手続きを進める役割を担います。また、不動産評価で意見が割れる場合は、不動産の専門家に相談する方法もあります。
内容が複雑なケースでは、弁護士・税理士・司法書士などが連携して対応する「ワンストップサービス」を提供している事務所に依頼しましょう。
Q.相続争い中でも遺産である預貯金は引き出していいのですか?
相続争いの途中で預貯金を勝手に引き出すと、他の相続人から「使い込み」と見なされ、争いが激しくなるおそれがあります。
現在の制度では、相続人全員の合意がなくても、一定額であれば金融機関からの払戻しが可能ですが、生活費や葬儀費用など用途に制限があります。
無断での引き出しはトラブルの原因になるため、必ず相続人同士で事前に確認し、必要に応じて家庭裁判所の手続きを利用する方法が安全です。
Q.相続争いの弁護士費用はどれくらいかかりますか?
弁護士費用は、相談内容や財産額、手続きの種類によって異なります。交渉段階の着手金は20万円から30万円前後で設定している事務所が多いですが、調停や審判、訴訟等に進む場合は追加で着手金がかかる場合もあります。財産額が大きいほど費用が高くなるケースもあるため、相談時に見積もりや費用の目安を確認しておくと安心です。
まとめ 相続争いが起きたら早めに弁護士に相談を
相続争いは一度こじれると、家族関係の悪化や精神的な負担の増加、相続税の特例が利用できなくなるなど、取り返しのつかない問題につながりやすくなります。財産の内容が把握できない場面や、遺言書の解釈で意見が分かれる場面、使い込みが疑われる場面など、専門的な判断が必要になることも多くあります。
早い段階で弁護士へ相談しておけば、争点を整理しながら合理的な解決策を見つけやすくなります。相続争いに巻き込まれそうなときは、早めの相談でトラブルの深刻化を防ぎましょう。
VSG相続税理士法人では、相続に関する初回の相談を無料で承っております。弁護士・司法書士・税理士など相続に精通した専門家が丁寧に事情をお伺いいたしますので、些細なことでもお気軽にご連絡ください。





