記事の要約
- 金は相続税の課税対象で、「亡くなった日の買取価格 × 重量」で評価するのが基本
- 相続税の申告で金を隠そうと思っても、税務署には確実にバレるため、必ず正しく申告すること
- 相続した金を売却したときには、相続税とは別に「所得税」がかかる
「亡くなった家族の遺品を整理していたら、金の延べ棒が出てきた。これにも相続税がかかるの?」
結論からお伝えすると、「金(ゴールド)」も相続税の課税対象です。
この記事では、「相続税申告での金の評価方法」や「申告しないとバレる理由」をわかりやすくお伝えします。
なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしています。何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。
目次
【種類別】金の相続税申告での評価方法

金は、預貯金や不動産と同じく「相続税の課税対象」です。
「金地金(インゴット・延べ棒)・金貨・アクセサリー」など、形態はさまざまありますが、基本的には下記の式で評価額を計算します。
計算式
式中の「買取価格」は業者によって多少異なりますが、公表されている金額のなかから「最も安い価格」を選んで構いません。
亡くなった日が休日で、金相場が出ていない場合は「前後の営業日の価格」をもとに評価します。
このとき、実務では「最も近い営業日の価格」を使うのが一般的ですが、具体的な取り扱いについては、税理士に確認するのが確実です。
なお、銀やプラチナなどのほかの貴金属や、宝石付きのアクセサリーの評価方法などは、下記の記事で詳しくお伝えしていますので、併せてご参照ください。
ここからは、次の金の種類ごとに、評価のポイントを見ていきます。
金地金(インゴット・延べ棒)

金地金(きんじがね)は、金の資産としては最もオーソドックスな形態で、「インゴット・ゴールドバー・金の延べ棒」とも呼ばれます。
相続税の計算をするうえでの評価方法は、前述のとおり「1gあたりの買取価格 × 重量」で計算します。
たとえば、「500g」の金地金を相続し、亡くなった日の買取価格が「1gあたり20,000円」だった場合、相続税評価額は次のとおりです。
計算式
なお、金地金には、「ブランド名・重量・純度・シリアルナンバー」などが刻印されています。
金地金の刻印
引用元 三菱マテリアルWebサイト
評価に使うのは「重量」と「買取価格」ですが、「純度」によっても買取価格が変わってくるため、念のため確認しておきましょう。
一般的に流通している金地金の多くは「純度99.99%(いわゆる「フォーナイン」)」ですが、純度が低いものは買取価格も下がります。
また、刻印されているシリアルナンバー(金塊番号)は、購入者情報と紐づけて管理されています。この点は、後述する「税務署にバレる理由」にも関わってきます。
金貨・記念コイン

金貨として有名なものには、「ウィーン金貨」と「メイプルリーフ金貨」があります。
これらは、重さ(1オンス~1/10オンス)ごとに、業者のWebサイトなどで買取価格が公表されているので、その金額で評価します。
一方で、評価の判断が難しくなるのが、日本政府が発行した「記念金貨」です。
記念金貨は貨幣として使用できることから、「10万円」などの額面で評価するのが原則ではあります。
ただし、近年の金価格の高騰により、「重さ」で評価したときと大きな差が出るケースが増えています。
たとえば、天皇陛下の御在位60年を記念して発行された「10万円金貨」の重さは20gです。仮に金の買取価格が1gあたり2万円とすると、金としての価値は40万円となり、額面の10万円とは「30万円」も差があります。
天皇陛下御在位60年記念金貨
引用元 造幣局Webサイト
以上の状況を踏まえると、額面のある金貨についても、基本的には「1gあたりの買取価格 × 重量」で評価するほうが安全です。
高いほうの評価額を採用することで、申告後に税務署から指摘される可能性を下げられます。
判断に迷うときには、相続専門の税理士に相談するようにしましょう。
アクセサリー・装飾品

金の「ネックレス」や「リング」などのアクセサリーは、ご自身で正確に重さを測ることが難しいです。
そこで、買取業者から見積もりをとり、その金額を評価額とすることをおすすめします。
なお、「1点あたり5万円以下」の小さなアクセサリーであれば、ほかの家庭用財産とまとめて一括で計上することが認められています。
とはいえ、現在の金相場では少量の金でも5万円を超えやすいため、金のアクセサリーは個別に見積もりをとっておくのが安全です。
仏具・祭具

日常的に礼拝に使っている「仏壇」や「仏具(おりん・香炉・花立て など)」は、相続税がかからない「非課税財産」に該当します。
ただし、仏具・祭具であっても、以下に該当するときは課税対象になります。
- 骨董的な価値がある
- 投資目的で購入した
- 日常的に礼拝していない
たとえば、相続税を節税する目的で「金の仏像」を購入し、自宅に保管したまま使っていなかったような場合には、金として課税対象になります。
ちなみに、金の仏像の価格には「加工代」が上乗せされ、金そのものの価値よりも高い値段で販売されているケースがほとんどです。
このため、仮に「非課税財産」と認められても、負担減となった相続税額と比較して加工代のほうが高くなり、資産価値の面ではかえってマイナスになるリスクがあります。
純金積立

「純金積立」とは、毎月一定の額を積み立てて、金を購入していく金融商品です。
手元に「金の現物」が届くのではなく、積立口座の残高として管理される仕組みになっています。
故人が純金積立をしていた場合は、その業者に連絡して、相続開始日(亡くなった日)時点の「積立数量」と「買取価格」がわかる資料を発行してもらいましょう。
そこで確認できる数量と価格をもとに、評価額を算出します。
金の相続を申告しないと確実にバレる

「金があっても、自宅に隠しておけば税務署にバレないのでは?」
相続税の申告をする際には、このように考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、結論からいうと税務署から金を隠し通すことはほぼ不可能です。
ここでは、「確実にバレる理由」と「科されるペナルティ」についてお伝えします。
税務署にバレる理由
金の存在が税務署にバレる最大の理由は、故人の「入出金の履歴」にあります。
税務署は、「亡くなった方」や「相続人」が取引している金融機関の預金履歴を、すべて調査することが可能です。
多額の現金の引き出しやカードの引き落としがあると、「この出金は何に使ったのか?」と追及され、最終的に故人が過去に金を購入していたことがバレます。
ここで税務署に嘘をつくと、「意図的に財産を隠した」として、「重加算税」という重いペナルティを科されかねないため、正直に話すようにしましょう。
なお、「入出金の調査」以外にも、金の保有状況が税務署にバレる仕組みとしては、下記のようなものがあります。
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 支払調書 | ■ 1回の取引で200万円を超える金の売却があったとき、業者は税務署に「支払調書」を提出する義務がある ■ 支払調書に記載された売却した人の情報(氏名・住所・マイナンバーなど)を確認することで、金を持っていたことがバレる |
| 本人確認の記録 | ■ 200万円以下の取引でも、業者が金を買い取る際には、記録が保存される ■ 金を小分けにして売却したとしても、業者側には取引記録が残るため、税務署が照会すれば取引の事実はわかる |
| シリアルナンバー | ■ 金地金には固有のシリアルナンバーが刻印されており、購入者情報と紐づけて管理されている ■ 税務署が販売業者に照会すれば、誰が・いつ購入したかがすぐにわかる |
| 税務調査(実地調査) | ■ 税務調査では、自宅の金庫・貸金庫・仏壇の中まで確認されることがある ■ 自宅に現物を隠していても、調査官に発見されれば、申告漏れとして指摘される |
これらの仕組みをすべてかいくぐって金を隠し通すのは、現実的にかなり困難といえます。
「時効まで逃げ切る」のは難しい
しかし、税務署は「入出金の履歴」や「支払調書」を通じて、個人の金の保有状況を把握しているため、この期間が経過する前に指摘されるケースがほとんどです。
- ※1
- 正確には「除斥期間」で、この期間を過ぎると、税務署は相続税を課すことができなくなる
申告しなかった場合のペナルティ
金の相続を申告しなかったことが判明した場合、本来の相続税に加えて、ペナルティとして下記の税金が課されます。
| 税金 | 概要 |
|---|---|
| 延滞税 | 納付期限を過ぎた日数に応じて発生する、利息のような税金 |
| 無申告加算税 | 相続税の申告をしなかったときに課される税金 |
| 過少申告加算税 | 申告した金額が本来より少なかったときに課される税金 |
| 重加算税 | 財産を意図的に隠していた場合に課される、最も重いペナルティとしての税金 |
相続税の申告漏れに気づいたときには、早く対応するほど、税負担は軽くなります。
具体的な対応方法は、下記の記事で詳しくお伝えしているので、併せてご確認ください。
「どのような対応が必要かわからない」という場合には、相続専門の税理士に相談しましょう。
私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するご相談に無料でお応えしております。
相続した金を売却するときにかかる税金

金を相続した後に売却をすると、相続税とは別に「所得税」がかかります。
ここでのポイントは、売却して得られた「譲渡所得」は、ほかの「給与所得」や「事業所得」と合算して税額を計算することです。
これは「総合課税」と呼ばれ、所得税は所得が大きくなるほど税率も上がるため、金の売却益によっては税負担が重くなりかねません。
金を売却した際の「譲渡所得」の額は、下記の式で計算します。
計算式
- ※1
- 特別控除は、金の売却益を含むその年の譲渡益の合計から差し引く
なお、売却した時期が「亡くなった方(被相続人)が購入した日」から数えて、5年を超えていた場合には、上記で計算できた譲渡所得を「1/2」にして、所得税を計算します。
また、金を相続した際に納めた「相続税」の一部を「取得費」に加算できる特例もあります。
この特例は、金を「相続開始のあった日の翌日から3年10カ月以内」に売却した場合に、適用することが可能です。
以上で紹介した所得税を納めるには、金を売却した翌年の「2月16日〜3月15日」に確定申告をしなければなりません。
確定申告に慣れていないのであれば、税理士のサポートを受けることをおすすめします。
金の相続に関するよくある質問
Q1:金にかかる相続税はいくら?
Q2:相続税対策として金を買うメリットはある?
Q3:金を相続した後に、名義変更は必要?
Q4:プラチナ(白金)の評価方法は?
まとめ|金の相続は隠さず正しく申告しよう
この記事では、金と相続税の関係をお伝えしました。
- 金は相続税の課税対象であり、「亡くなった日の買取価格 × 重量」で評価するのが基本
- 金の保有は「入出金履歴」や「支払調書」で税務署に把握されるため、必ず正しく申告すること
- 相続した金を売却したときには、相続税とは別に「所得税」がかかる
相続税の申告をする際には、金のほかに「不動産」や「株式」などの評価額も正しく計算しなければなりません。
もし、ご自身で判断するのが難しい場合には一人で抱え込まず、相続専門の税理士に相談することをおすすめします。
私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。
あなたの状況をお伺いしたうえで、手続きを丁寧にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご連絡ください。




