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最終更新日:2023/7/13

正しい相続手続きVOL33 宅地の特例は相続人や活用法によって変わる!平成30年度税制改正による影響とは

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

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相続税の軽減措置として、「小規模宅地等の特例」という制度があります。

本記事では、この制度について確認するとともに、平成30年の相続税・贈与税の税制改正によって変更されたポイント、それによって具体的にどのような影響が出るのかについても、あわせて確認したいと思います。

小規模宅地等の特例の制度

(1)制度趣旨

自宅の敷地である宅地や事業用に使用していた宅地を所有していた方が亡くなった場合、それらの宅地は相続人に相続されることになります。

これらの自宅の宅地や事業用の宅地は、相続人にとっても生活の基礎となる財産だったり、事業を引きついで継続していく上で必須の財産といえるため、相続人がその所有を維持できるようにすることが要請されます。

ところで、相続が開始された場合において、相続財産の評価額が基礎控除額を超える場合には相続人は相続税を納めなければならないことになります。

その際の税率は、相続財産の評価額によって最も税率の低い10%から最高で55%までとされていて、相続財産の評価額が高いほど税率も高いという、超累進課税となっています。

以上から、相続した宅地の評価額が高い場合、相続人は多額の相続税を負担しなければならないこととなり、その結果、相続人は相続税を納めるために相続した自宅や事業用の不動産を売却しなければならないという事態に陥るなど、その生活が脅かされたり、事業の継続が困難になってしまう可能性が生じることになりかねません。

そこで、法律は、それらの居住用宅地や事業用の宅地を相続によって取得した相続人が、一定の要件を満たす場合には、その宅地の相続税評価額を大幅に減額するという形で、相続人がこれらの必要不可欠な財産を売却しなくてもすむような制度を設けました。

これが「小規模宅地等の特例」という制度です。

(2)小規模宅地等の特例の種類

小規模宅地等の特例の制度については、その宅地の種類によって、大きく2つに分かれます。

一つは居住用宅地で、もう一つは事業用宅地です!。

そして、事業用宅地は、さらに、事業自体の用に供していた宅地についての特例(特定事業用宅地)と、不動産賃貸業の用に供していた宅地(不動産貸付用宅地)についての特例の2つに分けられます。

以上を整理すると、次のようになります。

【小規模宅地等の特例】

居住用宅地(特定居住用宅地)
事業用宅地 特定事業用宅地
不動産貸付用宅地

以下、それぞれについて、この特例が適用される宅地の要件、および、この特例を受けられる相続人、効果について見ていきます。

特定居住用宅地

(1)対象となる「宅地」の要件

被相続人が所有していた宅地で、かつ、次のいずれかに該当する宅地です。

  • 被相続人の居住の用に供されていた宅地
  • 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地

ここにいう「親族」とは、被相続人の6親等内の血族、配偶者、および3親等内の姻族(配偶者の血族)をいいます。

また、「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要するのもではありませんが、その生活費などが同一の財布から支出されている関係が認められる場合をいいます。

例えば、通学や療養などのために別居していた場合でも、その生活費などを被相続人が仕送りするなどして負担していた場合には、「生計を一にする」と認められることになります。

この宅地の要件に関して、被相続人がなくなる直前に介護施設等に入居していた場合に、「被相続人の居住のように供されていた宅地」といえるかが問題とされていました。

これに関して、平成30年の税制改正において、被相続人が介護医療院に入居したことで居住用に使われなくなった場合でも、その土地は小規模宅地等の特例の適用対象となることが明確化されました。

(2)特例が認められる相続人

特例が認められるのは、以下の相続人です。

被相続人の居住の用に供されていた宅地

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