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【法人なら最大200万円の助成金】コロナウイルスによる持続化給付金について徹底解説

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、ビジネスの実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

この記事でわかること

  • 持続化給付金とはどのような制度なのかを知ることができる
  • 持続化給付金の支給額の計算方法を理解することができる
  • 持続化給付金の申請方法や必要な書類などがわかる

新型コロナウイルスの感染拡大により、様々な業種の事業活動に大きな影響が生じています。

特に飲食店や小売店などの厳しい状況を目にすることが多いかもしれませんが、実際にはそれ以外にも大きなマイナスとなっている業種があるのです。

このままでは、連鎖倒産などより大きな影響が出る可能性があるため、経済産業省が主導する形で条件を満たした個人事業主や法人に持続化給付金が支給されることとなったのです。

持続化給付金の金額の計算方法や、受給するための手続きなどについて確認しておきましょう。

持続化給付金とは

「持続化給付金」とは、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言により事業活動が制限され売上高が大幅に減少した個人事業主や法人に一定の金額の給付金を支給する制度です。

個人事業主が支給を受ける場合と、法人が支給を受ける場合に分けて、その内容を解説します。

個人事業主に対する持続化給付金

個人事業主が持続化給付金の支給を受けるための条件は、2020年1月から12月までの各月の売上高の中に、前年同月の売上高に対して50%以上減少している月があることです。

個人事業主であれば、売上高や従業員数などの規模に関係なく支給対象となります。

また、ごく一部の業種を除くすべての業種が対象となります。

個人事業主に対する持続化給付金の支給額は、最大100万円です。

ただ、次に説明する支給額の計算方法にしたがってその額を求めることとなるため、実際の支給額は100万円に満たない場合もあります。

法人に対する持続化給付金

法人が持続化給付金の支給を受けるための条件も、個人事業主の場合と同様です。

2020年1月から12月までの各月の売上高の中に、前年同月の売上高に対して50%以上減少している月があることが必要です。

また法人の場合は、資本金の額が10億円以上の大企業は除外されています。

一方で、売上高や従業員数など規模の大きさで除外される法人はありません。

また、医療法人、NPO法人、社会福祉法人なども対象となり、株式会社や有限会社、合同会社などの会社に限定されていません。

法人に対する持続化給付金の支給額は、最大200万円です。

ただし、個人事業主の場合と同じく、その計算結果によっては200万円に満たない場合もあります。

支給額の計算方法

持続化給付金の支給額の計算方法を、個人事業主の場合と法人の場合とに分けて確認しておきましょう。

個人事業主に対する支給額の計算方法

個人事業主に対する持続化給付金の支給額は、100万円です。

ただし、昨年1年間の売上高からの減少額を上限とすることとなっています。

前年の売上高からの減少分の計算方法は、「前年の総売上(事業収入)-前年同月比50%以上減少した月の売上高×12ヶ月」となっています。

売上高が大きく減少した月があれば、1年が終わるのを待つことなく持続化給付金を受給するための申請を行うことができるのです。

なお、個人事業主の方は、暦どおりに1年間の所得金額を集計し確定申告を行っています。

そのため、前年の総売上といった場合は2019年1月~12月の1年間の売上高をいいます。

個人事業主の計算例①

商店を営む個人事業主の2019年の各月の売上高と2020年の5月までの各月の売上高は、以下のようになっているとします(単位:万円)。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
2019年1201101301401501301401501401301201401,600
2020年130110706070

この場合、前年の売上高に対して50%以下となっている月は4月と5月です。

前年同月比50%以下となっている月であれば、どの月の金額を用いて計算してもよいこととされているため、ここでは4月の金額を使って計算してみましょう。

前年の総売上(事業収入)1,600万円-2020年4月の売上高60万円×12ヶ月=880万円
上限金額100万円<880万円であるため、100万円が支給されます。

個人事業主の計算例②

事業規模が小さい事業者の場合、計算すると100万円の上限に達しないこともあります。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
2019年5040701008050304050506070690
2020年6030405030

例えば、このような個人事業主の場合、前年の売上高に対して50%以下となっている4月と5月の売上高を使って給付金の額を計算することができます。

そこで、4月の売上高を先ほどの計算式にあてはめて計算すると、前年の総売上690万円-50万円×12か月=90万円となり、上限の100万円に満たない金額となってしまいます。

一方、5月の売上高で計算すると、690万円-30万円×12か月=330万円となるため、上限額である100万円が支給されることとなります。

計算した結果、給付金の額が100万円に満たない場合にはあわてて申請せず、より有利になる月がないかしばらく経過を見守るという選択肢もあります

法人に対する支給額の計算方法

法人に対する持続化給付金の支給額は、200万円です。

ただし、前年度1年間の売上高からの減少額を上限とすることとなっています。

法人と個人事業主とで大きな違いがあるとすれば、比較対象となる前年の売上高の考え方です。

個人事業主の場合は、一律2019年の1年間の売上高を用いることとされていましたが、法人の場合は法人ごとに事業年度が異なるため、各法人の直前の事業年度の1年間の売上高を用いることとなります。

そのため、計算式は「直前の事業年度の総売上-前年同月比50%以上減少した月の売上高×12ヶ月」となります。

法人の計算例

法人の場合、決算時期によって1年間の売上金額を集計する区切りが異なります。

例えば3月決算法人の場合、売上金額は4月~翌年3月までの12か月間で集計した金額となります。

第3期2018年4月2018年5月2018年6月2018年7月2018年8月2018年9月2018年10月2018年11月2018年12月2019年1月2019年2月2019年3月合計
3002802702602802502302402502502602703,140
第4期2019年4月2019年5月2019年6月2019年7月2019年8月2019年9月2019年10月2019年11月2019年12月2020年1月2020年2月2020年3月合計
2802902703002802502302402402501801302,950
第5期2020年4月2020年5月2020年6月2020年7月2020年8月2020年9月2020年10月2020年11月2020年12月2021年1月2021年2月2021年3月合計
150140

2020年1月から12月の間で、売上高が前年同月比50%以上減少している月の売上高が対象となるため、この場合3月あるいは5月が対象の月となります。

3月の売上高を用いて計算する場合、直前の事業年度の売上高は第3期の売上高となるため、計算式としては3,140万円-130万円×12ヶ月=1,580万円>200万円となり、200万円の支給を受けることができます。

また、5月の売上高を用いて計算する場合、直前の事業年度の売上高は第4期の売上高となるため、計算式は2,950万円-140万円×12ヶ月=1,270万円>200万円となり、やはり200万円の支給を受けることができます。

月によって、直前の事業年度の金額が変わることに注意しなければなりません。

申請に必要な書類

持続化給付金の申請を行う際には、売上高が50%以上減少していることを客観的な書類で証明しなければなりません。

そのために提出しなければならない書類があるため、個人事業主と法人に分けて確認しておきましょう。

個人事業主が提出する書類

個人事業主は、前年の売上高を確認するために、確定申告書第一表の控えと青色申告決算書の控えが必要です。

このうち、確定申告書第一表には税務署の収受日付印が押されているものを用意するか、電子申告を行った後に送られてくる受信通知を添付する必要があります。

売上が半減以下となった月の売上高がわかる書類としては、売上台帳や総勘定元帳などがあるので、これらの書類も準備しておきます。

また、申請者本人の名義の預金通帳の写しや、運転免許証などの本人確認書類が必要です。

法人が提出する書類

法人は、直前の事業年度の確定申告書別表一の控え及び事業概況説明書の控えが必要です。

このうち、確定申告書別表一には、税務署の収受日付印が押されているものを用意するか、電子申告したものであることを示す受信通知を添付します。

また、売上高が半減以下となった月の事業収入が分かる書類を提出します。

売上台帳、売上高の総勘定元帳などの書類が必要です。

このほか、法人名義の預金通帳のコピーも必要です。

申請期間・申請方法

持続化給付金の申請期間は、2020年5月1日~2021年1月15日となっています。

2020年12月の売上高が確定してから申請を行う場合、締め切りまでの時間が短いため、事前に準備できるものは用意しておくようにしましょう。

申請は原則オンラインで行うこととされています。

持続化給付金の申請用サイト(https://www.jizokuka-kyufu.jp/)から、①メールアドレスの仮登録、②届いたメールから本登録、③マイページから必要事項の入力と必要書類のデータの添付という流れになります。

また、電子申請ができない事業者のためには申請サポート会場も設置されているため、必ず予約してから行くようにしましょう。

【持続化給付金】特例について

事業を最近始めた場合や新たに会社を設立した場合など、持続化給付金の条件にあてはまるのか分からないケースもあります。

そのような場合の取扱いについて、特例が設けられているため確認しておきましょう。

個人事業者が2019年中に開業した場合

2019年1月~12月の間に開業した個人事業主の場合、2020年のいずれかの月の売上高が2019年の月平均の売上高より50%以上減少していることが条件となります。

例えば、2019年9月に開業した個人事業主の2019年の各月の売上高がそれぞれ9月10万円、10月30万円、11月45万円、12月55万円であった場合、平均額は35万円となります。

2020年2月に売上が15万円に落ち込んだ場合、50%以上減少しているため持続化給付金の申請をすることができるのです。

給付額の計算方法は2019年の月平均額×12か月-対象となる月の売上高×12ヶ月となります。

このケースでは、35万円×12ヶ月-15万円×12か月=240万円>100万円となるため、上限額である100万円が支給されます。

法人を2019年中に設立した場合

2019年中に法人を設立した場合も、個人事業者の場合と同じように2019年の月平均売上高を求め、その金額より50%以上減少している月の売上高をもとに給付金の額を計算します

法人の場合は上限額が200万円となるため、設立したばかりの法人の場合、その上限に届かない可能性もあります。

資金繰りに問題がないのであれば、最も支給額が大きくなる月を選んで申請するようにしましょう。

よくある質問

ここでは、持続化給付金についてよくある質問に回答していきます。

(1) 2020年になってから創業した個人事業主や法人も対象となるのでしょうか?

2020年1月から3月の間に創業して、2020年4月以降の売上高が創業してから2020年3月までの月平均額から50%以上減少している場合には、対象となる可能性があります

この場合、税務署に提出した開業届などの書類が必要となるため、必ずホームページで確認して手続きを行いましょう。

(2)申請してからどれくらいで支給されますか?

通常、申請から2週間程度を目安として支給されます

実際、申請から10日程度で支給された事業者もいます。

一方で、書類に不備があるとその処理に時間がかかるため、2週間以上の時間を要する結果となります。

(3)一度給付金の支給を受けましたが、上限額まで達していなかったのでその分をもう一度受給できますか?

持続化給付金の受給は期間内に1回のみで、複数回受給することはできません

(4)支給された給付金は課税の対象となりますか?

支給された持続化給付金については、個人・法人とも課税の対象となるものです。

法人の場合は益金として、個人の場合は収入金額として売上高と同じ取扱いとなります。

ただし、経営環境が厳しい事業者においては、損金や必要経費が多く計上されることとなるため、結果的に給付金を受給しても税負担は増えないことが想定されます。

まとめ

持続化給付金は、売上高が大幅に減少して経営が苦しい事業者のために新しく創設された制度です。

経営状態が苦しい事業者のための制度であり、比較的早く給付金を受け取ることができます。

給付金を受けるための条件や手続きも、比較的シンプルになっているため、インターネット環境があれば比較的簡単に申請をすることができるはずです

少しでも事業資金を確保するため、まだ申請していない人は早めにその内容を確認しておきましょう。

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