東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、ビジネスの実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
日本各地で猛威を振るう、新型コロナウイルス。
北海道においてもその感染は顕著に増加していて、感染の拡大に伴い、経済にも多大な影響を与え続けています。
経済が滞ることによって懸念されるのは、企業の倒産が相次ぐという事態です。
このような事態を避けるべく、国の対策措置や自治体の支援事業をきちんと把握し、必要に応じてその救済を受ける必要があります。
今回は、北海道内の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で倒産するケースの特徴や、コロナウイルス関連の倒産情報を踏まえたうえで、北海道が行う、補助金や融資制度などの支援事業についてご紹介していきます。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
まず、北海道の産業構造や業種の特徴について解説していきます。
北海道の産業構造の特徴は、次の通りです。
北海道はその豊かな自然から、農業や漁業といった分野において非常に特化しているため、第一次産業における比率が高いです。
全国シェア第1位の農水産品、酪農品を数多く生産しています。
全国の農業生産量として見ると北海道の農業生産量は約10%程度を占め、全国の漁業生産量では約25%程度を占めています。
一方、第二次産業においては、全体的に比率が低いのが現状ですが、建設業においては比較的高い比率となっています。
北海道の第二次産業の中で、とりわけ比率が低いのは製造業で、製造業全体の売り上げは中小企業が約80%程度を占めています。
また、第三次産業は第一次産業と同様に、比率が高くなっているのが特徴です。
電気・ガス・水道業、卸売・小売業、金融業、保険業、不動産業、運輸業などのサービス業など、国内総生産では約75%程度を占めています。
ここからは、コロナ禍での倒産の特徴と北海道内のコロナウイルス関連の倒産情報をご紹介します。
北海道における新型コロナウイルス関連の倒産件数は、東京、大阪に次いで多くなっているのが現状です。
東京商工リサーチの調査によると、北海道内で負債額1,000万円以上の倒産件数は、2020年上半期(1~6月)だけで109件に及び、このうち新型コロナウイルスの影響による倒産は19件と報告されました。
コロナ関連の倒産は、全体の倒産件数の約20%を占めていて、この19件のうち7件が飲食業や宿泊業などのサービス業関連です。
こられのサービス業は、外出自粛などの影響により、特に苦しい経営状況が続いているようです。
水面下で厳しい資金繰りを強いられて倒産や廃業に追い込まれる企業が多数存在していることから、今後さらに倒産件数が増加していく可能性があると見られています。
北海道では、前述のような倒産を引き起こす新型コロナウイルスに対応するべく、北海道内の企業などの特定対象者に対して、独自の支援対策を行っています。
ここからは、北海道において利用することができる補助金・支援金や、融資などの制度についてご紹介します。
北海道では、倒産を回避するための支援事業として次のようなものがあります。
こちらの表をご覧ください。
【北海道における支援対策一覧表】
種類 | 名称 | 概要 | 金額 | 対象 | 期間・期限 |
---|---|---|---|---|---|
補助金 | テレワーク導入支援補助金 | テレワークの普及と定着を促進することを目的として、テレワークにかかる経費の一部を補助。 | 上限額65万円 | 道内の中小企業・個人事業主(医療法人・社会福祉法人・学校法人などを含む) | 令和3年3月5日(申請額が北海道の予算額を超過する場合した時点で受付は終了) |
補助金 | 新型コロナウイルス感染症対策小規模事業者緊急支援事業補助金 | 小規模事業者持続化補助金に対して1/12を上乗せして支援。 | 上限額100万円 | 国の「小規模事業者持続化補助金」を活用する北海道内の小規模事業者および一定の要件を満たす特定非営利活動法人 | 今年度8回に分けて受付(最終締切は令和3年2月26日) |
補助金 | 北海道海外人材待機費用緊急補助金 | 新型コロナウイルスの水際対策(14日間の公共交通機関不使用)の待機期間に対する緊急措置として、北海道内の企業が海外人材を受け入れる際に行う支援。 | 水際対策対応のために道内企業等が負担した宿泊費の実費(2020年7月29日以降に入国分~2021年3月19日までに申請した分) | 海外人材を受け入れる道内の企業 | 令和3年3月19日まで |
支援金 | 経営持続化臨時特別支援金 | 新型コロナウイルスに対応する新たな行動様式スタイルの確立を促進させるに伴い、その影響を受ける事業者を支援。 | 支給額5万円 | 休業要請に協力した事業者または外出自粛等により売り上げが大幅に減少した事業者 | 支援金B(休業要請等なし) 令和3年1月31日 ※支援金A(休業要請等あり)の申請受付はすでに終了 |
支援金 | 教育旅行支援事業支援金 | 道内で実施する教育旅行に対して、貸し切りバスや宿泊施設での感染リスクの低減に必要となる費用の補助。 | 【貸し切りバスへの支援】 1台1日あたり140,000円 宿泊への支援1人1泊あたり3,000円 | 道内で教育旅行を実施する国内の学校や旅行会社 | 令和2年6月24日から令和3年2月28日までの間に実施される教育旅行が対象。 一泊以上宿泊、他の支援事業等を利用していないことが条件。 教育旅行出発日から起算して30日前 |
奨励金 | 北海道異業種チャレンジ奨励金 | 新型コロナウイルスの影響による離職者の早期就職および人手不足の企業の人材確保を目的とする支援。 | 【求職者への奨励金】 30万円(申請は1回限り) 転居を要した場合は、20万円を上限として転居費用の実費を支給 【企業への受入奨励金】 雇用1名につき30万円(新卒は対象外) | コロナ禍に離職して対象の異業種へ就職した個人・雇用事業所のうち道で定める特定の条件を満たす者 | 令和2年11月13日から令和3年3月31日まで |
融資 | 中小企業総合振興資金 経済環境変化対応資金 経営環境変化対応貸付(認定企業) | 新型コロナウイルスによって経営に影響を受けている中小企業・小規模企業に対して行う資金支援。 | 【融資額】 2億円以内 【融資期間】 10年以内 | 特定中小企業者と認定された道内の中小・小規模企業 | 令和2年1月29日~令和3年1月31日 |
融資 | 新型コロナウイルス感染症緊急貸付(短期資金) | 新型コロナウイルスによって経営に影響を受けている中小企業に対して行う、緊急貸付。 | 【融資額】 8,000万円以内 【融資期間】 1年以内 | 道内において、直近1か月の売上高等が、前年又は前々年の同月を比べ5%以上減少している中小企業 | 令和2年4月1日から令和3年1月31日まで |
融資 | 新型コロナウイルス感染症対応資金 | 新型コロナウイルスによって経営に影響を受けている中小企業に対して行う融資。 | 【融資額】 国準拠4,000万円以内、道特別2,000万円以内 【融資期間】 10年以内 | 道内の中小企業 | 令和2年5月1日から令和3年1月31日まで (令和2年12月31日までに保証申込みの受付が完了していることが必要) |
上記の他、北海道では市ごとによって別途、独自の補助金や融資などの制度を設けています。
詳しくは、各市役所のホームページをご覧のうえ、相談窓口へお問い合わせください。
今回は、北海道におけるコロナ関連の倒産情報についてご紹介しました。
飲食業・宿泊業をはじめとして、その他の業界においても苦しい経営状況が続いているようです。
北海道では、倒産や廃業を回避するため、補助金やその他の制度を独自に設けていて、支援対策を行っているので、導入を検討してみるのが得策です。
相談窓口も設けられているので、必要な状況に応じて経営状況について相談し、最善の方法を選んでいきましょう。