東京弁護士会所属。
破産するということは社会的な信用や財産を失うと恐れている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、早期的に適切な手段で破産を行えば、多くの場合、少ないダメージで済みます。
経営が悪化している状況の中で、交渉ごとを本人でまとめようとすることは非常に大変です。
誰にも相談できないと思わずに弁護士に破産手続きを依頼することで、心身の負担を減らすことができます。
一日でもはやく立ち直るためにも、お気軽に弁護士にご相談ください。
トラブルに巻き込まれた場合や法的な手続きが必要な場合、法律の専門家に相談や依頼をするための費用が必要です。
先立つもの(お金)がないと、トラブル解決や法的手続きをしたくてもできません。
そんなときに助けてくれる制度が「民事法律扶助」です。
民事法律扶助の内容や利用方法、必要書類などをご説明します。
Contents
「民事法律扶助(民事法律扶助制度)」とは、以下のようなケースの場合になどの場合に資金面から助けてくれる制度です。
たとえば、個人間のトラブルに巻き込まれて裁判に発展しそうになっていたとします。
トラブルの相手方は資力があるので、弁護士に依頼しました。
しかしもう片方の当事者は資力が乏しかったので、弁護士に裁判所に提出する書類の作成などを依頼することが難しい状況です。
これでは、資力がないばかりに、一方的に不利な立場になってしまいます。
資力がないためにトラブル解決も難しくなるはずです。
このようなときに公的な機関が資金の立て替えや給付をして助けてくれるのが、民事法律扶助(民事法律扶助制度)です。
民事法律扶助は自己申告で「資金に困っている」という人であれば誰でも使えるわけではありません。
民事法律扶助の利用に際しては利用条件が定められています。
民事法律扶助の詳しい内容や具体的な利用例、利用条件についてみていきましょう。
民事法律扶助は、以下の「3つの扶助」が主な内容になります。
弁護士や司法書士に法律相談をするときは、相談に対する報酬が必要になります。
資力がないとトラブル解決のための相談すらできません。
民事法律扶助では、無料法律相談を内容のひとつにしています。
弁護士や司法書士に相談しても、相談にとどまり、トラブルが解決することはまずありません。
相談後に、弁護士や司法書士に手続きを代理で行ってもらったり、裁判所などに提出する書類などを作成してもらう必要があります。
民事法律扶助では代理費用の援助や書類作成の援助も行い、実際にトラブルを解決する際の費用を援助しているのです。
民事法律扶助は具体的に次のようなトラブルやお悩み解決に使われています。
法テラスの開示している情報によると、民事法律扶助の利用で最も多いのは多重債務事件や自己破産になっています。
次いで多いのが離婚訴訟などの離婚問題です。
民事法律扶助はこの他のトラブルにも利用できます。
民事法律扶助を利用するためには4つの条件を満たす必要があります。
それぞれについて、詳しくご説明していきます。
民事法律扶助は日本国民および在留外国人が利用可能です。
ただし、在留外国人に関しては「日本に住所を有し適法に在留する外国人」でなければいけません。
不法滞在の外国人や一時的に日本を訪れている外国人は制度利用の対象外ということです。
法人や組合などの団体は民事法律扶助の利用対象外になります。
豊富な資力を持っている人は、自分のお金で法律相談や法的手続きができるため、民事法律扶助の対象外です。
民事法律扶助はトラブルやお悩みを解決したいのに、法的手続きや相談のための資力が乏しい人のための制度になります。
そのため、制度を利用するためには資力が一定額以下である必要があるのです。
その資力は次の2つの基準で判断します。
月収基準は家族数によって異なります。
たとえば単身の場合、1カ月の月収が182,000円以下である必要があります。
東京や大阪などの場合は基準がやや上がり、200,200円以下となります。
なお、離婚問題などの夫婦間のトラブル以外の場合は、原則的に夫婦の月収を合算して考えるというルールです。
保有資産(預金など)も一定額以下でなければいけません。
単身の場合は180万円以下が制度利用の条件です。
他、家族の人数によって保有資産の基準が変わってきます。
民事扶助制度が使用できるのは、和解や調停、示談などで解決できる見込みがあるケースに限られます。
自己破産の場合は免責が受けられそうなケースです。
まったく勝訴の見込みのないケースに資金援助をしても、援助が無駄になってしまうためです。
勝訴が確定的である必要はありませんが「勝訴の見込みがないとはいえない」くらいの可能性は必要になるのです。
民事法律扶助を使って相手に報復したい、違法なことをしたい、宣伝のために利用したい。
このような目的では、民事法律扶助は利用できません。
トラブルやお悩みを解決したいが資力が足りないというケースで使われるべき制度であるからです。
民事法律扶助手続きは以下の4つのステップで行います。
いきなり弁護士や司法書士に手続きの代理や書類作成を依頼するのではなく、まずは無料法律相談をするところからスタートします。
法テラスなどのしかるべき機関で受付や予約を行い、弁護士や司法書士に抱えているトラブルについて相談を行います。
無料相談だけで解決すれば、民事法律扶助の審査には進みません。
相談をしたうえで民事法律扶助の審査に進み、審査が通れば援助の開始となります。
事件終了までしっかりサポートしてもらいましょう。
審査に必要な書類については、次の項で詳しくご説明します。
無料相談後に具体的な法律手続き(代理や書類作成など)が必要な場合は、収入などの各種条件が民事法律扶助の利用条件を満たしているかの審査が行われます。
審査では相談内容ももちろん考慮されますが、必要書類の内容などからも判断されるのです。
上記の内容を判断し、民事法律扶助による援助が可能な場合は援助開始決定となります。
審査に必要な書類は次の通りです。
関連書類は民事法律扶助で解決を援助してもらいたいトラブルの内容により異なります。
この他にも、トラブルの内容によっては追加で必要書類を提出しなければいけません。
申込を行う際に、自分の相談内容に応じた必要書類を確認しておきましょう。
申込方法は3種類あります。
一つ目は、最寄りの法テラスに問い合わせの上で予約や申込を行う方法です。
二つ目は、法テラスと契約している弁護士や司法書士にコンタクトを取る方法になります。
法テラスは約23,000人の弁護士と約7,400人の司法書士が契約しているので、契約弁護士や司法書士に直接コンタクトを取ることも可能です。
最寄りの弁護士や司法書士がわからない場合や、トラブルの内容を弁護士と司法書士どちらに相談したらよいのかわからない場合は、まずは法テラスに問い合わせをしてみましょう。
地域によっては、法テラスから最寄りの弁護士や司法書士を紹介してもらうことも可能です。
三つ目は、法テラスによって法律相談の場所として指定された弁護士会などの指定相談所が窓口になり、申し込みを行う方法です。
民事法律扶助の契約は、申込者と法テラス、弁護士などの3者間で結びます。
契約が成立すると、法テラスが弁護士や司法書士の着手金など、契約書に記載のある金額を立て替えます。
なお、裁判所への予納金など、一部立て替え払いの対象外になる費用があるため注意してください。
立て替え分については、原則的に月1万円ずつ返済することになります。
ただし、収入状況によっては返済額の減額や猶予もあります。
トラブルが解決し弁護士や司法書士から終結報告書が提出された場合や援助の必要がなくなった場合は、援助終結です。
手続きの中で相手方から金銭などを受け取った場合は、弁護士や司法書士、法テラスなどが一旦預かったうえで清算などが行われます。
司法書士や弁護士の報酬についても必要があれば法テラスが立て替えてくれるので、返済を行うことになります。
民事法律扶助は資力が乏しくトラブル解決のための相談や手続きなどが難しいときに援助してくれる制度です。
法的なトラブルに巻き込まれた場合、弁護士費用や法的手続き費用などが解決のための大きなハードルになります。
そんなときに民事法律援助は役立つ制度となっています。
公的制度である民事法律援助などを活用し、泣き寝入りしなくて済むトラブル解決を目指しましょう。