東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、ビジネスの実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
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新型コロナウイルス感染症特別貸付は、日本政府が100%出資して設立された日本政策金融公庫で取り扱われている融資制度の1つです。
日本政策金融公庫では、その時の社会情勢や政府の政策に沿った形で、様々な融資の制度を設けています。
この新型コロナウイルス感染症特別貸付も、新型コロナウイルスの感染拡大により売上の減少などの影響を受けた事業者が利用できるように設けられた制度です。
それでは、実際にどのような人がこの新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用することができるのでしょうか。
利用できる人の要件や、貸付の条件について確認していきましょう。
新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用できる方は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け業況が悪化している事業者です。
次の(1)または(2)のいずれかに該当し、中長期的にみて業況が回復し、かつ発展することが見込まれる事業者が対象となります。
最近1ヵ月間等の売上高には、最近1ヵ月間の売上高に加えて、最近14日間以上1ヵ月未満の任意の期間の売上高を含みます。
また、最近14日間以上1ヵ月間未満の任意の期間における売上高と比較する場合は、上記①~③の売上高を日割で計算します。
新型コロナウイルス感染症特別貸付の利用条件は以下のようになっています。
資金の用途は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴って社会的要因により必要となる設備資金および運転資金とされています。
当初は新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資限度額は、国民生活事業として行われる場合には6,000万円、中小企業事業として融資を受ける場合には3億円とされていました。
しかし、令和2年度補正予算の成立を受け、令和2年7月1日より融資限度額が国民生活事業の場合は8,000万円に、中小企業事業の場合は6億円にそれぞれ増額されました。
なお、この金額は既存の融資制度の残高とは別枠として計算されます。
国民生活事業・中小企業事業のいずれの場合も基準利率が適用されます。
なお、令和3年9月1日時点での基準利率は1.26%~1.65%となっています。
ただし、利率の負担については、融資から3年間は実質無利子とされる制度が設けられています。
国民生活事業の場合、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%の利率が適用されます。
また対象者については、基準利率-0.9%の部分について利子補給を受けることができ、実質無利子となる制度が設けられています。
実質無利子化の対象は、中小企業事業の場合は2億円までとされています。
設備資金として融資を受けた場合は20年以内、運転資金として融資を受けた場合は15年以内とされています。
なお、いずれの場合も据置期間は5年以内とされています。
無担保とされています。
新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する際、申込みを行う者が法人の場合は、その代表者が連帯保証人になります。
また、申込みを行う者が個人事業主の場合は、連帯保証人は不要とされます。
なお、法人が申込みを行う場合でも、その代表者が連帯保証人にならなくてもよい経営者保証免除特例制度があります。
この特例を利用するためには、申込みの時点で選択し、一定の要件を満たす必要があります。
また、連帯保証人となる必要がない代わりに、一定の利率が上乗せされます。
新型コロナウイルス感染症特別貸付の利用を申し込む際には、多くの書類が必要となります。
ここでは、個人・法人それぞれの場合に必要な書類を確認していきます。
個人が申込みをする場合に必要な書類は以下の6種類です。
個人が国民生活事業の申込みをする場合に必要な書類
このうち、日本政策金融公庫とすでに取引がある人は(1)~(3)までの書類が必要です。
また、税務申告が1期しか完了していない事業者の場合は1期分だけを提出し、事業開始後まだ申告をしていない人は確定申告書の提出は必要ありません。
法人が申込みをする場合に必要な書類は以下の7種類です。
法人が国民生活事業の申込みをする場合に必要な書類
このうち、日本政策金融公庫とすでに取引がある人は(1)~(3)までの書類が必要とされます。
また、税務申告が1期しか完了していない事業者の場合は1期分だけを提出し、事業開始後まだ申告をしていない人は確定申告書の提出は必要ありません。
中小企業事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付に申込む際の必要書類は以下のとおりです。
中小企業事業の申込みをする場合の必要書類
国民生活事業に申込む際は、日本政策金融公庫のサイトから借入申込書などをダウンロードし、記載事項に記入したうえで、そのほかの書類と一緒に郵送するのが一般的です。
また、インターネットでの申込も受け付けており、こちらを利用すればより早く申込みをすることができます。
一方、中小企業事業に申込む際は、日本政策金融公庫の中小企業事業の窓口に相談する必要があります。
店舗に足を運ばずに電話相談を利用することも可能です。
新型コロナウイルスの感染拡大により、中小企業や個人事業主の資金繰りがかなり悪化しているケースがあります。
このような場合に、実質無利子で利用することもできる新型コロナウイルス感染症特別貸付は大きな力になるはずです。
売上が減少して先行きに不安を感じている場合は、まず電話で相談してみるのもいいかもしれません。