最終更新日:2025/12/10
創業計画書の【創業の動機】の書き方とは?例文10選やNG例を税理士が解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

日本政策金融公庫などへ提出する創業計画書を作成する際に、多くの人は売上予測や資金計画といった数字の部分に力を注ぎます。
創業計画書で数字部分が重要なのは正しいのですが、融資担当者は一番最初の項目である「創業の動機」も重点的にチェックします。
この項目は、単に自分の創業のきっかけや思いを書くだけの部分ではなく、融資担当者にこの計画の実現性をアピールするための重要な部分なのです。
この記事では、審査担当者が確認する「創業の動機」の評価軸や、そのまま使える業種・状況別の例文10選、評価を下げてしまうNG例を、税理士がわかりやすく解説します。
創業計画書を書こうとしたものの、最初になんと書けばいいかで詰まってしまったという方は、ぜひご覧ください。
また、この記事では創業計画書の「創業の動機」部分を詳しく解説しています。
創業計画書の全体の書き方について知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。


目次
【要点まとめ】創業計画書の動機の書き方の全体像
創業の動機を作成するうえでは、事業を始めるタイミングの是非や経営者のこれまでの経験と実績、そして素質をアピールできる内容にすることが重要です。
それぞれが大事な評価軸ではありますが、自分の始める事業によってアピールする内容を調整することで、よりよい評価を得やすくなります。
逆に、抽象的だったり整合性のない内容や、融資頼みの姿勢が見えてしまっている動機の書き方をしてしまうと、融資担当者からの評価を得ることは難しくなるので注意しましょう。
創業計画書で「動機」が重視される理由:審査担当者が見る3つの評価軸
創業計画書において、「創業の動機」は事業全体の実現可能性と、創業者自身の信頼性をアピールする項目です。
毎日数多くの計画書に目を通す審査担当者にとって「創業計画書を提出した人物は本当に計画を遂行できるのか、予期せぬ困難に直面しても事業を継続できるのか」という部分を判断するために、創業の動機は極めて重要な意味を持ちます。
創業の動機の評価軸は、主に3つあります。
- 事業への本気度:なぜ「今」この事業なのか
- 事業の継続可能性:経験や強みをどう活かすか
- 経営者としての資質:計画性と準備は十分か
それぞれの評価軸について、詳しく解説します。
評価軸1・事業への本気度:なぜ「今」この事業なのか
審査における「本気度」とは、感情の強さではなく、事業開始のタイミングに対する論理的な妥当性を指します。
なぜほかの事業ではなくこの事業なのか、そしてなぜ今でなければならないのか、という問いに対する明確な回答が求められます。
たとえば、カフェの創業の動機を書く場合に「長年の夢だったカフェを開きたい」という想いだけでは不十分です。
- 10年間、カフェチェーンの店長として店舗運営と人材育成を経験し、独自の焙煎技術も習得しました。開業予定地の駅前再開発が完了し、今後3年間で乗降客数が15%増加するとの行政データを根拠に、集客が見込める今が最適と判断しました。
このような客観的な事実が、事業を始める強い根拠となります。
評価軸2・事業の継続可能性:経験や強みをどう活かすか
事業を継続させることは、始めること以上に困難です。
そのため審査担当者は、創業者がその事業を安定的に継続していけるだけの能力や経験を有しているかを厳しく評価します。
その根拠となるのが、創業者の過去の経験と、事業内容の一貫性です。
自身のこれまでのキャリアで培ったスキルや実績、人脈が、これから始める事業に直接的にどう活かされるのかを具体的に示す必要があります。
たとえば、Web制作会社を開業する動機として
「学生時代からWebデザインに興味があった」
と記述するだけでは不十分です。
より自身の経験や強みをアピールするため、以下のように記述しましょう。
- 前職のIT企業で5年間、法人向けWebサイトを30件以上制作し、顧客企業の売上を平均20%向上させた実績があります。その経験で得たSEOの知見と、当時の取引先5社からの発注の内諾が、事業の基盤となります。
ここでのポイントは、経験を単なる経歴の羅列で終わらせず、実績も提示することです。
事業の強みが「高品質なWebデザイン」の場合は、単に「Webデザイン経験5年」と書くだけでなく、売上や顧客満足度の高さといった具体的な成果を記入しましょう。
評価軸3・経営者としての資質:計画性と準備は十分か
最後に問われるのが、経営者としての資質、特に計画性と準備の周到さです。
事業への情熱は不可欠ですが、それだけでは事業は成り立ちません。
リスクを想定し、客観的なデータに基づいて計画を立て、着実に準備を進めてきた姿勢を、「創業の動機」の段階で示すことが求められます。
- 創業を決意した5年前から、毎月の給与から8万円を創業資金として貯蓄し、目標であった500万円の自己資金を準備しました。
このような一文は、目標達成に向けた自己管理能力と、長期的な計画遂行能力を証明する証拠になります。
事業が単なる思いつきではなく、熟考と準備の上に成り立っていることを示すことは、融資審査を受けるうえで非常に重要な要素です。
【業種・状況別】創業の動機の例文10選
創業の動機は、自身の経験や事業の強みを、審査担当者に伝わる論理的なストーリーとして記述することが重要です。
ここでは、日本政策金融公庫の様式を想定し、業種や状況ごとに短くまとめた例文を紹介します。
例文1:飲食店
- 12年間イタリアン調理師(うち5年料理長)として勤務した経験と生産者との繋がりを活かし、地元食材に特化した店舗を開業します。
- 開業予定地は過去3年間で人口が5%増加しており、特に30代のファミリー層の流入が顕著です。
- 自己資金420万円を準備し、作成した顧客リスト30名から具体的な来店意向を得ており、安定した事業運営が可能です。
飲食店の創業計画書において、動機の説得力を左右するのは「なぜその場所で、その料理を提供するのか」という問いに対する答えです。
今回の例文では、「生産者との繋がりを活かし、地元食材に特化した店舗」という部分と、人口データを踏まえた具体的なターゲット選定と来客見込みを示している点がポイントです。
コンセプトや競合との比較をアピールして「この計画で成功する明確な見込みがある」と示しましょう。
飲食店やカフェの創業計画書の書き方については、以下の記事でより詳しく解説しています。
例文2:美容室・サロン
- 美容師として10年間勤務し、店長としてリピート率85%を達成した経験と、お客様の「マンツーマンで相談したい」という声に応えるため、高単価な髪質改善を軸としたサロンを開業します。
- 自己資金480万円を準備し、指名顧客のうち開設した予約サイトへすでに25名が登録済みです。
- この顧客基盤により、既存店より1,500円高い客単価でも安定した事業運営が可能です。
美容室などのサービス業の創業動機で融資担当者から評価を得やすいのは、「顧客からの信頼」を「具体的な収益計画」へと論理的に繋げている点です。
この例文では、まず「リピート率85%」「予約サイトへ25名が登録済み」という2つの客観的な事実で、強固な顧客基盤を証明しています。
さらに「高単価な髪質改善メニューを軸とする」「客単価を1,500円高く設定する」と宣言することで、その顧客基盤をどうやって収益に転換するのかという経営戦略を明確に示しています。
これにより、単に腕の良い技術者というだけでなく、事業の収益性を客観的に分析・計画できる経営者であることの証明ができるのです。
例文3:小売業(ECサイト)
- アパレルメーカーで5年間、商品企画とECサイト運営を担当した経験を活かし、既製服のサイズに悩む方に向けたニッチな市場に特化したECサイトを開業します。
- 自己資金300万円を準備し、事業PRのために開設したInstagramのフォロワーは半年で5,000人を突破。
- DM経由で具体的な購入相談も複数受けています。
ECサイトを含む小売業の動機では、「なぜその商品が売れると判断したのか」というマーケティング視点が極めて重要です。
この例文では「既製服のサイズに悩む方」という明確なターゲット設定と、「Instagramフォロワー5,000人」というテストマーケティングの結果を示すことで、事業の成功確度をアピールしています。
単に「良い商品です」と説明するのではなく、SNSのフォロワー数やエンゲージメント率、購入相談の件数といった客観的な数値で「すでに顧客がいる」ことを証明するのが、融資審査を通過するための鍵となります。
例文4:建設業
- 大工として15年間、木造住宅の施工管理まで経験しています。一級建築大工技能士の資格も活かし、近年需要が高まる高品質なリフォーム専門の事業を立ち上げます。
- 自己資金600万円を準備し、事業に必要なトラックや主要工具も購入済みです。
- 前職の取引先である設計事務所2社とは、具体的な案件協力について協議を進めています。
建設業の創業計画書では、技術力という「信頼」と、事業運営に必要な「資産」を具体的に示すことが重要です。
この例文の「一級建築大工技能士」という国家資格は、技術力を客観的に証明する強力な要素です。
このような資格を持っているのであれば、積極的にアピールしましょう。
また、「トラックや主要工具も購入済み」という記述は、融資を受ける前から事業基盤を自己資金で固めているという計画性と本気度を示します。
さらに、設計事務所のような案件の紹介元となる取引先との連携に触れることで、受注の見込みが具体的な関係性に基づいていることのアピールとなり、事業の継続性に対する評価が高まります。
例文5:IT・Web制作
- フリーランスとして5年間、中小企業のWebサイトを50件以上制作してきました。
- 個人では対応が難しい大規模開発や保守運用も一貫して担うため、法人化を決意しました。
- 自己資金350万円を準備し、既存取引先である3社とは継続契約を締結済みです。
- 元同僚のエンジニア1名の採用も決定しており、開発体制を強化しています。
IT・Web制作のような無形のサービスを提供する事業では、「受注の安定性」と「事業の拡大性」をどう示すかが審査のポイントです。
この例文では「既存取引先3社との継続契約締結済み」という事実が、法人化直後の売上基盤を明確に示しており、極めて強力なアピールとなります。
加えて、「エンジニア1名の採用決定」という記述は、個人事業主のままでは対応できなかった大規模案件を獲得していくという事業拡大への具体的なビジョンと実行力を証明しています。
例文6:広告・情報サービス
- 広告代理店で5年間Webマーケターとして勤務し、顧客の売上を平均30%向上させた経験を活かし、中小企業に特化した広告運用サービスで独立します。
- 大手の画一的なサービスが行き届かない小規模事業者の課題解決を目指します。
- 自己資金250万円を準備し、副業期間にクライアント5社と顧問契約を締結済みです。
広告・情報サービスのような無形の専門サービス業では、「具体的な実績」と「安定した収益基盤」を示すことが審査の鍵となります。
この例文の「顧客の売上を平均30%向上」といった数値化された実績は、自身のスキルを客観的に証明するうえで役に立ちます。
さらに重要なのが、「副業期間にクライアント5社との顧問契約締結済み」という部分です。
これにより、創業直後から売上がゼロではないことを具体的に示し、審査担当者の「本当に稼げるのか?」という懸念を払拭することができます。
例文7:介護サービス
- 介護福祉士として10年間、特別養護老人ホームで現場リーダーを経験する中で、在宅での生活継続を望む利用者の声を多く聞き、訪問介護事業所の開業を決意しました。
- 自己資金500万円を準備し、事業所指定申請に必要な法人設立と物件の賃貸借契約は完了済みです。
- 地域のケアマネージャー3名と連携し、開業後5名以上の利用者紹介に向けた協議も進んでいます。
介護事業は、地域社会への貢献という側面と、許認可に基づく厳格な運営が求められるビジネスです。
そのため動機では「事業の公的な信頼性」と「地域ネットワークの構築状況」をアピールすることが重要になります。
「事業所指定申請の準備が完了済み」という記述は、制度を理解し、計画的に準備を進めてきた姿勢を示すうえで効果的です。
また、「ケアマネージャーとの連携」に触れることで、利用者を確保するための具体的な営業活動を行っていることを示せます。
これは、事業の安定性を左右する生命線であり、審査担当者も特に注目するポイントです。
例文8:未経験分野への挑戦
- 営業職として10年勤務する中で、多くの中小企業がIT化の遅れにより機会損失を被っている現状を把握し、ITツール導入支援事業を立ち上げます。
- IT分野は未経験ですが、1年間専門スクールで学び、基本情報技術者試験に合格しました。
- 自己資金400万円を準備し、前職の顧客3社から具体的な導入相談を受けているほか、ITエンジニアの業務委託パートナーも確保済みです。
未経験分野での創業では、審査担当者が抱く「本当に事業を継続できるのか?」という不安を、「いかに具体的な行動で未経験という弱みを補っているか」で払拭する必要があります。
この例文の「専門スクールで1年間学ぶ」「基本情報技術者試験に合格」といった部分は、事業に対する本気度と学習意欲を客観的に示します。
さらに「業務委託パートナーの確保」という記述は、自分に足りない専門知識を他者との連携で補うという、経営者としての現実的なリスク管理能力のアピールになります。
熱意だけでなく、未経験という弱みを認識し、それに対する具体的な対策を講じている姿勢が評価されます。
例文9:副業からの独立・事業拡大
- 会社員として勤務する傍ら、Webライターとして2年間副業を行い、昨年度は年間売上300万円を達成しました。
- 既存クライアント10社から継続的な受注がある一方、個人の活動では新規の依頼に対応しきれない状況のため、独立を決意しました。
- 自己資金300万円を準備し、事業に専念することで、売上を2倍以上に拡大できる見込みです。
副業からの独立の場合、「副業での具体的な実績」がそのまま事業の実現可能性を示す強力な証拠となります。
「年間売上300万円」といった明確な数字は、すでに収益化できるビジネスモデルが確立していることを証明します。
審査担当者は、ゼロからスタートする事業よりも、すでに顧客がいて売上が立っている事業を高く評価します。
「依頼に対応しきれない」という独立理由は、事業の需要の高さを裏付けるポジティブな動機として捉えられます。
例文10:事業承継
- 30年間、地域で親しまれてきた父の酒店を事業承継します。
- 5年前から後継者として店舗運営に携わり、顧客管理や仕入れ業務は引継ぎ済みです。
- 先代が築いた顧客基盤と信頼を活かしつつ、新たにオンラインでの日本酒販売と角打ちスペースの設置を行い、若年層の新規顧客を獲得し、売上20%向上を目指します。
- 自己資金として500万円を準備しました。
事業承継の動機で重要なのは、「既存事業への深い理解」と「新たな成長戦略」の両方を示すことです。
「5年前から後継者として携わり、業務は全て引き継ぎ済み」という記述は、事業を円滑に継続できる能力があることを示します。
そのうえで、「オンライン販売」や「角打ちスペースの設置」といった具体的な新規事業計画を提示することで、ただ事業を守るだけでなく、時代に合わせて発展させていくという経営者としてのビジョンをアピールできます。
先代からの強みと自身の新たな取り組みを組み合わせることが、説得力のある動機に繋がります。
評価を下げてしまう創業の動機:NG例と改善のポイント
創業の動機は、内容次第で事業計画全体の信頼性を大きく損なう可能性もあります。
ここでは、融資審査において評価を下げてしまう典型的なNG例と、それを改善するための具体的なポイントを解説します。
よくあるNG例としては、以下の3パターンです。
- 抽象的な熱意や想いしか語っていない
- 融資頼みの動機になっている
- 動機と事業内容に一貫性がない
それぞれのNGパターンについて解説します。
NG例1:抽象的な熱意や想いしか語っていない
事業への熱意を伝えることは重要ですが、その想いが客観的な事実や具体的な計画からかけ離れている場合、審査担当者には「事業を冷静に分析できていない」という印象を与えてしまいます。
NG例
- 地域社会の活性化に貢献したいという強い想いから、カフェの開業を決意しました。人と人がつながる温かい空間を提供し、街を元気にしたいです。
改善後の例
- 前職の地域情報誌の編集者として3年間、開業予定地を取材する中で、住民から『気軽に集まれる場所が少ない』という声を多数聞きました。この具体的なニーズに応えるため、カフェを開業します。
「社会貢献」や「地域活性化」といった言葉は、それ自体が収益を生むわけではありません。
なぜその想いを抱くに至ったのか、その背景にある具体的な経験や客観的な市場調査の結果を示すことが不可欠です。
「住民の声」や「市場のニーズ」といった事実に基づいた動機は、実現可能性のある事業計画であるという説得力を持たせる第一歩となります。
NG例2:融資頼みの動機になっている
事業計画の主体は、あくまで創業者自身です。
動機の中に、事業の成否が融資に依存しているかのような「融資頼み」の姿勢が見えると、審査担当者は「当事者意識が低い」と判断し、一気に評価を下げます。
NG例
- 融資が実行され次第、本格的に事業を始動したいと考えています。ご支援いただければ、必ず成功させます。
改善後の例
- 創業を決意した3年前から、毎月5万円の積立を行い自己資金180万円を準備しました。また、開業予定地の物件はすでに3件内見を終え、不動産業者と具体的な賃貸条件について協議を進めています。
NG例は「融資がなければ、この事業は始まらない」というメッセージを発してしまっています。
これは、事業推進の責任を金融機関に委ねているのと同義であり、審査担当者は「自分たちのお金がなければ動けない人」に、事業の未来を託したいとは考えません。
一方で改善例は、事業を自分自身が主体となって行い、融資はあくまで「すでに走り出している事業を加速させるための手段」であるという姿勢を示しています。
「自己資金の準備」「見込み客リストの作成」「仕入先との交渉」といった具体的な行動は、融資が実行される前から創業者自身がリスクを取り、事業を推進している何よりの証拠です。
このような当事者意識の高さこそが、審査担当者の信頼を勝ち取るうえで重要な要素の1つとなります。

しかし、融資担当者はその資金がコツコツと貯められたものか、それとも急遽用意したものかという部分を知りたがります。
自己資金の形成プロセスはできるだけ「創業の動機」や「自由記述欄」でアピールしましょう。
NG例3:動機と事業内容に一貫性がない
創業の動機は、自身の過去の経験と、これから始める事業内容が結びついていなければいけません。
これまでのキャリアとまったく関連性のない事業を始める場合は、その理由を論理的に説明できなければ、事業継続に必要な専門性が疑われてしまいます。
NG例
- IT企業で10年間プログラマーとして勤務してきましたが、人と接する仕事に魅力を感じ、未経験ですがラーメン店を開業したいと考えています。
改善後の例
- IT企業でデータ分析を担当した経験を活かし、開業予定地の商圏分析を行った結果、半径500m以内に競合のラーメン店が存在しない市場の空白を発見しました。
プログラマーとして培ったシステム構築のスキルを応用し、食材の受発注から売上までを一元管理するオペレーションを設計。フードロスを最小限に抑え、高品質な経営を実現します。
専門外である「調理」の独自性を無理に語るのではなく、自身の専門分野である「しくみ作り」や「データ分析」で、いかに事業を成功させるかを具体的に示すことが重要です。
この改善例では、プログラマーの経験を棚卸しして、データの分析力を客観的な市場調査に、システム構築スキルを効率的な店舗運営に活かせるとアピールしています。
創業計画書全体の【整合性】チェックポイント
創業計画書は、各項目が独立しているわけではなく、すべてが1つのストーリーとして繋がっている必要があります。
特に「創業の動機」は、そのストーリーの起点となる重要な部分です。
動機で述べた内容が、「経営者の略歴等」「必要な資金と調達方法」「事業の見通し」などの部分と矛盾していると、計画全体の信頼性が揺らぎます。
提出前に必ず以下の3つの整合性を確認し、計画書全体に一貫性があるかをチェックしてください。
動機と「経営者の略歴等」の整合性
「経営者の略歴等」の項目は、創業の動機で語った自身の経験や強みを客観的な事実で裏付けるためのものです。
ここに矛盾があると、経歴そのものを疑われかねません。
たとえば「10年間イタリアンの調理師として経験を積んできました」と記述した場合、「経営者の略歴等」には、具体的な勤務先のレストラン名、在籍期間、役職が正確に記載されている必要があります。
動機と「必要な資金と調達方法」の整合性
「創業の動機」で語った事業のビジョンや強みは、「必要な資金」の項目と強く結びついている必要があります。
融資担当者は、「必要な資金に記載されている設備は、本当に事業の成功のために必要なのか?」という視点で計画を評価します。
たとえば、美容室を開業する動機として「お客様一人ひとりに心からリラックスしていただける、最高級の癒やし空間を提供したい」と記述したとします。
この場合、必要な資金の欄に「設備資金:300万円」と書くだけでは、動機との繋がりが不十分です。
こうした場合は、必要な資金の内訳を「フルフラットシャンプー台:80万円」「個室化のための内装工事:150万円」「最新ヘアケア機器:70万円」というように具体的に記述しましょう。
これによって融資担当者は「この300万円は、最高級の癒やし空間という動機を実現するために不可欠な投資だ」と明確に理解できます。
動機部分の「なぜやるのか」と、資金使途部分の「何に使うのか」の2つが論理的に繋がっていることで初めて、説得力のある資金調達の根拠となるのです。
動機と「事業の見通し」の整合性
「事業の見通し(売上高の予測)」は、動機で示した事業の強みや顧客基盤が、具体的な収益にどうつながるのかを示す項目です。
動機で語った強みが、売上予測の数字に明確に反映されている必要があります。
たとえば、動機で「既存クライアント3社との継続契約を締結済みです」と記述した場合、「事業の見通し」の売上予測には、その3社から得られる具体的な契約金額が、売上として計上されている必要があります。
この数字が「売上高の根拠」となり、計画の実現可能性を強力に裏付けます。
創業計画書の作成は税理士に依頼することもできる
ここまで創業計画書の動機の書き方を中心に解説してきましたが、事業の構想を具体的で説得力のある計画に落とし込む作業は、決して簡単なものではありません。
特に、事業の見通しで必要となる売上予測や資金繰り計画の策定は、専門的な知識が求められる部分です。
このような課題に直面した際、税理士に作成支援を依頼することは非常に有効な選択肢の1つです。
税理士は数字の専門家として、業界の平均値や客観的なデータから、実現可能性の高い収益計画や資金計画を作成することができます。
また、日本政策金融公庫などの金融機関がどのような点を重視して審査を行うかを熟知しているため、融資担当者が納得する計画書の構成や表現のアドバイスも可能です。
自身では気づきにくい計画の甘さやリスクを客観的に指摘し、より精度の高い計画書へと磨き上げる手助けも、税理士であれば可能です。
創業者自身が事業の準備に集中するためにも、相談を検討する価値は十分にあるでしょう。
ベンチャーサポート税理士法人では、創業計画書の作成も含めた融資のサポートを行なっています。
これまでに融資をサポートした件数は1万件を超え、あらゆる形態の企業に合わせて創業計画書の作成が可能です。
銀行での勤務経験を持つスタッフも多数在籍しているので、融資審査を行う側からの視点と、事業を軌道に乗せるための税理士としての視点の両方から、経営者にとって最適な融資のサポートを行います。
また、融資面接のロールプレイングも事前に行うため、安心して融資に望むことが可能です。
さらにこれらの融資に関するサポートは、顧問契約のサービスにすべて含まれています。
追加の融資手数料は一切いただきません。
まずはお気軽に、無料相談までお電話ください。
創業計画書や事業計画書の作成を税理士にサポートしてもらうメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
創業計画書について税理士に質問できることリスト
創業計画書や融資について、税理士には主に以下のようなことを相談できます。
- ビジネスモデルの壁打ち
- 創業計画書の書き方
- 経営者ごとに最適な融資や補助金の選定
- 必要な融資額のシミュレーション
- 融資面談のロールプレイング
- 返済計画の策定
これら以外にも、どのような融資があるかの紹介や手続きの代行から、実際に融資がおりてからの返済も含めた資金計画まで、税理士は経営者に寄り添う最も身近な相談相手となります。
もしなにか会社設立や運営に関してご不明な点があれば、ぜひお気軽に、ベンチャーサポートの無料相談までお電話ください。












