最終更新日:2025/12/8
創業計画書のセールスポイントの書き方とは?評価ポイントや記入例を解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

日本政策金融公庫から創業融資を受ける際には、「創業計画書」を作成しなければいけません。
しかし、融資審査を通過する創業計画書を個人で作成するためには、さまざまな知識と分析が必要です。
創業計画書の項目の1つである「セールスポイント」も、何も気にせずに書いてしまうと、曖昧で希望的観測をもとにした内容になってしまいがちです。
この記事では、セールスポイントという項目から融資担当者がなにを見ているのか?という視点から、実際の書き方を税理士が詳しく解説します。
業種別の記入例や避けるべきNG表現など、創業計画書のセールスポイントを書くうえで見逃せない内容を盛り込んでいますので、ぜひ一度確認してみてください。
また、創業計画書の全体の書き方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


目次
【要点まとめ】セールスポイントは「3つの要素」を3行に凝縮する
創業計画書のセールスポイントを書く際には、自分の事業について3つの要素を整理することで、融資担当者からの評価を得やすくなります。
3つの要素とは「誰に、どんな価値を提供するか」「なぜそれが他社ではなく自社でなければならないのか」「そのセールスポイントが実現可能である客観的な証拠」です。
これらの要素をフレームワークを活用して明確にし、業種ごとに強調したいキーワードをつなぎ合わせて、具体的かつ読みやすいセールスポイントを作成しましょう。
セールスポイントで書くべきこととは
「セールスポイント」の項目で記述すべきことは、単なる事業の魅力や情熱的なアピールではありません。
融資の可否を判断する担当者に対し、「事業が成功し、投資した資金が利益を生み、最終的に滞りなく返済される」と、客観的な根拠をもって示すことが本質的な目的です。
つまり、事業の核となる強みを、具体的かつ論理的に説明する項目と言えます。
セールスポイントの基本構成|評価される3つの要素
融資担当者に事業の強みや将来性を的確に伝えるセールスポイントは、3つの構成要素を順に組み立てることで作成できます。
- 誰に、どんな価値を提供するか
- なぜそれが他社ではなく自社でなければならないのか
- そのセールスポイントが実現可能である客観的な証拠
この構成は、融資担当者にとって分かりやすいだけでなく、融資審査で重要視される「差別化」「返済可能性」などと論理的に結びついています。
構成に沿って自身の事業を整理することで、客観的で説得力のあるセールスポイントの作成が可能になります。
その1:誰に、どんな価値を提供するか
事業計画を立てる際、創業者は自身の提供する商品やサービスに自信を持つあまり、「これはいいものだから、誰にでも売れるはずだ」という思考に陥ることがあります。
しかし融資の現場では、「誰にでも」という発想は事業リスクと見なされる場合があります。
なぜなら、ターゲットが不明確な事業は、販売戦略も曖昧になり、広告宣伝費などのコストが非現実的になる可能性が高いためです。
最初に明確にすべきは「ターゲット顧客」と、その顧客が感じる「提供価値」です。
ここで言う価値とは、単なる商品の特徴ではなく、顧客が抱える課題を解決したり、欲求を満たしたりする利益や恩恵を指します。
ターゲット顧客を具体的に設定することで、提供すべき価値もおのずと明確になります。
その2:なぜそれが他社ではなく自社でなければならないのか
ターゲット顧客に価値を提供できると述べただけでは、セールスポイントとしては不十分です。
融資担当者は次に「その価値は、なぜ競合のサービスではなく、あなたの会社から購入する必要があるのか」という問いを持ちます。
この問いに答えるのが、事業の持続可能性を支える「差別化の根拠」です。
差別化の根拠とは、他社が容易にマネできない、自社独自の優位性を指します。
差別化の根拠となり得るのは、経営者自身の特異な経歴や実績、特許などの知的財産権、特別な仕入れルート、独占契約などの要素です。
自身のこれまでのキャリアや人脈を棚卸しして、事業に活用できる独自の強みを発見することが重要です。

できるだけ価格以外の領域で、揺るぎない優位性をみつけましょう。
その3:そのセールスポイントが実現可能である客観的な証拠
「価値あるサービスを、競合にはない強みを活かして提供する」という計画を示したあとに求められるのが、その計画が単なる想定ではないことを証明する「客観的な証拠(エビデンス)」です。
証拠は、必ずしも大掛かりな調査や分析を必要としません。
開業予定地での通行量調査、ターゲット層への簡易的なアンケート、すでに確保している仕入れ先との契約書の写し、試作品の写真や性能データなど、自身で準備できる客観的な事実を用意しましょう。
創業融資の段階では、事業実績がまだ存在しないため、完璧な証拠を提示することは難しいかもしれません。
しかし、証拠を示そうとする姿勢、そして実行可能な範囲で収集したデータは、事業計画の信頼性を大きく向上させます。
セールスポイントを整理・言語化するフレームワーク活用法
「自社の強みは理解しているつもりだが、いざ融資担当者を納得させる言葉にしようとすると難しい」と感じる方は少なくありません。
そこで有効となるのが、経営分析に用いられる「フレームワーク」です。
フレームワークとは、思考を整理し、客観的な視点から自身の事業環境を分析するための道しるべと言えるものです。
フレームワークを用いることで、これまで気づかなかった強みを発見したり、既存の強みをより説得力のあるセールスポイントに磨き上げられます。
ここでは、経営分析でよく用いられるSWOT分析と3C分析の2つのフレームワークを紹介します。
SWOT分析:自社の「強み」を言語化する
SWOT分析は、事業の内部環境である「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」と、外部環境である「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」という4つの軸で情報を整理するフレームワークです。
この分析の真価は、単に自社の強みをリストアップするだけでなく、外部環境の「機会」と掛け合わせることで、事業の成長に直結する積極的なセールスポイントを見つけられる点にあります。
たとえば、地方都市で社会人向けの会計スクールを開業するケースで考えてみましょう。
| 分析項目 | 内部環境 | 外部環境 |
|---|---|---|
| プラス要因 | 強み (Strengths) 経営者自身が公認会計士の資格を保有し、監査法人で5年間の実務経験がある。 |
機会 (Opportunities) 近隣に工業団地があり、中小企業の経営者から「経理担当者が育たない」という相談を複数受けている。2026年度から電子帳簿保存法への対応が完全に義務化される。 |
| マイナス要因 | 弱み (Weaknesses) スクール運営の経験がなく、集客ノウハウを持たない。 自己資金が少なく、広告宣伝費は月10万円が上限。 |
脅威 (Threats) 全国展開する大手資格予備校が、オンラインで安価な簿記講座を提供している。 |
この分析結果から、「強み(公認会計士としての実務経験)」と「機会(電子帳簿保存法への対応ニーズ)」を掛け合わせることで、以下のような独自のセールスポイントが生まれます。
【完成例】
- 「大手オンラインスクールでは対応できない、地域の中小企業に特化した経理担当者育成プログラムを提供する。
公認会計士としての実務経験に基づき、電子帳簿保存法への具体的な対応策までを、受講料月額5万円で指導する」
このセールスポイントは、競合の脅威を回避しつつ、明確な需要に応える具体的な主張となります。
注意点として、SWOT分析を行う際は「弱み」や「脅威」から目を逸らさないことが重要です。
上記の例では、「弱み(集客ノウハウがない)」を認識することで、対策として「機会(相談を受けている中小企業経営者)」との連携を深め、紹介を中心に受講生を集めるという具体的な戦略に繋げることができます。
ついつい自分の事業の弱点や競合相手の強みからは目を逸らしがちですが、これらの部分をしっかりと認識することで「それを改善するためにはどうすればいいか?」という思考に繋げられるのです。
3C分析:「顧客・競合」との関係から独自のポジションを見つける
3C分析は、「顧客・市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」という3つの視点から事業環境を分析し、自社が成功するための独自のポジションを明確にするフレームワークです。
自社の強みだけを考えるのではなく、顧客が何を求め、競合が何を提供できていないのかを分析することで、本当に価値を提供すべき領域が明らかになります。
ここでは「共働き世帯をターゲットにした家事代行サービス」を例に、3C分析をしてみましょう。
| 分析対象 | 分析内容 |
|---|---|
| 顧客 (Customer) | サービス提供エリアの共働き世帯数は、直近3年間で約8%増加している。 |
| 週に1回の掃除代行を求める声が多いが、他人に家の鍵を預けることへの抵抗感が強いという調査結果もある。 | |
| 一般的な家事代行サービスの料金(1時間あたり3,500円〜4,500円)は、やや高額に感じられている。 | |
| 競合 (Competitor) | 大手A社は全国展開で安心感があるが、スタッフは都度異なり、料金は1時間4,000円と高め。 |
| 地域のシルバー人材センターBは、1時間2,500円と安価だが、対応は平日の日中のみで、Web予約システムがない。 | |
| 自社 (Company) | 代表者自身がエリア内に10年以上居住しており、地域の土地勘と人的ネットワークがある。 |
| スタッフは代表者が直接面接し、身元が確かな人材のみを厳選して採用する方針。 | |
| 事業規模が小さいため、固定費を抑えた運営が可能。 |
これらの分析から、顧客の「鍵を預けたくない、価格を抑えたい」といったニーズのなかで、競合が提供できていない領域が見えてきます。
この分析をもとにセールスポイントを想定すると、以下のようになります。
【完成例】
- 「代表者自身が地域に精通し、直接面接した信頼できるスタッフのみがサービスを提供する。利用者が在宅している土日の時間帯に限定し、料金を1時間3,000円に抑えることで、鍵を預けない、週末限定の家事代行サービスという独自の価値を提供する」
自社の強みを活かし、競合との直接的な価格競争を避けつつ、顧客の特定の不安を解消する明確なポジションを築くためには、3C分析が非常に効果的です。

自社の強みや競合の動向も、結局は顧客のニーズを満たしているかという観点で評価されます。
顧客が求めているものは何か、どんな課題を解決してほしいのかを徹底的に掘り下げることが、事業成功の鍵となります。
セールスポイントを具体的に書くための3ステップ
頭の中にある事業の魅力や構想を、融資担当者に伝わるよう客観的で説得力のある3行の文章に落とし込む作業は、多くの創業者にとって難しい課題です。
しかし、正しい手順を踏むことで、誰でも論理的で強力なセールスポイントを作成することが可能です。
具体的には、主に以下の3ステップを順に行うことで、短くまとまったセールスポイントになります。
- 思考を整理するための詳細分析
- 3行に凝縮するためのキーワード抽出
- キーワードを繋ぎ合わせた最終記入例の作成
それぞれのやり方について詳しく解説します。
ステップ1:思考を整理するための詳細分析
最初のステップは、文字数を一切気にせず、自身の事業が持つ強みや特徴を客観的な事実レベルまで深掘りし、言語化することです。
いきなり短い文章を書こうとすると、どうしても「最高のサービス」「地域に貢献」といった抽象的な表現にしてしまいがちです。
まずは思考の材料となる情報を網羅的に洗い出すことで、このあとの要約作業の精度が格段に向上します。
分析の軸として、セールスポイントの基本構成で解説した「誰に、どんな価値を提供するか」「なぜ自社か(差別化)」「客観的な証拠」という3つの観点を用います。
ここでは例として「オンラインで受講できる、ビジネスパーソン向けのマンツーマン英語コーチング」事業を考えてみましょう。
| 分析の軸 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 誰にどんな価値を | ターゲット:TOEICスコア700点台で伸び悩む、海外部門とのオンライン会議を控えた30代のビジネスパーソン。 |
| 提供価値:「スコアアップ」をゴールとせず、実際のオンライン会議で発言し、議論を主導できるようになるための実践的な会話スキルを提供する。 | |
| なぜ自社か(差別化) | 講師は全員、外資系IT企業での実務経験が5年以上あり、ビジネス英語の現場を知り尽くしている。 大手英会話スクールのような画一的な教材ではなく、受講生の業種や役職に合わせたカスタムカリキュラムを作成する。 |
| 客観的な証拠 | 代表者自身がこの学習メソッドを実践し、TOEICスコアを1年間で650点から920点に向上させた実績がある。 ベータ版として3カ月間サービスを提供し、モニター5名のTOEICスコアが平均で150点向上。 |
この段階では、「これも強みだろうか」と迷うような些細なことでも書き出すことが重要です。
自分では当たり前だと思っている経歴や経験が、第三者から見れば非常に価値の高い差別化要因であるケースは少なくありません。
ステップ2:3行に凝縮するためのキーワード抽出
次のステップは、ステップ1で洗い出した膨大な情報の中から、融資担当者の心に響く「客観的」で「インパクトのある」キーワードを選び抜く作業です。
日々多くの創業計画書に目を通す担当者の注意を引きつけ、事業への興味を促す言葉を選び出しましょう。
キーワードを選ぶ際の基準は、以下の3点です。
- 具体性・客観性: 主観的な言葉ではなく、客観的な事実を選ぶ。
- 数値: 事業の成功確度を示す数値は最優先で選ぶ。
- 独自性: 競合が容易にマネできない要素を選ぶ。
マンツーマン英語コーチング事業の例で言えば、以下のようなキーワードを抜き出すといいでしょう。
- TOEIC700点台のビジネスパーソン
- 実践的な会話スキル
- 外資系実務経験5年以上
- カスタムカリキュラム
- モニターのスコア平均150点向上
ステップ3:キーワードを繋ぎ合わせた最終記入例の作成
最後のステップは、選び抜いたキーワードを論理的な流れに沿って結合し、創業計画書のテンプレートに書くための3行程度の簡潔な文章に仕上げる作業です。
文章を組み立てる際は、「(誰に)〜な価値を提供します。なぜなら(自社の強み)があり、(客観的な証拠)もあるからです。」という基本構造を意識すると、説得力のある流れを構築しやすくなります。
これまでのステップから導き出したキーワードをこの構造に当てはめると、以下のような完成例が出来上がります。
【完成例】
- TOEIC700点台で伸び悩むビジネスパーソンに、実践的な会話スキルを提供します。
外資系企業で実務経験5年以上の講師陣が、個別のカスタムカリキュラムを作成。
モニター受講生のTOEICスコアを3カ月で平均150点向上させた実績があります。
セールスポイントが完成したら、創業計画書のほかの項目、特に「経営者の略歴」や「取扱商品・サービス」の内容と矛盾していないかを必ず確認してください。
たとえば、英語コーチング事業のセールスポイントを書いたにもかかわらず、経営者の略歴に英語関連の実績がまったく記載されていなければ、計画全体の信頼性が揺らいでしまいます。
【業種別】創業計画書のセールスポイントの記入例
ここからは、より実践的な理解を深めるため、具体的な業種を想定したセールスポイントの記入例を解説します。
これまでに説明した「3つの構成要素」が、実際の創業計画書でどのように記述されるのかを確認し、自身の創業計画書を作成する際の参考にしてください。
サービス業(美容室・サロンなど)の記入例
美容室やサロンなどのサービス業は、提供するサービスが「無形」であり、品質が施術者の技術や知識に大きく依存する点が特徴です。
そのため、セールスポイントではサービスの専門性と信頼性を客観的に証明することが極めて重要になります。
また、コンセプトの明確化やターゲットの絞り込みによって、他社との差別化を図ることで、事業の成功率が高いと判断されやすくなります。
【完成例】
- 理学療法士の国家資格を持つ施術者が、男性ビジネスパーソンにヘッドスパを提供します。
整形外科での5年間の勤務経験に基づき、首や肩の凝りを根本から改善。
モニター調査では顧客満足度92%を獲得しており、月間80名以上の集客を見込みます。
飲食店(カフェ・レストランなど)の記入例
飲食店は、サービス業であると同時に、商品を製造・販売する「製造小売業」の側面も持ち合わせます。
また、立地が売上に直結する業態でもあります。
そのため、セールスポイントでは独自のコンセプトと、それを支える店舗の家賃や備品などの数値計画の妥当性をアピールすることが重要です。
また、飲食店は初期投資が大きくなる傾向があります。
セールスポイントで示すコンセプトが、収支計画における売上やFLコスト(食材費・人件費)の見込みと矛盾なく連携していることが、計画全体の説得力を大きく左右します。
【完成例】
- 保育士資格を持つ店主が、未就学児連れの家族に特化したカフェを運営します。
店内の床面積の20%にキッズスペースを設け、気兼ねなく食事ができる空間を提供。
地域の育児サークル2団体との連携により、開業当初から月間200名の集客を見込みます。
医療・福祉(デイサービスなど)の記入例
介護保険法などの制度に基づいて運営されるこの業界は、サービスの質と信頼性が事業の根幹を成します。
そのため、セールスポイントでは事業の専門性と安定性を客観的な事実で示すことが最も重要です。
また、福祉や介護といった業界は地域性が高く、ケアマネージャーなどからの紹介を通じて利用者を確保することが多いです。
これらの人脈や関係があるかも、売上の安定性を示すうえで重要な証拠となります。
【完成例】
- 作業療法士として回復期リハビリ病棟で8年間勤務した経験を活かし、身体機能の維持・向上を目指すリハビリ特化型の半日デイサービスを提供します。
利用者ごとに個別プログラムを作成し、生活動作の改善を図ります。
近隣の居宅介護支援事業所3社と連携済みで、開業時から20名の利用者を見込んでいます。
小売店(アパレル・雑貨など)の記入例
オンラインストアの台頭により、単に商品を仕入れて販売するだけの小売店は差別化が困難になっています。
セールスポイントでは、商品の独自性と、それを顧客に届ける販売戦略の具体性をアピールすることが重要です。
特に商品の独自性や仕入れの強みなど、他社との差別化をアピールできるポイントがあれば必ず記載しましょう。
【完成例】
- 老舗百貨店で15年間オーダースーツを担当した経験を活かし、40代以上の男性に特化したオーダーメイドシャツ専門店を運営します。
国産生地メーカー10社との直接取引により、中間マージンを30%カットし、高品質な製品を適正価格で提供。
オンラインでの先行予約販売では、平均単価2万円で30名の顧客をすでに獲得しています。
IT・Webサービス業の記入例
無形のサービスを提供するIT・Webサービス業では、そのサービスが「誰の、どんな課題を解決するのか」を明確に示し、信頼できる実績で裏付けることがセールスポイントの核となります。
ターゲットとする業界と解決する課題をまとめ、これまでの経歴やベータ版のテスト結果などで、自分がその課題を解決できると示しましょう。
【完成例】
- グルメサイトの元エンジニアが、小規模飲食店に特化したサブスクリプション型のWebサイト制作・運用サービスを提供します。
初期費用0円・月額3万円で、予約システム連携やMEO対策までを一括代行。
先行導入した3店舗では、Web経由の予約数が平均で月20件増加した実績があります。
セールスポイントで避けるべき表現と改善のポイント
事業への熱意や自信が強いほど、無意識のうちに読み手には伝わらない、独りよがりな表現を使ってしまうことがあります。
ここでは、多くの創業者がしてしまいがちな、評価を下げてしまう可能性のある表現と、それを説得力のある記述に変えるための改善ポイントについて解説します。
NG例1:抽象的で具体性がない
セールスポイントでよく見られるNG例のひとつが、「具体性や客観性に欠ける抽象的な表現」です。
融資担当者は、セールスポイントから事業内容や収益構造を具体的にイメージできなければ、客観的な評価を行うことが難しくなります。
たとえば、「アットホームな雰囲気のカフェです」という表現を考えてみましょう。
一見わかりやすい言葉ですが、「アットホーム」という表現だけでは人によって解釈が異なり、具体的なイメージを伝えることができません。
このような曖昧な言葉は使いやすい反面、セールスポイントとしては避けるべきです。
抽象的な表現を避けるためのポイントは、空間や体験を構成する要素を、数値や固有名詞などの具体的な情報で示すことです。
たとえば次のように記載すると、より明確になります。
【完成例】
- 「全15席をソファ席とし、隣席との間隔は1.5mを確保。月1回のイベント開催により、高いリピート率を維持します。」
このように記述すれば、カフェのコンセプトが「顧客満足度を重視したものである」と明確に伝わります。
同様に、「高品質なコンサルティングを提供します」や「豊富な品ぞろえで集客します」といった表現も抽象的です。
品質を示すためには、具体的な成果や提供者の専門性を示し、品ぞろえを強調するなら、取り扱い数や範囲、競合との差別化要素を明示することが重要です。
NG例2:根拠がなく、思い込みになっている
創業計画書は、事業主の「希望」ではなく、「計画」を示す論理的な書類です。
客観的な根拠がなければ、単なる願望や思い込みと判断されてしまいます。
たとえば「地域No.1のサービスを目指します」「業界の課題を解決します」といった表現だけでは、その根拠や裏付けを示しておらず、セールスポイントとしては機能しません。
No.1のサービスが具体的にどのようなサービスであり、競合との差別化となるのかの説明や、業界課題の解説と試験導入の結果、顧客からのフィードバックなどによって、それらのセールスポイントは事業計画の強みとなります。
創業融資の段階では、未来の実績を示すことはできません。
しかし、過去の経験、市場調査、モニターの声など、「過去」や「現在」の客観的な事実を積み重ね、計画の説得力を高めましょう。
【応用編】3行で書ききれない強みや根拠は別紙(補足資料)でアピールしよう
セールスポイントは3行で簡潔にまとめるのが原則です。
しかし、それだけではどうしても伝えきれない、事業の成功に不可欠な強みや客観的な証拠が存在する場合もあります。
そのようなケースでは、別紙(補足資料)を添付することが有効な手段となり得ます。
ただし、単に長文を添付すればいいというわけではありません。読みにくい資料を添付すると、逆に評価を下げられてしまうリスクがあります。
ここでは、別紙の補足資料を効果的に活用するためのポイントと注意点を解説します。
別紙が効果的なのは「図・表・写真」で示す証拠がある場合
別紙の最大の効果は、文章では伝えきれない情報を視覚的に、かつ直感的に伝えられる点にあります。
長々と説明する文章よりも、整理された図や写真1枚の方が、説得力を持つケースは少なくありません。
具体的な別紙の種類と目的を、表にまとめました。
| 資料の種類 | 目的とアピールポイント | 具体的な資料の例 |
|---|---|---|
| 写真 | 事業の具体性を視覚的に伝える | ・店舗の内外装の完成イメージパース ・商品の試作品の写真 ・製造に用いる機械や設備の写真 |
| グラフ・図 | 市場調査や実績を分かりやすく示す | ・顧客アンケートの結果をまとめた円グラフ ・競合との位置関係を示すマップ ・店舗前の通行量調査の結果のグラフ |
| 表 | 複雑な情報を整理して比較する | ・競合他社とのサービスや価格の比較表 ・商品の詳細なスペック一覧表 ・販売計画の詳細なシミュレーション表 |
| その他 | 客観的な信頼性を補強する | ・メディア掲載実績の記事の写し ・取得済みの特許や許認可証の写し ・確保している取引先との契約書の写し |
わかりやすくまとめられた情報は、多忙な担当者に対する配慮となり、結果として高い評価に繋がります。
注意点:別紙はあくまで「補足」と考えよう
別紙を活用するうえで重要な原則は、創業計画書本体が自己完結していることです。
別紙まで読むことを前提として、肝心の創業計画書を曖昧な表現で書いてしまうと、「要約能力が低い」「事業の要点を理解していない」と見なされるリスクがあります。
また、多くを伝えようとするあまり、大量の別紙を用意することも避けるべきです。
融資担当者は、日々いくつもの創業計画書をチェックします。過度な添付資料はそれを確認する担当者の負担につながってしまいます。
相手への配慮を忘れず、要点を絞った質の高い資料作成を心がけてください。
創業計画書提出前のセールスポイント最終チェックリスト
これまでの解説をもとに、自身の創業計画書のセールスポイントが完成したら、最後に融資担当者の視点に立って客観的に見直してみましょう。
一度書き上げた文章は、自分では完璧だと感じられるかもしれません。
しかし第三者、特に何通もの計画書に目を通す融資担当者には、意図が伝わりにくい部分や、根拠が弱いと感じられる部分が存在する可能性があります。
以下の最終チェックリストを使い、自身の記述に「分かりにくい弱点」がないかを確認してください。
- ターゲット顧客と提供価値は、一文で説明できるほど明確か?
- なぜ「競合」ではなく「自分」の事業が選ばれるのか、客観的な理由(差別化の根拠)が示されているか?
- 主張を裏付ける「数値」や「客観的な事実(資格、実績など)」は含まれているか?
- 抽象的だったり、根拠のない表現を使っていないか?
- 創業計画書のほかの項目(経営者の略歴、収支計画など)と内容が一致しているか?
すべての項目に自信を持って「はい」とチェックを入れられたら、その創業計画書のセールスポイントは、融資担当者に評価されるレベルに達している可能性が高いです。
創業計画書は専門家に作成を依頼できる
これまで、創業計画書のセールスポイントの書き方について解説してきました。
しかし「実際にセールスポイントを作ろうとしてみたが、自分だけだと難しい」「多忙な創業準備の中で、事業計画書の作成に十分な時間を割けない」と感じる方も少なくないでしょう。
そのようなときは、創業支援を専門とする税理士に相談するのも有力な選択肢です。
税理士が関与した創業計画書は、収支計画の客観性と妥当性が格段に向上します。
融資担当者からも「財務の専門家が確認した、信頼性の高い計画書」と評価され、審査において有利に働きます。
さらに、創業支援の実績が豊富な税理士は、融資面談でどのような質問をされるかを熟知しています。
模擬面接を依頼し、第三者の客観的な視点から受け答えの練習をすることで、本番でも自信を持って受け答えができるようになります。
もし少しでも不安な点があれば、まずは無料相談を利用して、専門家のフィードバックを受けてみてはいかがでしょうか。
ベンチャーサポート税理士法人では、創業計画書の作成も含めた融資のサポートを行なっています。
これまでに融資をサポートした件数は1万件を超え、あらゆる形態の企業に合わせて創業計画書の作成が可能です。
銀行での勤務経験を持つスタッフも多数在籍しているので、融資審査を行う側からの視点と、事業を軌道に乗せるための税理士としての視点の両方から、経営者にとって最適な融資のサポートを行います。
また、融資面接のロールプレイングも事前に行うため、安心して融資に望むことが可能です。
まずはお気軽に、無料相談までお電話ください。
創業計画書や事業計画書の作成を税理士にサポートしてもらうメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
創業計画書について税理士に相談できることリスト
創業計画書について、税理士には主に以下のようなことを相談できます。
- 事業アイデアの壁打ちと客観的な分析
- セールスポイントの言語化とブラッシュアップ
- 現実的な収支計画・資金計画の策定
- 融資申込の全体的な戦略
- 融資面談のロールプレイング
これら以外にも、どのような融資があるかの紹介や手続きの代行から、実際に融資がおりてからの返済も含めた資金計画まで、税理士は経営者に寄り添う最も身近な相談相手となります。
もしなにか会社設立や運営に関してご不明な点があれば、ぜひお気軽に、ベンチャーサポートの無料相談までお電話ください。














