この記事でわかること
- 相続税の申告漏れによるペナルティの概要
- 相続税の申告漏れが税務署に見つかる理由
- 相続税の申告漏れに繋がりやすい注意点
相続税申告には期限が設けられており、期限までに相続税の申告をしなかった場合、また、申告した相続財産が漏れてしまった場合はペナルティが課される恐れがあります。
また、税務署は高い調査力と独自の情報管理システムを有しており、相続税の申告漏れは発覚する可能性が極めて高くなっています。
この記事では、相続税の申告が漏れた場合のペナルティの概要や対処法などを解説します。申告漏れに繋がりやすい注意点も取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
目次
相続税の申告漏れで追徴課税?対処方法と対策を解説
動画の要約相続税の申告漏れが発生した場合の対処法と対策について解説しています。申告漏れが見つかるとペナルティが課せられることがあり、早めの修正申告が重要です。また、申告漏れを防ぐための準備や専門家への依頼の重要性についても触れています。
相続税の申告は不備が生じやすい
相続は一生のうちに何度も経験する機会のない事柄であり、手続きの進行や必要書類の収集などに慣れていないという方は珍しくありません。
相続税の申告に必要な相続財産の調査や相続税の計算などは非常に複雑なうえ、申告書自体の作成も記載事項の多さから、不備が生じやすいと言えます。
申告・納付期限に間に合わなかったり、申告内容が誤っていたりした場合には追徴課税がかかる可能性もあります。
相続税の申告漏れがあるとどうなる?
「相続税の申告漏れや申告忘れをしてしまったら、どうなるんだろう」という疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
相続税の申告漏れは税務署に見つかる可能性が高く、追徴課税といったペナルティが課される恐れもあります。
そのため、相続税の申告が漏れていた場合は、速やかに後述する修正申告を行いましょう。
高確率で税務署に見つかる
相続税の申告漏れが発覚する理由の一つに、KSK(国税総合管理)システムの存在が挙げられます。KSKシステムとは、全国の国税局、税務署を結び、納税者の過去の情報を一元的に管理しているコンピューターシステムです(※1)。
過去に申告した所得税、贈与税などのデータをもとに被相続人の収入や資産などの情報を把握しており、申告された相続税額と比較を行います。
また、税務署は金融機関や市区町村、法務局などに対して照会をかけることができ、被相続人の金融資産や不動産などの情報を入手することができます。仮に相続税の申告書に記載していなかった財産があったとしても、把握されてしまう可能性が高いです。
参考:(※1)国税総合管理(KSK)システムの概要 | 財務省
追徴課税が課される恐れがある
税務調査で相続税の申告漏れや申告の不備を指摘された場合、修正申告を行わなければならないうえに、一種のペナルティとして追徴課税が課されます。
追徴課税には実際に納税しなくてはならなかった本税の不足額の他に「無申告加算税」「過少申告加算税」「重加算税」「延滞税」があります。
- 無申告加算税
- 相続税の申告義務があるのに、正当な理由なく申告期限までに申告しなかった場合に課される税金。
- 過少申告加算税
- 申告期限内に提出した申告書に記載された相続税額が不足していた場合、課される税金。
- 重加算税
- 課税対象の財産を意図的に隠すなど、悪意を持って不正が行われたと判断された場合、課される税金。
- 延滞税
- 期限までに相続税の納付がされなかった場合に課される、利息に相当する税金。
追徴課税が課されてしまうと本来納めるべき金額よりも多く税金がかかるため、期日までに相続税の申告・納付が完了できるように、計画的に手続きを進める必要があります。
事例
税務調査で意図的に隠した現金800万円の申告漏れが見つかり、増差税額(当初申告の税額と修正後の税額の差額)が300万円生じた場合の追徴課税
重加算税 105万円
延滞税 502,500円
(法定納期限の翌日から完納日までの期間が2年の場合)
相続税の申告漏れがあったときは早めに修正申告を行う
相続税の申告漏れをはじめ、申告内容の間違いの発覚、相続税計算のやり直しの必要が生じたなどの場合、速やかに修正申告を行いましょう。
修正申告書に必要事項を記入したうえで、必要書類を添付して被相続人の住所地管轄の税務署に提出してください。
なお、税務調査で指摘されるよりも前に自主的に期限後申告をした場合、税務調査などで指摘されて申告した場合よりも無申告加算税の税率が低くなります。そのため、相続税の申告漏れに気づいたときは、なるべく早く修正申告を行いましょう。
税務署に相続税の無申告が発覚してしまう理由
前述のように税務署はKSKシステムのような独自の情報管理システムを持っており、被相続人が保有していた財産をはじめ、日本全国の納税者の情報を管理しています。
そのため、相続税の申告義務があるにもかかわらず相続人が申告を怠っていた場合は、高い確率で税務調査が入ります。
ここからは税務署に相続税の無申告が知られてしまう理由を、項目ごとに紹介します。
被相続人の死亡届が提出されたとき
相続が発生して市区町村役場に被相続人の死亡届が提出されると、その情報は税務署に通知されます(※2)。被相続人が土地又は家屋を所有していたのであればその内容や評価額も通知されます。
被相続人が亡くなったという事実を把握した税務署は、KSKシステムで被相続人の財産状況や生前の所得を調べることができます。
多額の財産があるにもかかわらず相続税の申告書が提出されない場合は、調査対象になる可能性があります。
参考:(※2)相続税法 | e-Gov 法令検索
相続登記を行ったとき
土地や建物などの不動産を相続した人は、被相続人の名義から変更するために相続登記を行います。この際、登記の情報はすべて法務局から税務署に伝えられます。
相続登記がなされたと知った税務署は、相続税の申告が行われているかを調査します。
相続税がかかりそうな不動産の相続登記がされていた場合、調査対象とされることがあります。
生命保険金を受け取ったとき
被相続人が契約した生命保険の保険金が、生命保険会社から受取人に支払われた場合、会社から受取人に支払調書が送られます。
死亡保険金を受け取ったのに相続税の申告がないケースがある場合、申告が必要ないか、税務署が調査を行います。
有価証券を売却したとき
被相続人の有価証券を相続し、その相続した有価証券を売却した場合、金融機関から税務署に取引報告書が提出されます。
取引報告書から、有価証券を相続していたことが判明し、相続税の申告が必要だったのではないか調査されることになります。
相続税の申告漏れに繋がりやすい注意点
ここからは、相続税の申告漏れや申告書の記載不備に繋がりやすい注意点を2つ紹介します。
- タンス預金や名義預金の把握が漏れる
- 特例や税額控除の適用で相続税が0円だからと申告を怠る
相続税申告の際に把握が漏れてしまいがちなポイントなので、ぜひ参考にしてください。
名義預金やタンス預金の把握が漏れる
財産目録として被相続人の相続財産を整理する際、記載が漏れがちなのが名義預金です。
名義預金とは他人名義の預金のことで、例えば被相続人が孫の名義で預金をしていたなどのケースが挙げられます。
相続が発生した際、口座名義のみで被相続人の財産か否かを判断してしまい財産目録から漏れてしまう可能性があるため、注意が必要です。
タンス預金の把握も要注意
タンス預金のような口座で管理されていない財産がある場合も、財産目録から漏れがちです。預金から多額の引き出しがあったにもかかわらず、どのように費消したのかわからない場合、タンス預金を疑われる可能性があります。
特例や税額控除の適用で相続税が0円だからと申告を怠る
相続税の負担軽減に繋がる特例制度や税額控除を適用する場合も、注意が必要です。
仮に特例の適用を受けて相続税額が0円になったとしても、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」は適用要件に相続税申告が含まれています。
こうした特例や税額控除の適用には、相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。怠った場合は特例の適用を受けられないため注意しましょう。
申告漏れを防ぐには相続に強い税理士への依頼がおすすめ
相続税の申告が漏れてしまうと、修正申告の手間が生じるうえに本来収めるべき金額以上の税金がかかってしまう可能性があります。
しかしながら、相続税申告は手続きが複雑かつ申告書も記載事項が多いため、相続の知識や経験がない方が期限内に終えるのは至難の業と言えます。
期限内に相続税申告を終えられるか不安がある方は、相続専門の税理士への依頼がおすすめです。依頼数の多さに裏打ちされた豊富な相続のサポート経験のもと、正確かつスピーディーな相続税申告の後押しとなることでしょう。
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