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最終更新日:2024/6/5

相続税の申告漏れはバレる!税務署に無申告がバレる理由やペナルティー

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
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この記事でわかること

  • 相続税の申告をしなかった場合に無申告だとバレる理由
  • 無申告だった場合に科されるペナルティーの種類
  • 相続税を申告する際の注意点

親や配偶者が亡くなったら、残された家族は相続人として相続税の申告をしなければなりません。

申告しなくてもバレないのではと考える人もいるかもしれませんが、実際はそうはいきません。

この記事では、相続税の申告をしなかったときに無申告であるとバレる理由や、科されるペナルティーについて解説します。

相続税の無申告がバレる理由

人が亡くなると、相続税が発生することがあります。

ただし、相続が発生してもすべてのケースで相続税が課されるわけではなく、相続税がかからないケースも多いです。

それでも相続税の無申告がバレるのには、国税総合管理(KSK)システムが関係しています。
KSKシステムとは、全国の国税庁や税務署を結び、納税者の過去の情報を一元的に管理しているコンピューターシステムです。

また、税務署は金融機関などに対して強制的な調査をする権限を持っており、相続財産に関する情報を知ることができます。
KSKシステムや税務署の高い調査力により、相続税の無申告がバレてしまうというわけです。

税務署に相続税の無申告がバレる理由

相続税の無申告がバレるのには必ずきっかけがあります。
ここでは、相続税の無申告がバレる理由を解説します。

亡くなったとき

誰かが亡くなって相続が発生した場合、遺族は最寄りの市区町村役場に死亡届を提出します。
役場に死亡届が提出されると、その情報は税務署にも共有されます。

死亡の事実を把握した税務署は、KSKシステムで被相続人の財産状況や生前の所得を調べることができます。

多額の財産があるにもかかわらず相続税の申告書が提出されない場合は、さらに詳しい調査が行われます。

その結果、相続税の申告漏れと判断された場合、相続人に連絡が来るという流れです。

相続登記を行ったとき

土地や建物などの不動産を相続した人は、被相続人の名義から変更するために相続登記を行います。

登記は法務局で行われるため、税務署とは無関係に思えるかもしれません。

しかし、登記の情報はすべて法務局から税務署に伝えられます

相続登記がなされたと知った税務署は、相続税の申告が行われているかを調査します。

相続税がかかりそうな不動産の相続登記がされていた場合、被相続人の他の財産も調査されることがあります。

その結果、相続税の納税義務があると判断されると、相続税の申告漏れが指摘されることになるでしょう。

生命保険金を受け取ったとき

人が亡くなると、その相続人が受取人となって生命保険金が支払われることがあります。

生命保険会社から保険金が支払われた場合、会社から受取人に支払調書が送られます。

また、受取人に送られたものと同じ支払調書が税務署にも提出されます

これにより、税務署は生命保険金の受け取りを知ることとなります。

死亡保険金を受け取ったのに相続税の申告をしていない人がいたら、申告が必要ないか、税務署が調査を行います。

調査の結果、相続税の納税義務があるのに申告していなければ、申告漏れを指摘されます。

有価証券を相続したとき

被相続人が有価証券を保有していた場合、相続人はその有価証券を相続します。

相続した有価証券をそのまま保有していると、配当金を受け取ることもあるでしょう。

その場合、配当金を支払った会社は支払調書を作成して、株主(受取人)に交付します。

この配当金の支払調書は税務署にも提出されます

このように株式の移転が税務署に知られ、相続税の調査につながることもあります。

相続した有価証券を相続人が売却した場合にも、税務署に取引報告書が提出されます。

この取引報告書も、有価証券の相続が発生していることが税務署に発覚するきっかけとなります。

相続税の申告漏れがバレたときのペナルティー

相続税の申告漏れが税務署にバレたときの対応は、納めるべき相続税の納付だけでは済みません。

ペナルティーとして、税金を余分に支払うことになります。
どのようなペナルティーがあるのか、確認しておきましょう。

延滞税

本来の期限までに相続税を納付できなかった場合、延滞税(遅延利息に相当する税金)が発生します

延滞税は、納付が遅延した期間に応じて計算される税金です。税率は毎年、金利の変動に応じて定められます。

法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、適用される税率に違いがあるため、注意が必要です。

延滞税の計算は複雑で、自分でその計算を完璧に行うことは難しいでしょう。

税務署で延滞税を計算してもらい、その金額を納付するのが一般的です。

無申告加算税

申告期限までに相続税の申告をしなかった場合、無申告加算税が課されます。

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10カ月です。

ただし、何らかの事情でこの間に申告できないこともあるでしょう。

この場合、期限後に納付する相続税額から無申告加算税を計算し、税務署に支払わなければなりません。

なお税率は、無申告加算税が発生するタイミングによって変わります。

相続税の申告期限後に自主的に申告を行った場合でも、追加で納付した税額の5%が無申告加算税となります。

また、税務調査の事前通知を受けた場合、通知を受けてから税務調査までの間に申告することが可能です。

この場合の無申告加算税は、追加納付した税額のうち50万円までの部分は10%、50万円を超え300万円までの部分は15%、300万円を超える部分は25%で計算されます。

一方、税務調査で無申告が発覚した場合は、追加納付した税額のうち50万円までの部分は15%、50万円を超え300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30%で計算されます。

過少申告加算税

期限内に相続税の申告と納付が完了していれば問題ないというわけではありません。

計算した相続税額が、本来納付すべき税額より少ないケースも考えられます。

この場合、追加の税金に加えて、過少申告加算税を納付しなければなりません。税務調査の通知よりも前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません

ただし、税務調査の事前通知を受けてから税務調査までに修正申告を行った場合は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%を乗じた金額の過少申告加算税がかかります。

税務調査で追加税額が発生した場合は、新たに納める税金の10%の税率で計算されます。

ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%で計算されます。

重加算税

相続税額を少なくするために仮装や隠ぺいが行われた場合、かなり悪質な税金逃れと判断されます。この場合、無申告加算税や過少申告加算税より重い重加算税が科されます。

重加算税の税率は、相続税の申告の状況に応じて異なる税率が適用されます。

仮装や隠ぺいによって相続税額を過少に申告していた場合、35%の「重加算税(過少申告)」が適用されます。

また、申告をしていなかった場合は、40%の「重加算税(無申告)」が適用されます。

なお、過去5年以内に相続税で無申告加算税や重加算税を科されていると、重加算税の税率は10%上乗せされます。その場合の「重加算税(過少申告)」は45%、「重加算税(無申告)」は50%です。

相続税申告時の注意点

相続税の申告に際しては、どのような注意点があるのでしょうか。

特例の適用を受けるために申告が必要なことがある

相続税の税額を少なく抑えるために、多くの特例制度が設けられています。

特例の適用を受けることで、相続税額がゼロになることもあります。

ただし、相続税の申告を行うことが特例の適用要件となっていることもあり、注意が必要です

相続税額がゼロになったとしても、相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。

申告しなければ特例の適用を受けられず、相続税額が発生することもあるため注意しましょう。

相続に強い税理士に依頼する

相続税の申告は税理士に依頼することもできます。

ただ、税理士のなかには、相続税の申告をほとんど行っていない人もいるため、税理士選びには注意が必要です。

相続税の申告を依頼する場合は、必ずその税理士の得意分野を確認することをおすすめします。

相続税に強い、あるいは相続税を専門に扱っている税理士に依頼するようにしましょう。

まとめ

相続税の申告漏れが税務署にバレるきっかけは数多くあり、逃れることは非常に難しいでしょう

相続が発生した場合は、相続税の納税義務がないか必ず確認しなければなりません。

相続税の申告は税理士に依頼することもできるので、専門家に相談するのも大切なことです。

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