この記事でわかること
- 特定計画山林の特例とはどのようなものか知ることができる
- 特定計画山林の特例の適用を受けるための要件を知ることができる
- 特定計画山林の特例と小規模宅地等の特例を併用できないことがわかる
特定計画山林という言葉は、多くの人にとってなじみのないものでしょう。
しかし、山林を所有する人やその相続人となる人にとっては、非常に重要な制度です。
ここでは、特定計画山林の特例について解説していきます。
また、小規模宅地等の特例との関係が重要であるため、その両者の併用についてもご紹介します。
目次
特定計画山林の特例とは
特定計画山林の特例とは、特定計画山林相続人等が相続等で取得した特定計画山林について、相続税の課税価格を減額するものです。
特定計画山林の特例の対象となった山林については、その山林の相続税評価額に100分の95を乗じて課税価格に加えます。
当初より少ない金額で相続税の計算を行うため、相続税の負担を軽減する効果がある特例です。
特定計画山林の特例の適用要件
特定計画山林の特例の適用を受けるためには、いくつかの要件を満たさなければなりません。
定められた要件を1つでも満たすことができないと、適用は受けられません。
満たさなければならない要件は、以下のすべてです。
- 山林が特定計画山林に該当する
- 特定計画山林相続人等が相続等により取得する
- 相続税の申告期限まで特定計画山林相続人等が引き続きその山林を保有している
このうち、特定計画山林と特定計画山林相続人等とはどのようなものか、確認しておきます。
特定計画山林とは
特定計画山林とは、「特定森林経営計画対象山林」または「特定受贈森林経営計画対象山林」のことです。
いずれも、森林法による市町村長の認定を受けた森林経営計画が定められている区域内にある立木または土地をいいます。
このうち、特定森林経営計画対象山林は、被相続人が相続開始直前に所有していた山林のことです。
一方、特定受贈森林経営計画対象山林は、被相続人から相続時精算課税制度により贈与された山林を指します。
特定計画山林相続人等とは
特定森林経営計画対象山林について適用を受ける場合、相続人に関して以下のような要件が定められています。
- 被相続人の親族である
- 相続開始の時から相続税の申告期限まで引き続き、森林経営計画に基づいて事業を行っている
- 相続や遺贈により取得した特定計画山林について、相続開始の時から相続税の申告期限まですべて保有している
また特定受贈森林計画対象山林について適用を受ける場合は、以下のような要件を満たさなければなりません。
- 特定受贈森林経営計画対象山林に係る相続時精算課税適用者である
- 特定受贈森林経営計画対象山林の贈与の時から、被相続人の相続税の申告期限まで引き続き森林経営計画に事業を行っている
- 贈与により取得した特定計画山林について、相続税の申告期限まで引き続きそのすべてを保有している
いずれの場合もポイントになるのは、森林経営計画に基づいて事業を行っていることです。
また、相続や贈与により取得した山林を、そのまま相続税の申告期限まですべて保有し続けなければなりません。
特定計画山林の特例と小規模宅地等の特例は併用できない
相続税の特例は、相続税額を大きく減額する効果があるため、できるのであれば適用したいと考えるのが普通です。
しかし、同時に複数の特例を適用できないため、注意が必要です。
どの特例を適用するかによって相続税額が変わるため、どの特例を利用するのか慎重に判断しなければなりません。
また、特例を併用できることもあるため、どのような選択をするのが最も有利になるのか、その判断をする必要があります。
原則として併用することはできない
特定計画山林の特例を利用する場合、原則として小規模宅地等の特例との併用はできません。
逆に小規模宅地等の特例の適用を受ける場合にも、特定計画山林の特例は適用できません。
そのため、特定計画山林の特例か小規模宅地等の特例のいずれかの適用を受ける選択をしなければならないのです。
小規模宅地等の特例と併用できる場合がある
原則、特定計画山林の特例と小規模宅地等の特例を併用することはできません。
ただし、貸付事業用宅地等に換算した宅地等の面積が200㎡に達しない場合は、特定計画山林の特例を併用できます。
この場合、以下の算式で計算した金額に達する部分まで、特定計画山林の特例の適用が受けられます。
A=特定森林経営計画対象山林及び特定受贈経営計画対象山林の価額
B=小規模宅地等の特例の適用を受けた宅地等の面積
まとめ
特定計画山林の特例を利用すると、山林や立木を相続などで取得した場合に相続税額を減額してくれます。
ただ、山林などの課税価格を5%だけ減額するものであり、大きく相続税が減額されない場合もあります。
小規模宅地等の特例が適用できる場合、原則としていずれか一方しか適用できないこととされています。
そのため、いずれを適用した方が有利か、実際に試算してみましょう。
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