この記事でわかること
- 未支給年金と呼ばれる金額が発生する理由を知ることができる
- 未支給年金は相続財産に含まれないことがわかる
- 未支給年金を受け取るための手続きや注意点を知ることができる
亡くなった人(被相続人)が年金を受け取っていたというケースは、かなり多いでしょう。
亡くなった時期によって、生きている間に受け取ることのできなかった年金が未支給年金として発生します。
そのため、生前に受け取れなかった年金については、相続人が代わりに受け取る手続きをしなければなりません。
未支給年金を受け取る手続きの方法や、未支給年金を受け取る際の注意点をご紹介しましょう。
目次
未支給年金とは
未支給年金とは、被相続人が生前に受け取ることのできなかった年金、あるいは亡くなってから振り込まれた年金のことです。
年金は偶数月の15日に前々月分と前月分を合わせて受け取ることとされています。
たとえば、被相続人が12月10日に亡くなったとします。
この場合、12月15日に振り込まれる10月分と11月分の年金は未支給年金に該当します。
また、12月10日に亡くなったことで受け取る権利のある12月分の年金は、さらにその後に支給されます。
そのため、生きていれば翌年2月15日に振り込まれるはずの年金の一部も、未支給年金となります。
未支給年金は相続財産ではない
未支給年金は、被相続人が亡くなったために発生した金額です。
亡くなった人がいなければ発生しないため、相続財産と混同しやすいのですが、未支給年金は相続財産ではありません。
それでは、未支給年金はどのように取り扱われるのでしょうか。
未支給年金は固有財産になる
未支給年金は相続財産ではないとすれば、いったい何になるのでしょうか。
実は、相続が発生して遺族が受け取る財産は、相続財産と固有財産の2つに分類することができます。
このうち未支給年金は固有財産に含まれるものです。
相続財産と呼ばれるのは、被相続人が保有していた財産や債務を指します。
土地や建物などの不動産、金融機関の預貯金、有価証券などの財産を保有していた場合、それらはすべて相続財産となります。
また、銀行や貸金業者からの借り入れがある場合は、その借入金はマイナスの相続財産となります。
一方、固有財産は、被相続人が亡くなったことをきっかけとして受け取る財産のことです。
生命保険金や死亡退職金など、亡くなった人がいるために発生する金銭が固有財産に該当します。
未支給年金もまた、亡くなった人がいることではじめて発生するものであるため、固有財産にあたります。
未支給年金は相続放棄しても受け取れる
前述したように、未支給年金は、相続財産ではなく固有財産に該当するとされます。
固有財産と相続財産の大きな違いは、固有財産は遺産分割協議の対象にならないことです。
相続人全員の話し合いによって受取人を決めるのではなく、契約などで受取人が決定されることになります。
また、固有財産は相続財産とは違い、相続放棄した人でも受け取ることができます。
未支給年金は、相続財産とは異なるものであることに注意しましょう。
未支給年金を受け取る手続き・必要書類
相続が発生すると、被相続人の年金に関して手続きしなければなりません。
未支給年金を受け取るためには、以下の手続きや書類が必要となるため、確認しておきましょう。
死亡の届出
年金を受け取っていた人が亡くなった場合、その死亡の事実を年金事務所に届け出なければなりません。
年金事務所の窓口かホームページから「受給権者死亡届」を入手し、必要な項目を記載します。
この時、下記の書類も必要となります。
死亡の届出に必要な書類
- 亡くなった人の年金証書
- 死亡の事実を明らかにする書類(戸籍抄本、市区町村長に提出した死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)
なお、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている人については、この届出が省略できます。
市区町村に対して死亡届を提出するなどの手続きを行うと、自動的に年金事務所に情報が共有されるためです。
未支給年金請求の届出
未支給年金がある場合は、死亡の届出とは別に未支給年金請求の届出を行うことで、その金額を受け取ることができます。
未支給年金を受け取るには、年金事務所に「未支給年金・未支払給付金請求書」を提出します。
また、この請求書にあわせて以下の書類も提出しなければなりません。
未支給年金請求の届出に必要な書類
- 亡くなった人の年金証書
- 亡くなった人と請求者の続き柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
- 亡くなった人と請求者が生計を同じくしていたことがわかる書類(住民票の写しなど)
- 受取を希望する人の金融機関の通帳
- 亡くなった人と請求者が別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書」
なお、一部のネット銀行については、通帳がなくても受け取り先の金融機関とすることができます。
この場合、インターネットから金融機関名や支店名などがわかるようにプリントアウトし、提出することとされています。
未支給年金を受け取るときの注意点
未支給年金を受け取る手続きは、沢山ある相続に関する手続きの中で、うっかりすると忘れてしまいやすいものです。
この他、未支給年金を受け取るときには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
受け取った未支給年金は所得税がかかる
未支給年金を受け取っても、受け取った人に相続税はかかりません。
その代わり、受け取った未支給年金は、所得税の対象となる「一時所得」に該当します。
一時所得となった金額は、1年間に50万円の控除額があるため、未支給年金だけで税金が発生することは稀です。
ただ、他に一時所得がある場合には、課税対象となる金額が発生し、確定申告しなければならない場合もあります。
未支給年金を受け取れる人は決められている
未支給年金を受け取ることができる人は、被相続人との関係により定められています。
被相続人と生計を同じくしていた人のうち、以下の人が対象となります。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- その他3親等内の親族
この順に該当する人がいるかを確認し、該当する人がいれば、他の人が受け取ることはできません。
必ず受取人となることのできる人が、忘れずに手続きを行いましょう。
また、生計を一にしていたという要件があることから、誰も受け取れないというケースもあります。
死亡届の提出が遅れると年金を返還しなければならない
未支給年金の請求とあわせて、死亡届の提出を行う場合もあります。
この死亡届の提出が遅れると、亡くなった後にも満額の年金が支給されることとなってしまいます。
しかし、本来受け取ることができないはずの年金が支給されると、もらいすぎとなった年金は後日返還しなければなりません。
この返還を正しく行わなかった場合には、年金の不正受給となり、罰則に問われる可能性もあります。
亡くなった人がいる場合には、必ず死亡届を忘れずに、できるだけ早く行いましょう。
また、万が一死亡届の提出が遅れてしまった場合には、その後の返還手続きを確実に行いましょう。
まとめ
亡くなる方は高齢の方が多いため、年金を受け取っているケースがかなり多いでしょう。
相続が発生すると、多くの手続きをしなければなりませんが、年金に関する手続きもその1つです。
年金受給者が死亡したという届、そして未支給年金を受け取る手続きを忘れずに行いましょう。
また、未支給年金を受け取った人には所得税が発生することもあるので、注意しましょう。
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