この記事でわかること
- 親が亡くなったときに子がもらえる遺族年金の種類
- 子が遺族年金をもらうための要件
- 遺族年金を子がもらう場合の支給額や支給対象年齢
被保険者が若くして亡くなった場合や、小さな子を残して亡くなった場合、その遺族に遺族年金が支給されることがあります。
中でも子に遺族年金が支給されるケースでは、いくつかの要件が定められているため、要件を確認しておくことが大切です。
また、この記事では、子が遺族年金を受け取る場合の支給額や、支給される年齢についても解説します。
必ず遺族年金が支給されるわけではないので、どのような場合にどれだけ支給されるのか、確認していきましょう。
目次
被保険者の子どもがもらえる遺族年金の種類とは
国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった場合、遺族が受け取ることができる年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類です。
遺族基礎年金は亡くなった人が国民年金の加入者であった場合、遺族厚生年金は亡くなった人が厚生年金の加入者であった場合に、その遺族に対して支給されます。
ただし、亡くなった人が国民年金や厚生年金に加入していれば、必ず支給されるわけではありません。
遺族年金の受給にはいくつか要件があります。その要件を満たさなければ、亡くなった人の子をはじめとする遺族は、遺族年金をもらうことができません。
被保険者の子どもがもらえる遺族年金の受給要件
ここからは、亡くなった被保険者の子が遺族年金の受給資格を満たすための要件を取り上げます。
遺族基礎年金と遺族厚生年金では受給要件が異なるため、それぞれ解説します。
遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金を亡くなった被保険者の子が受給できるのは、「亡くなった人に関する要件」「遺族に関する要件」をそれぞれ満たす場合です。
亡くなった人に関する要件
亡くなった被保険者が以下のいずれかに該当する場合、遺族基礎年金を受給することができます。
- 国民年金の被保険者である期間内に亡くなった
- 国民年金の被保険者であり、年齢が60歳以上65歳未満かつ日本国内に住所を有していた
- 老齢基礎年金の受給権を保有していた(※)
- 老齢基礎年金の受給資格を満たしていた(※)
(※):保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある場合のみ
なお、①②の場合は、次の要件のとおり、国民年金の保険料を納付してなければなりません。
保険料の納付に関する要件
亡くなった前日において、国民年金保険料を納付した期間が保険料を納付しなければならない期間の3分の2以上ある
令和8年3月末日までに亡くなった国民年金の被保険者が65歳未満である場合、亡くなった日の前日において、亡くなった日が含まれる月の前々月までの直近1年間で未納の保険料がない
参考:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
遺族に関する要件
遺族基礎年金を受給できる遺族は、亡くなった人によって生計を維持されていた「子がいる配偶者」または「子」です。
- 「生計を維持されていた」とは
- 生計が同一であること、そして一定以下の収入金額であることをいいます。
- 「生計が同一であること」とは
- 生計が同一であることとは、簡単にいえば亡くなった人が生活費を払っている状態を指します。同居している場合は、問題なく生計が同一であるといえます。
- なお、別居している場合でも生活費を負担していれば、生計が同一であるといえます。
この要件で子として該当するのは、18歳に到達した年度の3月31日を経過していない人を指します。なお、障害等級1級または2級の子の場合は、20歳未満の人となります。
また、収入金額の要件は、前年の収入が850万円未満、あるいは所得が655万5,000円未満であることとされています。
一緒に暮らしていた夫婦でも、残された配偶者の収入金額あるいは所得金額によっては、遺族基礎年金を受給できません。
遺族厚生年金の受給要件
遺族厚生年金を亡くなった被保険者の子が受け取ることができるのは、以下の要件を満たす場合です。
亡くなった人に関する要件
亡くなった人が以下の要件のいずれかに該当する場合、遺族は遺族厚生年金を受給することができます。
- 厚生年金の被保険者である期間内に亡くなった
- 厚生年金加入中に初診日がある傷病がもとで、初診日から5年以内に亡くなった
- 1級、2級の障害厚生(共済)年金を受け取っていた
- 老齢厚生年金の受給権を保有していた(※)
- 老齢厚生年金の資格期間を満たしていた(※)
(※):保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある場合のみ
遺族厚生年金は、遺族基礎年金の金額に加算して支給されます。
遺族厚生年金を支給される人が、遺族基礎年金は支給されないケースも多くあるため、注意が必要です。
なお、遺族厚生年金も同様に、以下のような保険料の納付に関する要件があります。
保険料の納付に関する要件
亡くなった前日において、国民年金保険料を納付した期間が保険料を納付しなければならない期間の3分の2以上ある
令和8年3月末日までに亡くなった方が65歳未満である場合、亡くなった日の前日において、亡くなった日が含まれる月の前々月までの直近1年間で未納の保険料がない
参考:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
遺族に関する要件
遺族厚生年金を受給できる遺族の要件は、亡くなった人によって生計を維持されていた遺族です。
別居していた場合でも受給できる場合もある一方で、同居していても受給できない場合もあります。
下記の順に該当する人がいないか確認し、該当する人がいればその人が受給することとなります。
- 子がいる配偶者
- 子
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母
なお、亡くなった被保険者に配偶者と子がいて、すでに配偶者が亡くなっている場合、子が遺族厚生年金を受給できます。その場合、子は遺族基礎年金と遺族厚生年金の双方を受給できることがあります。
遺族年金を子どもが受け取った場合の支給額
ここからは、遺族年金を子どもが受給した場合の受給額について解説します。
「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に分けてそれぞれ解説するので、その金額を確認しておきましょう。
遺族基礎年金の受給額
遺族基礎年金を被保険者の子が受給する場合、受給額は816,000円+子の加算額となります。
1人目および2人目の子の加算額は234,800円、3人目以降の子の加算額は78,300円となります。
なお、子が複数人いる場合は、受給額として計算された金額を子の数で割った後の金額が、1人あたりの受給額となります。
遺族基礎年金の受給額
遺族厚生年金を亡くなった被保険者の子が受給する場合、受給額は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
なお、報酬比例部分の金額は、人によって異なります。
給料や賞与の金額が高い人ほど、報酬比例部分の金額は大きくなるため、遺族厚生年金の額も大きくなります。
子どもが遺族年金を受け取れる年齢
遺族年金を子が受給する場合、年齢によって年金の受給期間が決まるため、注意が必要です。
遺族基礎年金を受け取れる年齢
遺族基礎年金を受給対象となる亡くなった被保険者の子の年齢は、原則18歳に到達する年度の3月31日を経過する前でなければなりません。
そのため、遺族基礎年金を亡くなった被保険者の子が受給する場合、子が18歳になった後に4月1日を迎えると受給できなくなります。
なお、障害年金の障害等級1級または2級にあたる子の場合は、満20歳を迎えると受給資格がなくなります。
遺族厚生年金を受け取れる年齢
遺族厚生年金は、亡くなった被保険者によって生計を維持されていた遺族の中で、最も順位が高い人が受給できます。
そのため、亡くなった被保険者の子が遺族厚生年金を受給するケースでは、被保険者の配偶者が遺族厚生年金を受け取っていないことが条件です。
また、遺族厚生年金を子が受給する場合、対象者の要件は遺族基礎年金と同じです。
したがって、遺族厚生年金の受給資格も、基本的に子が18歳になって4月1日を迎えるまでとなります。障害等級1級または2級にあたる場合、満20歳までという点も変わりありません。
【補足】被保険者と配偶者がともに亡くなった場合は多い方の遺族年金が支給される
被保険者と配偶者がともに亡くなった場合、子に支給される遺族年金の金額は、父と母いずれかの分を選択した額となります。
亡くなった2人分の遺族年金の金額を合算して、子に支給されるわけではないことに注意が必要です。
なお、父母いずれの遺族年金が大きくなるかを比較する時は、遺族厚生年金の金額だけを比較すれば問題ありません。
年金事務所で確認すれば、それぞれの遺族厚生年金の金額を確認できるため、いずれか大きい方の金額を受給するようにしましょう。
まとめ
遺族年金の制度は、亡くなった人によって生活が成り立っていた遺族のための制度といえます。
そのため、子が受給者となる場合、自立するまでの期間だけ支給されるものとなります。
遺族年金が受給できるのか、あるいはいつまで受給できるのかは、残された遺族にとって大きな問題です。
受給要件や受給額の計算方法について、きちんと確認しておくようにしましょう。
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