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最終更新日:2022/6/2

相続手続きをしなかったらどうなる?相続手続きをすべき期間や延長期間も解説

本間 剛 (行政書士)
この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

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この記事でわかること

  • 相続放棄の期限は3カ月以内であることがわかる
  • 相続放棄の期限は延長できることがわかる

相続は突然始まります。

財産をどうするか、揉め始めると泥沼化してしまう場合があります。

プラス財産と借金などマイナス財産を相続する場合、資産価値が多ければ揉め事も多くなってしまうのです。

相続放棄は、権利として各相続人の自由意思で実行できますが、申請期限があります。

それでは、相続手続きをしなかったらどうなるのでしょう?
相続手続きをすべき期間や延長方法も解説します。

必要な相続手続きと期間

被相続人が死亡した事実が確認された、または知らされた日から、相続が開始されますが、各相続人は必要な相続手続きと期間について気になるでしょう。

相続手続きは煩雑であり、必要書類も多いため、何をやったらいいのかわからなくなったり、どれくらい期間を待っていればいいのか心配になったりもしてしまい、動き出すことがなかなかできないこともあるでしょう。

しかし現実は、手続き上、時間が経過していく中において、待ってくれない期限が設定されています。

手続きの流れとして、相続開始、遺産分割協議、相続放棄か承認かを決める、相続分が決まったら別々の財産計算し相続税申告に向かう、が順序です。

それでは、次に期限の詳細を項目ごとに記述します。

相続放棄

相続が開始されると、期限が設定されているため、期限内に事を運び処理しなければなりません。

相続放棄の期限は、相続開始から3カ月以内です。

相続人は、3カ月以内に家庭裁判所に申請および申し立てをしなければならない規定があります。

相続放棄を考える相続人は、遺産を分割相続しても被相続人の債務(借金など)を受け継がなくてはならないなどの事情があります。

そのような負の財産を相続したくないと考える相続人は、相続放棄を選択する権利を持っています。

虚偽通謀・偽装行為でない限り犯罪になりません。

現行法では総財産の遺産額を算定し、一緒についてくるマイナス財産を差し引き、相続人は遺言があるかないかを鑑み、いくらもらって、いくら税金や借金を支払わなければいけないかを試算する必要があります。

さて、相続放棄以外に、あらゆる期間・期限がありますから、次のとおりです。

限定承認

限定承認は、相続人が受け取る遺産財産において、範囲を限定し相続するという制度であり、範囲外の財産についてきた借金返済の義務は負わないという権利です。

被相続人が持っている財産について、借金がどれだけあるかをよく知っておいてから、判断する必要があります。

手続きとして、家庭裁判所に申請しなければなりませんが、相続開始から3カ月以内に実行しなければなりません。

相続税申告

相続税申告は、相続開始から10カ月以内に申告・納税しなければいけません。

相続人間で、どのような理由があろうとも、申告・納税期限までに税務署に提出し、各相続人たちは納税をしなければなりません。

相続税計算は高度な専門知識が要求されるため、税理士に依頼するほうが得策です。

相続税はあとで税務調査が入って来るため、相続税算定の計算違いから、多額の納税額を徴収される事実はよく知られています。

これは、思わぬ出費になるケースが多くなりますから、申告段階において正確性を持って書類提出をしましょう。

遺留分減殺請求権

相続財産分与には、最低限のレベルにおいて「遺留分」だけは確保される制度があります。

遺留分は、法的に許された優先権を獲得できても、法外な強い遺言があったからといって、最低限守られる財産獲得権利です。

減殺請求権は、侵害された事を知った時から1年が期限です。

ただし、遺留分という最低相続権は、現行法において、兄弟姉妹には認められていません

相続回復請求権

相続に乗じた不法行為に基づき、純正なる相続権を侵害されたことを知った時から、5年間しか請求できない権利です。

簡単にいえば、相続権を持たない人(表見相続人)が、見せかけで相続人であるというウソをついて、不当に相続財産を占有したとき、本当の相続人が相続権を侵害されたことを知った時から5年の間、回復請求できる権利です。

民法には代理行為の中で、表見代理という制度があります。

見せかけの代理行為は、法的に認められるかどうかが問題になります。

この問題に対処するため、権利がない(表見)代理人が、不法行為した場合の防御制度です。

本当(真実)なる相続人が、相続権利を侵害されたと知ったときから5年まで回復請求できますが、被害を知らなかったら、永遠に権利行使できませんから時効になり請求権は消滅します。

それが知らなかったが故の損害になりますから注意を要します。

相続分取戻権

法令上では、相続人の一人が遺産分割前に、その相続財産分を第三者に譲渡したとき、他の相続人はその価格および費用を償還し、その相続財産分を譲受できます。

端的に言うと、遺産分割協議前に共同相続の一人が相続財産を譲渡した場合、他の共同相続人が取り戻せる権利です。

遺産分割協議は相続人の間で行われますが、協議前に第三者に譲渡すると、第三者が遺産分割協議に介入できることになります。

問題として、第三者である他人の介入は、相続分割協議および法的手続きを不安定にさせるおそれがあります。

相続分取戻権は、このような第三者を排除できる権利となり、共同相続人の利益を守るためにあります。

相続分における取戻権は、1カ月までは取戻権を実行する権利があり、通知書は内容証明郵便として送達する必要があります。

ここで注意を要するのは、取戻権行使を実行するときに必要なる価格です。

財産評価として、時価計算されます。第三者が支払って譲渡された時点の金額と異なる場合がありますから注意が必要になります。

相続手続きをしなかったらどうなるか


さて、相続手続きをしなかったらどうなるでしょうか?

法令は期限を定めルールを設定しています。

手続きをしないことは、定められた期間にしなかった者が悪いと判定されてしまいます。

ある意味で、法的に権利自体を行使できなくなります。

どのような権利を行使できなくなるかを次に詳説します。

相続の放棄・限定承認ができなくなる

相続が開始されたとき、相続人の選択肢は権利として別々に存在します。

借金なども財産に含まれるので、その財産を相続したら、相続人は本人である被相続人が関係した借金を引き継ぎます。

相続において、個人的財産が関係しますから、法令順守するのが得策です。

相続手続きをせず放ったらかし状態を長く連続させてしまったら、相続放棄および決めた範囲の財産に責任を持つ限定承認さえできなくなります。

法令には期限が設定されていますから、期限を過ぎたあとでは受け付けてはくれません。

相続手続きは、相続人が行うルールとして期間が設けられています。

相続手続きを怠ったら、相続人は自らの権利自体を捨て去ったとしか判定されませんのでご注意ください。

遺留分侵害請求ができなくなる

相続問題に関して、遺言や遺産分割協議が先行すると考えられがちですが、相続人は最低限の遺留分を取得できる権利があります。

相続手続きをしなかったら、遺留分の請求すら権利放棄をすることになります。

遺産相続は、すべての相続人関係者だけで決めても、相続人の権利を侵害したら無意味な協議になってしまいます。

最低限の権利である相続人の遺留分を侵害し、相続手続きを開始しなかった場合、損害賠償権を失うことになります。

遺留分は、いかなる事情においても最低限確保される相続人の権利です。

被相続人は、相続人のことを考え死ぬ立場でもあります。

相続人は、被相続人が死亡したら、すぐに相続手続きを念頭において、あとの物事を対処しなければなりませんから、慎重に事を運ぶ必要があります。

関連動画

相続手続きの期限を延長する方法


相続開始から3カ月以内に申請すれば、相続放棄ができます。

相続はプラス財産とマイナス財産を兼ね合わせ、相続放棄には期限があり、期限を越えたら救済措置はあるのでしょうか?

正しい答えは、期限延長はできます。

ただし、家庭裁判所に延長申請をする必要があります。

法的手続きを踏まなくてはいけませんが、その理由が重要視されます。

延長期間を申し立てるには、相当の理由を裁判所が認めなければ延長できないことになっています。

相続開始時点は人によって異なる

相続法は、被相続人が死亡した日、もしくは相続人がその死亡した日を知った日から相続開始とされています。

通常は、被相続人死亡日が相続開始時点になります。

ところが、死亡を知らなかったら、相続人が知ったときが相続開始日になりますから、死亡日よりタイムラグが発生することになります。

特に次の場合は注意してください。

  • (1)いくら親族でも、相続人には優先順位があります。
    ただし、配偶者だけは相続順位に関係なく、常に相続人の立場を持っています。
    相続人のなかで、相続放棄を行うと優先順位が変更されます。
    順位変更され、新しく相続人になったことを知った日から相続開始になります。
  • (2)相続人が未成年者の場合、親権者が知った日から相続開始です。
    未成年者が相続人になるケースはあります。
    しかし未成年者は法律行為に関して責任力がまだ低いと考えられていますから、成人と同じ扱いはされません。
    保護者である親権者がすべて責任を持たなければならなくなります。
    親権者は相続があった事実を知った時点から、未成年者への相続開始時点になります。

被相続人が死亡した事実を知らなかった間は、相続開始が決定されないルールです。

特に税法は税金徴取する法令ですから、起算点として1日違ったら大きな違いになります。

定められた期限を越えた場合

法律には、すべて期限が設定されています。

相続放棄の期限は、相続開始から3カ月以内に申請すれば大丈夫です。

しかし、期限を延長することはできます。

相続放棄申請に3カ月以内にあれば大丈夫という法律は、3カ月以内に延長を申し立てしたら、延長できます。

ただし、承認を受けなければいけませんから、承認されたらさらに3カ月以内の期間が延長されます。

すべて家庭裁判所の決定による

申し立ては家庭裁判所にします。

相続放棄におけるやり方は、単純承認、限定承認または相続放棄のいずれかを決定できない場合、家庭裁判所の決定により期限を、3カ月間だけ延長できます。

被相続人死亡後、あとになって借金が発覚したという事例はよくあります。

そのようなとき、相続放棄を検討する期間が3カ月だと足らなくなる状況になりますから、延長するなどの措置があります。

書式は極めて簡素化されていますから、申立人と被相続人について書類に書くだけですから、誰もが簡単にできます。

家庭裁判所は、限定された身内の紛争や、揉め事を調停する法的機関です。

身内の揉め事を裁判によって申し立てる最後の砦となっています。

まとめ

相続手続きには、法令で期限が定められています。

相続開始から3カ月以内は、借金が多い相続財産から逃れたいのであれば、相続放棄を申請すれば大丈夫です。

相続人たちの揉め事が長く続く場合、期限延長をおすすめします。

相続放棄は、相続人が申し立てる意思決定ですから、延長申請承認されたらさらに3カ月の猶予期間があります。

合わせて最大6カ月間で放棄を考えたらいいわけですが、申告期限は変わらず10カ月後にやって来ますので、手続きで悩んだら、専門の弁護士に相談・依頼することを検討しましょう。

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